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最終更新日 2013年12月9日
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情報公開審査会答申(第17号)

答申第17号
1998年9月11日

中野区長 殿

中野区情報公開審査会
会長 井出嘉憲

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)

1997年3月24日付、8中総総第616号による下記の諮問について別紙のとおり答申します。

区政情報非公開決定処分に係る異議申立てについて(諮問)

1.審査会の結論

 異議申立人の公開請求に係る本件情報は、これを全部非公開とすることは妥当でなく、後記の判断基準に基づき一部公開すべきである。

2.異議申立ての趣旨および経緯

 本件異議申立て人(以下「申立人という。)は、1997年1月8日、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)に基づき、実施機関である中野区長(以下「区長」という。)に対し、「鷺宮 丁目建築物の行政指導等について」の区政情報の公開を請求したが、同年1月16日付で、区長から非公開決定を通知された。申立人はこの決定を不服として、1997年3月13日、区長に対し異議申立てをした。そして、1997年3月24日付で、区長から中野区情報公開審査会(以下「審査会」という。)に対し、条例に基づく諮問がなされたものが本件である。

 審査会の審理において、区長は1997年5月15日付で区政情報非公開理由説明書を提出し、同年11月28日、審査会に対し意見陳述を行っている。これに対して申立人は、1997年7月7日付で意見書を提出し、同年10月29日、審査会に対し口頭意見陳述を行っている。

3.実施機関の主張

(1) 権利侵害の事実の関係人、実施機関による建築行政の妥当性については、本件異議申立ての審査の対象外である。

(2) 行政指導内容は、個人情報にあたり、かつ公開することが相当と認められる理由がない。

1 個人情報の保護(条例5条)

 本件は、個人所有者の違反建築物であり、ある特定個人の行政指導資料であるから、資料全体が特定の個人情報そのものである(意見陳述)。しかも違反内容に関する情報は、個人情報のうちでも最も他人に知られたくないものに属する。

2 建築違反は、非常に多く存在しているが、その中で本件は、重大な違反ではない(意見陳述)。従って、条例9条1項(公益上の必要性)にあたらない。

(3) 行政指導内容を公開とした場合、建築指導行政の(公正または)適正な執行に支障を生じるおそれがある(条例8条1項)。

1 建築指導における行政指導の基準が公開されると、これを悪用した脱法行為が行われる。遵法精神の低下を招き、建築指導行政の適正な執行を妨げる。従って、指導経過も指導結果も公開できない(意見陳述)。

2 現在も指導継続中であり、指導内容を公開すると行政指導に任意に従う意欲を削ぐ結果となる。本件は、任意に除去できると思っている(意見陳述)。

3 また、行政指導に従わなかったことを理由として公開した場合は、制裁的に公開することにほかならず、行政情報の公開制度の目的から逸脱する(意見陳述)。

4.申立人の主張

(1) 日本国民、中野区民として、健康で文化的な生活を維持していくためには、情報、知識を収集、取得する権利が保障されなければならない。中野区長は区民の生活を守るといっている。中野区が違反建築の被害については「当事者同士で解決せよ」という以上、そのためにも情報は公開すべきであると考える。

(2) 1 行政指導内容は個人情報にあたらない。

2 仮に個人情報にあたるとしたら、その個人情報部分を除いて公開できるはずである。行政指導と経過内容の多くは個人情報にあたらない。

3 仮に、個人情報にあたるとしても、近隣の住民の公共の福祉との利益衡量を考えれば、個人のプライバシー尊重以上の必要性があり、条例9条1項にあたり公開すべきである。

