情報公開審査会答申(第36号)

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更新日:2023年8月3日

答申第27号
2003年12月19日

中野区長殿

中野区情報公開審査会 
会長 井出嘉憲

中野区区政情報の公開に関する条例第13条第2項の規定に基づく諮問について(答申)

2003年6月24日付け、15中総総第800号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

区政情報一部公開決定処分に係る異議申立てについて(諮問)

審査会の結論

 本件の2003年1月24日付決定により一部非公開とされた区政情報は、決定当時にあっては不存在であり、かつ本件ではそれが相当でなかったとは言いきれないので、同決定は妥当であると認められる。

不服申立ておよび審査の経緯

(1) 異議申立人(以下「申立人」という。)は、2002年12月24日、中野区区政情報の公開に関する条例(以下「条例」という。)7条に基づき、実施機関である中野区長(以下適宜「区長」または「実施機関」という。)に対して、「本年6月以降における上鷺宮住区協議会開催の記録の一切、この会議で配布された資料の一切」の公開を請求したところ、同年12月25日付で非公開決定通知書を送付された。

(2) 申立人は、その決定を不服として2003年1月15日付で異議申立てを行った。それに対して区長は、同上の決定において2002年6月27日の同上住区協議会役員会の記録がすでに閲覧公開ずみとしていたのは事実誤認であったと認め、申立人の請求後に区の地域センター職員が作成した「開催報告書」を公開する一部公開決定に変更するとともに、それで区に存在する区政情報は、すべて公開したものとして、2003年1月24日付で異議申立て棄却の決定を行った。しかしながらその後区長は、同年6月24日付で、申立人による異議申立ての一部が対応されずに残存していることを認め(この間、申立人の要請に基づく当審査会による調査を経ている)、改めて条例13条2項に基づき、本件一部公開決定の半面に存すると解される請求拒否部分に関し当審査会への諮問を行っている。

(3) 当審査会の審査において、実施機関・区長から2003年7月14日付で一部公開理由説明書が提出され、これに対して申立人からは同年8月29日付の意見書および同年11月20日付の意見補充書が提出された。それに加え当審査会では、同年10月24日申立人からの口頭意見陳述を受けるとともに、同年11月28日実施機関からの意見聴取をしている。

審査会の判断

(1) まず第1に、本件異議申立ての対象である上鷺宮住区協議会役員会を正式に記録した区政情報の存否について審査する。

 申立人の請求に対応する上鷺宮住区協議会(以下「住区協」という。)の会議は、実施機関が主張するとおり、2002年6月27日に開催された役員会のみであったと認められる。

 その直後に上鷺宮地域センターの職員によって作成され閲覧公開に供された「開催記録書」には、「記録 別紙のとおり」と記されていたが、この別紙記録は実際は付されていなかった(この点は申立人が本件の当初に指摘していた)。

 その別紙記録は、住区協が作成してその写しを地域センターに提出する正式会議録であるが、住区協のほうで作成がおくれると本件でのような欠落も生じうる。

 この点実施機関は、区の「住区協議会事務取扱要領」に「地域センターは、住区協議会の自主性を尊重し、必要以上にその運営に関与しないものとする」と定められているとおりで、住区協議会の正式会議録がいつ作成されるかはその自主性にゆだねられていると主張する(理由説明書および意見聴取)。

 それに対し申立人は、同要領において区の地域センターの事務処理事項に住区協議会の「会議の内容の広報、各部への連絡」が挙げられているので、正式会議録は適時に取り寄せるべきものだと反論している(意見書)。

(2) たしかに、住区協の正式会議録の写しが「開催記録書」に付され閲覧公開されるしくみである以上、住区協の正式会議録は適時に作成されることが望ましい。

 本件で住区協の当該役員会の正式記録は長い間作成されず、出席役員のメモ持ち寄りのおくれを懸念した住区会長の個人責任でようやく2003年10月1日付で確定されたという実情であった。実施機関聴取の際に示されたこの「役員会報告」は、その後閲覧公開されている。

