情報公開・個人情報保護審査会答申(第14号)

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更新日:2023年8月3日

答申第14号

令和元年9月30日

中 野 区 長 様

中野区情報公開・個人情報保護審査会

会長 佐藤 信行

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第3項の規定に基づく諮問について(答申)

平成30年12月13日付け、30中経行第984号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

中野区区政情報の公開に関する条例に係る審査請求について(諮問)

(以下、別紙のとおり)

第1 審査会の結論

第15期中野区個人情報保護審議会の区民委員(公募)の作文について、一部を公開することとした中野区長の決定のうち、作文本文は公開すべきである。

第2 審査請求及び審査の経緯

1 区政情報の公開請求
平成30年9月1日付けで、本件の審査請求人(〇〇〇〇さん、以下「審査請求人」という。)は、中野区区政情報の公開に関する条例(昭和61年3月31日条例第9号。以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関である中野区長(以下適宜、「実施機関」又は「区長」という。)に対して、第15期中野区個人情報保護審議会の区民委員(任期平成30年9月1日から2年間)の応募者全員が提出した作文の一切(以下「本件対象文書」という。)の区政情報公開請求を行った。

2 実施機関の決定
実施機関は、同年9月12日付けで、本件対象文書を一部を公開とする決定(以下「本件一部公開決定」という。)を行うとともに、これを審査請求人に通知した。

3 審査請求
審査請求人は、本件一部公開決定を不服として、同年10月15日付けで、条例第13条第1項に基づき、一部公開とされた本件対象文書について、公開されるべき情報があるとして、実施機関に対して審査請求を行った。

4 当審査会への諮問
区長は、当審査会に対し、条例第13条第3項に基づき、同年12月13日付けで審査請求の審査を諮問した。

5 意見の陳述及び資料の提出
当審査会は、区長からの諮問に際して、同年11月12日に実施機関から提出された弁明書及び同年12月10日に審査請求人から提出された反論書の提出を受けた。
当審査会は、実施機関に本件対象文書の提出を求め、平成31年3月12日に、実施機関聴取を行った。他、職権により応募者(区民委員)の意見聴取を行った。

第3 実施機関及び審査請求人の主張の整理

1 審査請求人の主張
審査請求人は、平成30年10月15日付けの審査請求書において、本件対象文書のうち応募者の作文は公開とされるべき情報であると主張している。その根拠として、「応募者各自が本件作文の公開及びその範囲について、自ら決定すべきことを内容とするものであるから、応募者各自の意思に反しない限り、権利利益を害するおそれはないものと解すべきである。」ことを挙げている。
その後、審査請求人は、同年12月10日付けの反論書(以下「反論書」という。)において、その主張の根拠として、おおむね次の2点を挙げている。
(1)著作権法(昭和45年法律第48号)第18条第3項第3号では、未公表の著作物が地方公共団体に提供された場合、著作者が別段の意思表示をした場合を除き、公表することについて同意したものとみなす旨を規定していることから、公開に同意の意思表示をした応募者が作成した応募動機を公開しても公表権を侵害するおそれはないと解すべきである。
(2)処分庁は、意見照会するまでもない旨を主張し、仮に実施機関が意見照会を行い、応募者が公開に同意する意思表示をした場合の対応については何ら言及していないが、これは処分庁の怠慢である。

2 実施機関の主張
実施機関は、同年9月12日付けの一部公開決定通知書では、決定の理由として、「個人情報保護のため(条例第8条第1項第1号該当)」と主張している。
また、同年11月12日付けの弁明書では、公開できない理由として、該当箇所に応じて次の3点を挙げている。
(1)応募動機は、非公開事由の個人情報に当たり、条例第8条第1項第1号のただし書ア・イ・ウにも該当しない。
(2)個人情報保護の観点から、公開する予定のない第三者の情報については、意見照会するまでもない。(3)公募により選出された委員の氏名は、中野区ホームページに掲載されており、公募に対する応募者は2名で、公募により選出された委員も2名であったことから、本件情報のうち応募動機を公開することにより、応募者の個人情報を容易に類推できるものであるから、個人情報を保護する観点からこれを公開することはできない。

