情報公開審査会答申(第35号)

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更新日:2023年8月3日

答申第28号
2004年3月19日

中野区長様

中野区情報公開審査会
会長 井出嘉憲

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)

2003年6月12日付け、15中総総第415号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

区政情報一部公開決定処分に係る異議申立てについて

審査会の結論

 一部公開とした本件決定は、妥当である。

不服申立て及び審査の経緯

(1) 申立人及び関係機関等

 本件の異議申立人は、中野区民(以下「申立人」という。)で、中野区勤労福祉会館(以下「勤福会館」という。)の多目的ホールをよく使用している社交ダンスのグループの関係者である。
 勤福会館は、昭和59年に開館したが、平成4年4月より財団法人中野区勤労者サービスセンター(以下「勤労者サービスセンター」という。)に運営委託され、勤労者サービスセンターは、勤福会館を中野区勤労福祉会館条例、同施行規則、同運営要綱に基づいて運営している。
 中野区の担当部署は、区民部経済勤労課であったが、平成15年4月組織変更により、現在は区民部産業振興課となった。

(2) 本件申立ての背景

 勤福会館の多目的ホールは、社交ダンスのグループがよく使用しているが、区は、実態は同一団体による多回数の使用によって公平な使用が阻害されているのではないかと考え、平成6年に貸出方法を変更して登録団体方式とし、構成員の重複登録などを禁止し、貸出回数を制限すると共に使用料の改定も行った。
 これに対し、申立人は、多目的ホールが実際には使用されておらず空きがある状態であるのに、使用料が高額でかつ使用についての制限(雑誌への掲載を認めないなど)があるため、十分使用できないという苦情を抱いており、これまでにも勤福会館の多目的ホール使用料、使用方法などにつき、以下のとおり何回となく情報公開を求めたり、意見を述べたり、議会に陳情したりしてきた。
1. 平成10(1998)年8月27日付、情報公開請求
 同年10月19日付、一部公開決定
2. 平成13(2001)年7月17日付、情報公開請求
 同年8月1日付、一部公開決定
3. 平成13(2001)年8月10日付、情報公開請求
 同年8月27日付、一部公開決定
4. 平成13(2001)年8月27日付、勤労者サービスセンターへ情報公開請求
 同年9月7日付、一部公開決定
5. 平成13(2001)年10月2日付、中野区議会宛陳情書提出
6. 平成14(2002)年12月6日付、中野区勤労福祉会館多目的ホール運営について、同ホール使用料についの質問書提出
 同年12月26日付、経済勤労課課長回答書送付
7. 平成15(2003)年5月30日付、勤労者サービスセンターへ情報公開請求

(3) 本件異議申立て

 このような背景の中で、申立人は、平成15年4月16日中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)に基づき、意見・要望などを含み多岐にわたる「中野区勤労福祉会館多目的ホール運営について」の情報公開を求めた。
 実施機関区長(以下「実施機関」という。)は、これに対し、同年4月24日、以下のとおり一部、多目的ホール使用団体のうち現在稼働している団体数、平成13年度施設使用料、料金改定資料(多目的ホール夜間8000円付加の理由)について公開決定をし、公開できない部分については、情報公開に関する説明書を添付した。
 これに対し、申立人は、同年5月21日付で区長に異議申立てを行った。

(4) 審査の経緯

 当審査会は、本件につき区長から同年6月12日条例に基づく諮問を受けた。
 当審査会の審査においては、申立人の異議申立書のほか、実施機関の理由説明書、これに対する申立人の意見書及び意見補充書(メモ)が提出されている。
 加えて、当審査会は、同年12月19日申立人から口頭意見陳述を受け、平成16年1月9日実施機関より事情聴取を行った。

審査会の判断

(1) 本件情報公開の対象情報は何か

 申立人の情報公開請求の内容は、前記のこれまで申立人の行ってきた情報公開請求及び勤労者サービスセンターとの交渉経緯を踏まえて、非常に多岐にわたっている。
 その内容は、情報公開、質問事項、苦情及び意見と大別されるが、以下の項目にまとめられる。
1. 使用団体の重複登録が問題となった平成6年頃に勤福会館の多目的ホールを使用してきた約70団体の名称、主催者及び住所
2. 上記で現在稼働している団体の数
3. 多目的ホールの夜間の使用料を、小体育室と比較して約8000円高くした算定基礎
4. 勤労者サービスセンター運営協議会、同評議員会及び同理事会の議事録
 (時期:平成6年12月、議題:多目的ホールの貸出方法の変更について)
5. 小体育室や他の地域センターを使用している団体には8000円(高額な使用料)を課さないのか。また、構成員が同一活動内容の他の団体に重複登録を行っている場合はないのか。
6. 平成14年12月6日付の質問書に対する区の回答文書に公印が省略されていたのは何故か。
7. 多目的ホールの使用とは直接関係しない経費(他の施設の修繕費や光熱水費等)を多目的ホールの使用者が負担しなければならないのは何故か。
8. 区議会での陳情の処理について
9. 多目的ホール内の監視カメラは、出入り口に移動すべきである。
10. 多目的ホールでのサークル活動(ダンス)の雑誌掲載を認めるべきである。
11. 重複登録を認め、団体利用の使用制限をなくすべきである。
12. 天下りによる職員配置、会館運営を是正すべきである。

 以上のうち、1~4が公開を求めている情報、5~7が質問事項、8~12が苦情及び意見と考えられ、本件決定の中で、実施機関が前記1~4と概ね同一内容を対象情報であると考えたことは、妥当である。
 以下、実施機関による各対象情報に対する決定を検討する。

