情報公開審査会答申(第22号)

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更新日:2023年8月3日

答申第41号
2007年12月7日

中野区長 殿

中野区情報公開審査会
会長 兼子 仁

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)

2006年7月2日付け、17中総総第1456号、および2006年7月7日付け、17中総総第1516号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

・区政情報非公開決定処分に係る異議申立てについて(諮問)
・区政情報一部公開決定処分に係る異議申立てについて(諮問)

1 審査会の結論

(1) 下記の本件第1事件につき、実施機関である中野区長が、請求情報が区政資料センターで閲覧可能であるという理由で非公開と決定したことは、職員による請求対応および通知書の様式に問題点が含まれてはいたが、結局妥当であったと結論できる。

(2) 下記の本件第2事件における異議申立事項につき、実施機関である中野区長が、当該の請求情報は公表ずみ・随時閲覧可能であるという理由で公開しない(全体としては一部公開)と決定したことは、職員による請求対応に問題点が含まれてはいたが、結局妥当であったと結論できる。

2 異議申立ておよび審査の経緯

(1) 異議申立人(以下「申立人」という。)は、今回2事件について異議申立てをし、いずれも当審査会の審査に付されているが、両事件は中野駅周辺まちづくりに関係する区政情報に関する公開請求として共通性が認められたので、当審査会は下記の第1・第2事件として併合審査を進め、両事件を区別しながらも答申を一本化させることとした。

〔第1事件〕

 申立人は、2006年7月3日付けで、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)7条に基づき、実施機関である中野区長(以下適宜「区長」または「実施機関」という。)に対して、中野駅周辺まちづくり推進委託に関して三菱総研に作成させた地区計画(方針)に関する東京都・公営企業等との協議資料等(以下「請求情報」という。)につき、公開請求を行った。これに対し実施機関・区長が同年7月17日付けで、請求情報は「区政資料センターにおいて閲覧可能であるため」という理由により、条例17条2項に基づく非公開決定を通知したので、申立人は同年7月20日付けで異議申立てを行っている。

 これにつき区長が同年7月2日付けで当審査会に諮問したのが、第1事件であり、その審査手続において、実施機関・区長から2007年1月11日付けの非公開理由説明書が提出され、それに対して申立人から同年3月30日付けの意見書が提出されていた。

 当審査会では、同年6月22日に実施機関から意見聴取をしたが、申立人から口頭意見陳述の希望は出されなかったため、合議のうえ本答申にいたっている。

〔第2事件〕

 申立人は、2006年7月12日付けで、条例7条に基づき、2005年度の広域避難場所の有効性検討の調査委託に関し、 1.実施起案書・委託設計書、 2.委託仕様書・委託契約書・支出負担行為一覧表、 3.避難有効面積算定のもとになる新計画図面、 4.安全面積域等の積算数値の根拠資料、について区政情報の公開請求を行った。これに対し実施機関・区長が同年7月27日付けで、1.と4.は文書の不存在、および3.は「随時閲覧可能な地区計画検討支援業務報告書の計画図であるため」という理由により非公開、また2.については受託者の印影を保護すべき事業者情報として除いた部分を公開、とする一部公開決定を通知したので、申立人は同年7月1日付けで、後記のとおり3.に関する非公開を争う異議申立てを行っている。

 これにつき区長が同年7月7日付けで当審査会に諮問したのが、第2事件であって、その審査手続において、実施機関・区長から2007年1月11日付けの一部公開理由説明書が提出され、それに対し申立人から同年3月30日付けの意見書が提出されていた。

 当審査会では、同年6月22日に第1事件と併せて実施機関から意見聴取をしたが、申立人から口頭意見陳述の希望は出されなかったため、合議のうえ併合による本答申にいたっている。

3 審査会の判断

3-1 本件異議申立ての争点について

 本件における上記の第2事件にあっては、実施機関・区長の一部公開決定が対象となっているが、当審査会が審査すべきその争点の如何については、申立人の異議申立書を精査する必要がある。

 申立人は、上記請求情報のうち、一部公開された2.委託仕様書・契約書等における事業者印影の非公開、および1.実施起案書・委託設計書と4.安全面積域等の積算数値の根拠資料との文書不存在、に関してはいずれも争っていないと認められる。

 結局、申立人が第2事件において異議申立事項にしているのは、3.避難有効面積算定のもとになる新計画図面につき実施機関が随時閲覧可能を理由に非公開決定をしたことに関して、であると判断される。するとこの争点は、第1事件の異議申立てにおいて争点とされている、請求情報である地区計画協議会資料につき実施機関が区政資料センターでの閲覧可能を理由に非公開と決定したことの当否、と類似している。

 そこで以下当審査会は、第1事件・第2事件の順で、それらの争点に対して、審査・判断をしていくことにしたい。

3-2 第1事件の請求情報である地区計画協議会資料につき非公開と決定したことの当否について

(1) 第1事件において請求情報とされた「中野駅周辺まちづくり推進委託に関して三菱総研に作成させた」東京都・公営企業等との「地区計画(方針)に関する協議資料」等について、実施機関はそれに該当する区政情報文書の非公開理由として、「中野駅周辺まちづくり推進委託報告書」中の「第3部中野四丁目地区計画の推進に記載されており、区政資料センターにおいて閲覧可能であるため」と記している(決定通知書)。