 違反者の個人情報は、保護すべき個人情報でない。本件は、悪意に基づく確信犯的な重大な違反事例であり、公開すべきである(口頭意見陳述)。

(3) 1 個々の事件の内容によって、行政の対応が違うのであるから、公開することは必ずしも違反基準の公開に当たらない。

建築行政指導が、個々具体的な事例における諸事情を総合的に考慮しているというなら、公開しても違反基準の公開に当たらない(口頭意見陳述)。

2 現在の建築指導のありかたでは、すでに遵法精神は低下しており、行政指導内容を公開しても、違反助長の影響はない(口頭意見陳述)。

3 違反をそのまま放置していると、違反が増え、隣人間の争いが増える。従って、区がどれだけ指導したか、その指導が守られたかどうかということを公開することは、違反を抑制する効果がある。また、区が指導して違反者がきちんと守ったということであれば、その人の評価も高まる。制裁のための公開にはあたらない(口頭意見陳述)。

5 審査会の判断

(1) 本件公開請求にかかる情報について

 本件で公開請求された情報は、違反建築物が実施機関により発見された時点からの所有者等に対する行政措置の経過が記録されており、所有者の住所、氏名、違反内容、関係者の発言内容、現場調査と調査経過、現場写真、指導内容などが含まれている。

(2) 本件で違反とされる内容

 本件建築物は、建築確認申請を経て建てられた建物(地下1階地上2階建)であるが、完成後確認申請をせずに増築された。その結果屋上にプレハブ建築が行われ使用されている。また、地下1階部分ではカラオケを主として飲食店経営をしているというものである。

(3) 本件情報は個人情報であるか

 実施機関は、本件情報は、所有者である特定個人の行政指導資料であり、請求情報全体が特定個人の情報そのものであり、全てが個人情報である旨主張する。

 しかし、記録全体がある特定個人に関わる情報であるとしても、内容全てが個人生活に関する情報であるわけではない。本件建築物は、個人建主個人所有の建物であるが、地下1階が店舗として使用され、屋上プレハブ部分は寮に使用されている。従って、この違反部分は、個人の事業活動情報にあたり、個人情報ではない。(条例2条3号)

 更に進んで考えると、ある個人が事業用建物につき違反建築をして行政指導を受けたということは、個人事業情報であるか個人情報であるかという問題がある。違反そのものは、個人事業情報であると解せられるが、違反が指摘され指導されたことについての違反者の対応言動情報(行政指導に対する意見、申し入れ、約束、拒否などの発言や行動)は、違反者個人に対する評価につながり、個人情報となる。

 一方、申立人は、違反者の個人情報は守るべき個人情報ではないと主張し、実施機関は個人の不利益情報は他人にもっとも知られたくない個人情報であり、公開されれば違反者のプライバシーが侵害されると主張する。個人の犯罪歴、犯罪情報なども個人情報として保護されてきた状況からすれば、本件取締法規違反にかかる上記の個人情報についても同様に保護の対象となると考えられよう。

(4) 個人情報であっても公開すべき理由があるか

 前記のとおり、本件情報の中には、個人情報に該当する部分があるが、申立人はこの個人情報部分についても、公開することにプライバシー尊重以上の公益上の必要性(条例9条1項)があり、公開すべきであると主張している。

 しかし、本件違反建築物により、個人の生命、身体、財産が危険にさらされたり、住環境を著しく損ない公共の安全を害しているとまでは言えず、条例9条1項に該当する公益上の必要性があるとは認められない。

(5) 行政執行上支障があるか

 違反建築物が決して少なくない現状において、行政指導内容、経過を公開された場合、行政指導の基準を公開することになり、その結果、指導内容を根拠に指導に従わないなどの、脱法行為を助長するおそれがありうる。また、指導内容、結果から、その程度の違反は容認されるものとの誤解を生み、遵法精神の低下を招き、違反がますます増加することも考えられる。

 これらのことから、建築指導行政の公正または適正な執行に影響を及ぼすとの主張は一応首肯しうる。しかし、違反是正指導をこれまでのように、違反者との関係を重んじ密室的な手法で任意に是正をさせようとするやり方には、一定の限界がある。むしろ違反是正指導の情報を公開することにより、行政手続の透明性を高め、逆に区民の行政への信頼を高め、違反建築に対する周囲の監視を強めて違反を抑制する効果も期待しうるところである。

