情報公開審査会答申(第48号)
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更新日:2023年8月3日
答申第48号
2010年10月12日
中野区長 殿
中野区情報公開審査会
会長 兼子 仁
中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)
2009年7月24日付、21中経経第1018号による下記の諮問について、以下のとおり答申します。
諮問事項
中野区区政情報の公開に関する条例に係る異議申立てについて(諮問)
1 審査会の結論
実施機関は、受託者欄の記載を開示すべきものと認める。
その余に関する実施機関の処分は相当と認める。
2 不服申立ておよび審査の経緯
(1) 異議申立人(以下「申立人」という。)は、2009年6月19日、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)7条にもとづき、実施機関である中野区長(以下「区長」または「実施機関」という。)に対し、区政情報「No.07527工事現場写真部分及び現況平面図及び求積図」の公開請求を行った。
(2) 区長は、申立人に、2009年6月26日、建築主・土地所有者欄記載部分および受託者欄記載部分(以下「非公開部分」という。)は「個人情報保護のため」を理由に非公開とし、その余は開示する内容の部分開示の決定を記載した区政情報一部公開決定通知書を送付し、申立人は、2009年6月27日、同通知書を受領した。
(3) 申立人は、同通知により、2009年7月3日、区長の一部公開決定にかかる区政情報の公開を受け、同日、区長に対し、条例13条1項にもとづき、上記一部公開決定を全部公開決定に変更することを求めて異議申立てを行った。
(4) 実施機関である区長は、条例13条2項にもとづき、当審査会に対し、2009年7月24日、同日付21中経経第1018号をもって申立人の異議申立ての審査を諮問した。
(5) 区長は、当審査会に、2009年9月1日、一部公開決定理由説明書を提出した。
(6) 申立人は、当審査会に、2009年9月18日、意見書を、2010年1月8日、補充意見書を提出した。
(7) 当審査会は、2010年8月27日、実施機関聴取を行った。
3 当事者の主張
(1) 申立人の主張要旨
測量士は、国家資格者として、図面の作成、内容につき権限と公的責任を有する者であり、その作成した図面により区の決定が行われているときには、非公開部分の公開は必須である。
本件図面を作成した測量士は、1995年、上記土地にかかる近隣第三者の建築確認申請にあたり、既に申立人が1977年に建築確認申請をした際に当時の道路の中心線を確定し、20センチ南側に定めた道路の南端を、故意または過失により誤って現況道路の南端とし、中心線を1977年の確定より、20センチ南側に決定した。そのため、申請者は、1950年当時の現況道路から40センチの後退を余儀なくされ、他方、当該第三者は、ほとんど後退の必要がない結果となった。
このように、1995年の本件現況平面図と実測図は、その作成した測量士の誤りによる内容虚偽のものであるから是正されるべきところ、実施機関が、測量士の氏名を明らかにしないため、測量士の誤りに至る経緯、中野区の対応などを明らかにできない。
(2) 実施機関の主張要旨
ア 非公開部分は、条例2条3号の「個人情報」である。
イ 本件は「公開することを相当と認める場合」(条例9条1項)ではない。
4 審査会の判断
(1) 建築主・土地所有者欄の記載について
ア 建築主・土地所有者欄に記載されているのは、同欄記載の氏名の者が、図面記載の建築物の建築主であることまたは土地の所有者であることを示す情報であって、実施機関が保管する「個人生活に関する情報」で、特定の個人を識別できるものに他ならないから、「個人情報」(条例2条3号)に該当する。
イ そこで、「公開することを相当とする理由」(条例9条1項)を検討するに、これを認めるに足る事情はない。
ウ したがって、実施機関の行った非公開の処分は相当である。
(2) 受託者欄の記載について
ア 同欄に記載されているのは、その現況平面図および求積図の作成について区長から受託を受けた事業者の所在地、商号および代表取締役名ならびに当該現況平面図および求積図の測量を行った測量士(受託の要件ではない)の氏名と測量士登録番号である。
その記載の目的は、受託事業者の主体を特定し、かつ、測量を行った測量士の氏名と登録番号を示して図面の信頼性を示すことにある。
また、記載の方法は、図面の右下に、作成を依頼した中野区環境建築部指導課の名、図面の呼称・内容、委託件名、委託番号、指示箇所とともに不動文字で記載され、図面を一覧した際に、上記事情とともに一覧できる方法によっている。
イ これら記載目的と記載方法に鑑みると、同欄に記載された受託事業者名と代表取締役の氏名、測量士の氏名と測量士登録番号は、「実施機関が保管する・・情報で、特定の個人を識別できるもの」(条例2条3号の定義・後段)ではあるものの、本件においては測量士の事業活動情報としての側面を有し、「個人生活に関する情報」(条例2条3号の定義・前段)とは認められない。したがって、同欄記載の情報は、個人情報には該当しない。
ウ そこで同欄記載の情報を「公開できない相当な理由」(条例8条1項および条例運営要綱5条の2第1項1号)につき検討するに、これを認めるに足る事情はない。
エ したがって、実施機関が受託者欄の記載を非公開とした処分は理由がない。
(3) 実施機関は、受託者欄の記載を公開すべきである。
よって、当審査会は標記のとおり結論する。
中野区情報公開審査会
委員 稲垣隆一
委員 大塚孝子
委員 兼子 仁 (会長)
委員 堀部政男
委員 桝潟俊子
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