情報公開・個人情報保護審査会答申(第40号)

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更新日:2023年8月3日

答申第40号 
令和3年3月22日 

中野区議会議長 様

中野区情報公開・個人情報保護審査会 
会長 佐藤 信行 

 

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第3項の規定に基づく諮問について(答申)

 下記に掲げる中野区区政情報の公開に関する条例に係る審査請求について(諮問)について、別紙のとおり答申します。

・令和2年10月27日付け2中議第936号

第1 審査会の結論

 中野区議会の議会中継に関する区政情報の公開請求について、中野区議会議長が一部を公開するとした決定は相当である。

第2 審査請求及び審査の経緯

1 区政情報公開請求

 令和2年7月8日付けで、本件の審査請求人は、中野区区政情報の公開に関する条例第7条第1項(以下「条例」という。)の規定に基づき、実施機関である中野区議会議長(以下適宜、「実施機関」又は「議長」という。)に対して、「中野区議会議会中継(録画)のウェブページに記載された『「中野区議会 議会中継(録画)」に記載されている情報(文章、映像、音声等)に関する著作権は、中野区に帰属しています。無断転用を禁止します』という2文の内容の法的根拠が分かる文書の一切。ただし、根拠法令は法令名だけでなく、2文の内容のそれぞれにあてはまる条・項・号などをはっきりとすべて示すこと。」との区政情報の公開請求をした(以上を総称して「本件区政情報」という。)。

2 実施機関の決定

 実施機関は、令和2年7月27日付けで、上記1の公開請求に対し、条例第8条第2項の規定により中野区議会本会議収録・編集・放映業務委託契約書のうち、社印部分を非公開とし、その他の部分を公開する旨の決定(以下「本件一部公開決定」という。)を行うとともに、これを審査請求人に通知した。

3 審査請求

 審査請求人は、本件一部公開決定を不服として、条例第13条第1項に基づき、令和2年8月21日付けで、実施機関に対して審査請求を行った。

4 弁明書の提出

 実施機関は、令和2年9月14日付けで本件審査請求の棄却を求める弁明書を提出した。

5 当審査会への諮問

 議長は、令和2年10月27日付けで条例第13条第3項に基づき、本件審査請求に係る審査を諮問した。

6 意見聴取

 当審査会は、中野区情報公開・個人情報保護審査会条例第9条第1項に基づき、実施機関から令和2年12月14日に意見聴取を行った。

第3 実施機関及び審査請求人の主張の整理

1 実施機関の主張

 実施機関の主張は、弁明書によると審査請求人が指摘するウェブページの記載は、区が掲載情報の著作権を有し、当該権限権原に基づいて無断転用を禁止する趣旨であるとし、同人が求める本件区政情報を「区が著作権を有する根拠となる文書」と解し、同ページ掲載の映像の収録・編集を実施した業者との間の契約書に、同映像の著作権の帰属に関する合意が含まれることから、これを開示したというものである。

2 審査請求人の主張

 審査請求人は、弁明書に対する反論書を提出していないことから、令和2年8月21日付け審査請求書の記載から判断すると、審査請求人の主張は、実施機関が請求対象文書と異なる文書を開示したというものである。

第4 当審査会の判断

 まず、中野区のホームページに掲載された中野区議会の議会中継(以下「本件動画」という。)は、本件動画の視聴者にとって、発言者の様子が最も把握しやすい画像が録画できる位置から撮影されたことがうかがわれ、かつ、発言者単位で動画を区切るとともに、発言者名やその発言内容の把握の便宜を図るため、録画された動画に適宜、テロップを挿入するなどの編集が加えられていることから、著作権法上「映画の著作物」(著作権法2条2項)に該当するとした実施機関の判断について、これを直ちに違法ないしは不当であるとすべき理由は見当たらない。ただし、当審査会の実施した実施機関聴取等によれば、実施機関において本件動画が著作権法の著作物に該当するか否かについて明示的に協議あるいは何らかの判断がなされた形跡はなく、本件で一部公開決定された契約書を別とすれば、この点に関する資料が存在することを推認させる事情も認められなかった。

 本件では、実施機関は、本件動画の録音・編集し、同動画の著作権者である事業者との間で、本件動画の著作権(著作権法第28条及び第29条を含む。)が中野区に帰属する旨の合意を内容とする契約書を締結した。そして、本件一部公開決定において、当該契約書が上記事業者の「社印」を除き公開され、これにより本件動画の著作権が中野区に帰属することが判明するので、審査請求人が公開を求める本件区政情報のうち、著作権の帰属に関する区政情報は公開されたと評価できる。

 次に、著作権者は、その著作物の複製や上映等に関して排他的かつ独占的な権利を保有することから、本件動画の著作権者である中野区は、本件動画の視聴者である第三者に対して無断転用の禁止を求めることができる。そして、上記のとおり、本件一部公開決定により、本件動画の著作権が中野区に帰属する旨が記載された契約書が公開されているのであるから、審査請求人が公開を求める本件区政情報のうち、本件動画の無断転用に関する区政情報は公開されたと評価できる。

 また、上述したように、本件一部公開決定により公開された契約書を除き、その他、審査請求人が開示を求める区政情報が存在することを疑わせる事情は存在しないことから、上記契約書に加えて開示をすべき区政情報があるとは判断できない。この点、審査請求人は、区政情報公開請求書の記載からすると、本件に関わる具体的な根拠法令や条項の開示も求めていると思われるが、法令そのものは、実施機関の職員が職務上作成し、または入手した情報ではないので、区政情報公開請求の対象である区政情報に該当しない。

 なお、「中野区議会 議会中継(録画)」に記載されている情報(文章、映像、音声等)については、創作性の欠如から著作物性自体が否定され、もってウェブサイト上の記載には法的根拠を欠くという解釈を採用したとしても、このことと、実施機関において、本件情報に著作物性が認められることを前提として本件一部公開決定を行ったことは、それぞれ独立した問題であるから、結論を左右すべき理由はない。

第5 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
 中野区情報公開・個人情報保護審査会
 委員 岩 隈 道 洋
 委員 岸 本 有 巨
 委員 熊 田 裕 之
 委員 小 池 知 子
 委員 佐 藤 信 行(会長)

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