情報公開・個人情報保護審査会答申(第51号)

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更新日:2023年8月3日

答申第51号 
令和5年1月31日 

中 野 区 長 様

中野区情報公開・個人情報保護審査会 
会長 佐藤 信行

 
中野区個人情報の保護に関する条例第33条第3項の規定に基づく諮問について(答申)

 

 下記に掲げる中野区個人情報の保護に関する条例に係る審査請求について(諮問)について、別紙のとおり答申します。

 記

・ 令和3年9月10日付け3中総総第1820号(令和2年8月20日付け2中健援第2567号の処分)

第1 審査会の結論

 本件審査請求の一部について却下し、残余の部分について棄却すべきである。

第2 審査請求及び審査の経緯

1 自己情報開示請求
 審査請求人は、令和2年8月5日付けで、請求に係る個人情報の内容欄に「生業扶助(技能修得費)の申請4回に扱う私の病歴(通院状況)のもの全部求める」と記載し、請求の趣旨に「却下通知書上「病歴」(通院状況)の判断示している。※2中健援第1677号(令和2年7/17件)等4件と記載して、中野区長(以下適宜、「実施機関」又は「区長」という。)に対して自己情報開示請求を行った。

2 実施機関の決定
 実施機関は、令和2年8月20日付けで「生業扶助(技能修得費)の申請4回に扱う私の病歴のもの全部」について、「令和元年10月18日ケース診断会議記録」を開示対象文書として開示決定を行い、審査請求人に通知した。

3 審査請求
 審査請求人は、令和2年9月18日付けで、上記自己情報開示決定に対して、審査請求を行った。審査請求の趣旨及び理由の欄には「趣旨:処分の取り消し求める。」「理由:社援第2393号。嘱託医不在や所長(→部長:区長下)の欠席は、上前記の通知上相反する。又、診療報酬明細書、主治医意見書、等の医療扶助対しての扱ったもの求める。」との記載がある。

4 弁明書及び反論書の提出
 実施機関は、令和3年1月5日付けで「「本件審査請求を棄却する。」との裁決を求める。」とする弁明書を提出した。これに対し、審査請求人は、令和3年6月25日付けで「社援保発第0330001号-2稼働能力。社援第2393号。(法律基準)」との反論を記載した反論書を提出した。

5 当審査会への諮問
 区長は、令和3年9月10日付けで条例第33条第3項に基づき、当審査会に対し、本件審査請求に係る諮問を行った。

第3 実施機関及び審査請求人の主張の整理

1 実施機関の主張
 実施機関は、審査請求人が求める「生業扶助(技能修得費)の申請4回に扱う私の病歴のもの全部」に対して、その全部を開示したと主張している。

2 審査請求人の主張
 審査請求の理由として「理由:社援第2393号。嘱託医不在や所長(→部長:区長下)の欠席は、上前記の通知上相反する。又、診療報酬明細書、主治医意見書、等の医療扶助対しての扱ったもの求める。」との記載がある。

第4 審査会の判断

1 論点
 本件審査請求に係る自己情報開示請求において、審査請求人は「生業扶助(技能修得費)の申請4回に扱う私の病歴のもの全部求める」と記載しているところ、実施機関は、審査請求人に係るケース診断会議記録を開示した。これに対して審査請求人は、審査請求書の「審査請求の趣旨及び理由」の欄に、「理由:社援第2393号。嘱託医不在や所長(→部長:区長下)の欠席は、上前記の通知上相反する。又、診療報酬明細書、主治医意見書、等の医療扶助対しての扱ったもの求める。」として、処分の取り消しを求めている。
 その趣旨は、開示された文書に係る会議の運営についての不当又は違法を述べる(社援第2393号。嘱託医不在や所長(→部長:区長下)の欠席は、上前記の通知上相反する。)と共に、開示された情報に不足がある(又、診療報酬明細書、主治医意見書、等の医療扶助対しての扱ったもの求める。)と主張しているものと解される。
 そこで、(1)開示された文書に係る会議の運営についての不当又は違法、(2)開示された情報の不足、という2つの点について当審査会の判断をすべきこととなる。

2 当審査会の判断
(1)開示された文書に係る会議の運営についての不当又は違法について
 この点について、審査請求人は、「社援第2393号。嘱託医不在や所長(→部長:区長下)の欠席は、上前記の通知上相反する。」と主張する。しかし、この主張は、自己情報開示に係るものではなく、実施機関における生活保護法執行上の法令解釈に係るものであって、条例に基づく自己情報開示に係る不服審査という当審査会の職権に属さないものである。よってこの主張に係る部分については、当審査会は、実体的判断をすることなく審査請求を却下するものとする。

(2)開示された情報の不足について
 当審査会の職権による調査によれば、審査請求人は、生業扶助をめぐって実施機関との間で継続的に交渉を行っており、その過程で、審査請求人において「生業扶助(技能修得費)の申請4回に扱う私の病歴のもの全部」に含まれると考えるところの「診療報酬明細書及び主治医意見書」に係る情報が中野区に保有された可能性が認められる。ただし、それが「生業扶助(技能修得費)の申請4回に扱う私の病歴」を構成するものであったかについては、別途検討する必要がある。
 そこで、当審査会は、実施機関からの聴き取り調査等を行ったところ、実施機関においては「生業扶助(技能修得費)の申請4回」に係る決定を行うに際しては、主治医意見書は必要としないとの法解釈に基づき、これを取得しておらず、診療報酬請求明細書についても同様であるとの主張をしているところ、当審査会において、実施機関がこれら情報を「生業扶助(技能修得費)の申請4回」に係る決定のための資料として、取得し保有しているという事実を認めるべき根拠はない。なお、この実施機関は、この決定のために、主治医意見書(及び診療報酬明細書)を取得すべきであったかについては、生活保護法執行上の法令解釈に係る問題であり、条例に基づく自己情報開示に係る不服審査という当審査会の職権に属しないものであるから、判断しない。
 他方、実施機関は、本件で問題となっている申請4回とは別の機会において主治医意見書を取得したことがあることを認めているが、それは、「生業扶助(技能修得費)の申請4回に扱う私の病歴のもの全部」には含まれるものではないとしている。そこで、当審査会としては、そのような実施機関の判断が合理性を欠くものであって、結果として、当該質問等に係る情報を開示対象に含めなかったことが不当又は違法となるかを判断するべきこととなる。
 そもそも、自己情報開示制度の本質に鑑みれば、本人が求める区が保有する本人に係る情報を広く開示すべきことは当然である。しかしながら、この点を考慮したとしても、「生業扶助(技能修得費)の申請4回に扱う私の病歴のもの全部」に、別の機会に取得した主治医意見書が含まれないとする実施機関の判断について、それが実体法上不当又は違法であるとすべき根拠を見いだすことはできない。よって、この点については、審査請求を棄却するものとする。

第5 結論

 以上のことから、上記第1記載のとおり判断する。
 なお、本答申は、当然のことながら、審査請求人において、実施機関が保有する審査請求人に係る主治医意見書及び診療報酬明細書について、「生業扶助(技能修得費)の申請4回に扱う私の病歴のもの全部」とは別に開示を求めることを否定するものではない点付言する。

 中野区情報公開・個人情報保護審査会
 委員 岩 隈 道 洋
 委員 岸 本 有 巨
 委員 小 池 知 子
 委員 神 山 静 香
 委員 佐 藤 信 行(会長)

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