情報公開・個人情報保護審査会答申(第7号)

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更新日:2023年8月3日

答申第7号

平成29年8月3日

中野区長殿

中野区情報公開・個人情報保護審査会 

会長 佐藤 信行

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第3項の規定に基づく諮問について(答申)

平成29年4月25日付け、29中経行第103号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

中野区区政情報の公開に関する条例に係る審査請求について(諮問)

1 審査会の結論

 平和の森公園再整備及び新体育館整備基本設計等業務委託の成果品(公園基本設計 基本設計報告書)の9-1~9-3頁中3概算工事費の表中平和の森公園新体育館整備事業に関する部分は公開すべきである。

2 審査請求及び審査の経緯

(1)区政情報の公開請求

 平成29年2月15日、本件の審査請求人(〇〇〇〇さん、以下「審査請求人」という。)は、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)7条の規定に基づき、条例の実施機関である中野区長(以下適宜、「実施機関」または「区長」という。)に対して、平和の森公園再整備及び新体育館整備基本設計等業務委託の成果品である平成28年10月基本設計報告書(株式会社 日本設計)(以下「本件区政情報」という。)の公開請求を行った。

(2)実施機関の決定

 実施機関は、上記公開請求に対し、平成29年3月2日付けで、本件区政情報を一部公開決定とする決定(以下「本件一部公開決定」という。)を行うとともに、審査請求人に通知した。

(3)審査請求

 審査請求人は、本件一部公開決定を不服として、同年3月21日付けで、条例13条1項に基づき、非公開とされた本件区政情報のうち、入札終了している部分については公開とされるべき情報であるとして、実施機関に対して審査請求を行った。

(4)当審査会への諮問

 実施機関から同年4月5日付けで弁明書が提出され、これに対し審査請求人は同月21日付けで反論書を提出した。区長は、当審査会に対し、条例13条3項に基づき、同月25日付けで審査請求人の審査請求の審査を諮問した。

3 当事者の主張と理由

(1)審査請求人

 審査請求人は、平成29年3月21日付けの審査請求書において、「非公開とされた部分のうち入札終了している部分については公開されるべき」であると主張している。

 さらに審査請求人は、同年4月21日付けの反論書において、その主張の根拠として、おおむね以下のとおり主張している。

 平成29年2月2日付けの中野区情報公開・個人情報保護審査会の「答申書」において、「整備等の経費に係る情報は、整備構想に係る公共工事の事業費の基礎をなし、公共工事について適切な事業費設定がなされていることを区民が検証し、又は実施機関が区民に対し説明責任を果たす上で、重要な情報である。従って、これを公開する必要性は高いといえる」との結論が出ている。

 審査請求人は日本設計が作成した平成28年2月29日付け整備構想報告書と同年3月31日付け基本計画報告書の公開を受けているが、今回公開請求をした本件区政情報の9-1頁に黒塗りされている概算工事費は極めて大雑把であるため、既に公開された上記情報と食い違う重大な意味を持つ数字が記載されているならば、情報を公開し、説明責任を果たすべきである。

(2)実施機関

 実施機関は、平成29年3月2日付け本件一部公開決定通知書において、決定の理由として、請求情報には整備等の経費に係る情報が含まれており、これらを契約前に公開することは、今後の設計委託や工事の適切な契約事務を著しく妨げるおそれがあるためであるとし、条例8条1項3号に該当するとしている。

 さらに、実施機関は、同年4月5日付けの弁明書において、本業務委託では公園再整備事業及び新体育館整備事業の事業費について同一の単価を採用して算出しているが、本件区政情報は今後発注する公園再整備事業の整備工事の予定金額を推測できる情報を含むため、新体育館整備事業に係る金額部分を含む整備費全体を非公開とした、と主張している。

4 審査会の判断

(1)本件区政情報公開請求の対象となる情報の特定について

ア 実施機関は、公開請求の対象となる区政情報として、株式会社日本設計が作成した平和の森公園再整備及び新体育館整備基本設計等業務委託の成果品のうち公園基本設計の基本設計報告書中、1~6のうち電気・水道・ガス・下水道施設に関する部分を除し、7.2体育館工事(電気・水道・ガス・下水道施設は除く)、8及び9と特定した。

 他方、審査請求人による区政情報公開請求書中、「請求情報の内容」欄には、「公園基本設計の基本設計報告書」との記載がない。

 そこで、区政情報の特定がされているかが問題となる。

イ 審査会において実施機関から意見聴取をした結果、実施機関が審査請求人に対し、口頭にて審査請求人が求めている情報は「公園基本設計の基本設計報告書」に記載されている情報であると確認したことが認められた。