第4 審査会の判断

1 中野区個人情報保護審議会について
中野区個人情報保護審議会は、中野区個人情報の保護に関する条例に基づき設置されたものであり、同条例第7条には、同条例等の規定に基づき、「実施機関から諮問のあった事項について審議すること」、「実施機関から報告を受けること」、「区長に意見を述べること」などが所掌事務として規定されている。また、その組織は、第8条において「委員14人以内」と定めている。委員については、同条において、「区民9人以内、学識経験者5人以内」とされている。

2 本件対象文書について
実施機関は、本件対象文書に記載された情報のうち、表題、提出年月日及び宛先を除き、全ての情報を非公開情報としているが、その内容は次のとおりである。
(1) 応募者の住所、氏名、電話番号、年齢及び印影
(2) 応募者の作文本文
審査請求人は、非公開情報のうち(2)についての公開を求めているところであり、以下、応募者の作文本文について、条例第8条第1項第1号の該当性を検討する。

3 条例第8条第1項第1号(個人情報)について
(1) 本号の趣旨及び解釈について
本号本文では、「個人情報」又は「特定の個人を識別することはできないが、公開することで、個人の権利利益を害するおそれがあるもの」を公開しないことができる情報としている。これは、個人のプライバシーを最大限に保護するため、明らかに個人のプライバシーに関する情報と判別できる場合に限らず、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものや、個人識別性がなくても、公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがあるものは、非公開とすることを原則としたものである。
まず、「個人情報」とは、条例第2条で、「個人生活に関する情報で、特定の個人を識別することができるもの」をいうとされている。
次に、「特定の個人を識別することはできないが、公開することで、個人の権利利益を害するおそれがあるもの」とは、特定の個人を識別することができる情報が記録されていないため個人識別性のない情報ではあるが、個人の人格と密接に関連する内容が記録されていること、個人の未公表の著作物であること等の理由により、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものをいうと解されている。
(2) 作文本文の同号本文該当性について
まず、「個人情報」に該当するかどうかであるが、条例第2条は、個人識別型ではなく、プライバシー型の定義を採用しており、特定の個人を識別できる情報一般ではなく、そのうち「個人生活に関する情報」を個人情報とし、個人のプライバシーなどの権利利益を害するおそれがあるものに限って非公開情報とする方式を採用している。応募者2名の作文本文には、本人の経歴及び私生活に関する記載が含まれていることから、少なくともその記載の一部には個人情報に当たるものが含まれているということができると解される。
(3) 本号ただし書アの該当性について
次に、本号ただし書に該当する場合には、公開することが義務付けられることになるが、その一つとして、「ア 法令若しくは条例の規定により又は慣行として公開することとされている情報」があるので、その該当性について判断する。
本件作文には、応募者の「社会的な関心に基づく意見等」が記述されており、これが応募者独自の考えを示したものであることは容易にうかがえることから、著作権法が規定する「著作物」の定義すなわち「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」に当たるといえる。したがって、作文本文は「著作物」に該当すると認められる。
そして、作文本文は、公募委員選考に応募するために作成されたものであって、未だ公表されていないものと推認されることから、各応募者は、著作権法が保障する著作者の人格権としての公表権を有すると認められる。著作権法は、公表権を保障する一方で、未公表の著作物が地方公共団体に提供された場合、当該自治体の情報公開条例に基づきこれを公開する旨の決定の時までに著作者が別段の意思表示をした場合を除き、実施機関が提供又は提示(公表)することについて同意したものとみなす旨を規定していることから(同法第18条第3項第3号)、著作者が公開に反対する意思表示をしない限り、著作物を公開しても公表権を侵害するものではなく、かつ、条例に基づく公開に異議を唱えるものではないとの意思を推定することができるというべきである。
これを本件についてみると、「著作者が別段の意思表示をした場合」には該当しないことから、実施機関が提供又は提示(公表)することについて同意したものとみなされる。条例第8条第1項第1号ただし書のアにいう「慣行として公開することとされている情報」に該当するものと解することができる。
以上のことから、2名の応募者の作文本文については、上記ただし書アに該当するものであり、公開すべきものと解するのが相当である。

第5 結論

以上により、当審査会は上記第1のとおり結論する。

中野区情報公開・個人情報保護審査会

委員 岸 本 有 巨

委員 熊 田 裕 之

委員 小 池 知 子

委員 幸 田 雅 治

委員 佐 藤 信 行(会長)

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