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最終更新日 2016年10月17日
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情報公開審査会答申(第57号)

 答申第57号
2014年3月12日

中野区長 殿

中野区情報公開審査会

会長 兼子 仁

 

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)

2013年6月17日付け、25中経経第758号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

区政情報非公開決定処分に係る異議申立てについて(諮問)


1 審査会の結論

本件の公開請求対象文書については、実施機関の非公開決定を取り消し、公開すべきである。

2 異議申立ておよび審査の経緯

(1) 異議申立人((○○○○さん。 以下「申立人」という。)は、2013年5月1日、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)7条に基づき、実施機関である中野区長(以下「区長」または「実施機関」という。)に対し、「哲学堂公園運動施設」に関して、A社が指定管理者の応募書類として提出した提案書の公開請求を行った。

(2) 区長は、2013年5月10日、A社に対し、本件区政情報の公開に関する意見照会書を送付した。A社は、同月20日、公開に支障があるとする意見書を区長に提出した。

(3) 区長は、2013年5月27日、提案書を公開すると、当該事業者の権利、競争上または事業活動上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとの理由により、区政情報非公開決定をなし、同月27日、申立人は、同決定を記載した区政情報非公開決定通知書を受け取った。

(4) 申立人は、区長に対し、2013年6月6日、条例13条1項に基づき上記非公開決定の取消しを求めて異議申立てを行い、同日付け異議申立書を提出した。

(5) 区長は、当審査会に対し、2013年6月17日、条例13条2項に基づき、申立人の上記異議申立ての審査の諮問をした。

(6) 区長は、2013年7月12日、A社を本件異議申立ての参加人として許可した。

(7) 区長は、2013年8月22日、当審査会に対し、区政情報非公開決定理由説明書(以下「理由説明書」という。)を提出した。

(8) 当審査会は、2013年9月6日、実施機関に対し、意見聴取を行った。
   当審査会は、同年10月28日、上記の参加人に対して意見聴取を行った。参加人は、同年11月20日付けで、当審査会に対し、意見聴取に関する補足説明書を提出した。

3 当事者・参加人の主張と理由

(1)申立人

 申立人は、「哲学堂公園運動施設」に関して、参加人が指定管理者選定の応募書類として提出した提案書は、以下の3点により公開すべきであるとする。

ア 提案書は、区民等一般利用者が当該運動施設がいかに管理・運用されているかを知り、改善を求める際の参考となる資料であること。

イ 練馬区においては、同様の指定管理者決定事業者の提案書を公開しており、行政として一貫した処分がなされないことの理由が不明確であること。

ウ 提案書はあくまで事前の計画書であり、具体的な仕様・金額等が記載されているものではなく、公開できないとされた理由には該当しないこと。

(2)実施機関

 実施機関は、2013年8月22日付け区政情報非公開決定理由説明書において、提案書は、以下の理由により、条例8条1項2号に該当し、非公開とした。

ア 事業者は、提案書を公開することは多大な損害を招く可能性があり、具体的な内容については公表を控えたいと主張していることから、提案書に書かれている情報は、事業者自ら公表していない内部情報であると考えられること

イ 提案書の内容は、条例の解釈・運用指針で原則非公開とされている見積書などに記載されている金額や数値でなくても事業者の利益を生み出すものであり、事業者の競争力を支えるものと考えられること

ウ 提案書は、有利な交渉順位を得るための内部情報であり、これを公開すると、同業他社もその情報を入手することができ、競争上の地位を脅かされる可能性があること
 また、実施機関は、一部公開としなかった理由として、枠や表紙だけでは公開の趣旨を満たさないこと、統一的な制度運用の観点からとしている。

(3)参加人

 参加人は、2013年11月20日付け参加人補足説明書添付の提案書のうち、マスキングした部分を以下の理由により、非公開とすべきとする。

ア 非公開とする部分は、不正競争防止法2条6項に定める「営業秘密」に該当する。

イ 非公開とする部分は、以下の理由により、条例8条1項2号に定める「事業上明らかに不利益を与えると認められる」に該当する。

1) 非公開の部分は、参加人が指定管理期間中(2006年4月1日から2011年3月31日)に独自の営業努力で得た情報を基に分析を行い、経験やノウハウ等参加人のオリジナルで未公開のもの、かつ競合他社に知られたくない情報であること。

2) 提案書には、参加人が指定管理者業務で培った上記の情報がデータとして流用され、またプレゼンテーション効果を高めるための表現意匠が使用されており、競合他社の知るところとなると一般競争を戦っていくにあたり不利な立場になることは明らかであること。

3) 組織(員数、構成、シフトなど)に関する情報、回数や単価といった数的情報は、入札予定価格を探るうえで重要な参考資料となるから、これを公開することは明らかに不利益となること。