 たしかに、条例17条2項には、「区政資料センター、図書館等において区民の利用に供する資料、図書等については」条例規定のしくみを適用しないと定められている。そこで、本件の請求情報が内容的に全くそれに該当するならば、非公開決定も妥当であることにならざるをえない。

 ところが申立人の意見書に、本件請求をめぐる特別な経過が異議申立ての理由として挙げられ、また異議申立書にあっても、上記報告書を閲覧してもどこがどのように請求情報に当るのか不分明であるむね記されていた。

 加えて実施機関の非公開理由説明書によると、本件異議申立てと同日の2006年7月20日付けで申立人から第2次の公開請求書が出され、それに対して同年7月4日に第2次の非公開決定通知書が発せられている由である。この第2次決定は本件異議申立ての対象になっていないが、本件異議申立て直後の推移としてここで斟酌して審査資料とすることが適当であろう。

(2) 実施機関の非公開理由説明書に添付されたところにより、1.実施機関の担当職員から申立人への電子メールにおいて、つぎの事実関係のあったことが示されている。すなわち、第1次の公開請求後・決定前において職員側から、請求情報は区政資料センターで閲覧可能なので請求の取下げを依頼し、ついで請求の趣旨が文面上読みとり困難なので請求書の補正か再請求かを求めていた。これに関して申立人は、請求取下げ等の要求によって決定を遅らせたと批判する異議申立ての理由を意見書に記している。

 さらに、2.別途申立人の第2次請求に対する非公開決定通知書(2006年7月4日付け)において、請求協議資料の一部は不存在、4者協議会提出資料(報告書中の頁数も表示)は区政資料センターで閲覧可能のため非公開決定、と理由書きされている。この後者がまさに第1次請求・決定に関する本件異議申立ての事項であると解される。

(3) そこで本件の争点について判断するのに、申立人が主張するように、実施機関職員の請求対応にあっては、公開請求の趣旨の受けとり方をめぐって申立人との間に疎通が十分でないところがあるままに、請求の取下げまたは補正・再請求の求めが強調されたものと見られる。

 この点、公開請求の趣旨を請求者との間で明確化させる努力の必要は、多くの案件で見られるところではあるが、本件でのようにメール交換という連絡方法で事足りるか、面談が必要でないかどうかといった問題もありうると考えられる。いずれにせよ、本区の条例3条が情報公開に積極的に努めるべき実施機関の責務を規定していることに照らすとき、本件における請求対応には、その連絡方法および区政資料センターでの申立人閲覧への対応法も含めて、申立人が主張する区民の情報公開請求権の保障にとって問題はらみであったと目される。

 しかしながら、結局判明した請求情報内容が、公表ずみ閲覧可能な上記報告書の一部である以上、条例17条2項に基づく請求拒否決定が結論的に妥当でないとは解されないのである。

 もっとも、条例17条2項に基づく公開請求拒否の正しい決定様式は、条例施行規則の4条による「非公開」のそれではなく3条の2による「却下」の方であったと認められる。しかしここには、そもそも別途公表・公開の区政情報に該当することを理由とする請求拒否決定を「却下」の様式とするしくみ自体の問題を当審査会として提起したいので、結局この様式問題は指摘するのにとどめることにする。

3-3 第2事件の請求情報である地区計画検討支援業務報告書につき非公開と決定したことの当否について

(1) 第2事件の異議申立書において申立人は、一部公開決定のうち地区計画検討支援業務報告書にともなう「新計画図面」を随時閲覧可能ゆえ非公開とされたことをもっぱら争い、しかも意見書での主張理由として、当該計画図面が同報告書の一部であっても調査委託時の委託仕様書(公開決定文書)と一体的なものであるならばやはり公開決定すべきであったと述べている。

 それに対して実施機関は、一部公開理由説明書において、当該計画図面は委託仕様書に添付されたものではなく、上記報告書の一部としてコピーして調査受託業者に渡したのであると主張している。

 当審査会の調査によると、この点は実施機関の主張どおりと認められる。すると請求情報として存在するものは、上記報告書の一部として公表ずみ・一般閲覧可能であったことになり、条例17条2項に基づき非公開決定の対象たりうるものと解される。

(2) もっとも、本件の請求対応としての実施機関職員と申立人の電子メールの交換が実施機関聴取によっても、十分にかみ合ったやりとりにならず本件異議申立てにいたっていることが、窺われる。そしてそこにも、前記第1事件の経過と似た、請求の趣旨の受けとり方をめぐる窓口対応において公開請求権の保障にとっての問題点が含まれていたと目されるので、指摘しておきたい。ただしこの点は、上記の事実認定に基づく結論的判断を左右するわけではない。

 なお、一部公開決定通知書において、条例18条2項に該当するとの理由による一部非公開(実は上記の却下部分)を併記する現行の様式には、当審査会として問題を意識するところであるが、これは条例施行規則の要検討事項ということなので、やはりここでは指摘にとどめたい。

以上審査をした結果、当審査会は、冒頭1に表記したとおり結論する次第である。

中野区情報公開審査会 

委員 稲垣隆一
委員 兼子 仁(会長)
委員 堀部政男
委員 桝潟俊子

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