ウ したがって、本件区政情報公開請求の対象となる情報は特定されている。

(2)審査請求人が審査請求の対象としている非公開部分について

ア 実施機関が非公開とした部分は、以下のとおりである。

(ア)9-1頁

平和の森公園 公園工事 概算工事費の表金額の欄、公園工事の欄及び体育館工事の欄

(イ)9-2頁

公園工事 撤去工事の表金額の欄

(ウ)9-3頁

公園工事 新設工事の表金額の欄

(エ)10-10~10-16頁

区民説明会発言者名

イ 審査請求人は、平成29年3月21日付け審査請求書において、審査請求の趣旨及び理由として、

(1)趣旨「上記1に記載の処分を取り消す」との裁決を求める。

 (2)理由 非公開とされた部分のうち入札終了している部分については公開されるべき。

 と記載している。

ウ 平和の森公園新体育館整備事業の入札は平成29年2月8日に終了し、予定価格は既に公表されている。

 したがって、本審査会では、審査請求人は、上記ア(ア)(イ)(ウ)のうち、入札が終了していない工事部分については、審査請求の対象としていないと判断した。

(3)非公開部分の検討

ア 条例は1条において、区政情報の公開の目的を「実施機関の保有する情報を公開することにより区が区政に関し区民に説明する責務を全うすること」であるとしている。本件で公開請求の対象となる区政情報は、公共工事の価格決定の基礎をなし、公共工事について適切な価格設定がなされていることを区民が検証し、又は実施機関が区民に対し説明責任を果たす上で、重要な情報である。従って、これを公開する必要性は高いといえる。

 他方で、条例は8条1項3号イにおいて、「監査、検査、取締り、租税の賦課又は徴収、契約、交渉、協議、争訟、調査研究、人事管理その他の事務に係る情報であつて、事務の性質上、当該情報を公開することにより、区政の公正又は適正な執行を著しく妨げるおそれのあるもの」を公開しないとしている。本件はこのうち「契約」に関する情報に該当するが、本件区政情報が「区政の公正又は適正な執行を著しく妨げるおそれのあるもの」に該当するかどうかは、上記の区政情報の公開の趣旨、及び情報の性格に照らして、厳格に判断されるべきである。

イ 実施機関は、条例8条1項3号イの該当性について、体育館部分の工事の入札は終了したが、本件業務委託の成果品たる報告書においては、公園工事と体育館工事は同一の単価を採用しているため体育館工事部分を公開すると公園部分の工事単価の予定価格を推測できることから、適正な契約事務を著しく妨げるおそれがあると主張している。

ウ これを本件についてみると、中野区では入札前の予定価格は公表していないが、入札前に予定価格を公表すると予定価格が目安となって競争が制限され落札価格が高止まりになることや、一般的に入札談合が容易に行われる可能性があることなどからすれば、このような対応には合理性が認められる。

 そこで、本件のように複数の契約に係る成果品の中で、同じ単価を使用しうる場合が問題となりうるが、このような情報が、一般にその公開によって「区政の公正又は適正な執行を著しく妨げるおそれのあるもの」にあたるということはできず、具体的な理由が示されるべきであるところ、本件においては、実際に後行の契約について、こうしたおそれが生じることが十分に示されていない。 

 また本件においては、体育館部分の工事の入札は終了し、その予定価格総額も事後公表している。そうすると、同種工事に応札しようとする者は、既に公表されている予定価格及び事業者としての経験や公知の事実から、その予定価格を推測することも可能である。

 したがって、体育館部分の工事の各工種の金額欄に記載されている金額を公表することは、区政の公正又は適正な執行を著しく妨げるおそれがあるとは言えない。

エ 以上により、実施機関が非公開とした部分のうち、次の部分は公開すべきである。

(ア)9-1頁

 平和の森公園 公園工事 概算工事費の表体育館工事の欄

 (イ)9-2頁

公園工事 撤去工事の表体育館エリア(総面積10,766平方メートル うち外構エリア面積2,909平方メートル)の項金額の欄

 (ウ)9-3頁

 公園工事 新設工事の表体育館エリアから10.散水設備工事までの項金額の欄及び小広場エリア2から12.散水設備工事までの項金額の欄

以上により、当審査会は前記1のとおりの結論とする。

中野区情報公開・個人情報保護審査会

委員 岸 本 有 巨

委員 熊 田 裕 之

委員 小 池 知 子

委員 幸 田 雅 治

委員 佐 藤 信 行(会長)

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