情報公開審査会答申(第50号)

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更新日:2023年8月3日

答申第50号
2011年8月19日 

中野区長 殿

中野区情報公開審査会
会長 兼子 仁

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)

2010年6月21日付け、22中経経第853号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

諮問事項

中野区区政情報の公開に関する条例に係る異議申立てについて(諮問)

1 審査会の結論

 本件の請求情報について、記録箇所の不存在を理由に非公開とした決定は、妥当である。

2 請求情報・一部公開決定・異議申立て・諮問

(1) 請求情報

 異議申立人(○○○○さん。以下「申立人」という。) は、2010年5月7日、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)7条に基づき、実施機関である中野区長に対して、次の情報を請求した。

「公益活動情報コーナーの業務委託打ち切り決定前に

『区民の意見を聞く場』を設けた場合の記録、日時、参加者、内容がわかる会議録、メモなど一切のもの
『10か年計画』の意見交換会でのその記録、日時、参加者、内容がわかる会議録、メモなど一切のもの

 以上、2010年2月23日、第1回定例会にて西岡副区長答弁=「区議会だより、区長答弁」(林まさみ議員の一般質問)の裏付けとなるもの」

(2) 一部公開決定

 これに対し実施機関は、2010年5月14日、区政情報一部公開決定を行い、申立人あてに通知した。区政情報一部公開決定は、次のとおりである。

1 一部を公開する区政情報

「新しい中野をつくる10か年計画(第2次)」素案に関する意見交換会等の記録

2 公開することができない部分

公益活動情報コーナーの業務委託打ち切りに関する記録箇所

3 公開することができない理由

「新しい中野をつくる10か年計画(第2次)」素案に関する意見交換会等において、公益活動情報コーナーに関する質問がなく、よって上記の記録箇所が不存在のため

(3) 異議申立て

申立人は、2010年6月14日、区政情報一部公開決定処分に対する異議申立てを行い、異議申立理由書を提出した。

(4) 諮問

実施機関は、2010年6月21日、本件異議申立ての審査について当審査会に諮問した。

3 一部公開決定に対する異議申立理由

(1) 「一部を公開する区政情報」

 2010年1月21・23両日に開催された「新しい中野をつくる10か年計画(第2次)」素案に関する意見交換会は、財政見通しの資料を区民に示さぬまま昨年9月に開催された意見交換会を補填する追加のものであった。また、公益活動情報コーナーの業務打ち切りは素案では示されてはおらず、真逆の「公益活動の活性化に向けた公益活動情報コーナーの機能強化」等と明記されている。この時点で一般区民は業務打ち切りや予算ゼロの話は知る由もなく、ましてや中野区より説明もなかった。よって、本意見交換会等の記録の一部を公開されたとしてもまったく無意味なものでしかない。

(2) 「公開することができない部分」および「公開することができない理由」

 「公益活動情報コーナーに関する質問がなく、よって上記記録箇所が不存在のため」と通知書に記載されているが、上記(1)の理由により一般区民は中野区より説明を一切受けてはいないので質問することは不可能である。「公開することができない理由」は事実に大きく反しているともいえる。

4 本件請求情報を非公開とした理由

 実施機関は、2010年7月20日、次のような区政情報一部公開決定理由説明書を提出した。

(1) 「一部を公開する区政情報」に関する理由

 平成22年5月7日に受理した「区政情報公開請求書」には、平成22年第1回定例会での林まさみ議員の質問に対する答弁の裏付けとなる「区民の意見を聞く場」の記録の公開が求められており、すなわち、それは「新しい中野をつくる10か年計画(第2次)」素案に関する意見交換会の記録であったため、公開請求に応じて、その記録に関する決定起案を公開したところである。

(2) 「公開することができない部分」および「公開することができない理由」

 申立人が請求する、「10か年計画の意見交換会」での「公益活動情報コーナーの業務委託打ち切り」に関する記録箇所は、上記2(1)で公開した文書においては不存在である。

 意見交換会等は、区民からの質問に対し、区側が答えるという質疑応答の内容となっているが、この意見交換会等においては、公益活動情報コーナーに関する質問がなかったため、区側の回答もなく、したがって記録箇所が不存在のため公開できないとしたところである。

5 区政情報一部公開決定理由説明書に対する意見

 申立人は、2010年8月20日、区政情報一部公開決定理由説明書に対する意見を提出した。その意見は、おおむね次のようになる。

 区民は忙しく、今回提出の理由説明書のような誠実さを欠き不毛なものに時間と労力をいつまでもかける訳にはいかない。その点をまず理解されたい。

 繰り返しになるが、申立人は公益活動情報コーナー業務委託打ち切り決定に関し林まさみ議員に対しての中野区副区長および中野区長が、平成22年第1回定例会一般質問答弁(2010年2月23日)および『なかの区議会だより』(No.217)記載についての根拠を情報公開請求にて確かめようとしたまでである。裏付けの確認である。

 「10か年計画」の意見交換会は「素案」についてのみ開催された。またそれは5月7日時点では、「質疑応答」についてはすでに区議会報告され資料入手も可能であった。そこで裏付けとなる情報がないことは公開請求で閲覧するまでもなく明白である。もしやと思い「区民の意見を聞く場」の情報も公開請求したが何もなく、その後所管職員から口頭でそのような機会自体が設けられなかったことも確認した。意見交換会については、当時は録音をしていたようなので冒頭30分以上にわたる中野区による説明も全体の議事録といえる「会議録」も請求したが、提出されてはいない。中野区が説明したという根拠は、ないままである。

 以上により、林まさみ議員への答弁の裏付けになるものはないという結論といえる。

 職員のリテラシーにとりわけ問題があるとは思いたくはないが、一般常識と「憲法第15条第2項 すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」をもって考えれば、本件は2件とも「文書不存在」となりその理由は「意見交換会等は実施されておらず区民に説明の機会はなく、よって記録箇所が不存在のため」になるものと思われる。

 このように、区民を徒労させることは慎み、今後は誠実な信頼される区政を目指してもらいたいものである。

6 審査会の判断

 実施機関は、申立人が請求した情報に関連して「新しい中野をつくる10か年計画(第2次)」素案に関する意見交換会等の記録を公開した。しかし、申立人が請求する「10か年計画の意見交換会」での「公益活動情報コーナーの業務委託打ち切り」に関する記録箇所は、「新しい中野をつくる10か年計画(第2次)」素案に関する意見交換会等の記録においては不存在であるとし、その理由は、「意見交換会等は、区民からの質問に対し、区側が答えるという質疑応答の内容となっているが、この意見交換会等においては、公益活動情報コーナーに関する質問がなかったため、区側の回答もなく、したがって記録箇所が不存在のため公開できないとした」と説明している。

 当審査会で確認したところ、公開された合計65頁の文書には、申立人が請求する「公益活動情報コーナーの業務委託打ち切り」に関する情報は記録されていない、と認めることができる。また、申立人自身も、区政情報一部公開決定理由説明書に対して2010年8月20日に提出した意見の中で「林まさみ議員への答弁の裏付けになるものはないという結論といえる」と、不存在を認めている。

 (なお、申立人が異議申立書および意見書の中で述べている、意見交換会等の持ち方への批判は、請求情報の「不存在」をめぐる本件不服審査の対象外であると考えられる。)

 したがって、本件の請求情報について、記録箇所の不存在を理由に非公開とした決定は妥当であると判断する。

中野区情報公開審査会

委員 稲垣隆一
委員 大塚孝子
委員 兼子 仁(会長)
委員 堀部政男
委員 桝潟俊子

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