情報公開審査会答申(第30号)
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更新日:2023年8月3日
答申第33号
2005年7月29日
中野区長様
中野区情報公開審査会
会長 井出嘉憲
中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)
2004年4月30日付け、16中総総第254号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。
区政情報一部公開決定処分に係る異議申立てについて(諮問)
審査会の結論
本件請求にかかる情報は、すでに一部公開された文書以外に存在しておらず、原決定は妥当である。
異議申立ておよび審査の経緯
(1) 異議申立人(以下「申立人」という。)は、2004年2月1日付けで、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)7条に基づき、実施機関である中野区長(以下「実施機関」または「区長」という。)に対し、2003年10月5日発行の「なかの区報」第1603号第2面掲載の「区民一人ひとりの防災対策」をテーマに区民レポーターの募集記事に関連する以下の事項(以下「請求事項」という。)を含む一切の区政情報の公開を請求した。
1. 区民レポーターの計画(応募方法を含む)
2. 同募集
3. 同応募状況
4. 同選考方法(判断基準および判断結果を含む)
5. 同決定
6. 同通知
7. その他関連事項
(2) これに対し、実施機関は、本請求につき「区政情報公開決定通知書」と「区政情報一部公開決定通知書」を作成し、2004年2月13日付けで区政情報一部公開決定通知書のみ申立人に送付した。
(3) しかし、同年2月15日、申立人から「区政情報の一部公開に関するお尋ね」が送付され、請求事項1.および2.の公開の可否につき明確な説明と区政情報公開決定通知書が同封されていないとの指摘がなされたため、改めて同年2月16日付けで「区政情報一部公開決定通知書」を送付した。
(4) 同年3月14日付けで、申立人から「区政情報の一部公開に関するお尋ね(2)」が送付され、同年3月30日付けで実施機関から説明書を送付した。
(5) 申立人は、前記(3)の決定を不服として同年4月12日付けで異議申立てを行った。
そして、同年4月30日付け、区長から当審査会に対し、条例13条2項の規定に基づく諮問がなされたのが本件である。
当審査会の審査において、同年5月31日付け実施機関の理由説明書、それに対する申立人の同年7月6日付けの意見書、2005年2月14日付けの意見陳述要旨書が提出され、同年1月28日、実施機関からの意見聴取を行い、同年2月14日、申立人から口頭意見陳述を受けた。
審査会の判断
(1) 公開された文書以外に請求情報は存在するか
申立人が争っているのは、個人情報などを理由として文書の一部を非公開とした点ではなく、実施機関が公開した文書以外に文書が存在しているはずという点であり、請求事項1.、2.、4.について該当する情報の完全な公開を求めている。その主たる理由は以下のとおりである(異議申立書、意見書、意見陳述要旨書、口頭意見陳述)。
1. 本件では区民レポーター採用の目標の明確化、最適な日程の設定、合理的な応募方法の決定が必要だが、これらの意思決定資料が存在しないのはおかしい。
2. 区民レポーターの募集は、区民に対し応募の権利を与え、区に対し受理を義務付ける重要な決定で、文書による意思決定を行っているはずであり、文書が存在しないのはおかしい。仮に文書が存在しないとすれば、中野区文書管理規程2条「事務の処理は原則として文書によって行う」にも違反する。
3. 選考方法を設定した判断基準が明確にうかがえる文書がないのはおかしい。
4. このように、あるべき文書が存在していないということは、条例の1条(目的)、3条(実施機関の基本姿勢)、4条(区政情報の整備、保管)の趣旨に違反しており、実質的には不作為による非公開にあたる。
これに対し実施機関は、公開した文書以外に申立人の請求している文書は不存在であり、存在する文書は個人情報部分などを非公開にして全て公開している旨主張している(理由説明書)。
当審査会の調査したところ、本件の区民レポーターの計画、同募集、同選考方法についての文書は、実施機関が公開した以外に、存在しないと認められる。
申立人の主張は、本件区民レポーター採用を、地方労働委員会の委員の選考あるいは指定管理者の選考と同列に論じているが、これらの選考とは趣旨、目的が異なっており、同じレベルの選考方法(判断基準、判断方法を含む)を求めることは相当でない。
選考方法を設定した判断基準は、いずれも公開された文書によりなされたと考えられ、区民レポーターの採用という趣旨、目的からして、これらの文書で実施することは不都合ではないと考える。
(2) 応募者の個人情報の収集について
また、申立人は、異議申立てに付随して、1.自己紹介(略歴・家族構成など)の応募方法がなぜ本件で必要不可欠か、2.収集された応募者の個人情報が尊重されているか、3.住所、氏名以外の収集は中野区個人情報の保護に関する条例(以下「保護条例」という。)13条に違反しているのではないか、という指摘を行っている。
応募方法として自己紹介(略歴・家族構成など)の情報を収集することは、区民レポーターの選出および区報記事作成のために必要であったと考えられる。しかし、実施機関は、個人情報を収集する場合、保護条例13条に基づき、事務の名称、個人情報の収集目的、個人情報の内容などの事項を個人情報収集事務登録票に登録しなくてはならない。本件審査において、区民レポーターについては、申立人の指摘するとおり、実施機関が個人情報を収集する対象者としてあらかじめ明確に登録していなかったことが判明した。今後、区報事業について、速やかに個人情報収集事務登録票の改善などを行う必要があると考える。
(3) 実施機関の対応について
申立人は、本件の募集締め切りが10月31日であるにもかかわらず、不採用通知が遅延し、申立人の区民の声(12月14日付け)、催促書(1月12日付け)により、ようやく1月14日付けで通知がきたこと、その後さらに区民の声(1月25日付け)の質問にも回答がなかったことなどを挙げ、このような実施機関の対応は、不誠実であると述べている。
このように、応募者に対する不採用通知が遅延したこと、本件情報公開請求につき誤った決定通知をしたことなど、本件については実施機関側に不手際が重なり、申立人に対し大きな不信感を抱かせたことは反省しなければならない。
本件不服審査の処理経過
(1) 2004年4月12日、申立人は、2004年2月1日の公開請求に対する同年2月16日付けの区政情報一部公開決定処分に不服があるとして、条例13条1項に則り区長に対して異議申立てを行った。
(2) 2004年4月30日、実施機関は、本件異議申立てについて条例13条2項の規定に基づき、当審査会に諮問を行った。
(3) 2004年5月10日、審査会は、実施機関に対して一部公開理由説明書の提出を求めた。
(4) 2004年5月31日、実施機関から審査会に対して一部公開理由説明書が提出された。
(5) 2004年6月18日、審査会は、実施機関から提出された一部公開理由説明書の写しを申立人に送付し、意見書の提出を求めた。
(6) 2004年7月6日、審査会は、申立人から意見書を受理した。
(7) 2005年1月28日、審査会は、実施機関から事情を聴取した。
(8) 2005年2月14日、審査会は、申立人から意見を聴取した。
(9) 審査会は、本件異議申立てにつき、2004年5月21日、6月18日、7月9日、9月10日、10月25日、11月26日、12月27日、2005年1月28日、2月14日、3月11日、4月15日、5月13日、6月3日と審議を重ね、上記結論を得た。
中野区情報公開審査会(五十音順)
委員 井出嘉憲(会長)
委員 岡田久枝
委員 兼子仁
委員 川島正英
委員 坂巻煕
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