情報公開・個人情報保護審査会答申(第26号)

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更新日:2023年8月3日

答申第26号

令和元年12月13日

中 野 区 長 様

中野区情報公開・個人情報保護審査会

会 長 佐藤 信行

中野区個人情報の保護に関する条例第33条第3項の規定に基づく諮問について(答申)

下記に掲げる中野区個人情報の保護に関する条例に係る審査請求について(諮問)について、次の答申します。

・ 平成30年8月22日付け、30中経行第610号

第1 審査会の結論

本件審査請求は、棄却すべきものと認める。

第2 審査請求及び審査の経緯

1 自己情報の開示請求
平成30年4月16日付けで、本件の審査請求人(〇〇〇〇さん、以下「審査請求人」という。)は、条例第22条の規定に基づき、実施機関である中野区長(以下適宜、「実施機関」又は「区長」という。)に対して、「私の検査部位・回数を関係部局(東京都福祉保健局指導監査部指導第三課指定医療機関指導担当:〇〇職員)へ平成29年10月16日に連絡根拠・理由の分かるもの求める。」との自己情報開示請求を行った。また、その請求の趣旨は「福祉オンブズマン調査結果お知らせ第380号(平成30年2月28日)11頁(3)5行目「昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会局長通知第125・「平成12年3月31日社援第824号厚生省社会・援護局長通知第21」〇〇・〇〇職員の主張の為、法的義務「根拠・理由」要す。地方公務員用第34条問う。」「〇〇職員が、「根拠・理由」不明とのこと。」「生活保護法第54条の法的義務に基づき、東京都福祉保健局指導監査部指導第三課指定医療機関指導担当:〇〇職員への「頭部」検査H28年4月・H28年12月の計2回の訂正求める。」と記載されている。

2 実施機関の決定
実施機関は、同年7月5日付けで、審査請求人に対して「2018年2月28日付け第380号「審査結果のお知らせ」該当箇所「3本職の見解(3)誤った個人情報を東京都に伝えた件について」11ページ」を開示する文書として特定して、その全部の写しの交付の方法による自己情報開示決定通知を行った。

3 審査請求
審査請求人は、本件自己情報開示決定を不服として、条例に基づき、同年7月10日付けで、処分の取消を求めて審査請求を行った。

4 当審査会への諮問
区長は、当審査会に対し、条例第33条第3項に基づき、同年8月22日付けで上記審査請求の審査の諮問をした。

5 口頭意見陳述及び資料の提出等
当審査会は、実施機関から同年8月2日付けで弁明書の提出を受け、審査請求人から8月14日付けで反論書の提出を受けた。また、同年11月20日に実施機関聴取を行った。

第3 実施機関及び審査請求人の主張の整理

1 実施機関の主張
実施機関は、本件審査請求の棄却を求めている。弁明書において、処分の理由を「請求内容から平成29年10月13日に東京都に連絡した根拠・理由が分かる文書として中野区福祉サービス苦情調整委員が作成した「審査結果のお知らせ」を自己情報を含んだ対象文書として特定した。当該自己情報には、非公開情報が含まれていないため、その全部を公開決定した。審査請求人は、請求書において開示の方法として「写しの交付」を交付を希望していたが、既に保有している情報だったため、その交付を希望しなかった。」

2 審査請求人の主張
審査請求人は、処分の取消しを求めている。その理由として、審査請求書では、「個人情報(区)保護条例第14条違反(不適正な管理)かつ同条第18条1号違反(口頭のみが法令上規定欠く)の為、弁明する(3)の点には、レセプト否認主張:生活保護法第54条違反。尚、当院医事課は、(3)否定している主張続く。※平成29年10月16日頭部検査は、画面上一覧表の「神経科」1回のみ」とし、反論書では「中野区福祉オンブズマン〇〇委員の調査結果(2018年2月28日第380号)とうり、個人情報保護に関する条例の権限有する中野区個人情報保護審査会の答申要す。」としている。

第4 審査会の判断

1 論点
本件では、実施機関の職員が東京都福祉保健局指導監査部指導第三課職員との間で、電話により、審査請求人に係る個人情報を提供したという事実(この事実については、審査請求人による別の審査請求において実施機関も認めている。)を前提として、当該提供の法令上の根拠の開示が求められているところ、実施機関は、審査請求人が中野区福祉サービス苦情調整委員に求めた苦情処理に対する「審査結果のお知らせ」に当該個人情報が含まれるとして、これを開示したものであって、その判断に違法または不当ではなかったかが問題となる。

2 当審査会の判断
そもそも、審査請求人に係る特定の行政活動が行われた場合、その法令上の根拠も特定個人に対する適用を前提とする限りにおいて個人情報といえるのか、あるいは、仮定的条件を前提とする法規の特定であるから個人情報とはいえないと考えるのかが問題となりうるが、少なくとも本件においては、審査請求人が中野区福祉サービス苦情調整委員に求めた苦情処理において、審査請求人に対する個別的法規適用を前提とする議論が行われており、その限りにおいては個人情報と言えるから、実施機関において、これを開示請求個人情報として特定し、これを全部開示するとの決定をしたことに問題があるとはいえない。
なお、審査請求人は、上記東京都担当職員に対する電話での個人情報提供自体が法的根拠を欠き違法であると主張していると理解されるが、その問題は、本件自己情報不開示決定の取消しとは別のものであって、上記判断には影響を与えるものではない。

第5 結論

以上により、上記第1記載のとおり、判断する。
なお1点付言する。実施機関は、「私の検査部位・回数を関係部局(東京都福祉保健局指導監査部指導第三課指定医療機関指導担当:〇〇職員)へ平成29年10月16日に連絡根拠・理由の分かるもの求める。」との開示請求について、「2018年2月28日付け第380号「審査結果のお知らせ」該当箇所「3本職の見解(3)誤った個人情報を東京都に伝えた件について」11ページ」を開示するとしているが、そこでは、当該お知らせに記載された事項が、実施機関が採用した「連絡根拠・理由」と同一であるとの明示的な記述がないから、この点、実施機関の考えが明確になっているとはいえない。個人情報開示を手段として適用法令の開示を求められた場合の対応について、引き続き検討されたい。

中野区情報公開・個人情報保護審査会

委員 岸 本 有 巨

委員 熊 田 裕 之

委員 小 池 知 子

委員 幸 田 雅 治

委員 佐 藤 信 行(会長)

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