情報公開審査会答申(第21号)
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更新日:2023年8月3日
答申第42号
2008年3月24日
中野区長 殿
中野区情報公開審査会
会長 兼子 仁
中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)
2006年9月29日付け、18中総総第1965号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。
区政情報非公開決定処分に係る異議申立てについて(諮問)
1 審査会の結論
(1) 中野区長が、異議申立人(以下「申立人」という。)に対して、平成18年9月15日付け区政情報非公開決定通知書(18中室政第487号)をもって通知した区政情報非公開決定第1項は相当である。
(2) 同第2項のうち、「その他区政関係者」266名の区政情報中その(2)、所属組織、役職、氏名、郵便番号、送付先等からなる32名分については、別添 のとおり公開すべきである。
2 不服申立ておよび審査の経緯
2-1 取り調べた書証
(1) 平成18年7月19日付 区長室政策分野作成の起案文書「区長就任に伴う挨拶状の印刷及び送付について(18中室政第331号)」(以下、「起案文書」という。)
(2) 平成18年7月付 実施機関作成の挨拶状原稿
(3) 就任挨拶状送付先一覧(案)(以下「送付先一覧」という。)
(4) 平成18年7月21日付 有限会社誠文社印刷所作成の納品書(以下「納品書」という。)
(5) 平成18年8月3日付 申立人作成の区政情報公開請求書(以下「第1次請求書」という。)
(6) 平成18年8月18日付 実施機関作成の区政情報公開決定通知書(以下「第1次決定通知書」という。)
(7) 平成18年9月5日付 申立人作成の区政情報公開請求書(以下「第2次請求書」という。)
(8) 平成18年9月15日付 実施機関作成の区政情報非公開決定通知書(以下「第2次決定通知書」という。)
(9) 平成18年9月25日付 申立人作成の異議申立書(以下「異議申立書」という。)
(10) 平成18年9月29日付 実施機関作成の中野区区政情報の公開に関する条例に係る異議申立てについて(諮問)
(11) 平成19年1月18日付 自治体政策研究会(会計責任者:○○○氏)作成の収支報告書
(12) 平成19年1月12日付 実施機関作成の非公開理由説明書
(13) 平成19年7月17日付 申立人作成の意見書
2-2 事情聴取等
(1) 平成19年12月21日 実施機関事情聴取
(2) 同日 申立人口頭意見陳述
調査の結果、以下の事実が認められた。
(1) 田中大輔氏は、平成18年6月15日、区長に就任した(起案文書)。
(2) 同区長の就任挨拶状の送付先決定の手順は、以下のとおりであった。すなわち、 実施機関には客観的な就任挨拶状の送付先選定基準を内容とする区政情報はもとより選定基準そのものが存在せず、秘書担当が、区長に、過去の区長就任挨拶状送付先を伝え、区長がこれに区政への貢献を考慮して加除を加え、秘書担当は、これを受けて送付先一覧を調整し、平成18年7月19日、その他区政関係者266名を含む19の送付先区分に属する合計850名に対し、区長の就任挨拶状を送付することを決定した(起案文書および実施機関事情聴取の結果)。
(3) 申立人は、平成18年8月3日、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)7条に基づき、情報公開システムによる第1次請求書をもって、以下の区政情報の公開を請求した(以下「第1次請求」という)。
区長就任に伴う挨拶状の印刷および送付について
1.どのような基準で区民を選び、何通、送ったのか。
2.予算はどこから出ているのか。
3.印刷代、郵送費等々、いくら掛かったのか。
4.この挨拶文の印刷・制作を発注した会社名。
(4) 実施機関は、申立人に対し、平成18年8月18日、第1次決定通知書をもって、上記3項1.、2.および3.については起案文書、挨拶状原稿および送付先一覧により、4.については納品書により、区政情報を公開する旨通知し、同月24日、申立人からの費用納入を確認した上、同区政情報写しを郵便送付し、同郵便は翌25日までに申立人に到着した。
(5) 申立人は、平成18年9月5日、条例7条に基づき、情報公開システムによる第2次請求書をもって、以下の区政情報の公開を請求した(以下「本件請求」という)。
1. 区長就任挨拶状の送付基準
2. 送付先一覧中、「その他区政関係者」266名の氏名もしくは肩書き、団体名
