情報公開・個人情報保護審査会答申(第55号)
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更新日:2024年11月1日
答申第55号
令和5年8月9日
中 野 区 長 様
中野区情報公開・個人情報保護審査会
会長 佐藤 信行
中野区区政情報の公開に関する条例第13条第3項の規定に基づく諮問について(答申)
下記に掲げる中野区区政情報の公開に関する条例に係る審査請求について(諮問)について、別紙のとおり答申します。
記
・ 令和4年5月24日付け4中総総第324号
第1 審査会の結論
本件審査請求は、棄却すべきである。
第2 審査請求及び審査の経緯
1 区政情報公開請求
審査請求人は、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、令和3年10月4日付けで実施機関である中野区長(以下適宜、「区長」又は「実施機関」という。)に対し、区政情報の公開を請求した(以下「本件公開請求」という。)。
請求情報の内容は、「中野区配偶者暴力及びストーカー行為等の被害者の支援に関する住民基本台帳事務取扱要綱」第6条の規定により決定された根拠となる書面である。
2 実施機関の決定
実施機関は、本請求に対し、個人情報が含まれるとして条例第8条第1項第1号を理由に非公開決定をし、条例第10条第1項の規定により、令和3年10月19日付けで、請求人に対して区政情報非公開決定通知書を送付した。
3 審査請求
審査請求人は、令和3年12月28日、実施機関に対し、当該非公開決定処分の取消しの裁決を求める審査請求を行った(以下「本件審査請求」という。)。
本件審査請求の理由は、以下のとおりである。
審査請求人が本件とは別に請求した、審査請求人の妻及び子の戸籍の附票の写しの交付が、中野区の「住民基本台帳事務における支援措置(現住所秘匿)」対応のために受けられなかったことから、「中野区配偶者暴力及びストーカー行為等の被害者の支援に関する住民基本台帳事務取扱要綱第6条」による当該支援措置の根拠となった書面の公開を求める。
4 弁明書及び反論書の提出
実施機関は、令和4年2月9日付けで本件審査請求の棄却を求める弁明書を提出した。これに対し、審査請求人は、令和4年3月29日付けで反論書を提出した。
5 当審査会への諮問
区長は、令和4年5月24日付けで条例第13条第3項に基づき、本件審査請求に係る審査を諮問した。
6 意見の陳述
当審査会は、中野区情報公開・個人情報保護審査会条例第9条第1項に基づき、実施機関から令和4年12月14日に意見聴取を行い、また、審査請求人の代理人も同日にそれぞれ当審査会において口頭意見陳述を行った。
第3 審査請求人及び実施機関の主張の整理
1 審査請求人の主張の要旨
審査請求人が本件とは別に請求した、審査請求人の妻及び子の戸籍の附票の写しの交付が、中野区の「住民基本台帳事務における支援措置(現住所秘匿)」対応のために受けられなかったことから、審査請求人は、審査請求人に関する虚偽の内容や名誉毀損を含む可能性のある「中野区配偶者暴力及びストーカー行為等の被害者の支援に関する住民基本台帳事務取扱要綱第6条」による当該支援措置の根拠となった書面の公開を求めている。
2 実施機関の主張の要旨
実施機関は、対象文書に個人情報が含まれていることから、本件審査請求の棄却を求めている。
第4 審査会の判断の理由
1 本件請求について
審査請求人が本件とは別に請求した、審査請求人の妻及び子の戸籍の附票の写しの交付が、中野区の「住民基本台帳事務における支援措置(現住所秘匿)」対応のために受けられなかったことから、「中野区配偶者暴力及びストーカー行為等の被害者の支援に関する住民基本台帳事務取扱要綱第6条」による当該支援措置の根拠となった書面の公開を求めたものである。
これに対し、実施機関は、中野区区政情報の公開に関する条例(以下、単に条例とする。)第8条第1項第1号の規定により対象の書類に個人情報が含まれることを理由として、当該書類につき非公開決定を行った。
2 本件処分の妥当性について
(1)原則
自己情報開示請求に対しては、当該自己情報開示請求に係る保有個人情報の存否を明らかにした上で、保有個人情報が存在している場合にあっては開示又は不開示を回答し、存在しない場合にあっては存在しない旨を回答することが原則である。
(2)本件請求情報の非公開決定の当否について
条例第8条第1項第1号では、「個人情報又は特定の個人を識別することはできないが、公開することで、個人の権利利益を害するおそれがあるもの」を原則非公開としつつ、同号ただし書に列挙される各項目のいずれかに該当する情報については、公開しなければならない旨規定している。
実施機関は、本件請求情報につき、上記条項に基づき、審査請求人以外の個人情報が含まれることを根拠として本件非公開決定処分を行ったため、以下、その妥当性について検討する。
実施機関は、本件請求の趣旨と実質的な意義について、申請請求人の妻からの相談に基づき、妻が市区町村へ提出する支援措置申出書に実施機関が意見を記載した事実があるという仮定の下で、当該支援措置申出書における審査請求人に係る保有個人情報の開示を求めたものと捉えている。
当審査会が本件請求を踏まえ、当該支援措置申出書を見分したところ、当該審査請求人は妻の転居先を確認すべく実施機関に対して住民票の交付を請求したが拒否されていること、支援措置を受けていることを理由に実施機関が審査請求人に対して戸籍の附票の交付を拒否していること、審査請求人は妻が当該支援措置に係る申出書において審査請求人自身に関する虚偽の意見を記載した可能性があると考えていることが確認できることから、実施機関が、本件請求にいう「当該決定の根拠となった書面」を支援措置申出書に係る意見とし、当該支援措置申出書の申出者を妻に限定した上で、本件請求情報を特定したことは妥当である。
その上で、本件請求情報を公開すると、妻がいかなる内容について、いずれの機関に対して行った相談に基づき、実施機関が支援措置申出書に意見を記載したか否かが明らかとなる。このことは、一般的に他者に自身の生活環境や家族関係に関して相談をするかどうかや、相談をする場合にどの機関を相談先に選ぶかは、その者の自由な選択に委ねられており、その者の個人に関する情報として保護される必要があるから、当該支援措置申出書に記載されている事実は、条例第8条第1項第1号に規定する「個人情報」に該当すると認められる。
したがって、本件請求情報の非公開決定を行った、本件処分は妥当である。
(3)審査請求人のその余の主張
審査請求人は、実施機関が審査請求人を、配偶者からの暴力その他の不法行為等の加害者であると主張しているのか否か明らかにすることを欲し、本件審査請求を申し立てているが、審査請求人が配偶者からの暴力等の加害者であるか否かを問わず、妻らによる相談に関する情報は、保護される必要がある。
また、当審査会は条例に基づく公開請求に係る公開決定等の妥当性について審議する機関であるから、審査請求人の求めのうち、その余の主張について回答を述べる立場になく、また、その権限を有しないものである。
第5 結論
以上のことから、上記第1記載のとおり判断する。
中野区情報公開・個人情報保護審査会
委員 岩 隈 道 洋
委員 岸 本 有 巨
委員 小 池 知 子
委員 神 山 静 香
委員 佐 藤 信 行(会長)
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