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最終更新日 2013年12月9日
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情報公開審査会答申(第11号)

答申第11号
1997年3月27日

中野区教育委員会 殿

中野区情報公開審査会
会長 井出嘉憲

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)

 1994年9月30日付、6中教学庶第314号及び1995年8月3日付、7中教学庶第212号による下記の諮問について別紙のとおり答申します。

諮問事項

 区政情報非公開決定処分・一部公開決定処分に係る異議申立てについて(諮問)

1.審査会の結論

(1) 中野区教育委員会(以下「区教委」という。)が東京都教育委員会(以下「都教委」という。)に提出した体罰事件の事故報告書に関し、その原本ないし「控」ならびにその報告内容情報および学校側聴取記録の本件各公開請求に対して、区教委が公文書不存在を理由に非公開決定をしたことは、違法でない。

(2) 区教委が、都教委に提出した体罰事件の事故報告書の起案書、および体罰事件状況調査の学校個表、ならびに教員の事故報告書の本件各公開請求に対して、学校名・記入者名等を除く一部公開決定をしたことは、適法である。

(3) 区教委が、体罰教員関係文書の本件公開請求に対して、文書不存在を理由に非公開決定をしたことは、適法である。

2.異議申立て及び不服審査の経緯

(1) 本件の異議申立人(以下「申立人」という。)は、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)に基づき、第1に、区教委が都教委に提出した体罰事件の事故報告書(1993・94年度。以下「事故報告書」という。)に関し、順次以下のような公開請求を行い、実施機関である区教委から非公開決定を受けている。

A 事故報告書の原本に関する1994年6月29日付及び1995年3月27日付の公開請求に対し、1994年8月30日付及び1995年4月12日付で区教委がした、都教委へ提出済みのため公文書が不存在であることを理由とする非公開処分(以下「A処分」という。)。

B 事故報告書の「控」およびその「報告内容の分かる記録」ないしその作成に際し「学校側から聴取した記録」に関する1995年3月27日付の公開請求に対し、同年4月12日付で区教委がした、それら文書の不存在を理由とする非公開処分(以下「B処分」という。)。

C 事故報告書の「起案書」に関する1995年3月27日付の公開請求に対し、同年4月12日付で区教委がした、学校名・記入者名等を部分秘とする一部公開処分(以下「C処分」という。)。

(2) 申立人は第2に、学校から区教委に提出された体罰事件の「教員の事故」報告および「体罰事件状況調査の学校個表」につき1994年6月24日付で公開請求をし、4同年7月15日付で区教委から、学校名・記入者名等を部分秘とする一部公開処分を受けた(以下「D処分」という。)。

(3) 申立人は第3に、体罰教員からの事情聴取記録や本人顛末書等(体罰教員関係文書)の公開請求を1994年6月29日付で行い、E同年8月30日付で区教委から、文書不存在を理由とする非公開処分を受けた(以下「E処分」という。)。

(4) 申立人は、上記の諸処分に関し、各異議申立書、および実施機関・区教委の理由説明書に反論する各意見書、ならびに他自治体における公開動向を示す諸資料等を提出したうえ、本件の一括審理を了承して、区教委の諮問を受けて審査する中野区情報公開審査会(以下「審査会」という。)の前で、1996年2月21日に口頭意見陳述を行っている。

3.審査会の判断

 申立人と実施機関・区教委との間における本件の争点に対し、当審査会は以下のとおり判断する。

(1) 上記のA処分において、区教委が、本件公開請求で対象とされた事故報告書原本は、都教委へ提出済みのため、所管公文書としては不存在であると記していることは、事実に則していると認められる。ただし、申立人の1994年6月30日の当初請求に対して、区教委が申立人の真意を十分確かめ、関連する文書形式について考慮していたならば、前記不存在に関する本件争訟を防止しえたものと考えられる。現にこの点は、1996年2月段階で区教委が当審査会に対し、申立人の公開請求を文書単位で処理し「情報」単位で取り扱わなかったことを反省する意思を表明している。今後における条例運用の方針とすべきであろう。

(2) 上記のB処分に関しては、区教委が事故報告書原本の「控」としては作成していないため、その公開請求は認められるに由ない。しかし、その後C処分において判明したように、事故報告書の「起案書」に報告書コピーが添付され、これが公開請求対象になりうるため、知る権利にとっては、そのことが当初処理において上記の運用として判然とされるべきであった。