 当該の住区協にあっても上記のような状況は例外的と目され、地域センターが本件会議録を住区協から本件の変更決定時(本年1月24日付)に取得していなかったことがもっぱら区の責任であったとは解されない。

 かくして、本件の変更決定の時点で当該役員会議録の写しが区政情報として「不存在」であったことも、これをもって制度的に違法不当であるとすることはできないと判断する。

(3) 第2に、当該役員会に関し地域センター職員が公的報告記録を作成した際の裏づけ資料が、区政情報として存しないかどうかについて審査する。

 この点申立人は、前記区の事務処理要領に定められた地域センターの任務に照らすとき、住区協の会議内容を地域センターが的確に把握するための公的記録は重要であるとし、本件の請求後2003年1月15日付で作成され公開された「開催報告書」の半年も後における作成を裏づけた資料が、録音テープまたは職員共用文書として存するはずだと主張している(意見書、口頭意見陳述および意見補充書)。

 それに対して実施機関は、当該役員会の正式会議録の写しがなかなか提出されないので、当日の配布資料と出席職員の記憶に基づいて他関係課向けの「開催報告書」を作成したものであって、録音テープや職員共用の文書資料は存しなかったと主張している(意見聴取)。

 たしかに、本件の住区協役員会の地域センターによる公的報告記録が半年余もかかったことは異例的であったが、それも前記住区協での経緯にかんがみるとき、地域センターとしてはやむをえず、区の責任とは解されない。

 住区協の会議における録音テープ取りは、住区協として2001年末に止めることとなり、2002年度からは住区協の書記役が会議内容の記録に責任を持つ体制になったとのことである。また、公的報告記録以外に区の出席職員が組織的に共用する覚え書きを残すことは通常ないとされる(以上、実施機関聴取による)。

(4) 条例2条2号によると、「区政情報」とは「実施機関の職員が職務上作成し…(中略)…た情報で、…(中略)…保管しているものをいう」。これは、国の情報公開法2条2項が「当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして…(中略)…保有しているもの」とするいわゆる“組織共用文書”とほぼ同義であると解される。

 してみると、本件における地域センター職員による「開催報告書」を裏づける資料が、会議配布資料のほかに組織共用文書として存しなかったことは、区政情報の不存在を意味する。

 それが申立人の主張するように(意見補充書)、条例4条にいう、実施機関の事務処理内容の正確記録義務に反するかどうかについては、各会議の内容および配布資料の状況にかんがみて、補助記録文書が組織的に必要かどうかに依る、と解される。本件「開催報告書」の内容からすれば、そうした補助資料の必要性まではなかったものと判断する。

 以上の審査の結果、当審査会は標記のとおり結論する。

本件不服審査の処理経過

(1) 2003年1月15日、申立人は、2002年12月24日付の公開請求に対する区政情報非公開決定処分に不服があるとして、条例13条1項の規定に基づき、実施機関に異議申立てを行った。
(2) 2003年1月24日、実施機関は、2002年12月25日付の区政情報非公開決定処分を一部公開決定処分に変更決定を行った。
(3) 2003年6月24日、実施機関は、本件異議申立てにつき条例13条2項の規定に基づき、当審査会に諮問を行った。
(4) 2003年7月7日、審査会は、実施機関に対して一部公開理由説明書の提出を求めた。
(5) 2003年7月14日、実施機関から審査会に対して一部公開理由説明書が提出された。
(6) 2003年8月1日、審査会は、実施機関から提出された一部公開理由説明書の写しを申立人に送付し、意見書の提出を求めた。
(7) 2003年8月29日、審査会は、申立人から意見書を受理した。
(8) 2003年10月24日、審査会は、申立人から意見を聴取した。
(9) 2003年11月20日、審査会は、申立人から意見補充書を受理した。
(10) 2003年11月28日、審査会は、実施機関から事情を聴取した。
(11) 審査会は、本件異議申立てにつき、2003年6月27日、7月25日、8月15日、9月19日、10月24日、11月28日、12月19日と審議を重ね、上記結論を得た。

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