情報公開・個人情報保護審査会答申(第34号)
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更新日:2023年8月3日
答申第34号
令和2年8月12日
中 野 区 長 様
中野区情報公開・個人情報保護審査会
会長 佐藤 信行
中野区区政情報の公開に関する条例第13条第3項及び中野区個人情報
の保護に関する条例第33条第3項の規定に基づく諮問について(答申)
別表に記載のある中野区区政情報の公開に関する条例及び中野区個人情報の保護に関する条例に係る審査請求について(諮問)について、別紙のとおり答申します。
第1 審査会の結論
別表に記載のある審査請求は、棄却すべきものと認める。
第2 審査請求及び審査の経緯
1 区政情報の公開請求及び自己情報の開示請求
別表に記載の請求欄の日付で、審査請求人(○○ ○○さん、以下「審査請求人」という。)は、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「公開条例」という。)第7条、中野区個人情報の保護に関する条例(以下「保護条例」という。) 第22条、第23条及び第24条の規定に基づき、実施機関である中野区長(以下適宜、「実施機関」又は「区長」という。)に対して、別表の請求内容欄に記載がある旨の区政情報の公開請求、自己情報の開示、訂正および削除請求(以下「本件各請求」という。)を行った。
2 実施機関の決定
実施機関は、本件各請求のうち対象文書を保有していると判断したものについては、別表に記載した対象文書又は内容欄に記載の文書を特定した上で、決定日欄の日付で、決定内容、決定理由欄のとおり全部公開、一部公開及び開示の決定を行い、審査請求者に対してその旨を通知した。
本件各請求のうち対象文書を保有していないと判断したものについては、別表に記載した決定日欄の日付で、決定内容、決定理由欄のとおり不存在による非公開及び不開示の決定を行い、審査請求者に対してその旨を通知した。
本件各請求のうち対象文書が特定できないものについては、別表に記載した決定日欄の日付で、決定内容、決定理由欄のとおり却下の決定を行い、審査請求者に対してその旨を通知した。
本件各請求のうち、自己情報の訂正・削除を求められたものについては、別表に記載した決定日欄の日付で、別表の決定内容、決定理由欄のとおり拒否決定を行い、審査請求者に対してその旨を通知した。
3 審査請求
審査請求人は、本件各請求に対する決定を不服として、公開条例第13条第1項及び保護条例第33条第1項に基づき、別表に記載した審査請求日欄の日付で、実施機関に対して審査請求を行った。
4 当審査会への諮問
区長は、当審査会に対し、公開条例第13条第3項及び保護条例第33条第3項に基づき、別表に記載した諮問日欄の日付で、上記の審査請求を諮問した。
5 資料の提出等
当審査会は、実施機関から別表に記載した弁明書提出日欄の日付で、弁明書の提出を受け、審査請求人から別表に記載した反論書提出日欄の日付で、反論書の提出を受けた。また、審査請求人からは、追加資料の提出を受けた。
第3 実施機関及び審査請求人の主張と理由
1 実施機関の主張
実施機関の主張は、おおむね別表に記載の弁明内容欄のとおりである。
2 審査請求人の主張
審査請求人の主張は、おおむね別表に記載の審査請求内容欄及び反論内容欄のとおりである。
第4 審査会の判断
1 論点
(1)公開及び開示決定処分に係る案件
別表1に記載の審査請求を見聞したところ、これらは、実施機関において審査請求人に対して全部を公開及び開示決定している案件である。
この案件の論点は、次のとおりである。
ア 請求された内容から、実施機関が特定した文書が正しいか。
イ 公開した文書以外に他の該当文書が存在していると判断できる理由があるか。
(2)文書不存在を理由とする非公開及び不開示決定処分に係る案件
別表2に記載の審査請求を見聞したところ、これらは、実施機関において審査請求人に対して文書の不存在を理由とする非公開、一部公開及び不開示決定をしている案件である。
この案件の論点は、該当文書が存在していると判断できる理由があるかという点である。
(3)不開示決定処分に係る案件
別表3に記載の審査請求を見聞きしたところ、印影部分を不開示とした決定をしている案件である。なお、審査請求人は、この案件における印影部分の不開示については不服を述べていない。
この案件の論点は、次のとおりである。
ア 請求された内容から、実施機関が特定した文書が正しいか。
イ 公開した文書以外に他の該当文書が存在していると判断できる特段の理由があるか。
(4)却下決定処分に係る案件
別表4に記載の審査請求を見聞きしたところ、審査請求人に対して区政情報公開請求の却下を決定している案件である。
この案件の論点は、次のとおりである。
ア 請求情報の内容から対象文書を特定できるか。
