情報公開・個人情報保護審査会答申(第31号)
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更新日:2023年8月3日
答申第31号
令和2年3月27日
中 野 区 長 様
中野区情報公開・個人情報保護審査会
会長 佐藤 信行
中野区区政情報の公開に関する条例第13条第3項の規定に基づく諮問について(答申)
下記に掲げる中野区区政情報の公開に関する条例に係る審査請求について(諮問)について、別紙のとおり答申します。
記
1 平成31年3月19日付け30中経行第1348号(「1号議案」という。)
2 平成31年3月19日付け30中経行第1353号(「2号議案」という。)
第1 審査会の結論
1 1号事案について
生活援護分野担当者の窓口対応記録に関する区政情報の公開請求について、「窓口対応記録(人事分野部分)、具体的には、下記の日時の窓口対応記録を公開すべき区政情報と特定し、これを全部公開したことにつき、審査請求人が行った審査請求を許容すべき理由は認められないから、これを棄却すべきである。
記
平成29年12月 7日(木曜日) 9時00分~ 9時30分
平成30年 4月23日(月曜日) 10時10分~10時40分
平成30年12日18日(火曜日) 10時30分~12時15分
2 2号事案について
生活援護分野担当者の窓口対応記録に関する区政情報の公開請求について、審査請求人が公開を求める区政情報を「中野区役所6階9番〇〇係長の窓口対応記録「生活援護分野担当〇〇係長(査察指導員)」と特定し、この区政情報が不存在であることを理由とする非公開決定につき、審査請求人が行った審査請求を認容すべき理由は認められないから棄却すべきである。
第2 審査請求及び審査の経緯
1 区政情報の公開請求
平成30年12月20日付けで、本件の審査請求人(〇〇〇〇さん、以下「審査請求人」という。)は、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関である中野区長(以下適宜、「実施機関」又は「区長」という。)に対して、「中野区役所庁内4階2・3番統合の〇〇係長・〇〇係長、〇〇主査・〇〇主任・〇〇主任、5階6番〇〇係長、6階9番〇〇係長、以上の職員らの窓口対応記録「生活援護分野担当〇〇係長(査察指導員)」の件について求める」との区政情報公開請求を行った(以上を総称して「本件区政情報」という。)。
2 実施機関の決定
(1)1号事案
実施機関は、平成31年1月4日付けで、上記1の公開請求に対し、審査請求人が公開を求める窓口対応記録のうち、人事分野部分(4階2・3番統合の〇〇係長・〇〇係長、〇〇主査・〇〇主任・〇〇主任の対応記録)について、これを平成29年12月7日、平成30年4月23日、平成30年12月18日分と特定し、その全部を全部公開とする決定(以下「本件公開決定」という。)を行うとともに、これを審査請求人に通知した。
(2)2号事案
また、実施機関は、平成31年1月4日付けで、上記1の公開請求に対し、審査請求人が公開を求める窓口対応記録のうち、中野区役所6階9番〇〇係長の窓口対応記録と特定して、その区政情報が不存在である旨の決定(以下「本件公開決定」という。)を行うとともに、これを審査請求人に通知した。
3 審査請求
審査請求人は、本件公開決定を不服として、条例第13条第1項に基づき、1号事案及び2号事案いずれについても、平成31年1月10日付けで、実施機関に対して審査請求を行った。
4 当審査会への諮問
区長は、当審査会に対し、条例第13条第3項に基づき、同年3月19日付けで上記審査請求の審査の諮問をした。
5 資料の提出
当審査会は、区長から2件の諮問に際して、実施機関から平成31年2月12日付けで弁明書及び審査請求人から同年3月12日付けで反論書の提出を受けた。
第3 実施機関及び審査請求人の主張の整理
1 実施機関の主張
実施機関は、弁明書において次のように主張している。
(1)1号事案
実施機関の主張は、審査請求人が提出した区政情報公開請求書から、審査請求人が公開を求める区政情報を、窓口対応記録(人事分野部分)と特定し、これに条例第8条第1項各号に規定する非公開情報が含まれていないことから、その全部を公開したとする。
(2)2号事案
実施機関の主張は、審査請求人が提出した区政情報公開請求書から、審査請求人が公開を求める区政情報を、中野区役所6階9番砂原係長の窓口対応記録と特定し、これが存在しないとする。
