情報公開・個人情報保護審査会答申(第22号)

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更新日:2023年8月3日

答申第22号

令和元年12月13日

中 野 区 長 様

中野区情報公開・個人情報保護審査会

会 長 佐藤 信行

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第3項の規定に基づく諮問について(答申)

下記に掲げる中野区区政情報の公開に関する条例に係る審査請求について(諮問)について、別紙のとおり答申します。

1 平成30年11月21日付け30中経行第919号(「1号事案」という。)

2 平成31年2月18日付け30中経行第1222号(「2号事案」という。)

(以下、別紙のとおり)

第1 審査会の結論

本件審査請求は、棄却すべきものと判断する。

第2 審査請求及び審査の経緯

1 区政情報の公開請求
本件の審査請求人(〇〇〇〇さん、以下「審査請求人」という。)は、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関である中野区長(以下適宜、「実施機関」又は「区長」という。)に対して、別表に記載した1号事案及び2号事案の区政情報公開請求を行った。

2 実施機関の決定
実施機関は、別表記載のとおり、2件の区政情報の公開請求について、不存在を理由とする非公開決定を行い、審査請求人に対してその旨を通知した。

3 審査請求
審査請求人は、条例第13条第1項に基づき、平成30年10月11日及び平成31年1月8日に別表記載のとおり、区長に対して審査請求を行った。

4 当審査会への諮問
区長は、条例第13条第3項に基づき、平成30年11月21日及び平成31年2月18日付けで、当審査会に対し、2件の審査請求に係る諮問を行った。

5 意見の陳述及び資料の提出
当審査会は、区長からの諮問に際して、それぞれ実施機関から提出された弁明書及び審査請求人から提出された反論書の提出を受けた。

第3 実施機関及び審査請求人の主張の整理

1 実施機関の主張
(1)1号事案
実施機関は、弁明書において「請求人が請求している区政情報は、区職員が誤った個人情報の外部提供の訂正を約7か月放置したことにより、請求人が「都」関係職複数と関わり合い要し区民の利益を害されたことを是認することを認めていることがわかる文書、若しくは、区民の利益とは何かがわかる文書と推測されるが、いずれの文書も作成及び保存をしていないため、不存在とした。」と主張している。
(2)2号事案
実施機関は、弁明書において「何故、中野区に問題が山散(散乱)しているのかが分かる文書については、作成及び保存をしていないため不存在とした。」と主張している。

2 審査請求人の主張
(1)1号事案
審査請求人は、上記第2に記載のほか、反論書の「審査請求人の反論」の欄において、「28・29年度中野区生活保護業務実施方針」資料上欠如の本件不存在(事実行為の根拠)は、不作為の口頭意見陳述要す。」が記載されているほか、平成30年6月19日に実施した他案件に係る当審査会での口頭意見陳述に対する不満が記載されている。
また、反論書には、11月5日付けの審査請求人から中野区長に対する「苦情」の写しが添付されており、そこでも、当審査会の案件処理についての苦情が述べられている。
(2)2号事案
審査請求人は、上記第2に記載のほか、反論書の「審査請求人の反論」の欄において、「一部だが、区民の声担当のNo処理有る記録類。(〇〇係長〇〇主事)」と主張している。

第4 審査会の判断

1 論点
(1)1号事案
審査請求人は、実施機関が保有する審査請求人に係る個人情報の取り扱い等をめぐって、実施機関の補助機関に対して複数の苦情を申し入れ、あるいは不服を申し立てているところ、それに関連して東京都を訪れ同職員に関わり合いをもつに至ったことを背景として、本件では、「「都」関係職複数との関わり合いに要した区民の利益とは、何なのか分かるもの求める」との区政情報公開請求がなされている。
これに対して、実施機関は、「請求人が請求している区政情報は、区職員が誤った個人情報の外部提供の訂正を約7か月放置したことにより、請求人が「都」関係職複数と関わり合い要し区民の利益を害されたことを是認することを認めていることがわかる文書、若しくは、区民の利益とは何かがわかる文書と推測されるが、いずれの文書も作成及び保存をしていないため、不存在とした。」としているから、その実施機関の判断に違法性又は不当性がないかが問題となる。
(2)2号事案
審査請求人は、実施機関に対して複数の苦情を申し入れ、あるいは不服を申し立ていることを背景として、本件では、「何故、中野区は、「問題」山散しているのか分かるもの求める。」との区政情報公開請求を行っている。
これに対して、実施機関は、当該区政情報について「作成及び保存をしていないため不存在とした。」としているから、その実施機関の判断に違法性又は不当性がないかが問題となる。

2 当審査会の判断
(1)1号事案
そもそも、本件区政情報公開請求の背景には、審査請求人の個人情報取り扱い等を巡る係争があり、審査請求人は、それらを契機として区職員の職務姿勢を問題としていることと理解される。しかしながら、(ア)個人情報の取り扱いや区政に係る職員の姿勢そのものの問題と、(イ)それをめぐる係争の中で審査請求人が東京都関係者と関わり合いを持たざるを得なかったことについての区の考えに係る区政情報の存否は、それぞれ別の問題であるところ、審査請求人が審査請求書及び反論書で述べるのは(ア)に係る不服である。他方で、本件処分は、(イ)に係るものであって、実施機関が「いずれの文書も作成及び保存をしていないため、不存在とした」との主張を否定すべき理由は見いだすことができないから、その判断には違法性又は不当性は認められない。
もとより、審査請求人が自らの権利利益が侵害されたと考え、それについての区の見解を求めようとすることは、妨げられるものではないが、それを区政情報公開という方法で行うことは、条例の予定するところではない。
(2)2号事案
そもそも、審査請求人が実施機関の業務遂行について不服を有していることは明らかである。しかしながら、(ア)審査請求人からみた中野区における様々な問題と、(イ)それについて区が問題点の検討等を行った区政情報を保有しているかは、それぞれ別の問題であるところ、審査請求人が審査請求書及び反論書で述べるのは(ア)に係る不服である。他方で、本件処分は、(イ)に係るものであって、実施機関が「いずれの文書も作成及び保存をしていないため、不存在とした。」との主張を否定すべき理由を見いだすことができないから、その判断には、違法性又は、不当性は認められない。
もとより、行政機関は、その活動について違法性や不当性がなく実施されるように点検や自己評価を行うことは当然ともいえるが、審査請求人が問題と考える事柄について、点検や自己評価を行った結果が区政情報として存在しているかどうかは別の問題である。
他方、審査請求人は、審査請求書において、処分の取消しと「時系列上の記録開示」を求めている。実施機関が行った具体的活動について、時系列的に整理された記録は、一般的には公開されるべき区政情報といえる。審査請求人であれば誰であれ、自らが「問題」と考える実施機関の活動を示して、その時系列上の記録を求めることは、区政情報公開制度の本旨にかなうものである。ただし、それは、当初の「何故、中野区は、「問題」山散しているのか分かるもの」によって特定される区政情報とは言い難いものであるから、本件審査請求において開示を求めるより、新たな区政情報公開請求によることが必要であることから、上記の判断を変更すべき理由とは言えない。

第5 結論

以上により、上記第1記載のとおり、判断する。
なお、審査請求人は、第1事案の反論書において、口頭意見陳述の機会を求めているが、当審査会は、中野区情報公開・個人情報保護審査会条例第9条第1項ただし書きに基づき、その必要がないと判断したことから、これを実施していない。

中野区情報公開・個人情報保護審査会

委員 岸 本 有 巨

委員 熊 田 裕 之

委員 小 池 知 子

委員 幸 田 雅 治

委員 佐 藤 信 行(会長)

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