イ 特定できない場合の処理として却下が適正であったか。
(5)訂正及び削除拒否決定処分に係る案件
別表5に記載の審査請求を見聞きしたところ、これらは、審査請求人が求めた保護条例第23条及び第24条に基づく訂正及び削除請求に対して、それぞれ拒否決定処分をしている案件である。
この案件の論点は、次のとおりである。
ア 訂正すべき客観的な誤りや正確ではない情報が存在するか(第23条)。
イ 保護条例の規定に違反して収集しているか(第24条)。
2 当審査会の判断
(1)公開及び開示決定処分に係る案件
別表1に記載の審査請求は、区政情報公開請求及び自己情報開示請求に対する全部公開及び開示決定の取消しを求めるものであるから、実施機関において特定した文書が誤っている、又は他にも開示される文書があるときに請求が認容されるべきものであるが、そのいずれについてもこれを認めるべき事情は認められない。
そもそも、これらの審査請求は、審査請求人と実施機関の主張を踏まえると、実質的には公開の可否に対する不服ではなく、行政活動がどのように行われるかに対する不服と思量され、これについて本件審査請求を手段として争うことは不適切であり認容すべき理由はない。
(2)一部公開、非公開及び不開示決定処分の不存在に係る案件
別表2に記載の審査請求は、審査請求人が公開を求める区政情報が不存在であるとの実施機関の判断が問題となるところ、審査請求人が公開を求める区政情報が存在していると判断すべき根拠を見いだすことはできない。
そもそも、これらの審査請求は、審査請求人と実施機関の主張を踏まえると、公開の可否を争う不服ではなく、行政活動がどのように行われるかに対する不服と思量され、これについて本件審査請求を手段として争うことは不適切であり認容すべき理由はない。
(3)不開示決定処分に係る案件
別表3に記載の審査請求は、自己情報開示請求に対する一部開示決定の取消しを求めるものであるから、不開示部分をも公開すべきである、又は実施機関において特定した文書が誤っている、若しくは他にも開示される文書があるときに請求が認容されるべきものであるが、そのいずれについてもこれを認めるべき事情は認められない。
そもそも、これらの審査請求は、審査請求人と実施機関の主張を踏まえると、実質的には公開の可否に対する不服ではなく、行政活動がどのように行われるかに対する不服と思量され、これについて本件審査請求を手段として争うことは不適切であり認容すべき理由はない。
(4)却下決定処分に係る案件
別表4に記載の審査請求は、審査請求人の審査請求段階における主張を踏まえても、なお、どの文書の公開を請求しているかが特定できるものではなく、請求要件の不備にあたるといえるとした実施機関の判断を覆すべき理由は見出せない。
(5)訂正・削除拒否決定処分に係る案件
別表5に記載の審査請求は、中野区福祉サービスの適用に係る苦情の処理に関する条例(以下「福祉サービス苦情処理条例」という。)に基づき作成された審査結果のお知らせ及び審査結果のお知らせに対する区民の声の回答(以下「調査書」という。)に記載の事項について、保護条例第23条及び第24条に基づき、訂正及び削除を求めているものである。もとより、福祉サービス苦情処理条例に基づき作成された文書であっても、そこに含まれる自己情報については、保護条例に基づく訂正及び削除の対象となることに疑いはない。
そこでまず、訂正について検討すると、本件調査書は、苦情調整委員の判断を示すために作成されたもの及びそれに伴う回答であって、審査請求人に係る客観的事実の部分と同人に係る苦情調整委員の判断が含まれている部分があり、後者は、前者に誤りが含まれているために、後者も誤っている場合を除き、原則として訂正の対象となるものではない。
また、削除について検討すると、保護条例は、自己情報の収集段階における条例違反が認められる場合に限って、削除請求を認めている。
以上を踏まえて、審査請求人の主張を検討するに、調査書に含まれる審査請求人の自己情報に係る客観的事実に関する誤りや、条例に違反して自己情報が収集されたとの具体的な指摘がなく、よって、個人情報を訂正又は削除すべきと判断する根拠は認められない。
そもそも、本件審査請求は、苦情調整委員の判断を含む調査書の結論又は内容に係る不服を述べるものと解されるが、上に述べたように、客観的な事実についての誤りに起因するような場合を除き、福祉サービス苦情処理条例に基づく調査書の内容を保護条例上の訂正及び削除請求を用いて争うこと自体が不適切があり、よって、本件審査請求を認容すべき理由は認められない。
第5 結論
以上により、上記第1記載のとおり判断する。
中野区情報公開・個人情報保護審査会
委員 岸 本 有 巨
委員 熊 田 裕 之
委員 小 池 知 子
委員 幸 田 雅 治
委員 佐 藤 信 行(会長)
別表は省略
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