2 審査請求人の主張
1号事案及び2号事案いずれについても、審査請求人は、本件公開決定に基づき公開された情報以外に、本来、審査請求人の窓口相談記録を作成すべきであったにもかかわらず、これが存在しないとの実施機関の決定を踏まえ、窓口相談を担当した職員の個人的なメモなどの備忘録等の公開を求めている。また、審査請求書等の記載からは判別しがたい部分があるも、公開された相談記録に記載された窓口相談以外にも相談がなされたとの主張がうかがわれることから、公開された窓口相談記録以外にも相談対応記録があり、その公開も求めていると考える(1号事案については、平成31年1月10日付け審査請求書及び同年3月12日付け反論書、2号事案については、平成31年1月10日付け審査請求書及び同年3月12日付け反論書)。
いずれにしても、審査請求人の主張は、本件公開決定に基づき公開された区政情報以外に公開すべき区政情報が存在するというものである。
第4 当審査会の判断
まず、条例において、公開の対象となる区政情報は、「実施機関の職員が職務上作成し、又は入手した情報で、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、文書、図画、写真、フィルム、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)その他の記録媒体により保管しているものをいう。」とされている。職員の個人的なメモなどの備忘録は、相談記録の作成を目的とした個人的な検討段階にある資料であって、相談記録作成後、廃棄される性質のものであるから、職務上、作成及び保管される区政情報に該当しない。
次に、窓口相談記録は、区職員が相談者の発言内容及び対応、つまり外部とのやりとりを記載するものであり、外部の者が知り得ない実施機関内部の判断などの区政情報と異なり、相談者自身が、その発言内容及び区職員の対応を認識しているものであるから、その性質上、実施機関としては、存在する区政情報をあえて不存在とする動機に乏しい。加えて、実施機関が特定した相談記録が存在する日程以外に、審査請求人が窓口相談をした具体的な日程の主張はなく、また、公開された区政情報から、それ以外の日程で窓口相談がなされたことをうかがわせる資料は存在しない。
これらの事情から、1号事案及び2号事案いずれについても、実施機関が公開した区政情報の他、審査請求人が求める区政情報を保管していることを合理的に疑わせる事情は認められず、実施機関は、審査請求人の情報公開請求に対し、審査請求人が公開を求める窓口対応記録の全部を公開したと判断する。
ところで、実施機関は、窓口対応者のうち、1号事案について、人事分野に関わる〇〇係長・〇〇係長、〇〇主査・〇〇主任・〇〇主任に関する本件区政情報、2号事案において、健康福祉推進分野に関わる〇〇係長に関する本件区政情報を、それぞれ開示し、その他の相談担当者についても、当該担当者の所属する部署において区政情報の公開請求に対する対応がなされているところ、審査請求人の区政情報開示請求に対し、実施機関が個別に担当する分野ごとに、その保有する区政情報に限定して決定をしたことに問題はない。
なお、審査請求人による本件区政情報の公開請求は、審査請求人の区に対する相談記録を求めるものであり、その公開対象となる区政情報は、中野区個人情報の保護に関する条例に定める個人情報(中野区個人情報の保護に関する条例第2条第2号、同条例を、以下「個人情報保護条例」という。)に過ぎない。一般的に、区政情報の開示請求は行政監視を前提とする情報収集を目的とするものであるから、本件審査請求において審査請求人が公開を求めた情報に関し、審査請求人は、区政情報の公開請求ではなく、個人情報保護条例に基づく自己情報開示請求として相談記録の開示を求め、開示された相談記録上、自己の発言内容などの個人情報に誤りがあれば、これを訂正あるいは削除する請求(個人情報保護条例第23条及び同第24条)をすべきであったといえる。
第5 結論
以上により、上記第1記載のとおり、判断する。
中野区情報公開・個人情報保護審査会
委員 岸 本 有 巨
委員 熊 田 裕 之
委員 小 池 知 子
委員 幸 田 雅 治
委員 佐 藤 信 行(会長)
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