情報公開・個人情報保護審査会答申(第37号)

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更新日:2023年8月3日

答申第37号 
令和3年3月22日 

中 野 区 長 様

中野区情報公開・個人情報保護審査会 
会長 佐藤 信行

 

中野区個人情報の保護に関する条例第33条第3項の規定に基づく諮問について(答申)

 下記に掲げる中野区個人情報の保護に関する条例に係る審査請求について(諮問)について、別紙のとおり答申します。

・令和2年8月31日付け2中総総第2096号

第1 審査会の結論

 居宅介護支援費支給決定に関する自己情報の開示請求について、中野区長が中野区個人情報の保護に関する条例(以下「条例」という。)第29条第2項の規定により、文書不存在を理由とした不開示決定は、取り消すべきである。

第2 審査請求及び審査の経緯

1 自己情報の開示請求

 令和2年2月17日付けで、本件の審査請求人、条例第22条の規定に基づき、実施機関である中野区長(以下適宜、「実施機関」又は「区長」という。)に対して、審査請求人に係る居宅介護支援費支給決定をした事務について作成された次に掲げる文書(以下総称して、「本件自己情報」という。)の開示を求めた。

(1)2003年度、2004年度に中野区長が、「支援費制度」に基づき、居宅介護支援費支給決定した事務について作成された、勘案事項の検討資料、関係会議の議事録、支給決定通知書等関連文書すべて(以下、「本件自己情報1」という。)。

(2)2006年4月施行改正前の「障害者自立支援法」以後2013年度までの、自立支援給付申請に係る支給決定事務について作成された、介護給付費等の支給に関する審査会における提出資料、議事録、審査会の意見を受けての庁内会議等の議事録、支給決定通知等関連文書すべて(以下「本件自己情報2」という。)。

(3)2014年度ないし2019年度中に、「中野区障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく介護給付費等の支給基準を定める要綱」に基づき、介護給付費等の支給決定について作成された、中野区障害者の障害支援区分に係る審査及び判定に関する審査会の提出資料、議事録及び審査会の意見を受けての庁内会議等の議事録等関連文書すべて(以下「本件自己情報3」という。)。

2 実施機関の決定

 実施機関は、令和2年2月27日付けで、上記(1)の開示請求に対し、文書不存在を理由に自己情報不開示決定(以下「本件不開示決定」という。)を行うとともに、これを審査請求人に通知した。

3 審査請求

 審査請求人は、本件不開示決定を不服として、条例第33条第1項に基づき、令和2年3月17日付けで、実施機関に対して審査請求を行い、同年4月20日付けで補正書を提出して当該審査請求の補正をした。

4 弁明書及び反論書の提出

 実施機関は、令和2年6月18日付けで弁明書を提出した。これに対し、審査請求人は、反論書を提出しなかった。

5 諮問

 区長は、当審査会に対し、条例第33条第3項に基づき、令和2年8月31日付けで上記審査請求の審査を諮問した。

6 意見の陳述

 当審査会は、中野区情報公開・個人情報保護審査会条例第9条第1項に基づき、実施機関から令和2年10月26日に意見聴取を行った。

第3 実施機関及び審査請求人の主張の整理

1 審査請求人の主張

 審査請求人は、弁明書に対する反論書を提出していないことから、令和2年3月17日付け審査請求書(表題は「異議申立書」である。)の記載から判断すると、審査請求人の主張の骨子は、(1)審査請求人は、居宅介護支援費支給決定に関する文書全ての開示を求めており、同人が2000年から継続的に中野区長の居宅介護支援費支給決定を受けて福祉サービスを利用しているのだから、当該文書は存在する、(2)本件不開示決定の理由とされる「文書不存在」は結論であって理由ではないから、具体的な理由を求めるというものである。

2 実施機関の主張

 上記第3の1に記載の審査請求人の主張の骨子に対する実施機関の主張の骨子は次のとおりである。

 (1)についての実施機関の主張は、審査請求人が開示を求める居宅介護支援費支給決定に関する自己情報が記載された文書の保存年限は5年であり、本件自己情報1及び同2は、当該保存年限を経過しており、当該文書は既に廃棄済みであり文書が存在しない。

 次に、実施機関は、本件自己情報3を中野区障害者の障害支援区分に係る審査及び判定等に関する審査会に係る関連文書と特定し、審査請求人に対する介護給付費等の支給決定については、審査会を経ていないことから、当該文書が存在しない。

 (2)についての実施機関の主張は、不存在以外の回答をすることができない。

第4 当審査会の判断

1 審査請求人の骨子(1)について

 まず、本件自己情報1及び同2は、本件自己情報開示請求時点で、既に文書の保管年限である5年を経過しており、実施機関聴取等からも保管年限を超えて当該文書を保管すべき合理的理由や当該文書が存在していることをうかがわせる事情も認められなかった。

 次に、本件自己情報3の特定に関し、審査請求書別紙(3)の「関連文書すべて」の具体例として記載されているのは、いずれも審査ないし審査会に関連する文書であるから、本件自己情報3を審査会に関連する情報と特定した実施機関の判断に不合理な点は認められない。そして、実施機関聴取その他の資料から、「中野区障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく介護給付費等の支給基準を定める要綱」に基づき、審査請求人に対する介護給付費等の支給決定に関して、審査手続ないし審査会が開催された事情を合理的に疑わせる事情は認められなかった。

2 審査請求人の骨子(2)について

 実施機関は、不開示決定をしたときには、開示請求者に対して「その理由をできる限り具体的に明示」(条例第29条第2項)しなければならない。これは、不開示理由の有無について、実施機関に対し、公平かつ慎重な判断を求め、これにより実施機関の恣意的な運用を抑制するとともに、不開示の具体的な理由を開示請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与える趣旨によるものというべきである。

 かかる趣旨からすると、開示請求対象の文書が存在しない場合であっても、それが対象文書を作成していないため不存在なのか、あるいは、対象文書を作成したものの、保存年限の経過により破棄されたため不存在なのかなど、文書不存在には様々な要因がある以上、実施機関は、その把握する範囲で、できる限り、当該文書が存在しない要因についても明示すべきである。

 本件においては、実施機関は、本件自己情報1及び同2については、保存年限の経過、同3については、本件では、審査手続ないし審査会が開催されていないことを理由とする文書未作成であった。このように文書不存在の要因を把握していたのであるから、その旨を理由に付記すべきである。

第5 結論

 以上により、上記第1記載のとおり、判断する。
 中野区情報公開・個人情報保護審査会
 委員 岩 隈 道 洋
 委員 岸 本 有 巨
 委員 熊 田 裕 之
 委員 小 池 知 子
 委員 佐 藤 信 行(会長)

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