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最終更新日 2015年11月13日
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情報公開審査会答申(第60号)

答申第60号
2015年10月7日

中野区長 殿

中野区情報公開審査会
会長 兼子 仁

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の
規定に基づく諮問について(答申)

2015年1月20日付け、26中経経第3072号 による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

中野区区政情報の公開に関する条例に係る異議申立てについて(諮問)


1  審査会の結論

(1)工事設計内訳書のうち、設計金額、単価、小計金額、合計金額の不開示について

不開示部分を全面開示すべきである。

(2)代価表の不存在について

代価表不存在を理由とする不開示は妥当である。

ただし、実施機関が本件代価表を区政情報として扱わなかったことには問題がある。

2  異議申立て及び審査の経緯

 2014年12月12日、本件の異議申立人(○○○○さん、以下「申立人」という。)は、平成26年9月入札物件「向台小学校校舎耐震補強工事(第一期)」、平成26年9月入札物件「第四中学校校舎耐震補強工事(第一期)」、平成26年3月入札物件「南部すこやか福祉センター等新築工事」の各工事に係る金額入り内訳書、明細代価、単価表、諸経費計算書等のすべて、の公開請求を行った。

 2015年1月5日、区長は、請求対象を、向台小学校校舎耐震補強工事(第一期)設計内訳書、第四中学校校舎耐震補強工事(第一期)設計内訳書及び南部すこやか福祉センター等新築工事設計内訳書(以下「本件文書」という。)と特定したうえで、本件文書のうち、設計金額、単価、小計金額、合計金額については、契約前の積算基礎であり、適正な契約事務に著しい妨げとなり、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)8条1項3号に該当するため(本件不開示部分(1))、代価表については、職員が下書きのみで使用し、工事設計内訳書完成後に廃棄しているため不存在であるとして(本件不開示部分(2))、本件文書を一部公開する旨の決定(以下「本件決定」という。)を行い、申立人に通知した。

 2015年1月16日、申立人は条例13条1項に基づき、本件決定の取消しを求めて区長に異議申立てを行った。

 2015年1月20日、区長は、当審査会に対し、条例13条2項に基づき、申立人の異議申立ての審査を諮問した。

 2015年2月20日、実施機関より理由説明書が提出された。

 2015年3月3日、申立人より意見書が提出された。

 2015年7月6日、8月5日、実施機関より意見を聴取した。 

3 申立人の主張

 異議申立書及び意見書によれば、申立人の主張の趣旨は以下のようなものである。

(1)請求した情報は、「公共建設工事積算基準」や「公共建築工事標準歩掛り」等の既に公知となっている情報を元に、財団法人建設物価調査会及び財団法人経済調査会等が発行する物価資料を適用し、計算された結果の一覧であって、誰もが計算可能な情報である。

 民間の積算ソフトを使用すれば、予定金額の類推はある程度可能であるので、積算情報を公開しても契約事務の著しい妨げとなることはない。

 中野区の公共工事の入札は、工事希望型指名競争入札や一般競争入札によっているため、本件文書を全面公開しても、入札の実施を著しく困難にするとは認められない。

 中野区の積算が国土交通省の「公共建設工事標準単価積算基準」等の統一基準によっているのであれば、単価表公開の有無にかかわらず、民間の積算ソフトにより金額の推測は可能であるため、単価表不開示の理由とはならない。

 

(2)公共建築工事では、しばしば落札後の契約変更が行われるが、その際に工事設計書の根拠となった代価表が存在しないと適切に契約変更が行えない可能性もあるので、代価表は存在するはずである。 

4 実施機関の主張

 理由説明書及び実施機関意見聴取によれば、実施機関の主張の趣旨は以下のようなものである。

(1)中野区では、現在、入札時における工事予定金額を公表していない。本件不開示部分を公開すると、類似案件の工事予定金額が推測可能となり、十分な見積り努力を行わずに入札に参加する業者が増加し、契約事務の著しい妨げとなる。

  

(2)建築工事の代価表は、膨大な量に及ぶため、起工書には添付しておらず、他の工事への汎用性もないため、起工終了後に廃棄している。

  契約後変更を行う場合には、変更部分の代価表を作り直しているので、工事設計書の根拠となった代価表は必要ではない。 

5 当審査会の判断

(1)工事設計内訳書のうち、設計金額、単価、小計金額、合計金額の不開示について

 条例は区政情報の公開の目的を「実施機関の保有する情報を公開することにより区が区政に関し区民に説明する責務を全うすること」であるとしている。本件文書の対象となる情報は、公共工事の価格決定の基礎をなし、公共工事について適切な価格設定がなされていることを区民が検証し、又は実施機関が区民に対し説明責任を果たす上で、重要な情報である。従って、これを公開する必要性は高いといえる。

 他方で、条例は8条1項3号のイにおいて、「監査、検査、取締り、租税の賦課又は徴収、契約、交渉、協議、争訟、調査研究、人事管理その他の事務に係る情報であつて、事務の性質上、当該情報を公開することにより、区政の公正又は適正な執行を著しく妨げるおそれのあるもの」を不開示としている。本件はこのうち契約に関する情報に該当するが、本件情報が「区政の公正又は適正な執行を著しく妨げるおそれのあるもの」に該当するかどうかは、上記の区政情報の公開の趣旨、及び本件文書の性格に照らして、厳格に判断されるべきである。 