 行政指導は、個別のケースに対応して行われるもので基本的には個別の具体的指導であり、それを公開しても直接的には一般的指導基準を公開することにはならない。また仮に行政指導の中に一般的指導基準が含まれている場合、これを公開することは、むしろ前述のとおり行政の透明性の見地から必要であろう。ただし、行政指導の中には結果的に違反を是認する内容が含まれている場合は、それがその種の違反を是認することになる運用姿勢と受け取られ、それにより建築指導行政の公正または適正な執行が阻害されるおそれがある。

 なお、実施機関は、本件が現在も指導中であることをもって行政執行上支障がある旨主張している。しかし、本件の違反内容および太陽に照らすと、指導開始からすでに十分な時間的経過が認められ、今後も指導を継続することにより任意の是正を期待しうるとは認めがたい。よって、本件では指導中であることをもって行政執行上の支障があるとはいえない。

 また、本件情報を公開することにより、結果として行政指導の内容が知れることになり違反者に対し制裁的な結果(周囲の監視が強まることなど)が生じる可能性もある。しかし、その違反によって生じた事情および違反是正の効果などを総合的に勘案すると、それをもって違反是正指導にかかる行政執行上の著しい支障と認めることはできない。

(6) 非公開とすべき部分

 以上の検討をもとに、審査会が本件請求情報のうち公開すべきでないと判断した基準は以下のとおりである。

  1. 特定個人の住所、氏名など、およびいくつかの要素が重なって個人が識別可能となる事項で個人生活に関する情報
  2. 個人の評価につながる建築主および第三者の対応言動情報
  3. 行政指導のうち、それが、その種の違反を是認することになる運用姿勢と受け取られ、公正または適正な行政執行が阻害されるおそれのある事項

 審査会は、上記の判断基準に基づき、請求情報を閲覧して、具体的に非公開とすべき部分を特定した。それは、別添の文書で抹消した部分である。

(7) 建築指導行政の問題点と情報公開制度

 本件請求情報が一部公開されることにより、従来の建築指導行政は転換を迫られる結果になるであろうと推測される。しかしながら、行政手続法が制定され、行政手続の透明性が求められる中で、いつまでも従来の非公開の姿勢を貫くことは、建築指導行政への一般区民の不信感をますます増大させることになる。現実に違反建築については、「違反したほうが勝ち」といった状況もあり、近隣間の深刻な争いに発展する場合が多い。従って、むしろ違反者や第三者の個人情報に対し十分な配慮をしたうえで、このような情報を公開することにより、建築指導行政のありかたと限界について区民の関心が高まり、違反建築が減少することを期待したい。

6 本件不服審査の処理経過

  1. 1997年3月13日、申立人は、1997年1月16日付の公開請求に対する区政情報非公開決定処分に不服があるとして、条例13条1項の規定に基づき、実施機関に異議申立てを行った。
  2. 1997年3月24日、実施機関は、本件異議申立てにつき条例13条2項の規定に基づき、当審査会に諮問を行った。
  3. 1997年4月7日、審査会は、実施機関に対して非公開理由説明書が提出された。
  4. 1997年5月15日、実施機関から審査会に対して非公開理由説明書が提出された。
  5. 1997年5月26日、審査会は、実施機関から提出された非公開理由説明書の写しを申立人に送付し、意見書の提出を求めた。
  6. 1997年7月7日、審査会は、申立人から意見書を受理した。
  7. 1997年10月29日、審査会は、申立人からの意見を聴取した。
  8. 1997年11月28日、審査会は、実施機関からの意見を聴取した。
  9. 審査会は、本件異議申立てにつき、1997年9月30日、10月29日、11月28日、12月24日、1998年1月14日、2月4日、2月12日、3月23日、4月6日、5月22日、6月26日、7月11日、8月14日、9月11日と審議を重ね、上記結論をえた。

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