情報公開・個人情報保護審査会答申(第4号)

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更新日:2023年8月3日

答申第4号

平成29年1月18日

中野区長殿

中野区情報公開・個人情報保護審査会 

会長 佐藤信行

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第3項の規定に基づく諮問について(答申)

平成28年6月14日付け、28中経行第241号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

中野区区政情報の公開に関する条例に係る審査請求について(諮問)

1 審査会の結論

 平和の森公園再整備及び新体育館建設整備構想・整備基本計画策定支援業務委託関係文書について、整備構想報告書、公園基本計画報告書および新体育館基本計画報告書を非公開とするとした中野区長の決定は、個人情報に該当する箇所については妥当であるが、それ以外の不開示部分は、少なくとも現時点においては、全面開示すべきである。

2 審査請求および審査の経緯

(1)公文書の公開請求

 2016年4月1日、本件の審査請求人(○○○○さん、以下「申立人」という。)は、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)7条の規定に基づき、条例の実施機関である中野区長(以下適宜、「実施機関」または「区長」という。)に対して、平和の森公園再整備及び新体育館建設整備構想・整備基本計画策定支援業務委託(以下「平和の森公園支援業務委託」という。)の成果品である整備構想報告書、公園基本計画報告書および新体育館基本計画報告書(以下「本件対象公文書」という。)の公開請求を行った。

(2)実施機関の決定

 実施機関は、上記公開請求に対し、同年4月18日付けで、本件対象公文書を非公開とする決定(以下「本件非公開決定」という。)を行うとともに、申立人に通知した。

(3)審査請求

 申立人は、本件非公開決定を不服として、同年4月20日付けで、条例13条1項に基づき、非公開とされた本件対象公文書について、公開とされるべき情報であるとして、実施機関に対して審査請求を行った。

(4)当審査会への諮問および審査

 区長は、当審査会に対し、条例13条3項に基づき、同年6月14日付けで申立人の審査請求の審査を諮問した。当審査会の審査手続において実施機関から同年5月17日付けで弁明書が提出され、これに対し申立人は同年6月13日付けで反論書を提出した。

 その後、当審査会は同年10月17日に、実施機関からの事情聴取を行うとともに、同年11月16日に、申立人による口頭意見陳述を受けた。審査の過程において、当審査会は実施機関に本件対象公文書の文書の提出を求めた。

 なお、本件とは別に、申立人は、同年7月28日付けで、本件対象公文書の公開請求を行い、これに対して、実施機関は、同年8月10日に、一部公開決定を行った。

3 当事者の主張と理由

(1)申立人

 申立人は、2016年4月20日付けの審査請求書において、本件対象公文書は公開とされるべき情報であると主張している。その根拠として、「情報を公開することにより率直な意見交換が出来、意思決定の中立性が保たれる。」ことをあげている。

 その後、申立人は、同年11月16日付けの意見書(以下「意見書」という。)において、その主張の根拠として、おおむね次の2点をあげている。

ア 中野区自治基本条例3条には、「区民は、区の政策の企画立案、検討、実施、評価及び見直しの すべての過程に参加する権利を有する。」とあるのであるから、情報を公開し、区民の権利および利益を保護すべきである。

イ 新しい中野をつくる10か年計画(第3次)(2016年4月策定)では、平和の森公園拡張再整備事業費が55億円と記載されているが、情報公開がされていれば、区民との意見交換会等で有意義な議論ができたはずである。

(2)実施機関

 実施機関は、同年4月18日付けの本件非公開決定通知書では、決定の理由として、「請求情報は整備構想・基本計画の意思形成過程に関する情報であって、当該情報を公開することにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が損なわれるおそれがあるため」、条例8条1項3号に該当すると主張している。

 なお、同年8月10日に実施機関が行った一部公開決定においては、公開できない理由として、該当箇所に応じて次の3点をあげている。

ア 請求情報には整備等の経費に係る情報が含まれており、これらを契約前に公開することは、今後の設計委託や工事の適正な契約事務を著しく妨げるおそれがある。(条例8条1項3号)

