丸井のはじまり。中野マルイ Story。(前編)~中野の街と歩み、間もなく一世紀~【まるっと中野】
ページID:707318543
更新日:2026年4月17日
ナカノ観光レポーターの十六夜(いざよい)です。
今回は前編・後編に分けて、中野で創業した「丸井」の歴史と新開店をして 15 周年を迎える「中野マルイ」を紹介したいと思います。
中野駅のホームに降り立ち、ふと南口の方へ目をやると、そこにはいつも見慣れた「〇|〇|」の文字があります。夕暮れ時に店舗の明かりが灯るのを見て、「帰ってきたな」とホッと胸をなでおろす――。そんな経験を持つ中野区民は少なくないはずです。
かつて親に連れられて訪れた中野の子どもたちは、エレベーターに急ぎました。
屋上には小さな遊園地。乗り物に乗ってはしゃいだ記憶や、少し大きくなってから友人たちと「マルイボウル」でボーリングに興じた青春の思い出が蘇ります。
丸井は単なる商業施設を超えて、中野区民のアルバムの背景にそっと寄り添う、街の記憶そのものでした。1931 年の創業から間もなく 100 年。そして、現在の「中野マルイ」が産声を上げてから 15 年。中野の空を見守り続けてきたこの場所には、私たちが忘れかけていた温かな物語が、今も大切に息づいています。
1931 年、中野の小さな店から始まった「信用」
丸井のルーツは、1931 年(昭和 6 年)に創業者の青井忠治氏が、家具の月賦販売(分割払い)店「丸二商会」からのれん分けを受けて開店した店舗にあります。
創業の1号店は桃園通り沿いにありました。
当時は世界恐慌の余波で人々の生活が苦しかった時代。
高価な家具を現金で買うことは、庶民にとって夢のまた夢でした。
青井氏はここで、「信用はお客さまに与えるものではなく、共につくるもの」という画期的な考えを打ち出しました。
お客さまを信じ、分割払いで商品をお渡しする。それに応えてお客さまが誠実に支払いを続けることで、新たな信用が生まれる。
この「共創」の精神は、後に日本初のクレジットカード発行へと繋がり、日本の消費文化の革命となりました。中野の街で交わされた店主とお客さまの「信頼の約束」こそが、丸井の DNA なのです。
1960 年(昭和 35 年)「月賦」の呼称を「クレジット」に改称するとともに日本最初のクレジットカードを発行しました。
戦後の混乱――占拠された店舗と不屈の再起
中野通りが延伸され、中野駅がこれまでの場所から 100 メートルほど新宿寄りの場所に移ると、中野本店の店舗の規模を大きくするべきと判断し、1936 年(昭和 11 年)、現在の中野マルイの地に本店を移設し、新築することにしました。
1936年(昭和11年)丸井中野本店新築開店
新本店は三階建てで、それまでの店舗の5倍の広さ
しかし、その後の歩みは決して平坦ではありませんでした。
第二次世界大戦による戦火で一時営業中断を余儀なくされました。戦火が中野の街を襲った際、幸いにも丸井の建物は焼失を免れましたが、終戦直後に最大の危機が訪れます。
当時の混乱に乗じ、店舗がヤクザ者のような外国人のグループによって占拠されてしまったのです。自社の店舗でありながら自由に営業ができないという、創業以来の絶望的な状況。それでも青井氏は諦めませんでした。
「ここでお客さまとの絆を絶やすわけにはいかない」
粘り強く、時に命がけの交渉を続け、1947 年(昭和 22 年)、ついに店舗を奪還し、戦前の本店跡に丸井本店を再興しました。苦難を乗り越えて立ち上がる強さは、まさに中野の街の底力そのものでした。
1950年(昭和25年)月賦再開のチラシ
月賦からクレジットへ――ターゲットを変え、文化を創る
昭和 30 年代、日本が高度経済成長期に突入すると、丸井は自らのターゲットと商品を大胆に入れ替える変革に挑みます。

それまでの主力だった「家具」から、戦後の若者たちが憧れた「ファッション」や「電化製品」へと軸足を移したのです。
1975 年(昭和 50 年)に発行された「赤いカード」は、日本の消費文化に革命を起こしました。丸井は時代に合わせて進化を続けました。
1972年(昭和 47 年)のテレビ CF
1973年(昭和 48 年)に新しいロゴマークに変更
1975 年(昭和 50 年)赤いカードの店頭即時発行開始
当時の丸井のキーワードのひとつが「スクラップ&ビルド」です。成功に安住せず、時代の変化に合わせて自らを壊し、新しく作り直す。これは単に建物を建て替えることだけではありません。
時代のニーズに合わなくなった古いビジネスモデルや成功体験を潔く捨て去り(スクラップ)、新しい価値を構築する(ビルド)ということでした。
1972 年(昭和 47 年)中野本店(A 館・B 館)全館開館
当時の新聞広告(読売新聞)
丸井の歴史を語る上で、1980 年代に巻き起こった「DC ブランドブーム」も抜きにすることはできません。
デザイナーの個性が光る「デザイナーズ&キャラクターズ」ブランドが社会現象となったこの時代、それまで「我慢して貯金してから買う」ものだった夢を、「クレジットを活用して今すぐ手に入れ、使いながら支払う」というポジティブなライフスタイルへ。
お客さまのターゲットを「自分らしく生きたい若者」へと大きくシフトさせていきました。
中野マルイ
住所:東京都中野区中野3-34-28
アクセス:中野駅南口から徒歩2分
電話:03-3382-0101
お問い合わせ
このページは区民部 文化振興・多文化共生推進課が担当しています。