 また、学校長からの事故報告書以外に、都教委あての報告に際し、「報告内容の分かる記録」なし「学校側から聴取した記録」が存在していない事実も、これを認めることができ、それらの文書が特段制度上予定されない以上、それらの不存在も相当であると考えられる。

(3) 上記のC処分およびD処分は、申立人に対して、請求時期における体罰事件の公的記録として、都教委へ提出した区教委報告の起案書ならびに学校から区教委に出された教員事故報告および調査個表が、一部公開決定されたものである。申立人は、そこにおいて学校名等が部分秘とされたことを争っている。

 この点、実施機関・区教委は、当初の理由説明書では、学校名が明らかになると、学校の一面的評価や関係者の不安を招く恐れにより「学校教育上問題が生ずる」と述べていたが、1996年2月段階で当審査会に対し、いわば非公開理由を圧縮して、「校名を明らかにすると、関係児童・生徒の特定はきわめて容易となり、体罰に至った経緯等、児童・生徒のプライバシーを著しく侵害するおそれがある」という理由のみを主張するにいたっている。

 他方、申立人は、本件の各意見書および口頭意見陳述において、学校教師の体罰を防止するために学校情報の公開が一般に重要であり、とりわけ「学校名」は公立学校の校長・教員の責任意識の発生源なのであって、その公開によって体罰報告内容の正確化と反省意識の喚起がなされ、それを公開せずに体罰の抑止効果は望めない、と強調している。同時に、個人情報が識別される部分は非公開であってやむをえないと述べている。

 そこで当審査会が、本件で一部公開となった2件の事故報告書の全文を精査したとき、すでに公開されている体罰事件の発生状況および対応状況の記述が十分具体的であるため、これに学校名の公開が加わるならば、機微にわたる詳細な内容の個人情報の識別可能性が当該学校の関係者にとって著しく高まることが明らかであると認められる。学校名づきの日付入り事故報告書が一般公開されることにより、当該学校関係者の目に広く事故関係個人の言動情報がふれる可能性を想定しなければならないからである。このように体罰の事故報告書にあっては、学校名が体罰被害者側の個人情報と実質的に区分しがたいという特色が見出される。(そこでこうした体罰事故報告書の情報公開としては、被害者側の言動情報はすべて非公開としたうえで、体罰教師の言動を始め学校側の情報を学校名・教員名を含めて公開するという方式も考えられるが、本件においてはすでにこの方式は採りえないところとなっている。)

 もっとも、被害者側の個人情報が識別されても体罰事件報告書を公開することに一般人権保障のための公益的必要が大である、という考え方は有りうるであろう。この点当審査会においても、教育情報に関し学校名を公開することの積極的意義を重んじ、学校名を出すことに伴う個人識別可能情報の公開について体罰被害の関係者から同意を取る方途が論議された。しかし、討議の中で意識されたところでは、情報公開条例に基づいて公開請求された個人情報の本人に逐一同意を求めそれのみを公開の決め手とすることは一般に採用されていない。ところが、多くの体罰事故報告書には、体罰前における被害児童・生徒の言動や事故後における保護者側の言動がかなり具体的に描写される部分が含まれているためこれらが要注意個人情報として識別されないようにすることが、個人情報保護条例との関係で肝要と考えられる。

 他方で、体罰事故報告書に含まれる個人情報部分の公正確保は、本来本人側からの自己情報開示請求等によるべきところであり、そこで入手した自己情報を各本人が公開に供する場合は別論である。それに対し、本件事故報告書におけるように、体罰事件の発生状況および対応状況の記述に関係者たちの具体的行動が示されており、それらが個人名等を伏せて公開されている場合には、学校名・記入者名等の公開は前記のとおり個人識別可能性を高めることが、考慮されてしかるべきであり、その学校名の公開について関係個人に同意を得ようとするようなことは適当でなく、それは本件申立人の求めるところでもないであろう。

