情報公開・個人情報保護審査会答申(第46号)

ページID:585527618

更新日:2023年8月3日

答申第46号 
令和4年8月10日 

中 野 区 長 様

中野区情報公開・個人情報保護審査会 
会長 佐藤 信行

 
中野区個人情報の保護に関する条例第33条第3項の規定に基づく諮問について(答申)

 

 下記に掲げる中野区個人情報の保護に関する条例に係る審査請求について(諮問)について、別紙のとおり答申します。

 記

・ 令和3年9月10日付け3中総総第1820号(令和2年10月20日付け2中健援第3716号の処分)

第1 審査会の結論

 生活保護法(以下「法」という。)第24条第6項に基づく書面通知の30日間の延長理由の開示を求める自己情報開示請求について、実施機関が、「請求情報を作成及び保管していないため」との理由で行った自己情報不開示決定は相当であり、本件審査請求は棄却されるべきものと判断する。

第2 審査請求及び審査の経緯

1 自己情報開示請求
 審査請求人は、令和2年10月7日付けで、中野区個人情報の保護に関する条例(以下「条例」という。)第22条の規定に基づき、実施機関である中野区長(以下適宜、「実施機関」又は「区長」という。)に対して、別途、審査請求人が実施機関に申請した法に基づく一時扶助申請に対する却下通知に関し、「生活保護法第24条の30日延長する正当な事由(私の場合)分かるもの」を請求情報として自己情報開示請求をした。

2 実施機関の決定
 実施機関は、令和2年10月20日付けで、上記1の自己情報開示請求に対し、「請求情報を作成及び保管していないため」との理由で自己情報不開示決定を行い、同通知書を審査請求人に通知した。

3 審査請求
 審査請求人は、本件自己情報不開示決定を不服として、条例第33条第1項に基づき、令和2年11月9日付けで、実施機関に対して審査請求を行った。

4 弁明書及び反論書の提出
 実施機関は、令和3年1月7日付けで本件審査請求の棄却を求める弁明書を提出した。これに対し、審査請求人は、令和3年6月21日付けで反論書を提出した。

5 当審査会への諮問 
 区長は、当審査会に対し、令和3年9月10日付けで条例第33条第3項に基づき、本件審査請求に係る審査の諮問をした。

第3 実施機関及び審査請求人の主張の整理

1 実施機関の主張
 実施機関は、弁明書において、審査請求人が開示を求める当該請求情報に該当する文書等の作成又は保管をしておらず、当該文書等が不存在であると主張している。

2 審査請求人の主張
 審査請求人は、自己情報開示請求書及び弁明書に対する反論書の記載を踏まえると、保護申請から決定通知までの期間が30日に延長されたことの理由を明らかにすべきであり、これを怠った実施機関の行為は法第24条に違反すると主張する。

第4 当審査会の判断

 本件は、審査請求人が法に基づき行った一時扶助申請(技能修得費)に対してなされた実施機関の決定通知が、申請から14日を超えていたにもかかわらず、その延長理由が同通知書に記載されていなかったとし、その理由を自己情報として開示を求めたものである。法において、生活保護の保護開始の申請を受けた実施機関は、当該申請から14日以内に、当該申請に対する決定通知をしければならないとされ、特別な理由があれば、これを30日までに延長(以下「本件延長」という。)することができるが、その場合、当該決定通知書にその理由を明示しなければならないとされている(法第24条第3項及び第6項)。
 審査請求人は、実施機関に対して、令和元年7月30日から令和2年11月9日まで合計5件の一時扶助(技能修得費)の申請をした。
 この内4件については、当該申請から14日を超え30日以内に、これを却下する旨の決定(以下「前提決定等」という。)がなされ、その後、これらは通知書の表記に一部誤りがあったことを理由に取り消され、改めて、同4件の申請に対して却下決定(以下「追加決定等」という。)がなされたところ、いずれの通知書にも延長理由の記載はなかった。その後、追加決定等は、国の通達に従った内容ではなかったことを理由に取り消され、改めて、追加決定等の対象である4件の申請に対して却下決定がなされたが、いずれの通知書にも延長理由が記載されていた。
 一方、残り1件についても、審査請求人の一時扶助(技能修得費)の申請を却下する決定がなされた後、追加決定等と同様、国の通達に従った内容ではなかったことを理由として取り消し決定がされ、改めて、同申請について却下決定がなされたが、当該却下決定通知書には延長理由が記載されていた。
 そのため、当審査会としては、前提決定等及び追加決定等を審査の対象とした。
 まず、前提決定等は、いずれも既に生活扶助を受給している申請人が新たに生業扶助(技能修得費)を申請するものであり、これは扶助の併給として保護の変更申請に該当するところ、変更申請であっても法第24条第3項及び第6項が準用(法第24条第9項)されることから、決定通知までの期間を延長する場合には、当該決定通知書に延長理由を明示する必要がある。次に、追加決定等は、いずれも申請から30日を超えて却下決定がなされているところ、法第24条第6項は、決定通知の期限である14日を超えて通知がなされる場合に、実施機関に対し、その理由を申請人に明確にするため、決定通知書において、その明示を義務付けているのであるから、申請から30日を超えて決定通知がなされる場合にも、当然に延長理由の明示が必要である。
 この点、実施機関によれば、法第24条第6項に基づく延長理由の明示は保護開始を申請する者のみならず、法第24条第9項により保護の変更申請者にも必要であったにもかかわらず、同項を見落として延長理由を明示せずに決定を行い、後日、これが法第24条第9項に違反している事実を認識し、その後は、保護の変更申請についても、決定を延長する場合には延長理由の明示をするようになったとのことであった。このような事情からすると、そもそも決定通知書に延長理由を明示すべきであることを実施機関が認識していなかった以上、当該延長理由に関する検討自体なされておらず、その結果、実施機関が、これに関する文書の作成や保管をしていないことは自然であり、その他、これらの文書を作成ないし保管をしていることを窺わせる事情は存在しない。
 よって、実施機関が「請求情報を作成及び保管していないため」との理由で行った自己情報不開示決定は相当であると言わざるを得ない。
 もっとも、前提決定等及び追加決定等のいずれの通知書にも延長理由の明示がなされず、当該決定通知には手続的な瑕疵があったことは事実であり、しかも、その理由が単純な法適用の過誤によるものであったことを踏まえると、実施機関には、法適用の適正性及び公平性が行政に対する区民の信頼の基礎であることに留意し、今後、同様の事態が繰り返されることがないよう法適用の判断に際しては充分に検討を尽くされたい。 

第5 結論

以上により、上記第1記載の通り、判断する。

 中野区情報公開・個人情報保護審査会
 委員 岩 隈 道 洋
 委員 岸 本 有 巨
 委員 熊 田 裕 之
 委員 小 池 知 子
 委員 佐 藤 信 行(会長)

関連情報

お問い合わせ

このページは総務部 総務課が担当しています。

本文ここまで

サブナビゲーションここから
サブナビゲーションここまで