情報公開審査会答申(第32号)

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更新日:2023年8月3日

答申第31号
2005年2月10日

中野区長様

中野区情報公開審査会
会長 井出嘉憲

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)

2004年1月23日付け、15中総総第2637号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

区政情報一部公開決定処分に係る異議申立てについて(諮問)

審査会の結論

 本件で異議申立ての対象とされた個人情報について公開しなかった決定は、やむを得ない。
なお、非公開部分を白マスクで処理したのは適当でなく、黒塗りによって示すべきである。

不服申立ておよび審査の経緯

(1) 異議申立人(以下「申立人」という。)は、2003年11月28日、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)7条に基づき、実施機関である中野区長(以下適宜「区長」または「実施機関」という。)に対して、「11月11日について記載されている上鷺宮地域センター管理日報報告」の公開を請求、同年12月5日付けで一部公開決定通知書を送付された。

(2) 申立人は、その決定を不服として2004年1月13日付けで異議申立てを行った。

 その趣旨は、一部公開決定を取消し、全部公開を求めるもので、その主な理由は次のとおりである。

 1. 公開できないとされた「当日の委託管理従事者の氏名」に該当する者が、上鷺宮地域センターの委託公務を執行している責任者であることは利用者に知られている。

 2. 委託管理従事者の職務は、集会室・テニスコートの利用受付、図書・区政資料の貸出、返却や要望・苦情の要旨の記録等、平日の昼間には正規の区職員が執行している区民への直接のサービスである。

 3. これらに関する情報は、区政情報である。個人生活情報であっても除外されるので保護の対象にはならない。

この申立てに対して区長が、同年1月23日付けで、当審査会に対し、条例13条2項の規定に基づき諮問したものが本件である。

(3) 当審査会の審査において、区長から2004年2月24日付けで「一部公開理由説明書」が提出された。その趣旨は次のとおりである。

 1. 管理委託会社の従業員の個人名については、従前から個人情報の保護のために非公開としてきた。従業員に管理委託上の問題がある場合は、区民の苦情等を契機として区が必要に応じて管理委託会社に是正を求めることで十分解決できる。

 2. 委託契約書には、従業員に対して身分証の携帯と必要に応じた提示を義務付けているが、これは従業員の身分について疑義が生じたときに身分を明らかにすることを定めたものである。個人名を区民等に直接公開することを前提としたものではない。

(4) これに対して申立人からは、同年3月31日付けで「意見書」が提出された。

(5) 当審査会では、同年5月21日申立人からの口頭意見陳述を受けるとともに、同年6月18日実施機関からの意見聴取を行った。

審査会の判断

 本件のポイントは、上鷺宮地域センターの集会室利用、図書貸出しなどの受付窓口業務で、夜間・休日などに区職員の代行を務める民間の委託管理従事者について、公文書に記載された氏名を、公開請求に応じて明らかにすべきか、個人情報として保護すべきかという点である。

 申立人が主張した公開の流れは、一層スピードを速めつつある。第一に、公営施設の窓口業務の担当者にあっては、責任を明確にする意味でも「名札」を着ける、名前を告げる、など来訪者に対して氏名を明らかにすることが当然のマナー、ルールとなってきた。文書回答、電話応答も含めて、日常的に疑問の余地がない状況である。

 第二に、中野区では、区職員の心得に「接客6つの約束」があり、その一つに「名札をつけ、ご用件を承ります」があげられている。この名札着用は、地域センターの代行を委託された民間会社によっては自社の従業員に義務付けている。さらに、上鷺宮地域センターの担当会社でも今後の着用を考えていること、また区当局が全地域センターで着用するよう契約条項を検討中であること、など普遍化していく傾向にある。

 第三には、田中区政がアウトソーシングを重視し、民間委託をできるだけ増やしていく政策をとっていることから、区民と接する場の窓口業務従事者が、区職員と同様に名札着用など責任を明らかにする意味あいが高まってきた。

 こうした流れは肯定すべきであり、名札着用に象徴される来訪区民との接点を大切にしていく政策に異論はない。

 しかし、今回の事例では、窓口業務の委託を受けた会社が担当者の「名札」着用を約束していない点、業務に従事した個人も「公開」を応諾していたわけでない点に目を向ける必要がある。

 審査会としては、民間の個人も公務員と同様の公開を当然と見るような条件整備に期待することとし、名札着用をしていなかった本件の従事者の氏名は公文書上非公開でやむを得ないと判断した。

 なお、実施機関が行った対応について、申立人が指摘した以下の二点で適切な処理を求めたい。

 一つは、非公開部分を白マスクして示したこと。申立人は異議申立書で「公開を拒否した部分がよく判るように黒などの濃い色で覆ってほしい」と主張しているが、黒塗りが当然の措置であろう。

 もう一つは、申立人が実施機関の理由説明書に対して、申立人の地域センターへの問い合わせの言動について「情報公開制度を不当に利用して、現区政を攻撃する人物であると印象づけようとしている」と指摘した点である。これについては、実施機関側も意見陳述で「正確ではなかった」と述べている。そもそも、当該記述の部分は理由説明書としての適切な表現の範囲を著しく逸脱したものと認めざるを得ない。

本件不服審査の処理経過

(1) 2004(平成16)年1月13日、申立人は、2003(平成15)年11月28日の公開請求に対する同年12月5日付けの区政情報一部公開決定処分に不服があるとして、条例13条1項に則り区長に対して異議申立てを行った。

(2) 2004年1月23日、実施機関は、本件異議申立てについて条例13条2項の規定に基づき、当審査会に諮問を行った。

(3) 2004年2月2日、審査会は、実施機関に対して一部公開理由説明書の提出を求めた。

(4) 2004年2月24日、実施機関から審査会に対して一部公開理由説明書が提出された。

(5) 2004年3月9日、審査会は、実施機関から提出された一部公開理由説明書の写しを申立人に送付し、意見書の提出を求めた。

(6) 2004年3月31日、審査会は、申立人から意見書を受理した。

(7) 2004年5月21日、審査会は、申立人から意見を聴取した。

(8) 2004年6月18日、審査会は、実施機関から事情を聴取した。

(9) 審査会は、本件異議申立てにつき、2004年2月27日、3月19日、4月16日、5月21日、6月18日、7月9日、9月10日、10月25日、11月26日、12月27日、2005年1月28日と審議を重ね、上記結論を得た。

中野区情報公開審査会(五十音順)
委員 井出嘉憲(会長)
委員 岡田久枝
委員 兼子仁
委員 川島正英
委員 坂巻煕

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