【まるっと中野】中野区沼袋で出会う百の観音さま。「百観音明治寺」で100年の歴史を旅しよう。
ページID:962007611
更新日:2024年7月22日
こんにちは。ナカノ観光レポーターの「ぼんじり」です。中野で家族3人暮らし、1歳になる男の子を育てています。
今回ご紹介するのは、中野区沼袋にある「百観音明治寺」です。
西武新宿線「沼袋駅」北口から歩いて4分。住宅街を進み坂道を上がると表札が見えてきます。
誘われるように中に入ると、穏やかな表情の観音さまが出迎えてくれます。
境内はとても静かで、東京にいることを一瞬忘れてしまうほど。
ちょっと一休み・・・なちびナカノさん。すっかり和んでいる様子。
境内の一部は「百観音公園」として開放されていて、滑り台やジャングルジム、ブランコなどの遊具もあります。
境内の庭「観音霊場」に並ぶ180以上の観音さま。これだけの観音さまを前にすると、自然と身が引き締まる思いがします。
観音霊場では必ず看板のルールを守ってくださいね。無許可での写真撮影はできません。
5代目住職の草野 榮雅さんにお話を伺いました。
―なぜこんなにたくさんの観音さまがいらっしゃるのですか。
「明治寺を開いた榮照尼が、明治天皇の病気が治るよう願いを込めて、最初の観音さまを建立しました。明治維新の動乱で失われた命への感謝と哀悼の意も込められていて、その志に共感した人々からの寄進で観音さまが立ち並び、今の姿になりました」
それが明治寺の由来とのこと。
「明治寺の創立は大正元年で、お寺としては新しい方なのですが、実は明治神宮より古いんですよ」
―百観音とはなにか教えてください。
「西国三十三観音、坂東三十三観音、秩父三十四観音を合わせた百の観音さまのことをいいます。昔は壮大な旅なくして気軽に観音さまをお参り出来なかったため、せめてここでご縁を結べるようにと作られたのがこの観音霊場です。現地の砂を集めて埋めてあるので、その土地が踏みしめられています」
四季折々で観音霊場も表情が変わります。桜も紅葉もとても美しい!
―こんなに観音さまがいるお寺は他にもあるのでしょうか。
「百観音として石仏で祀られているのは、かなり珍しいと思います。また、路傍の石仏を集めたお寺はよくありますが、この百観音のように最初からここに建立するために作られた石仏というのは、大変珍しいです」
―観音さまはどのように観賞すればよいでしょうか。
「一通りご覧になって、『なんだか好きだなあ』と思える観音さまを見つけてみてください」
2024年のお正月には、その一年間お参りする観音さまを決めるくじ引きを行ったそう。観音さまがぐっと身近に感じられるイベントですね。
写経会や坐禅会には20代を含む幅広い年代の方が参加しているとのこと。坐禅は自然に呼吸を整えながら瞑想します。
毎年7月の最終日曜日には献灯会を開催。「好きな観音さまに灯明を供えるお祭りです。灯明の料金は子どもたちのための団体や活動に寄付しています」と草野さん。
さだまさしさんの曲にもなったこの「献灯会」。親交があった先代住職の追悼曲として作られました。
今は穏やかな時が流れるこのお寺ですが、太平洋戦争の痕跡があります。
公園の滑り台は、かつては立派な鐘楼でした。戦時中、金属不足により鐘を供出し、残された土台に滑り台をつけて遊具に。そのためか、傾斜が少し急なような。ちょっとスリリングな滑り台になっています。
本堂前の銀杏の木には、空襲で出来た穴。空襲により本堂が焼け落ちた時、かろうじて戦火を逃れた皮の部分が少しずつ成長し、このような姿になったとか。
住職の草野さんにわかりやすくお寺の歴史や観音さまのことを教えてもらい、とても勉強になりました!
「観音さまは三十三身といって、色んな姿で現れると言われています。時には自分の子供の姿かもしれませんし、近所のおばあちゃんの姿かもしれません。そうやって私たちを正しい方に導いてくれるのです」
そう教えてもらった帰り道、抱っこ紐の中の我が子が心なしか頼もしく感じられました。
100年以上の歴史を紡いできた「百観音明治寺」。沼袋に立ち寄った際は、ぜひ参拝してみてはいかがでしょうか。
百観音明治寺
所在地:中野区沼袋2-28-20
アクセス:西武新宿線「沼袋駅」より徒歩4分
電話:03-3386-3937
公式サイト:http://www.meijidera.com(外部サイト)
百観音公園の開園時間:6時から18時
お問い合わせ
このページは区民部 文化振興・多文化共生推進課が担当しています。