(2) 「過去に勤福会館の多目的ホールを使用していた約70団体の名称、主催者及び住所」情報について

 申立人が求めているのは、多目的ホールの使用団体構成員の重複登録が問題になった平成6年頃の登録団体の内容であると考えられるところ、既に当時の情報は、区の文書管理規程に基づき廃棄されており、文書不存在であると認められる。

(3) 「現在稼働している団体の数」情報について

 実施機関は、多目的ホール使用団体登録申請書のうち、団体の所在地、代表者氏名、代表者住所、連絡責任者部分は条例5条の個人情報に該当し原則非公開であると主張している。これに対し、申立人は、個人情報であっても、架空団体か否かを確認するために団体所在地と代表者氏名は公開すべきであると主張する(口頭意見陳述)。本件登録申請書は多目的ホール使用申込みのためのもので、一般に公開することを予定しているものではなく、申立人の目的を勘案しても個人情報の保護の例外とする事由にはあたらないと判断する。
 なお、申立人は、団体数の公開を求めたのに申請書のコピーを渡され自分で数を数えなければならないので、一覧表を作成すべきであると主張しているが、情報公開にあたっては原資料を公開すべきであるから、実施機関の対応は妥当である。

(4) 「多目的ホールの夜間使用料金を小体育室に比較して約8000円高くした算出基礎」情報について

 実施機関は、申立人の請求内容が現在の料金で多目的ホールと小体育室(貸切の場合)の夜間使用料に8700円の差があることを指すと考え、請求情報として「平成13年度施設使用料金改定資料」を公開している(理由説明書)。
 一方、申立人は、単に平成13年度の料金改定の資料、計算根拠を公開しても、その基礎となった施設開設当時の料金算定資料が公開されなければ判らず、その情報も公開請求していると主張している(異議申立書)。確かに、申立人の意図を忖度すれば、現在の料金改定資料だけでは不十分であるが、申立人の求める施設開設当時の算定資料については、既に前記2(2)3記載の申立人の情報公開請求において文書不存在を理由として非公開とされているものである(理由説明書)。
 なお、実施機関において、再度申立人の求める情報を公開すべく努力したが、該当する資料は昭和58年頃の決定事項で、当時の文書保存年限表自体が保存されておらず、前記資料が当時の永年保存文書であるか否か不明であり、現在残っている総務課の長期保存文書保存表の中にも前記資料は存在していなかったという(事情聴取)。このような基本となる文書資料が保存されていないこと自体は問題であるが、文書不存在と認められる。

(5) 「勤労者サービスセンター運営協議会、同評議員会及び同理事会の議事録」情報について

 実施機関は、本件議事録は勤労者サービスセンターが作成したもので、同センターには保管されているが(確認済み)、区では保管していないと主張する(理由説明書、事情聴取)。
 ところで、区は勤労者サービスセンターに勤福会館の運営を委託し、同センターの理事会、評議員会に参与として出席しているものの、公的に議事録を取得することはしていないという(事情聴取)。しかし、情報公開の対象には取得公文書も含まれており、仮に本件議事録またはその内容をメモした文書が区に保存されていた場合は公開の対象となるものであり、「勤労者サービスセンターで保管されている」との理由だけで非公開とすることはできない。しかしながら、本件は平成6年という古い時期のもので、文書不存在と認められる。

(6) その他の請求情報について

 その他の申立人の請求情報は、意見、質問にわたるものであって、本来、情報公開請求の対象となるものではない。
 しかし、特に申立人が最も不満を感じている現行の料金体系への疑問について、明確に答え得る施設開設当時の料金算定の資料が区に保存されていないなど、文書管理について区にも問題があることが明らかとなった。
 また、地方自治法の改正により、勤福会館の管理委託は、平成18年9月までに、指定管理者制度となることが予定されている(地方自治法244条の2)。かりに、勤労者サービスセンターが指定管理者となった場合には、区の指導が強く求められることになり、申立人の意見の中には、今後、区が指導するに当たり勘案・参考にしていくべき点がいくつか含まれていると考える。
 情報公開制度についても、公益団体及び民間への委託が増加する中で、単に指定公益団体に対する区の指導(条例16条の2)だけでは十分ではなく、また非公開とされた場合の異議申立制度が保証されておらず、今後に問題を残しているといえる。区の直接的業務が減少することにより、「誰が責任を取るのか」が曖昧になることは否めない。区が、これらの関連団体の情報の保存・公開について指導していく他に、重要な文書については取得公文書として区自身が所持・保管していくことも検討すべきであろう。
 今後これらの問題点についても、区が検討していくことを期待したい。

本件不服審査の処理経過

(1) 2003年5月21日、申立人は、2003年4月24日付の公開請求に対する区政情報一部公開決定処分に不服があるとして、条例13条1項の規定に基づき、実施機関に異議申立てを行った。
(2) 2003年6月12日、実施機関は、本件異議申立てにつき条例13条2項の規定に基づき、当審査会に諮問を行った。
(3) 2003年7月7日、審査会は、実施機関に対して一部公開理由説明書の提出を求めた。
(4) 2003年7月23日、実施機関から審査会に対して一部公開理由説明書が提出された。
(5) 2003年8月8日、審査会は、実施機関から提出された一部公開理由説明書の写しを申立人に送付し、意見書の提出を求めた。
(6) 2003年9月3日、審査会は、申立人から意見書を受理した。
(7) 2003年12月19日、審査会は、申立人から意見を聴取した。
(8) 2004年1月9日、審査会は、実施機関から事情を聴取した。
(9) 審査会は、本件異議申立てにつき、2003年6月27日、7月25日、8月15日、9月19日、10月24日、11月28日、12月19日、2004年1月9日、2月27日、3月19日と審議を重ね、上記結論を得た。

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