情報公開審査会答申(第49号)

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更新日:2023年8月3日

答申第49号
2011年8月19日 

中野区長 殿

中野区情報公開審査会
会長 兼子 仁

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)

2010年9月24日付、22中経経第1574号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

諮問事項

中野区区政情報の公開に関する条例に係る異議申立てについて(諮問)

1 審査会の結論

 中野サンプラザ「アスベスト調査」に関する文書の公開請求に対し、2004年11月29日付け「売買物件に関する表明保証及び容認事項についての覚書」を一部非公開のうえ公開決定したことは妥当である。

2 異議申立ておよび審査の経緯

(1) 異議申立人(○○○○さん。以下「申立人」という。) は、2010年7月9日付けで中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)7条にもとづき、実施機関である中野区長(以下「実施機関」または「区長」という。)に対し、(独)雇用能力開発機構(以下「機構」という。)が中野サンプラザのアスベストの有無について調査した結果問題がないと、中野区等に明示した文書の公開請求をした。

(2) 区長は2010年8月20日付けで申立人の請求に対し、2004年11月29日付け「売買物件に関する表明保証及び容認事項についての覚書」(以下「覚書」という。)を請求情報に該当するものとして一部公開決定した。

(3) これに対して、申立人は、2010年9月10日付けで異議申立書を提出し、区長が同年9月24日に当審査会に不服審査の諮問をしたものが本件である。

(4) 実施機関からは、2010年10月19日付けで区政情報一部公開理由説明書が提出され、これに対し、申立人からは2010年10月25日に意見書、2011年1月20日に補充意見書が提出された。

(5) 審査会は、2011年1月21日に実施機関事情聴取を行い、申立人が一部公開文書として入手した覚書のインカメラ文書の提示を求めるとともに、申立人が公開請求している「アスベスト調査」に関する文書不存在の理由説明を求めた。これに対して、実施機関から「補充理由説明書」(2011年3月22日付け)が提出された。

3 申立人の主張要旨

 申立人の異議申立書(平成22年9月10日)には、「不開示文書の存在が『覚書』から当然に存在すると認められるため」(不服申立ての理由)、「不開示文書の全部開示を求める」(不服申立ての趣旨)とある。

 申立人は、中野区に対して、2010年10月25日に意見書を提出した。意見書では、機構が不開示決定の理由説明において「昭和48年に建設された本物件(引用注:中野サンプラザ)にはアスベストが使用されていた」と認めていること、あわせて覚書1条7項、8項および3項の記載、および建設省大臣官房官庁営繕部の『庁舎仕上げ標準(暫定修正案)』(別紙1・昭和48年3月)、事務連絡文書(別紙2・昭和62年10月26日~別紙7・平成16年1月16日)を状況証拠(「アスベスト調査に関する事務連絡」)として、「本物件について、何らかの『アスベスト調査』が実施されていたことは明白(省略)」と主張し、「アスベスト調査」に関する文書の再調査および全部開示(もしくは文書破棄事情調査)を求めている。あわせて「今後の本物件の『アスベスト調査』の実施計画」についても明らかにすることを求めている。

 他方、申立人は機構に対して「中野サンプラザを中野区等に譲渡する際に、アスベスト等の瑕疵が無いものと明示した根拠となる調査報告に関する一切の文書」の情報公開請求を行ったが、不開示決定(処分)となり機構に異議申立てをした。その後、2010年10月4日付けで諮問された内閣府の情報公開・個人情報保護審査会は、2011年1月17日に不開示決定(不存在)を妥当とする答申を出している(平成22年度(独情)答申第40号)。

 さらに、申立人は、内閣府の情報公開・個人情報保護審査会の答申が出た後の2011年1月20日、補充意見書を提出した。補充意見書では、内閣府の情報公開・個人情報保護審査会の答申書において、「特定不動産の契約書の附属図面等書類は売却の際に特定団体にすべて譲渡した」、と認定されていることにもとづき、中野区情報公開審査会に当該文書の「確認」を求めている。

