情報公開・個人情報保護審査会答申(第25号)
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更新日:2023年8月3日
答申第25号
令和元年12月13日
中 野 区 長 様
中野区情報公開・個人情報保護審査会
会 長 佐藤 信行
中野区個人情報の保護に関する条例第33条第3項の規定に基づく諮問について(答申)
下記に掲げる中野区個人情報保護に関する条例に係る審査請求について(諮問)について、次のとおり答申します。
記
・ 平成30年8月9日付け、30中経行第502号
第1 審査会の結論
本件審査請求は、棄却すべきものと認める。
第2 審査請求及び審査の経緯
1 自己情報の開示請求
平成30年5月1日付けで、本件の審査請求人(〇〇〇〇さん、以下「審査請求人」という。)は、条例第22条の規定に基づき、実施機関である中野区長(以下適宜、「実施機関」又は「区長」という。)に対して、「中野区個人情報保護審議会への外部提供の対応等の記録関係求める。※生活保護法第15条かつ第54条の基づく、「診療報酬明細書(レセプト)」等の正確な個人情報の扱い。」との自己情報開示請求を行った。また、その請求の趣旨は「中野区個人情報の保護に関する条例第14条~第18条(第1条~第9条)・第3章の個人情報の収集及び管理は、「個人情報の正確」規程。○○係長は、H29.10/16「頭部検査6~7回」外部提供が実際「頭部検査2回」の誤認を未だ訂正欠く」「頭部検査4回」H30.4/20」とされている。
2 実施機関の決定
実施機関は、同年5月17日付けで、審査請求人に対して自己情報不開示決定通知を行った。
3 審査請求
審査請求人は、本件自己情報不開示決定を不服として、条例に基づき、同年5月25日付けで、処分の取消を求めて審査請求を行った。
4 当審査会への諮問
区長は、当審査会に対し、条例第33条第3項に基づき、同年8月9日付けで上記審査請求の審査の諮問をした。
5 口頭意見陳述及び資料の提出等
当審査会は、実施機関から同年6月28日付けで弁明書の提出を受け、審査請求人から7月26日付けで反論書の提出を受けた。また、同年11月20日に実施機関聴取を行った。
第3 実施機関及び審査請求人の主張の整理
1 実施機関の主張
実施機関は、本件審査請求の棄却を求めている。決定通知書において、不開示の理由を「〇〇〇〇様の情報を中野区個人情報保護審議会へ提供したこと及び提供することはないため。なお、中野区個人情報保護審議会には、「中野区個人情報に関する条例」第13条第1項各号で定める事項(項目等)のみ記載して審議会の審議を受けることとなっており、個人情報を記載していません。個人情報収集事務登録簿は、同条第4項の規定により閲覧することができます。」としている。また弁明書において、「自己情報開示請求書から開示請求内容を、中野区個人情報保護審議会(以下、「審議会」という。)へ審査請求人の個人情報を提供した記録と捉えた。審査請求人の情報を審議会へ提供したこと及び提供することはないため不存在とし、自己情報不開示決定通知書を送付した。」と述べている。
2 審査請求人の主張
審査請求人は、処分の取消しを求めている。その理由として、審査請求書では、「平成30年2月28日の中野区福祉オンブズマン〇〇委員の調査結果が、中野区個人情報保護に関する条例第18条示す。」と述べている。また、反論書にも「中野区福祉オンブズマン〇〇委員の調査書11頁(3)決定事項。」との記載がある。
これらの記載の趣旨は必ずしも分明ではないところがあるが、他の部分の記載事項等を総合して判断するならば、実施機関が、条例18条第1項が「実施機関は、保管している個人情報をその収集目的の範囲を超えて区の機関以外のものに提供すること(以下「外部提供」という。)をしてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、外部提供をすることができる。(1)法令の定めがあるとき。」の解釈を誤り、条例の定めを超えて、審査請求人の個人情報を外部機関(具体的には東京都)に提供している旨述べていると解される。
第4 審査会の判断
1 論点
実施機関は、上述のように弁明書で「自己情報開示請求書から開示請求内容を、中野区個人情報保護審議会(以下、「審議会」という。)へ審査請求人の個人情報を提供した記録と捉えた。審査請求人の情報を審議会へ提供したこと及び提供することはないため不存在とし、自己情報不開示決定通知書を送付した。」と述べているが、この判断が違法または不当ではなかったが問題となる。
2 当審査会の判断
本件における第1の問題は、実施機関が、当初の開示請求において求められている自己情報について「中野区個人情報保護審議会(以下、「審議会」という。)へ審査請求人の個人情報を提供した記録と捉えた」ことの適法性である。
上記のように審査請求人は、実施機関が条例第18条の定めを超えて東京都に提供していると主張しているが、実施機関が東京都に審査請求人の個人情報を提供するには、条例第18条第1項各号に定める例外に該当する必要があるが、その第1号は「法令の定めがあるとき」とし、また第4号は「前3号に掲げるもののほか、審議会の意見を聴いて、実施機関が公益上特に必要があると認めるとき。」と定めている。そこで、論理的には、同第4号に基づく審議会の意見を聴くために、審査請求人の個人情報を審議会に提供することも考えられるから、実施機関が、開示請求内容を上記のように理解したことには、特段の問題はない。
次に、実施機関が「審査請求人の情報を審議会へ提供したこと及び提供することはないため不存在とし、自己情報不開示決定通知書を送付した。」ことについては、個人情報保護審議会の議事録等に照らして、条例第18条第1項第4号該当性判断を求めるために、審査請求人の個人情報を個人情報保護審議会に提供したことは認められないから、特段の問題はない。
なお、実施機関が条例第18条第1項第1号を根拠として、審査請求人のどのような個人情報をどのような外部機関に提供できるかという問題、あるいは、第4号手続が行われるべきはどのような場合かという問題は、本件自己情報不開示決定の取消しとは別のものであって、上記判断には影響を与えるものではない。
よって実施機関が本件請求情報を不存在としたことについては、違法又は不当と認めることはできない。
第5 結論
以上により、上記第1記載のとおり、判断する。
中野区情報公開・個人情報保護審査会
委員 岸 本 有 巨
委員 熊 田 裕 之
委員 小 池 知 子
委員 幸 田 雅 治
委員 佐 藤 信 行(会長)
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