情報公開・個人情報保護審査会答申(第48号)

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更新日:2023年8月3日

答申第48号 
令和4年8月24日 

中 野 区 長 様

中野区情報公開・個人情報保護審査会 
会長 佐藤 信行

 
中野区区政情報の公開に関する条例第13条第3項の規定に基づく諮問について(答申)

 

 下記に掲げる中野区区政情報の公開に関する条例に係る審査請求について(諮問)について、別紙のとおり答申します。

 記

・ 令和4年2月14日付け3中総総第4165号

第1 審査会の結論

 本件審査請求は、棄却すべきものと認める。

第2 審査請求及び審査の経緯

1 区政情報の公開請求
 審査請求人は、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関である中野区長(以下適宜、「区長」又は「実施機関」という。)に対して、令和2年7月24日付けで区政情報公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
 請求情報の内容は、「中野区シェアサイクルで使用されている自転車の車体には金融機関や保険会社、通信会社など営利企業の広告が付いている。これらを公共の区立公園に設置されたポートへ、返却や貸出のために駐輪する行為が、中野区立公園条例(昭和33年10月18日条例第22号)第3条第4号に違反していないこと、あるいは、違反していないかどうかを検討した意思決定の過程が分かる文書の一切。たとえば、あらかじめ区長が出した許可証など。」である。

2 実施機関の決定
 実施機関は、令和2年8月3日付けで本件請求について、次の書類を公開する区政情報(以下「本件公開文書」という。)と特定した上で、全部公開することを決定(以下「本件決定」という。)し、審査請求人に対してその旨を通知した。
 実施機関が公開した書類
(1)公園施設設置許可申請書および意思決定起案文書
(2)公園施設設置許可書

3 審査請求
 審査請求人は、本件公開文書には、審査請求人が「請求情報の内容」とした、中野区立公園条例に規定のある、区長が広告を許可したことが分かる許可証等が含まれていないとの理由で、本件決定を不服として、条例第13条第1項に基づき、令和2年8月21日付けで区長に対し、「明らかに無関係な内容を開示したことを謝罪し、請求情報の内容を開示せよ」との裁決を求めて本件審査請求を行った。
 なお、審査請求人は、実施機関からの区政情報公開決定通知書に、処分の内容について審査請求ができる旨の教示がなかったことも審査請求書に付記している。

4 実施機関の弁明
 本件審査請求に対し、実施機関は、令和2年10月9日付けで次の理由により本件審査請求の棄却を求める弁明書を提出した。
(1)区立公園へ設置されたポートへ中野区シェアサイクルを駐輪する行為に関連して、区長が行った許可に関する文書としては、都市公園法第5条第1項の規定に基づいたシェアサイクルのポート設置に係る文書が存在しているため、区政情報公開決定通知書のとおり公開した。
(2)公開する文書中には、中野区立公園条例第3条第4号に関する記載がないが、同号に違反する事実がないことの裏返しになると捉え、公開することとした。

5 当審査会への諮問 
 区長は、当審査会に対し、条例第13条第3項に基づき、令和4年2月14日付けで本件審査請求に係る諮問を行った。

6 実施機関からの意見書受領
 当審査会は、中野区情報公開・個人情報保護審査会条例第8条第3項に基づき、実施機関に対し意見書の提出を求め、令和4年3月14日に実施機関から意見書を受領した。

第3 審査請求人及び実施機関の主張の整理

1 審査請求人は、本件公開文書に区長が広告を許可したことが分かる許可証等が含まれていないとの理由に基づき、請求文書の公開を求めている。

2 実施機関は、次のとおり主張している。
(1)中野区立公園条例第3条第4号で規定する「広告宣伝」とは、公園内において、はり紙、はり札その他の広告物を表示すること又は宣伝活動を行うことを指している。
(2)シェアサイクルで使用する自転車に広告は付いているが、自転車は移動を目的として利用されるものであるから、広告が付いている自転車を公園内の駐輪場に置くことは「広告宣伝」に該当しない。
(3)(2)について庁内で話し合ったことはないので、(2)が記載されている記録は存在しない。

第4 当審査会の判断

1 論点
 本件は、実施機関において審査請求人に対して全部を公開決定している。そのため、本件の論点は、次のとおりである。
(1)請求された内容から、実施機関が特定した文書が正しいか。
(2)公開した文書以外に他の該当文書が存在していると判断できる理由があるか。
(3)実施機関が審査請求人の求めていない区政情報を公開したことが審査請求人に対し謝罪を要する事柄か。

2 当審査会の判断
(1)区政情報の特定について
 審査請求人は、広告の付いているシェアサイクルで使用する自転車を区立公園に駐輪することが中野区立公園条例第3条第4号に違反していないこと、あるいは、違反していないかどうかを検討した意思決定の過程が分かる文書の一切の公開を請求している。
 これに対し、実施機関は、「公園施設設置許可申請書および意思決定起案文書」及び「公園施設設置許可書」を公開している。
 実施機関は、中野区立公園条例第3条第4号で規定する「広告宣伝」とは、公園内において、はり紙、はり札その他の広告物を表示すること又は宣伝活動を行うことであると解釈している。
 その上で、シェアサイクルで使用する広告付き自転車を区立公園内の駐輪場に置くことは「広告宣伝」に該当しないとの見解を示している。
 そして、かかる条例の文言の解釈及びあてはめについて、庁内で話し合ったことはなく記録もない旨主張している。
 かかる実施機関の主張に不自然な点はない。
 上記実施機関の主張からすれば、審査請求人の求める区政情報は存在しないこととなるものの、実施機関は、審査請求人の求めに対応すべく、いわばないことの証明という意味もあって、上記記載の区政情報を公開したものである。
 したがって、実施機関が特定した文書が正しくないとまではいえない。
(2)他の該当文書の存在について
 上記に記載した実施機関の主張からすれば、公開した文書以外に他の該当文書が存在していると判断できる理由はない。
(3)審査請求人への謝罪について
 仮に審査請求人の求める区政情報ではない情報が公開されたとしても、このことに対する謝罪は、情報公開制度の予定するところではなく、審査会には謝罪をするしないといったことを決定する権限はない。 

第5 結論

 以上により、上記第1に記載したとおり判断する。
 なお、次のとおり付言する。
(1)中野区は、本件公開決定処分をした当時、全部公開とする区政情報公開決定通知書において、処分の内容について審査請求ができる旨を記載していなかった。しかし、令和3年3月29日より、全部公開の場合であっても、区政情報公開決定通知書に審査請求ができる旨が付記されている。
 中野区では、行政不服審査法に基づく審査請求の標準審理期間を6か月程度と定めている。本件は審査請求書が区役所に到達してから諮問されるまで1年以上かかっている。そのため、標準審理期間を意識した事務処理が望まれる。
(2)審査請求人は、求める区政情報ではない情報が公開されたとの理由で審査請求をした。審査請求人は、区政情報公開請求書に、請求情報の内容として、第2第1項に記載のとおりとしているのだから、実施機関が中野区立公園条例第3条第4号で規定する「広告宣伝」の解釈について検討したことが記載されている区政情報が存在しないのであれば、情報公開制度の目的からすれば、改めて書面を作成して審査請求人に説明することが望まれる。

 中野区情報公開・個人情報保護審査会
 委員 岩 隈 道 洋
 委員 岸 本 有 巨
 委員 熊 田 裕 之
 委員 小 池 知 子
 委員 佐 藤 信 行(会長)

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