情報公開審査会答申(第58号)

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更新日:2023年8月3日

答申第58号

2014年7月22日

中野区長 殿

中野区情報公開審査会

会長 兼子 仁

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)

2014年5月1日付け、26中経経第425号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

諮問事項

中野区区政情報の公開に関する条例に係る異議申立てについて(諮問)

1 審査会の結論

桃丘小学校跡施設の表現・文化活動支援事業の公募にかかるA社の応募「提案書」を公開するとした中野区長の決定は、妥当であると認める。

2 異議申立ておよび審査の経緯

(1) 異議申立人(A社(以下「申立人」という。)は、2014(平成26)年4月30日付けで、行政不服審査法48条に基づき、下記の本件公開決定の取消しを求めて、実施機関である中野区長(以下「実施機関」または「区長」という。)に対して異議申立てを行った。
 中野区区政情報の公開に関する条例(2013年度改正施行前。以下「条例」という。)13条2項に基づく2014年5月1日付け区長の諮問により、当審査会は本件異議申立ての不服審査(下記原決定の再審査)を行う次第となった。

(2) 本件異議申立てに先き立ち、当審査会は、2014年3月12日付けの答申(答申第56号。第1次答申)において、上記「提案書」の非公開決定を変更して公開すべきであるとした。
 これを承けて区長は、同年4月16日付けで原非公開決定を変更する公開決定(本件原決定)を行い、これを同日付けで公開請求者・原異議申立人および本件申立人に通知した。
 それに対し本件申立人は、第三者として公開決定の取消しを求める異議申立てを行うとともに、同じ2014年4月30日付けで「執行停止の申立て」をし、同年5月1日付けで区長から「執行停止」決定を受けている(行政不服審査法48条による34条2項に基づく)。

(3) 当審査会の本件審査に際し、実施機関・区長から2014年5月22付けで理由説明書が提出された。
 それに対し申立人は、同年6月19日付けで意見書を提出するとともに、同年6月25日、口頭意見陳述を行っている。また、当審査会は、同日、実施機関からの事情聴取を行った。
 なお、当審査会の会議による下記の判断および上記の結論として、本件公開決定は妥当として維持されるべきものとされるので、本件で反対利害に立つ公開請求者・原異議申立人に対しては、条例15条5項に基づく「関係者」意見聴取等のための連絡を特段していない。

3 審査会の判断

(1)本件「提案書」の公開が申立て法人にいかなる種類の不利益をもたらすのか

1) 申立人である本件法人は、原公開決定に先き立つ第三者意見申出手続において、他の応募事業者と異なり特段の申出をしておらず、表記の“公開不利益”については、まずは異議申立書を敷衍した執行停止申出書の理由として、「プロジェクトに参加されていた方が参加していたことを公開されたくないと申請」されているので、「公開されれば現在関わっているプロジェクトにも影響を及ぼし、公開後の回復が困難です」と記載している。
 つぎに、当審査会に提出された申立人の意見書(上記)において、「応募当時、公開される予定はなく、今になり不採用提案書として関係者の主体的判断以外で公開されれば、関係者の営業利益および営業競争力に著しい影響を与える可能性」があり、「損害が生じる可能性がある」と記されている。
 さらに、申立人は口頭意見陳述(上記)では、プロジェクト参加の1社とは本提案書限りのコミットで、不採用情報の公開はとりわけその社の著しい不利益をもたらす、と主張した。

2) ここに主張された申立人にとっての公開不利益は、提案事業の内部における企業間の事情を主とし、しかも応募提案書の非公開の予定を前提にしている。
 それに対し、すでに第1次答申において当審査会は、条例上の公開原則をふまえ、本件提案書の事業内容に照らした公開性について判断したところであった。
 しかし本件審査にあっては、申立て法人が個別に公開不利益の主張を提出しているので、それにつき有意味な範囲で改めて法的な判断を行うことにする。

(2) 本件の審査における異議申立て法人の公開不利益に関する判断

1) 2013年度から改正施行された条例8条1項2号では、区政情報(公文書)に記載された法人情報は、「公開することにより、事実上明らかに不利益と認められるもの」に限り非公開にできると規定されるにいたっている。
 それに対し、本件決定の当時は旧条例下の運営要綱5条の2第1項1号において、法人の「競争上又は事業活動上の地位その他正当な利益を害するおそれのあるもの」が非公開の根拠だと書かれていた。
 そこで法人の“公開不利益”の蓋然性の程度に若干のちがいが存したとはいえ、区政情報の公開原則の例外である法人情報保護としては、本来“公開不利益”による非公開の根拠は、情報の性質・項目に応じて限定的に見定めなければならない。

2) 本件のごとく行政跡施設の地域的活用という“公共的業務”に関して、適格な委任事業者を公募選定するに際しての企画「提案書」は、応募事業者の公共的適格性を行政が選定する際の比較根拠資料であって、選定行政の透明・公正を求める区民の知る権利とのかかわりが深い。
 したがって応募「提案書」は、法人情報保護の特に高度な必要性のない限り、公開されるべき公共的要請がある。
 現に本件の公開決定は、申立人(を含む)他応募事業者による“公開不利益”主張を当審査会として厳格に審査し、非公開にすべき不利益の蓋然性なしと答申した結果で、その対象に申立人の応募情報も含まれていたのであった(第1次答申)。
 そしてその答申末尾の付言をふまえて、その後中野区の実施機関は、行政の民間委託公募に際しての「実施要領」に応募「提案書」の原則公開を明記するようになったと報ぜられており、その下での提案書にどのような法人・企業情報の記載がなされるのかが、たいへん興味深いところだと考えられる。

3) 以上の見地をふまえて当審査会は、本件「提案書」における法人情報の要保護性を改めて判断していくことになる。
 第1に、第1次答申に先き立って提出された他の応募事業者の提案書および“公開不利益”主張と、本件申立人の提案書および上記主張とを比べる必要があり、とりわけ申立人にとっての公開不利益が格別に重大かどうかが問われる。
 第2に、各業種通常の事業競争上で他に知られたら模倣されて不利益を受けるような事業ノウハウ情報のレベルでは、行政公募の選定資料として応募「提案書」に記載して提出された場合、公開される予測を伴わせているべきところと考えられ、本件記載の申立人事業情報がそのレベルを質的にはるかに超え出ているのかどうかが問われる。

4) 上記2点の視点に立って、本件申立人法人情報の非公開性について、以下具体的に判断していく。

1 本件「提案書」に示された、申立人提案企画での参加2法人の参加情報というものは、申立人と2法人とによる絵画等創作力養成プロジェクトの非地域限定性に照らして、強い非公開保護には値しないと判断される。 

2 参加2法人が打ち出す事業企画提案には、たしかに国際的広がりへの展望が目立っているが、事の性質上それは企業秘密的な非公開性にはむしろつながりにくいであろう。 

3 提案「収支計画」の法人情報も、各法人の経理情報そのものではなく、施設利用料金表の範囲であって、他提案書に比して非公開性が強いとはとうてい目されない。

以上により当審査会は、標記のとおり本件申立人の「提案書」を公開するとした区長の決定を妥当であると結論するものである。

 なお、本答申に基づき区長が異議申立てを棄却する決定を行う場合には、本件執行停止決定も併せ取り消されることになるものと解される(公開実施措置との間に適切な日数を残すことを別論として)。

中野区情報公開審査会 

委員 稲垣隆一 

委員 大塚孝子 

委員 兼子 仁(会長)

委員 幸田雅治 

委員 桝潟俊子 

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