情報公開審査会答申(第53号)

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更新日:2023年8月3日

答申第53号
2012年4月25日 

中野区長 殿

中野区情報公開審査会
会長 兼子 仁

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)

2010年11月10日付、22中経経第1896号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

諮問事項

中野区区政情報の公開に関する条例に係る異議申立てについて(諮問)

1 審査会の結論

 特定個人の強制保護に関する区政情報の「公開」請求に対しては、存否応答拒否であってやむをえない。関係者である異議申立人には別途の申立て手続があるように認められる。

2 異議申立ておよび審査の経緯

1) 異議申立人(○○○○さん。以下「申立人」という。) は、2010年8月12日付けで、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)7条に基づき、家族である特定個人の「強制保護に関する情報公開可能な一切の資料」について、条例の実施機関である中野区長(以下適宜、「実施機関」または「区長」という。)に対して「公開請求」を行った。これに対し実施機関は、同年8月30日付けで、条例8条の2に基づき「請求情報の存否を明らかにしない」存否応答拒否の決定を通知している。
 申立人は同決定につき、同年10月29日付けで区長に異議申立てをし、区長が同年11月10日付けで当審査会に諮問したものが、本件である。

2) 当審査会の審査手続において、実施機関から同年12月15日付けで理由説明書が提出され、これに対し申立人は2011年4月11日付けで意見書を提出した。
 その後、当審査会は2012年3月16日に、申立人による口頭意見陳述を受けるとともに、実施機関からの事情聴取を行っている 。

3 審査会の判断

3‐1 本件公開請求に対する「存否応答拒否」の妥当性について

1) 中野区の条例にあっては、個人情報の公開請求に関し「請求理由」を聴取するむねの規定(9条1項)があるのでまぎらわしいが、請求理由は対象文書の特定に深くかかわるとしても、情報公開制度の基本を動かすものではない。
情報公開は、「何人」(条例7条1項)に対しても一律に請求区政情報を一般公開するしくみであり、「公開できない相当な理由」(条例7条1項)もすべての人に共通に押えなければならない。
 本件で申立人がノミネイトした特定個人名が、申立人の近親家族であるとしても、申立人だけに特別な情報公開を決定する根拠は、条例中には存しないと解される。

2) 本件の「公開請求」は、特定個人について「強制保護」に関する個人情報文書の一切を対象としているので、実施機関がこれに応ずる決定をすると、その特定個人が強制保護を受けたか否かの個人情報を含めて一般に公開することになるので、「請求情報が存在しているか否かを明らかにするだけで、公開できない相当な理由がある情報を公開するのと同様の結果を生じることとなるときは、実施機関は、当該請求情報の存否を明らかにしないで、当該公開請求を拒否することができる」との条項(条例8条の2)を発動せざるをえないのである。
 申立人にとっては、家族である特定個人の強制保護の事実が前提となっているようであるが(異議申立書など)、条例に基づく区の公開決定によって、一般には知られていない特定個人強制保護事実の有無を明らかにするわけにはいかないのである。

3‐2 申立人にとっての請求情報入手の手だてについて

 本件公開請求に関して申立人が主張するところによると、申立人家族の特定個人が区により「強制保護」措置を受けたその施設名を知ることが肝要のようである。
 そこで申立人側からその情報を入手する手だてとしては、中野区個人情報保護条例に基づく「自己情報開示請求」が存するように考えられるが、その具体的な可否は、当審査会とは別な個人情報保護審査会の所管事項に当たり定かでない。
 それ以上に、本件の審査資料において当審査会に顕著となった情報によると、申立人に家族個人の居場所を教えないのは、申立人に対する「面会制限」によるようであるが、その措置が、当初的には区のそれであったのが、今日では、すでに家庭裁判所による後見開始の審判に伴ない選任された「成年後見人」の代理意思に因るところのようである(申立人の意見書、実施機関の理由説明書等)。
 そうすると、申立人が本件請求情報の入手をめざすことにかかわりうる手だてとしては、成年後見人の代理による面会制限の当否が問われているので、家庭裁判所に対する「家事調停の申立て」(家事審判法17条、家事事件手続法244条に基づく)もあると考えられる。
 もとより、申立人の本件をめぐる取りくみ方は、申立人の自由に属するが、条例に基づく本件公開請求の形では申立人の目的を達しがたい所以は、前記のとおりなのである。
なお、以上の本件答申は、情報公開に関するものであるため、その公的表示によって申立人の個人情報が識別されないように配慮して記している。

中野区情報公開審査会

委員 稲垣隆一
委員 大塚孝子
委員 兼子 仁(会長)
委員 堀部政男
委員 桝潟俊子

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