 本件文書は、設計金額、総括内訳書、種目別内訳書、科目別内訳書(中科目内訳書含む)及び細目内訳書の5つの部分によって構成されている。このうち、まず、設計金額について検討する。実施機関の陳述によれば、中野区では、設計価格と入札の際の予定価格は完全に同じではないが、ほぼ近い金額であるとのことである。また、中野区においては、予定価格の入札前の公表は行っていないが、事後的にこれを公表しており、本件文書の対象となった3つの工事についても予定価格が公表されている。そうすると、同種工事の設計金額及び予定価格は、既に公表されている予定価格からでも推測することができるのであり、情報公開請求において設計価格を不開示としても、実施機関の主張する事態を防止することはできない。従って、設計価格を契約後に開示することは、区の契約事務を著しく妨げるとはいえない。

 次に、総括内訳書、種目別内訳書及び科目別内訳書について検討する。総括内訳書は直接工事費、共通仮設費などを項目としてその金額を示すもので、1式で記載される。種目別内訳書は、直接工事費等を工事種目毎に区分してその金額を示すもので、1式で記載される。科目別内訳書は、種目別内訳書において区分した直接工事費を主要な構成に従い区分してその金額を示すもので、1式で記載される。このように、これらの部分には、設計金額を細分化した工事区分ごとの金額までが記載されている。これらの情報は、確かに設計金額よりは若干具体的ではあるものの、前述のように予定価格が公表されていることを考慮すれば、これらの部分を開示することで類似案件の予定価格を一定の精度を持って推測される可能性が特段高まるとは考えがたい。従って、総括内訳書、種目別内訳書及び科目別内訳書を契約後に開示することは、区の契約事務を著しく妨げるとはいえない。

 最後に、細目内訳書について検討する。細目内訳書は、各科目あるいは中科目に属する細目ごとに数量、単価、金額を記載したもので、材料単価及び労務単価が具体的に記載されている。従って、細目内訳書が開示されると、これらの単価に類似案件で必要な数量を当てはめることで類似案件における予定価格の推測が可能となり、それにより十分な見積り努力を行わない応札が増加するとの実施機関の主張も成り立ちうる。しかしながら、単価は変動するものであり、一定期間経過後においては、設計金額算出時の単価と文書公開時の単価との間には乖離が存在するものと思われる。さらに、本件文書に含まれる単価は、いわゆる単価表に記載された単価のごく一部であり、すべてが類似案件に当てはめ可能なものではない。そうすると、上述の方法により、類似案件の予定金額の推測が可能となるとしても、その精度には一定の限度があると考えられる。さらに、材料単価については各種物価資料が刊行されているところであり、これらに記載のない単価についても、国土交通省をはじめとして、多くの地方公共団体等が単価表を公開しており、これらを参照することで一定の精度を持って予定価格を推測することは可能である。そうすると、本件の細目内訳書の開示によって、その可能性や精度がさらに高まり、それにより十分な見積り努力を行わない応札が増加するとは考えがたい。従って、本件の細目内訳書については、これを開示することが区の契約事務を著しく妨げるとはいえない。

 以上のように、工事設計内訳書のうち、設計金額、単価、小計金額、合計金額の不開示部分については、条例8条1項3号のイに該当すると認められないため、全面開示すべきである。

 

(2)代価表の不存在について

 代価表とは、工事における個々の作業ごとの金額を算出したもので、その内容は細目内訳書に反映される。実施機関の理由説明書によれば、建築工事の代価表は、膨大な量に及ぶため、起工書には添付しておらず、他の工事への汎用性もないため、起工終了後に廃棄しているとのことであった。当審査会において、実施機関に対する聴取を行ったところ、実施機関は、代価表が起工書に添付されない文書であるため、あくまで工事設計内訳書を作成するために担当者が個人的に作成するメモ程度のものと認識していた。それゆえ、起工終了後に個人の判断で(一般的には膨大な量に及ぶため比較的早期に)廃棄していたことがうかがわれる。本件の代価表についても、特別に保存がなされていることをうかがわせる事実はないため、既に廃棄されていると考えるのが妥当である。従って、本件の代価表の不存在による不開示は妥当である。

 しかしながら、上記のような実施機関の代価表の認識及び取扱いには問題があると言わざるを得ない。条例2条2号は、条例の対象となる区政情報を、「実施機関の職員が職務上作成し、又は入手した情報で、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、文書、図画、写真、フィルム、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)その他の記録媒体により保管しているもの」と定義している。実施機関は、代価表を、組織的に用いる文書ではなく、個人のメモ程度のものと認識し、個人の判断で適時に廃棄できるものとして扱っている。しかし、代価表は、起工書に添付はされないが、予定価格の算出のための一連の積算の基礎を形成するものであるから、その内容は個人のメモにとどまらず組織としての決定の基礎をなしているといえる。さらに、代価表作成作業は工事設計内訳書を作成する毎に恒常的に行われるもので、個人の判断で必要に応じて作成される個人メモとは性格が異なる。従って、代価表は、区政情報に該当し、条例4条に基づき、その保存の方法、廃棄の時期等に関しては区政情報として適切に取り扱う必要があった。

  以上により、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

中野区情報公開審査会

委員 兼子 仁(会長)
委員 岸本有巨
委員 幸田雅治
委員 佐藤信行
委員 府川繭子

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