4 審査会の判断

(1) 条例1条「区民の知る権利」の保障

 条例1条は、区民の知る権利の保障として、区民が実施機関に対し、区政情報の公開を請求することを認めている。区政の一部を担当する事業者の適格性を判断するため、その裏付けとなる区政情報の公開を求めることは、区民の知る権利の重要な保障に当たると認められるべきである。
 条例8条1項2号は、法人に関する情報で、当該情報を公開することにより、事業上明らかに不利益を与えられると認められるものは非公開とする旨規定しており、公開が制限されるのは、きわめて例外的な場合に限られている。

(2) 提案書の位置づけ

 実際の事業計画は、毎年度提出される「履行計画書」によって、示されるが、履行計画書は、中野区運動施設等の管理運営に関する基本協定(以下「基本協定」という。)、指定期間の各事業年度における事項について別に定める年度協定(以下「年度協定」という。)、中野区運動施設等指定管理者候補者募集要項(以下「募集要項」という。)および中野区運動施設等管理運営業務仕様書(以下「仕様書」という。)ならびに提案書に基づいて策定するものとされ(基本協定22条)、管理の基準としては、基本協定、年度協定、条例および関係法令のほか、募集要項および仕様書ならびに提案書に従って実施するものとされている(同8条)。
 したがって、提案書は履行計画書に示された実施事業活動の内容の裏付けとなる重要な資料といえる。実施事業活動の内容は、区政の一部を担当する事業者が区政担当者として適格であるかどうかを判断するための資料であり、提案書も含めてその適格性を判断する必要がある。提案書に記載されている事業者のアイディア・ノウハウも、それが事業上明らかに不利益を与えると認められない限り、区政の一部を担当する事業者が区政担当者として適格であるかどうかを判断するために必要であるから、原則公開されなければならない。このことは、実施事業活動の内容である履行計画書が原則公開とされる運用であることからも当然と判断される。

(3) 募集要項について

 募集要項第8-4-(4)-イに「提出された書類は、指定管理者の選定以外の目的には使用しません」との記載があるが、この趣旨は、外の事業には使用しないということであり、条例の対象にならないということではない。

(4) なお、仕様書12には、管理運営業務に関わる情報の公開に努めるものとし、指定管理者から区に提出された文書等は、区政情報として当該条例に基づく公開の請求対象になると規定されている。

(5)  以上より、条例8条1項2号に定める「事業上明らかに不利益を与えると認められる」として非公開を相当とするのは、きわめて例外的な場合に限られる。
 そこで、公開することが事業上明らかに不利益を与えると判断するには、[1]事業上の利益であること、[2]公開することは不利益であること、[3]事業上明らかであることを示す必要がある。事業上「明らか」といえるためには、公開することによって、事業上の利益が害されることの可能性だけではなく、高度の蓋然性が必要である。
 実施機関は、情報を公開することにより事業上明らかに不利益を与えられるとする場合の判断基準を示していない上、本件提案書の内容が事業上明らかに不利益であることの可能性しか言及しておらず、蓋然性についての主張がなされていない。また、参加人からもそれを認めるに足りる主張はなされていないと判断される。

(6) なお、参加人から、提案書のうち、マスキング部分は、不正競争防止法2条6項の「営業秘密」に該当するから、非公開とすべきとの意見が出されているので付言する。
 同法2条6項の営業秘密として保護されるためには、[1]それが秘密として管理されていること(秘密管理性)、[2]有用な営業上又は技術上の情報であること(有用性)、[3]公然と知られていないこと(非公知性)が必要であり、参加人からは、これらの要件について行政公募手続との関係で具体的な主張・立証がなされていないため、営業秘密に該当するとの判断はできない。

よって、審査会の上記結論のとおり判断する。

5 本答申に際しての付言事項

 区政の一部を担当する事業者の適格性を選定する行政公募において、応募事業者が提出した「提案書」は、行政の公的な選定根拠資料として公開することが要請されるが、条例8条1項2号に基づく事業者情報の例外的非公開との関係があることも確かである。

 当審査会は、この問題への中野区らしい取り組み方として、今後は事業者公募の募集要項に、「提案書は公開するものとする」と明記し、そこで文書公開される法人情報の如何を応募事業者の選択にゆだねることが適切であると考える。もっともこの場合にあっても、非公開の選定委員会に口頭提示され記録された応募事業者の法人情報が、条例8条1項2号に該当する範囲で非公開とされることは、業務上生じ得るであろう。ただしこうした上記のことは、選定事業者と非選定事業者とで別異になることはないと解されるのである。

中野区情報公開審査会
委員 稲垣隆一
委員 大塚孝子
委員 兼子 仁(会長)
委員 幸田雅治
委員 桝潟俊子

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