情報公開審査会答申(第33号)

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更新日:2023年8月3日

答申第30号
2004年10月25日

中野区教育委員会様

中野区情報公開審査会
会長 井出嘉憲

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)

2003年9月10日付け、15中教庶第1085号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

区政情報一部公開決定処分に係る異議申立てについて(諮問)

審査会の結論

 中野区教育委員会による原処分は妥当なものであり、本件の異議申立てはこれを棄却してよいと認められる。

異議申立てに至る経緯

(1) 異議申立人(以下「申立人」という。)は、2003年5月6日、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)第7条に基づき、実施機関である中野区教育委員会(以下「教育委員会」または「実施機関」という。)に対して「公立諸学校で国旗国歌について話し合われた内容がわかる文書」の公開を請求したところ、同年7月1日付けで、区政情報公開決定通知書を送付された。

(2) 申立人は、同年7月10日に教育委員会学校教育課事務室において公開文書を閲覧したところ、当該文書に一部非公開部分があることを発見し、学校教育課職員に決定通知書の内容どおりに公開するよう求めた。

(3) 学校教育課職員は、申立人に対し、本件は一部公開文書とすべきであるものを誤って公開文書としてしまったもので、非公開部分の公開をすることはできないことを説明するとともに、教育委員会は、当該情報の一部公開決定通知書を送付した。

(4) 申立人は、その決定を不服として、同年7月31日付けで異議申立てを行った。

 そして、同年9月10日教育委員会から当審査会に対し、条例13条2項の規定に基づく諮問がなされたのが、本件である。

 当審査会の審査において、教育委員会から同年10月16日付けで「一部公開理由説明書」が提出され、これに対して、申立人から2004年3月25日付けで「意見書」が提出された。

審査会の判断

 本件は、申立人が区政情報開示を求めた10件のうち、一部非公開とされていた「公立諸学校で国歌国旗について話し合われた内容がわかる文書」が公開文書の中に含まれていたことに起因する。

 実施機関は、申立人の指摘でその事実に気付き、あらためて再度「区政情報公開決定通知書」、「区政情報一部公開決定通知書」を交付した。その不手際に対して、申立人は一部公開部分の全面公開を求めたものである。

 条例では年齢などに関係なく、全ての人に情報公開請求権を認めている。本件の場合、未成年者ではあるが、その請求には真摯に対応すべきであることは言うまでもない。

 校長、教頭の発言と、一部教員の氏名が開示されていることに対して、申立人は、他の教員の発言も開示すべきだ、と主張している。

 校長、教頭は、学校運営の責任者であり、その発言は、管理者としての発言である。公開されてもしかるべきだと考える。

 しかし、席上で発言した一般教員の氏名を公開することになれば話は別であり、慎重な取り扱いが必要とされる。

 文部科学省や地方自治体による学校行事に際しての国歌、国旗の取り扱いが大きな社会問題になっている。このような状況下で、個々の教師の思想、信条、考え方を情報公開制度によって明らかにすることは、一種の踏み絵であり、個人情報の保護という立場から認めがたい。

申立人からの意見書について

 申立人が意見書で主張するように、「国歌、国旗の強制」が、精神的自由権の侵害に当るかどうか。その判断は、人それぞれの立場や信条によって異なるであろう。

 申立人は、「教諭がどのような考え方をもっているか、という情報は、児童、生徒、保護者の教育上の知る権利、あるいは、内心の自由の保護のための必須の情報に該当するのではないか」(意見書)という指摘に対しては、仮にそうであったとしても、その情報の取得は一般に公開される情報公開制度に頼るべきことではない、と考える。

実施機関への要望

 今回の異議申立ては、情報公開に際しての単純な手続きの誤りから生じ、結果として申立人の不信感を招いたと思われる。

 請求が多岐にわたったという事情があるにせよ、今後、このようなミスがないよう、行政担当者として一層の注意と慎重な対応を望んでおく。

本件不服審査の処理経過

(1) 2003(平成15)年7月31日、申立人は、同年5月6日付けの公開請求に対する同年7月1日付けの区政情報一部公開決定処分に不服があるとして、条例13条1項に則り教育委員会に対して異議申立てを行った。

(2) 2003年9月10日、実施機関は、本件異議申立てについて条例13条2項の規定に基づき、当審査会に諮問を行った。

(3) 2003年10月7日、審査会は、実施機関に対して一部公開理由説明書の提出を求めた。

(4) 2003年10月16日、実施機関から審査会に対して一部公開理由説明書が提出された。

(5) 2003年10月31日、審査会は、実施機関から提出された一部公開理由説明書の写しを申立人に送付し、意見書の提出を求めた。

(6) 2004年3月25日、審査会は、申立人から意見書を受理した。

(7) 審査会は、本件異議申立てにつき、2003年9月19日、10月24日、11月28日、12月19日、2004年1月9日、2月27日、3月19日、4月16日、5月21日、6月18日、7月9日、9月10日、10月25日と審議を重ね、上記結論を得た。

中野区情報公開審査会(五十音順)
委員 井出嘉憲(会長)
委員 岡田久枝
委員 兼子仁
委員 川島正英
委員 坂巻煕

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