(6) 実施機関は、個人情報の公開請求があったときは、請求者から請求理由を聴取するものとされているところ(条例9条1項、同運営要綱10条1項)、実施機関が申立人から、上記2.の請求に係る請求理由を聴取したことを認めるに足る証拠はない。
(7) 実施機関は、平成18年9月15日、上記請求1.については文書不存在を理由に、上記請求2.については、個人情報保護を理由として非公開決定を行い、第2次決定通知書を申立人宛送付した。
(8) 申立人は、平成18年9月20日、上記非公開決定を知り、平成18年9月25日、実施機関に対し、上記非公開決定を不服とし、同処分の取消しを求めて、異議申立書を提出した(以下「本件異議申立て」という)。
(9) 本件異議申立てを受けたため、実施機関は、当審査会に対し、平成18年9月29日、条例13条2項に基づき諮問を行った(以下「本件諮問」という)。
3 審査会の判断
3-1 区長就任挨拶状の送付先選定基準の非公開決定について
前述の調査の結果によれば、区長就任挨拶状送付先選定基準を記録した区政情報はもとより選定基準そのものが存在しなかった。したがって、実施機関がなした不存在を理由とする非公開決定は相当である。
但し、以下のことを付言したい。
条例1条は、実施機関の保有する情報を公開することが、「区民の知る権利を保障し、区民と区との情報の共有を図ることにより住民自治と開かれた区政運営を推進することを目的とする」(1条)ことを規定し、これを受けて同3条は、1条目的に沿って、「保有している情報の公開の求めに誠実に応える」(1項)べきこと、「区政に関する情報で文書等の記録媒体により保管していないものの公開を求められた場合は、説明等の方法により当該情報を提供するよう努める」(2項)べきこと、「区政に関する情報を積極的に提供するとともに、事務の執行にあたつては、必要な情報を区民に公表し、説明するよう努める」(3項)べきことを定めている。
したがって、具体的な送付先選定過程に関する情報が、説明等の方法により区民に提供されることが望まれる。
3-2 送付先一覧記載の「その他区政関係者」266名の氏名もしくは肩書き、団体名の非公開決定について
「その他区政関係者」266名が記載された区政情報のうち、234名分(以下「その他区政関係者1」という。)は個人名、郵便番号、住所からなるもので、そのすべては個人情報である。残余の32名分(以下「その他区政関係者2」という。)は、所属組織、役職、氏名、郵便番号、送付先からなるものである。
(1) 「その他区政関係者1」について
申立人の請求理由は、公正な税の使途をチェックする上で必要というのであって、「その他区政関係者1」の公開を相当とするに足る具体性に欠け、公開を相当とする具体的事情を認めるには足りず、その他公開を相当と認めるに足る証拠はないので、実施機関が個人情報であることを理由としてなした非公開決定は相当であったと認められる。
なお、区長交際費にかかる費用のうち、現金出納票記載の生花送付先・物故者およびその家族の氏名を公開すべきとした答申例があるものの、同答申は、本件とは事例を異にし、本件の先例とは認められない。けだし、生花は献花され、区長が生花を送付した事実が不特定多数に開示される結果、生花送付先を非公開とすることによる本人保護の必要性に乏しく、この点を捉えて、「公開することを相当と認める場合」(条例9条1項)を認める余地があるが、就任挨拶状の送付先には、このような事情は存在しないからである。
また、実施機関は、その他区政関係者1を非公開とするに際し、条例9条1項の定める請求理由の聴取を行っていない手続上の不備がある。申立人の意見陳述の結果によれば、申立人の公開請求理由は、一貫して第2次請求書記載の「公正な税の使途をチェックする上で必要」であることを考慮すると、上記手続上の不備をもって、上記判断を変更すべきものとは認め得ない。
(2) 「その他区政関係者2」について
条例8条2項は、「実施機関は、請求情報に公開できない情報が含まれている場合において、当該公開できない情報の記録部分を公開請求の趣旨を損わない程度に分離できるときは、当該公開できない情報の記録部分を除いて公開しなければならない」と規定する。
ところで、「その他区政関係者2」は、その全体を一体として見れば個人情報であるものの、別添 のとおり公開・非公開を区分しても、上記請求の趣旨を損わないものと認められる。
したがって、「その他区政関係者2」を個人情報であることを理由に非公開とした実施機関の決定は不相当であり、「その他区政関係者2」のうち、個人を特定できる情報については非公開が相当であるが、別添 の情報については公開すべきである。
よって、当審査会は標記のとおり答申する。
中野区情報公開審査会
委員 稲垣隆一
委員 兼子 仁(会長)
委員 堀部政男
委員 桝潟俊子
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