情報公開審査会答申(第1号)

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更新日:2023年8月3日

61答申第1号
昭和61年10月1日

中野区長
神山好市 殿

中野区情報公開審査会
会長 井出嘉憲

個人情報の公開請求に関する事前審査について(答申)

 昭和61年7月14日付61中中保総衛第146号により諮問された下記の事項について、別紙のとおり答申します。

諮問事項

 請求理由のいかんを問わず、狂犬病予防法第4条第1項に規定する犬の登録申請書、または同法同条第2項に規定する犬の原簿に記載された事項のうち犬の所有者の住所及び氏名を公開すること。

61答申第1号

1 審査会の結論

 犬の登録申請書または犬の原簿に記載された事項のうち犬の所有者の住所及び氏名を一般に公開することに相当の理由があるとは認められない。

2 実施機関が公開を相当と認める理由

 諮問書2(2)の「公開を相当と認める理由」及び実施機関の職員(中野保健所総務衛生課長)の説明を総合すると、実施機関が請求理由のいかんを問わず、犬の登録申請書または犬の原簿に記載された事項のうち犬の所有者の住所及び氏名を公開することを相当と認める理由は、次のとおりである。

(1) 狂犬病予防法は、狂犬病の発生を予防するため犬の所有者に注射済票等を犬に付けさせ、狂犬病予防の注射を受けたかどうか等の事実を第三者に識別できるよう義務づけている。

(2) これらのしくみは、狂犬病予防注射済みかどうかの事実、またはどこに犬が飼養されているかの事実を第三者に対して明らかにすることにより、狂犬病の発生や犬による咬傷事故を予防しようとするものである。

(3) したがって、保健所に保管する犬の登録申請諸島に記載された事項のうち犬の所有者の氏名及び住所を公開することによって、どこの誰が犬を使用しているかという事実を第三者に対して明らかにすることは、狂犬病や犬による咬傷事故を防止することを目的とする法及び都条例の趣旨にか適ったものであり、公益性があると思われる。

3 審査会の判断理由

 どこの誰が犬を飼養しているかということは、個人生活に関する情報で、特定の個人を識別できるものであり、これは、中野区区政情報の公開に関する条例第2条第3号に規定する個人情報に該当する。

 同条例第12条第1項は、個人情報については、「公開することを相当と認めた場合に限り」公開することとしている。すなわち、個人情報は、非公開を原則とし、公開が特に相当とされる場合に限って例外的に公開することとしている。

 当審査会は、犬の所有者の住所及び氏名については、一般に公開する相当の理由は存しないと、次のように考える。

(1) 都条例の趣旨は、犬の標識により、犬による咬傷事故の防止を図ることにある。個別、具体的に発生する犬による咬傷事故を防止するためには、犬の存在を個別に明らかにすることで十分である。したがって、犬の所有者の住所及び氏名を一般的に公開することまでは、要求されていない。

(2) なお、都条例が規定する犬の標識の掲示は、犬の存在を公表するものであり、犬の所有者がだれであるかを一般的に公示する趣旨のものではない。

(3) 実施機関の職員の説明によると、(ア)区内で発生する犬による咬傷事故は、ここ数年、登録件数の1%を下回る、毎年30~50件程度であり、いずれも軽傷事故であり、また、犬の咬傷を原因として引きおこされる狂犬病は、昭和31年以来、国内では発生していない。(イ)区内の犬の所有者の大半は、標識掲示義務を履行していると想定される、ということである。

 従って、仮に、一部の犬の所有者が犬の標識を掲示する義務を履行していないとしても、これらの点を考え合わせると、犬の所有者の住所及び氏名の公開よりもたらされる犬の咬傷事故を予防する実質的効果は、極めて小さいと思われる。

(4) これに反し、犬の所有者の住所及び氏名を公開することによるプライバシーの侵害(例えば、名義がダイレクトメールに使われたり、セールスに来られたり、電話されたりするわずらわしさやトラブル等)のおそれは、犬の所有者全員に及ぶものである。

 従って、プライバシーの保護の重要性を考えると、犬の所有者の住所及び氏名の一般公開は、避けるべきと考える。

4 審査の経過

昭和61年7月14日 諮問を受けた。
昭和61年7月23日(第2回審査会) 諮問の審査を行った。
昭和61年8月28日(第3回審査会) 諮問の審査を行った。
昭和61年10月1日(第4回審査会) 諮問の審査を行った。答申を行った。

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