情報公開・個人情報保護審査会答申(第53号)

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更新日:2023年8月3日

答申第53号 
令和5年1月31日 

中 野 区 長 様

中野区情報公開・個人情報保護審査会 
会長 佐藤 信行

 
中野区区政情報の公開に関する条例第13条第3項の規定に基づく諮問について(答申)

 

 下記に掲げる中野区区政情報の公開に関する条例に係る審査請求について(諮問)について、別紙のとおり答申します。

 記

・ 令和4年7月5日付け4中総総第1162号

第1 審査会の結論

 中野区長が非公開とした部分の内、個人の氏名などの個人情報並びに法人の印影を除き、公開すべきである。

第2 審査請求及び審査の経緯

1 区政情報の開示請求
 審査請求人は、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関である中野区長(以下適宜「区長」又は「実施機関」という。)に対して、令和3年12月10日付けで区政情報公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
 請求情報の内容は、「2021/2/16に中野区立桜山公園で発生した多目的トイレ設置中の事故(以下「本件事故」という。)に関連して、中野区が庁内で作成し、又は、業者に提出し若しくは業者から取得した文書。」である。

2 実施機関の決定
 実施機関は、本件請求につき、事業者の個人情報、事業者の印影、犯罪捜査に関する情報について、条例第8条第1項第1号、同2号及び同4号を理由に非公開決定をし、その他を条例第8条第2項の規定により、令和4年2月7日付けで、請求人に対して区政情報一部公開決定通知書を送付した。

3 審査請求
 審査請求人は、令和4年2月22日付けで、区長に対し、犯罪捜査に関する情報として非公開決定とした部分(以下「本件請求情報」という。)の開示を求める審査請求を行った(以下「本件審査請求」という。)。

4 弁明書の提出
 実施機関は、令和4年3月30日付けで本件審査請求の棄却を求める弁明書を提出した。

5 当審査会への諮問
 区長は、令和4年7月5日付けで条例第13条第3項に基づき、当審査会に対し、本件審査請求に係る審査を諮問した。

第3 審査請求人及び実施機関の主張の整理

1 審査請求人の主張の要旨
 審査請求書の記載によれば、審査請求人は、非公開とされた本件請求情報は、犯罪の予防等公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれのある情報(条例第8条第1項第4号)に該当しないと主張し、その理由として、死亡事故はすでに発生しており、再発を予防すべきは当然で、情報を隠蔽することがむしろ犯罪の予防等公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす行為にあたるとする。

2 実施機関の主張の要旨
 実施機関の主張の要旨は、本件事故の発生時の工事担当事業者(以下「本件工事事業者」という。)の令和4年1月17日付け区政情報公開に関する意見書及び警視庁の令和4年1月20日付けの区政情報公開に関する意見書を踏まえ、「事故報告書」及び「桜山公園事故発生原因と再発防止対策についての報告書」等(以下「事故報告書等」という。)のうち、本件請求情報は、これを公開することにより犯罪の予防等公共の安全と秩序に支障を及ぼすおそれのある情報(条例第8条第1項第4号)に該当するとした。

第4 当審査会の判断

 まず、本件請求情報が記載された事故報告書等は、捜査機関の要請により、刑事処分の判断あるいは刑事手続に関する証拠とすることを前提に作成されたものではなく、また、捜査機関に押収された物でもないから、被疑事件又は被告事件に関して作成あるいは取得された書類に該当せず、刑事訴訟法第53条の2により公開することができない情報には該当しない。
 そこで、本件の争点は、本件請求情報が「犯罪の予防等公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれのある情報」(条例第8条第1項第4号)に含まれるか否かとなる。
 ここで「犯罪の予防等公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれのある情報」は、公開することにより、犯罪を誘発したり、容易にしたりするおそれがある情報については、公共の安全と秩序を維持するため、公開しない情報とされている。
 もっとも、情報公開制度の趣旨は、区政に関する区民の知る権利を保障し、区民と中野区との間で区政情報を共有することで、住民自治と開かれた区政運営を推進することにある。そのため、区政情報は、原則として一般に公開されるべきであり、公開しないことができる情報はできるだけ限定すべきである。
 本件請求情報には、本件事故に至った経緯や原因に関して、本件工事事業者など、本件工事に関与した法人や従業員等の個人の認識が記載されており、本件事故に関し、当該法人ないし個人の刑事処分の判断あるいは刑事手続における証拠となり得ることは否定できない。
 しかしながら、事故報告書等は、犯罪捜査等を目的として実施機関に提出されたものではなく、本件工事の委託元である実施機関が、本件事故の原因を正確に把握し、今後の工事はもとより、他の委託事業で実施されている工事において、同様の事故の発生を予防することを目的として、本件工事に関与した事業者に提出を求めたものである。そして、本件事故に対して想定される刑事処分は業務上過失致死罪などのいわゆる過失犯であり、その罪質上、これらの情報を公開したことにより、広く一般に犯罪を誘発あるいは容易化する関係にはなく、本件請求情報も、これを公開したことにより、犯罪を誘発するなど、公共の安全や秩序の維持に支障が生じるとはいいがたい。
 むしろ、本件事故の原因は、当該公園を利用することになる区民の重大な関心事であるとともに、公園等の整備工事に従事する者の安全確保、公園一般の安全に対する区民の信頼性確保の観点から、本件請求情報を公表すべき必要性は高い。
 もっとも、現在も捜査継続中であることを踏まえると、本件請求情報の公開にあたっては、情報公開により、本件事故に関わった従業員が特定され、個別に誹謗中傷などを受けることを避けるため、本件請求情報に含まれる個人情報は、公開すべきではない情報(条例第8条第1項第1号)とすべきである。また、法人の印影についても、法人に関する情報で、当該情報を公開することにより、事業上明らかに不利益を与えると認められ、公開すべきではない情報(条例第8条第1項第2号)とすべきである。
 よって、本件請求情報は「犯罪の予防等公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれのある情報」に該当せず、これに含まれる個人情報及び法人の印影を除き公開すべきである。

第5 結論

 以上により、上記第1記載のとおり判断する。

 中野区情報公開・個人情報保護審査会
 委員 岩 隈 道 洋
 委員 岸 本 有 巨
 委員 小 池 知 子
 委員 神 山 静 香
 委員 佐 藤 信 行(会長)

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