4 実施機関の一部公開理由説明

 実施機関は、「申立人は、本件公開請求に先立ち、メールで2009年9月18日に区政情報公開請求を行ったが、同日メールで取り下げている」と述べている。その経緯については、一部公開理由説明書に述べられているとおり、「中野サンプラザを取得したのは、中野区ではなく所有会社であり、所有会社は機構から『規制有害物質は一切存在しない』旨の表明保証を文書で受けており、アスベスト問題はないと認識していること、前所有者である機構からアスベストの有無について調査した結果問題ないと中野区等に明示した文書は提供されていないこと」を説明したところ、申立人は中野区への公開請求を取り下げ、機構へ公開請求する旨、申立人から話があったというものである。

 その後、2010年7月9日に申立人から改めて情報公開請求があり、申立人は、「機構が中野サンプラザのアスベストの有無について調査した結果問題がないと、中野区等に明示した文書」の公開請求を行った。これに対して実施機関は、機構から所有会社に対し、売買物件に関する文書(建築確認通知書、検査済証等)が交付または提供されたが、「機構がアスベストの有無について調査した結果問題がないと中野区等に明示した文書」は提供されていないとし、当該売買物件の「表明保証の文書」(覚書)を請求情報に該当するものとして公開決定した。なお、本覚書には、事業者情報が含まれており、条例8条2項および中野区区政情報の公開に関する条例運営要綱5条の2第1項1号の規定により一部公開とした(「一部公開理由説明書」)。

 実施機関(中野区)は、「所有会社における中野サンプラザの不動産取得手続きの正当性等について一定の範囲で確認するため、当該覚書について所有会社から提出させ、(中略)当区としては当該覚書によって問題ないと認識していることから」、申立人に「公開請求のあった区政情報は当該覚書以外に存在しない」と説明している。さらに、内閣府の情報公開・個人情報保護審査会の答申書において、機構は「アスベスト等の瑕疵にかかる調査は実施していない」および「アスベスト等の瑕疵にかかる調査を行っていないものの、さらにアスベスト等の瑕疵がないと明示した根拠となる文書が存在しないかどうか探索したが、存在しなかった」とあることから、「当区としてはこの答申書を否定できるものではない」としている(「補充理由説明書」)。

5 審査会の判断

 申立人は、異議申立書および意見書からも不開示文書の公開を求めており、当審査会は、「アスベスト調査」に関する文書および売買物件に関する文書不存在の当否について審議してきたが、実施機関の理由説明書および実施機関聴取にもとづき、当審査会は、2010年7月9日付け区政情報公開請求書により公開請求のあった区政情報は当該覚書以外に存在しないとする実施機関の説明は妥当であると判断する。

 また、機構から中野サンプラザの所有会社に交付または提供された売買物件に関する文書(建築確認通知書、検査済証等)については、所有会社の情報であり、中野区が保有しない所有会社の情報であると、当審査会は判断する。

 よって、当審査会は標記のとおり結論する。

付記 中野区における一般的なアスベスト調査の実施に関して

 中野区におけるアスベスト関連の調査について、当審査会において、事務局職員をして確認したところ、1建築基準法による定期報告、2東京都等からの調査、3中野区の独自調査を実施しているが、延べ床面積5万平方メートルを超える中野サンプラザは建築基準法施行令に規定する延べ床面積を上回っているため、いずれも区の調査対象外となっているので、中野区に文書は存在していないことが確認できた。

 建築基準法による定期報告のなかに、アスベストを対象とする調査項目があり、建築基準法12条(報告、検査等)の規定によれば、劇場、ホテル等、「別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が百平方メートルを超えるもの」(建築基準法6条1項1号)の所有者(所有者と管理者が異なる場合は、管理者)は、定期に建築物の敷地、構造および建築設備について、一級建築士等の資格を有する者にその状況を調査させて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない」としている。ただし、「延べ面積が一万平方メートルを超える建築物」などについては、建築基準法施行令149条(特別区の特例)の規定により、提出先は東京都となっている。したがって、延べ床面積5万平方メートルを超える中野サンプラザの建築基準法による定期報告の文書は中野区には存在せず、東京都が提出先となっており、また、その他の調査・報告についてもこの規定にしたがって実施されていることを申し添える。

中野区情報公開審査会

委員 稲垣隆一
委員 大塚孝子
委員 兼子 仁(会長)
委員 堀部政男
委員 桝潟俊子

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