情報公開審査会答申(第23号)

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更新日:2023年8月3日

答申第40号
2007年7月13日

中野区教育委員会 殿
 
中野区情報公開審査会
会長 兼子 仁

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)

2005年3月28日付け、16中教教第1791号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

区政情報一部公開決定処分に係る異議申立てについて(諮問)

1 審査会の結論

本件の請求情報について一部非公開とした決定は、妥当であると認められる。

2 不服申立ておよび審査の経緯

(1) 異議申立人 (以下「申立人」という。) は、2005年2月2日、中 野区区政情報の公開に関する条例 (以下「条例」という。) 7条にもとづき、実施機関である中野区教育委員会 (以下「実施機関」または「区教委」という。) に対し、以下の区政情報の公開請求を行った。

1. 平成16・17年度の体育指導委員の年齢または生年
2. 平成16・17年度の体育指導委員の情報提供書の情報提供(推薦)理由
3. 体育指導委員会議等の各種報告書
4. (1)体育指導委員の月額報酬5,000円の根拠、(2)年間252万の報酬に対する教育委員会または総務部財務分野の見解
5. 旅行命令・依頼簿(体育指導委員への実費弁償の支出状況)
6. 文教委員会平成16年度第2回定例会の資料・議事録
7.-1 社会教育法13条による社会教育委員会への諮問
7.-2 社会教育法第14条による報告
7.-3 平成15・16年度の補助金の交付先・内訳
7.-4 平成15・16年度の各社会体育団体からの実績報告
7.-5 中野区社会体育事業の助成補助金交付要綱4条3号による方策
8. 一般開放受付業務の中野区パドルテニス連盟への来年度業務委託の情報

(2) 区教委は、公開する情報の特定に時間がかかるとの理由で、決定通知期間を同月25日まで延長する決定をなし、2005年2月17日付けで、区政情報公開決定通知期間延長通知書を送付して申立人に通知した。

(3) 区教委は、申立人に対し、2005年2月24日付けで、条例8条2項にもとづき、申立人の請求のうち、申立人の請求にかかる区政情報の一部である、請求番号3.、4.(総務部財務分野見解を除く部分)、5.、7.-1、7.-3および7.-4を公開することならびに請求番号1.、2.、4.(総務部財務分野見解)、6.、7.-2、7.-5および8.を以下の理由により非公開とすることを決定し、区政情報一部公開決定通知書を送付して通知した。

1.につき 個人情報保護のため。
2.につき 体育指導委員の資質・能力の判定に関する行政執行情報保護のため。
4.につき 文書不存在(総務部財務分野の見解)のため
6.につき 資料(平成15年度事業報告および収支決算報告書、平成16年度事業計画書・収支予算書)・議事録ともに区政資料センターで閲覧可能であるため。
7.-2および7.-5につき 文書不存在のため
8.につき 文書不存在のため

(4) 申立人は、2005年3月18日付けで、区教委に対し、条例13条1項にもとづき、請求番号1.、2.に対する非公開決定を不服として異議申立てを行った。

(5) 異議申立ての審査行政庁である区教委から当審査会に対し、2005年3月28日付けで、条例13条2項にもとづき、申立人の異議申立ての審査を、16中教教第1791号をもって諮問した。

(6) 区教委は、当審査会に、2005年5月25日付けで、一部公開理由説明書を提出した。

(7) 申立人は、当審査会に、2005年7月5日付けで、意見書を提出した。

(8) 当審査会は、区教委から、2007年2月2日、事情聴取を行い、同年4月20日、申立人から口頭意見陳述を受けた。

3 審査会の判断

 申立人の主張は、請求にかかる区政情報が、体育指導委員の選考要件とされている事実であるとしてその公開を必須とし、区教委のなした非公開決定に理由がないとするものである。

 他方、区教委のなした非公開決定の理由は、請求番号1.については、個人情報であること、請求番号2.については、個人情報でありかつ体育指導委員の資質・能力の判定に関する評価の情報であって行政執行情報保護の必要がある反面、公開を相当とする理由がないとするものである。

