<シルクロード文庫>イランの家庭料理を食べる会【まるっと中野】
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更新日:2026年3月14日
パオビル(PAO COMPOUND)の2階から見た吹き抜け。アフガニスタンとパキスタン北西部の国境付近、山岳地帯で使われていた台所用品が並ぶ
サラーム!※1 ナカノ観光レポーターの「KanaNaka」です。
イランと日本は、1929年のテヘランでの公使館開設以来、長い友好の歴史があります。それなのに、私たち日本人はイランのことを意外と知りません。
東中野にある私設図書館「シルクロード文庫」では、そんなイランの文化に触れられる「イランの家庭料理を食べる会」が不定期で開催されています。
今回訪れたのは2026年1月。集まった12名の参加者とともにイランに心を寄せる時間を分かち合いました。
※1 イランの公用語ペルシア語で「こんにちは」の意味。「平和」という意味も持つ。
パオビル(PAO COMPOUND)2階Bazarのカフェ『Golab(ゴラーブ)※2』が今回の会場
※2 ペルシア語で「バラの水(バラの花びらから抽出される蒸留水)」を意味する言葉。バラはイランの国花。「a」はマクロン付き文字のa。
『Golab(ゴラーブ)』では、イランやアフガニスタンなど中東・中央アジア諸国の雑貨・絨毯を販売している
パオビル(PAO COMPOUND)正面の入り口から2階へ。同ビル8階にあるシルクロード文庫へも、この入り口もしくはビルの裏口からエレベーターで向かうことができる
「最高のシェフは家庭にあり」
イランと周辺諸国 地図作成:KanaNaka
家庭での食事がメインのイランでは、大勢の客人をもてなす家庭料理の文化が古代より受け継がれてきたといいます。
イランの国土面積は日本の約4.4倍。9,000万人以上といわれる人口の約6割をアーリア系のペルシア人が占めていますが、地域によって民族が異なる多民族国家です。そのため、料理も地域によってさまざま。
今回はテヘラン出身のマハ(Maha)さんによるオーソドックスなイランの家庭料理8品が提供されました。※3
※3 会費:6,000円(飲み物付き)。会期ごとにメニューは異なります。
ゴルメ・サブズィ※4(香草と豆、肉の煮込み)
ハーブや青野菜をふんだんに使ったシチュー。これぞイランのおふくろの味。フェヌグリークの甘く苦味のあるさわやかな香りが印象的。タブリーズ出身・シルクロード文庫研究会員のパーセバン(PASEBAN)さんによると、肉は牛肉が使われることが多いそう。まるごと入ったドライ・レモンが食感と味のアクセントに。
イラン料理ではハーブを主役として多用。サフランやシナモンなどの芳香ゆたかなスパイスが使われます。そのため辛くなく、エレガントな味わい。シルクロードを通じて様々な国の料理に影響を与えたと言われています。
※4 ペルシア語でゴルメ=煮込み、サブズィ=野菜という意味。
チェロゥ(白いごはん)
ゴルメ・サブズィと一緒に。湯取り法※5で炊きあげられた、ほくほくとしたバスマティライス。
※5 茹でてから蒸してお米を炊く方法
ミールザー・ガーセミ(ナスとトマトの卵とじ)
焼きナスの燻味が特徴的な、イラン北部ギーラーン州の郷土料理。ガージャール朝時代にロシア大使を務めたモハンマド・ガーセム・ハーン(1800-1872)が帰国後に考案し、イランで広く食べられるようになった歴史的料理。
サラダ・オリヴィエ(ポテトとチキンのサラダ)
イランのサラダ・オリヴィエ※6は鶏肉を使用し、レモンなどで味付けした酸味が特徴。
サンドウィッチやパーティーでも親しまれる国民食。
※6 ロシア・モスクワのフランス料理店「エルミタージュ」のシェフであった、リュシアン・オリヴィエによって19世紀に考案された、ポテトサラダの起源とも言われるサラダ。
イラン料理とワインの美味しい関係
会で提供されたシラーズ種とカベルネ種のブレンドワイン(オーストラリア産)
1979年のイラン革命以降、イスラーム法によりアルコールが禁止されているイラン。しかし、イランにおけるワイン醸造の歴史は紀元前までさかのぼると言われています。ハーフェズ(1326-1390)※7やハイヤーム(1040-1123)※8などの詩人が、ワインを愛でる詩を数多く詠んだことでも世界的に知られています。