 また、本件にあっては、体罰事件状況調査の学校個表に記された学校名は、たまたま件数が単一であるため、その公開は本件事故報告書の学校名を明らかにする結果となる。

(4) 上記E処分をめぐる争点は、体罰教員関係文書の不存在が真実であるかどうか及び非公開決定通知書に不存在である理由の説明が必要かどうかである。

 まず、当審査会は職権調査により、体罰事故報告に関連する文書として申立人が求めた、教員本人の事情聴取記録や本人顛末書などの体罰教員関係文書は、本件に関しては文書として一切存在していない事実を確認した。

 ちなみにそのことの当否については、地方公務員法上で懲戒処分の事前手続きが全く規定されておらず、最近の東京都および中野区の行政手続条例にあっても公務員身分・職務に関する処分や行政指導を適用除外としているので、現行法下の公務員処分手続きはかなり流動的な運用にゆだねられており、その当否はともかく、本件請求の教員関係文書を確実に存在せしめるべきしくみになっていないと認められるのである。

 つぎに、E処分の非公開決定通知書に非公開の理由として、たんに「文書不存在」とだけ記されていることは、たしかに十分でないと解される。しかし、理由説明書(1995年3月8日付)において不存在であることの理由が一応記されており、また関係文書の不存在に前記のような一般制度的事情が認められるので、本件非公開決定通知書における理由付記の不備を現段階で独立に問う実益はないものと判断されるのである。

4.本件不服審査の処理経過

  1. 1994年9月14日、申立人は、1994年6月30日付の公開請求に対する区政情報非公開処分・一部公開処分に不服があるとして、条例13条1項の規定に基づき、実施機関に異議申立書(以下「第1の異議申立て」という。)を提出した。
  2. 1994年10月3日、実施機関は、第1の異議申立てにつき条例13条2項の規定に基づき、当審査会に諮問を行った。
  3. 1994年10月14日、審査会は、実施機関に対して非公開・一部公開理由説明書の提出を求めた。
  4. 1994年11月30日、実施機関から審査会に対して非公開・一部公開理由説明書が提出された。
  5. 1994年12月16日、審査会は、実施機関から提出された非公開・一部公開理由説明書の写しを申立人に送付し、意見書の提出を求めた。
  6. 1995年3月8日、実施機関から審査会に対して非公開・一部公開理由説明書が再度提出された。
  7. 1995年6月9日、申立人は、1995年3月28日付の公開請求に対する区政情報非公開処分・一部公開処分に不服があるとして、条例13条1項の規定に基づき、実施機関に異議申立書(以下「第2の異議申立て」という。)を提出した。
  8. 1995年6月19日、実施機関から申立人が実施機関に提出した第1の異議申立てについての異議申立書の補正書が提出された。
  9. 1995年6月23日、審査会は、申立人から第1の異議申立てについての意見書を受理した。
  10. 1995年8月3日、実施機関は、第2の異議申立てにつき条例13条2項の規定に基づき、当審査会に諮問を行った。
  11. 1995年8月4日、審査会は、申立人から提出された第1の異議申立てについての意見書を実施機関に送付した。
  12. 1995年9月5日、審査会は、実施機関に対して第2の異議申立てについての非公開・一部公開理由説明書の提出を求めた。
  13. 1995年10月20日、審査会は、実施機関からの意見を聴取した。
  14. 1996年2月14日、実施機関から審査会に対して第2の異議申立てについて非公開・一部公開理由説明書が提出された。
  15. 1996年2月21日、審査会は、申立人からの口頭意見陳述を聴取した。
  16. 1996年2月27日、審査会は、実施機関から提出された第1の異議申立ておよび第2の異議申立てについての非公開・一部公開理由説明書の写しを申立人に送付し、意見書の提出を求めた。
  17. 1996年3月25日、実施機関から申立人が実施機関に提出した第1の異議申立てについての異議申立書の補正書の取下書が提出された。
  18. 1996年5月13日、審査会は、実施機関からの意見を聴取した。
  19. 1996年6月10日、審査会は、実施機関からの意見を聴取した。
  20. 審査会は、本件異議申立てにつき、1995年10月20日、11月18日、12月26日、1996年1月22日、2月21日、4月2日、5月13日、6月10日、7月4日、8月13日、9月27日、10月28日、11月13日、12月20日、1997年1月29日、2月27日、3月27日と審議を重ね、上記結論を得た。

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