イ 平和の森公園および新体育館建設予定地は東京都の所有する土地を含むことから、協議中の土地の利用計画を含む情報であり、特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがある。また、今後の協議に支障を生じるおそれがある。(条例8条1項3号)

ウ 個人情報保護のため。(条例8条1項1号)

4 審査会の判断

(1)整備等の経費に係る情報について

 条例は区政情報の公開の目的を「実施機関の保有する情報を公開することにより区が区政に関し区民に説明する責務を全うすること」であるとしている。整備等の経費に係る情報は、整備構想に係る公共工事の事業費の基礎をなし、公共工事について適切な事業費設定がなされていることを区民が検証し、又は実施機関が区民に対し説明責任を果たす上で、重要な情報である。従って、これを公開する必要性は高いといえる。

 他方で、条例は8条1項3号のイにおいて、「監査、検査、取締り、租税の賦課又は徴収、契約、交渉、協議、争訟、調査研究、人事管理その他の事務に係る情報であつて、事務の性質上、当該情報を公開することにより、区政の公正又は適正な執行を著しく妨げるおそれのあるもの」を不開示としている。

 本件について、実施機関は「契約に関する情報」に該当すると主張するが、本件対象公文書はあくまで平和の森公園支援業務委託の成果品である。つまり、整備等の経費に係る情報は受託業者が自ら入手可能な情報を元に積算したものであり、したがって、これを契約事務に直結する中野区の積算した経費、すなわち「契約に関する情報」と見ることはできない。

 また、「区政の公正又は適正な執行を著しく妨げるおそれのあるもの」に該当するかどうかは、上記の区政情報の公開の趣旨、及び本件対象公文書の性格に照らして、厳格に判断されるべきである。「著しく妨げるおそれ」は抽象的な可能性では足りず、法的保護に値する程度の蓋然性が要求されるが、本件対象公文書は契約事務に直結するものではないので、「区政の公正又は適正な執行を著しく妨げるおそれのあるもの」に該当するということはできない。

 以上のように、整備等の経費に係る情報の不開示部分については、条例8条1項3号のイに該当すると認められないため、全面開示すべきである。

(2)協議中の土地の利用計画を含む情報について

 条例は8条1項3号のアにおいて、「審議、検討、国又は他の地方公共団体等との協議その他の意思形成過程に関する情報であつて、当該情報を公開することにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が損なわれるおそれ、不当に区民等の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれのあるもの」を不開示としている。

 本件について、実施機関は、協議中の土地の利用計画を含む情報であり、「特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれのある情報」に該当すると主張する。本件対象公文書で実施機関が該当すると主張する箇所のうち、まず、整備構想報告書の28頁から31頁は、未開園部分への体育館建設の案を比較検討しているものであり、中野区が東京都と「現に協議中」の協議内容を記載した文書ではない。次に、新体育館基本計画報告書の24頁、29頁、41頁、43頁、44頁および46~49頁は、体育館の建築(構造)の案を比較検討した断面を示しているものであり、同様に、中野区が東京都と「現に協議中」の協議内容を記載した文書ではない。したがって、少なくとも現時点においては、条例8条1項3号アの「協議その他の意思形成過程に関する情報」ということはできない。

 以上のように、協議中の土地の利用計画を含む情報の不開示部分については、条例8条1項3号のアに該当すると認められないため、全面開示すべきである。

(3)個人情報について

 条例は8条1項1号において、「個人情報又は特定の個人を識別することはできないが、公開することで、個人の権利利益を害するおそれがあるもの」を不開示としている。

 本件について、実施機関は、整備構想報告書の区民説明会発言者名は、個人情報であると主張する。本件対象公文書で実施機関が主張する箇所は、個人の氏名を記載したものであり、特定個人を識別させるものであるから、個人情報であり、保護すべきものである。

 以上のように、区民説明会発言者名については、条例8条1項1号に該当すると認められるため、非公開としたことは妥当である。

以上により、当審査会は前記1のとおり結論する。

中野区情報公開・個人情報保護審査会 

委員 岸 本 有 巨

委員 熊 田 裕 之

委員 小 池 知 子

委員 幸 田 雅 治

委員 佐 藤 信 行(会長)

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