※7 シーラーズ出身。イランの家庭には一家に一冊ハーフェズの詩集があると言われている。ドイツの文豪ゲーテ(1749-1832)にも影響を与えた。
※8 ニーシャーブール出身。山梨県の老舗ワインメーカー「丸藤葡萄酒工業」が販売する赤ワイン『ルバイヤート』はハイヤームの詩集の名。
ボラーニ・バーデンジャーン※9(ヨーグルトと焼きナスの冷製)
ワインとの相性◎のにんにくがきいた一品。ボラーニはヨーグルトベースの前菜。
※9 ペルシア語でバーデンジャーン=ナスの意味。
シーリン・ポロゥ※10またはオレンジ・ポロゥ(甘い炊き込みご飯/オレンジピール入り)
特別な日に提供され、「宝石のご飯」とも呼ばれる、おもてなし料理。
※10 ペルシア語でシーリン=甘い、ポロゥ=炊き込みご飯の意味。
食後の楽しみ
ショレ・ザルド※11(サフランの甘いデザート)
願掛け※12の儀式にも用いられる、お米でつくったイランの伝統スイーツ。サフランやローズウォーターなど材料の組み合わせによる味のハーモニーが奥深い。
※11 ペルシア語でショレ=デザート・お粥、ザルド=黄色の意味
※12 宗教的な記念日などに願いを込めて食事を無料で配布する「ナズリー」と呼ばれる習慣
ハーブティー(マハさんのスペシャルブレンド)
マハさんがハーブティーに使用したハーブ。一番右はルリジサと呼ばれるハーブ。青く星形の花を咲かせる、綿毛に覆われたムラサキ科の植物
イランでは料理やお茶にも時としてバラのつぼみが使われる
一期一会で集まった参加者たちが、イラン料理を囲みながら、初めて口にする味の感動を分かち合う。イランへの旅の話、それぞれの文化体験。食を通じて、人と人、文化と文化がつながっていく。ここには、「今」を通じてその国を知る、生きた学びがありました。
シルクロード文庫とは
シルクロード文庫内部
本文:シルクロードが果たしてきた役割を担うような場所をつくりたい。それは物だけではなく、知識・文化・人が交わった歴史。そのような思いで2023年の春から本格スタートしたシルクロード文庫。発案者の故前田耕作和光大学名誉教授(1933-2022)※13が遺したシルクロード関連の書籍や資料を中心に、一万冊以上が収められ、来訪者は自由に読むことができます。※14
※13 アジア文化史研究者。アフガニスタン文化研究所所長。アフガニスタンをはじめとする中央アジアの遺跡の研究と保護に尽力した。シルクロード文庫現代表の安仲さんとは和光大学時代からの親交。隣り合う研究室での出会いが、この文庫の誕生につながった。
※14 貸出不可。コピー機はないため、調査研究に必要な場合は事務局に相談の上撮影可能。
入り口付近には自社出版本やイベントのちらしなどが掲示されている
イランを中心とした多文化理解を深めるための勉強会やイベントも不定期で開催。日本ではまだ情報が少ない中央アジア諸国への旅行相談も受け付けています。東中野で、シルクロードの生きた文化への扉を開いてみませんか。
The Japan Times インタビュー記事(2025年7月)/自社出版本『日いづる国から』の出版記念会+イラン映画「沼地の涙」上映会(2025年9月)
イラン文化センターとの共同企画で行われたイラン映画上映会(2025年7月)
ペシャワール会や九州大学の資料室との交流もあり、中村哲氏に関する資料も展示されている
窓辺に広がる中野の街並み。中野サンプラザも見える(写真提供:シルクロード文庫嶋岡さん)
空の向こうには富士山を望む(写真提供:シルクロード文庫嶋岡さん)
シルクロード文庫
所在地:東京都中野区東中野2-25-6 パオコンパウンド8F
アクセス:JR中央・総武線(各駅停車)・都営地下鉄大江戸線 東中野駅西口徒歩約2分
TEL:03-6676-5686
開館時間: 12:00~17:00
休館:不定休
メール:srlbunco@gmail.com
ホームページ:
https://note.com/silkroad_bunko(外部サイト)
PAO COMPOUND公式サイト:
http://paoco.jp/(外部サイト)
Instagram:
@silk_road1988(外部サイト)
※蔵書の貸し出しは行っておりません
※所用で席を外していることもあるので、訪問される場合は、電話やメールで確認していただくと確実です。
お問い合わせ
このページは区民部 文化振興・多文化共生推進課が担当しています。