 ところで、請求番号1.および2.の区政情報は、いずれも体育指導委員候補者の個人情報であるところ、条例9条1項は「実施機関は、区政情報のうち個人情報の公開請求があったときは、請求理由を聴取のうえ、公開することを相当と認める場合に限り、公開するものとする」と規定している。

 そこでまず、区教委が、条例9条1項の請求理由の聴取を行ったか否かを検討する。

 区教委が非公開決定を行うにあたり、あらためて申立人から請求理由を聴取した事実は記録上認められない。しかし、すでに申立人は、区教委に対し、公開請求に際し、請求理由を詳細に明らかにしており、区教委があらためて請求理由を聴取しなかったとしても、条例9条1項の請求理由聴取手続の趣旨を実質的に満たしており、区教委が非公開決定を行うにあたり、同項の手続を欠く違法があったとは認めるには足りないというべきである。

 次に、区教委のなした非公開決定が、請求理由に照らし、公開を認めるに足る相当な理由があったか否かを検討する。

 申立人が請求理由に示した請求理由及び申立人の口頭意見陳述の結果によれば、申立人の主張は、1.については、新任体育指導委員の選考要件の1つとして55歳未満とされているところ、これを超えるとみられる体育指導委員がおり、体育指導委員一般に年齢要件外の者が選任されている疑いがあるので確認したい、2.については、地域センター所長宛の「体育指導委員情報提供の依頼」によれば、「各地域で適任と思われる方について情報提供を求め」、「地域の方々に委嘱している」とされているところ、地域センター選出の体育指導委員の中には、地域センター地域外に居住する者が選任されていること、特に上鷺宮選出の体育指導委員は上鷺宮地区で積極的な活動をしている事実はみられないことなどに照らして、各地域センター選出体育指導委員、体育協会および教育委員会選出体育指導委員について、その推薦母体及び推薦理由を確認したい、というものであり、要するに申立人の請求理由としては、体育指導委員の選任の違法・不当および区教委と特定団体の癒着にかかる疑いを解明するための資料収集にあると認められる。

 しかし、まず、中野区における体育指導委員の選任は、中野区体育指導委員に関する規則(昭和37年4月2日教育委員会規則第2号)を根拠とするところ、同規則中には、申立人が疑義の根拠とする「55歳未満」、「地域との関連性」を選任の要件とする規定は存在しない。

 また、同規則7条は、同規則の施行に必要な事項は教育長が定めることを規定しているのであって、体育指導委員選任にあたり、候補者の適性・能力をいかに斟酌し選任するかは実施機関の裁量に委ねられ、裁量権の明白な逸脱が認められる特段の事由がない限り、体育指導委員選任の適法性および当否を論じ得ぬところ、上記の過程を経た審理の結果、かかる裁量権の明白な逸脱を疑うに足る事実も認め得ない。さらに、区教委に対する事情聴取の結果によっても、特に公開することを相当と認める事由は認められない。

 以上の検討によれば、本件においては、区教委が個人情報の非公開決定をなすにあたり、請求理由に照らし公開することを相当と認める事由を認めることはできないというべきである。

 よって、本件においては、区教委の行った非公開決定は相当であったと認められる。

 なお、申立人は、体育指導委員が地方公務員法3条3項2号の特別職地方公務員にあたることから、請求番号1.および2.の区政情報は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法律」という。)5条1号ハの「当該公務員の職および当該職務執行の内容に関わる部分」に該当し、法律の範囲内において定められる条例の解釈上、体育指導委員の年齢は、非公開情報から除外されるべきであると主張する。しかし、請求番号1.の区政情報は体育指導委員の属性、同2.の区政情報は体育指導委員に対する評価情報であって、同号ハの「当該情報がその職務の遂行に関する情報」とは認められないから、これに該当することを前提とする申立人の主張は採用することができない。

中野区情報公開審査会

委員 稲垣隆一
委員 兼子 仁 (会長)
委員 堀部政男
委員 桝潟俊子

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