令和8年(2026年)第2回中野区議会定例会区長施政方針説明(2026年6月29日)
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更新日:2026年6月29日
(施政方針説明を行う酒井区長)
1 はじめに
令和8年第2回中野区議会定例会の開会にあたり、今後の区政経営に臨む私の所信を申し上げ、議員各位、並びに区民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。
この度の区長選挙におきまして、多くの区民の皆様からご支持をいただき、引き続き区政経営の重責を担わせていただくこととなりました。その使命と責任の重大さに身の引き締まる思いです。
今回の区長選挙では、これまでの2期8年間で推進してきた、多様な区民の意見や価値観を受け止め、対話を重ねる区政経営の成果が評価されたものと受け止めております。この信任に応えるべく、より広く、多くの区民の声に耳を傾け、対話を基本とした区政を、これまで以上に力強く推進してまいります。
また、区長選挙や様々な機会を通じて寄せられた多くのご意見を真摯に受け止め、今後の区政経営に着実に反映し、必要な取組を進めてまいります。
2 中東情勢を踏まえた支援
中東情勢の緊迫化に伴い、原油・原材料価格の高騰や物流不安等により、区内中小企業・小規模事業者の経営環境は一段と不透明感を増しています。
区は、こうした影響を受ける事業者の不安解消と事業継続を支えるため、中東情勢に伴う緊急対策として、情報提供・相談・資金繰りの三つの柱による支援を迅速に実施しました。
具体的には、支援情報を一元的に提供するポータルサイトの公開、専門家による特別経営相談窓口の設置、資金繰りを下支えする「中東情勢対応資金」の新設を行いました。あわせて、関係団体・事業者へのヒアリング等により、資材の高騰・調達困難、工期延長等の課題を的確に把握し、区としての対応に反映してまいりました。
先日、アメリカ及びイラン双方が戦闘終結に関する覚書に署名し、事態収束に向けた動きが見られるものの、先行きはなお不透明なことから、引き続き、区民生活及び事業活動の実態を捉え、機を逸することなく必要な支援策を実施し、区内経済の安定を確保するとともに、区民生活を支え、地域の持続的な発展を実現してまいります。
3 区政経営の基本姿勢
中東情勢を含めた国際情勢の変化や長期化する物価高騰、生命に危険を及ぼすレベルの猛暑など、区を取り巻く環境は日々変化しており、予測困難な「VUCA」の時代にあります。こうした時代において、基本構想で描くまちの姿「つながる はじまる なかの」を着実に実現していくためには、組織の目標を共有しつつ、変化を的確に捉えて、部門を越えた連携が機能し、自律的に課題に対応できる組織へと不断に進化させていくことが不可欠です。
こうした認識のもと、中東情勢を踏まえた支援を迅速に具体化できた背景には、区役所新庁舎への移転に伴い設置した合同部長室「N-BASE」を中心に、部長が組織の壁を越えて連携し、特別職を含めた経営層と日常的に情報共有及び協議を行える環境が整備されたことが大きな要因であると実感しています。こうした経験を今後の区政経営においても確実に生かし、機動的かつ実効性の高い区政経営として定着させてまいります。
区では、「目標と成果による区政運営」をすべての行政活動の基本方針とし、区のすべての資源を基本構想の実現に最も適する方法により管理・活用することを原則として、区政経営方針、経営戦略、行政評価、事業見直し、決算・予算、個人目標管理などの経営システムをPDCAサイクルにより運用しています。基本構想の実現に向けて、これらの経営システムが相互に連動し、一体的に運用されることにより、区政経営の質の向上につながります。
私は、職員同士がつながり、また区民と職員がつながることをコンセプトとした新庁舎の環境を基盤として、経営システムの再構築及び機能強化を進め、変化の激しい時代にも対応できる持続可能な区政経営を確立してまいります。こうした取組により、組織づくりと人づくりを一体的に進め、組織風土改革の実現に向け、着実に取り組んでまいります。
あわせて、基本構想で描くまちの姿の実現に向けては、地域で活動する区民や団体、事業者等との連携・協働が不可欠であり、現場の実態を的確に把握するとともに、人的ネットワークの獲得を図り、得られた知見を施策に生かしていくことが重要です。
こうした観点から、地域に飛び出す職員の育成を進め、その具体的な取組として、町会・自治会等の地域活動に職員を派遣し、地域との接点の拡充や信頼関係の構築、課題解決力の向上を図ってまいります。また、地域での協働や挑戦を体現した職員・職場を称える仕組みを整備し、その成果を組織全体で共有することで、協働と挑戦が広く根付く風土を醸成してまいります。
さらに、区民サービスの質的向上に向け、なかのデジタルプラットフォームの整備を進め、区民の「探す・知る・解決する」といった行動を一体的に支援する基盤を構築してまいります。区ホームページの検索性向上やコンタクトセンターの整備を通じ、自己解決の促進と区民サービスの質の向上を図ってまいります。
これらの取組を通じて組織経営の強化を図り、区民の視点に立った成果志向の区政経営を徹底してまいります。こうした組織風土を基盤として、基本構想で描く2030年のまちの姿「つながる はじまる なかの」の実現に向け、2026年度からの5年間に区が取り組む基本的な方向性を示す新たな基本計画に基づき、その着実な推進を図ってまいります。あわせて、社会情勢の変化に的確に対応しつつ、区民にとっての価値の最大化を常に意識しながら、区政経営を前へ進めてまいります。
4 今後4年間の区政経営の方向性
新しい基本計画では、基本構想で描くまちの姿の実現に向けた基本的な方向性として、4つの基本目標の下、20の政策、52の施策を体系的に示しており、これに基づき取組を推進してまいります。
また、政策及び施策を効率的かつ効果的に推進していくためには、分野や部門を越えた一体的な取組が重要です。こうした観点から、政策横断的な視点を持って重点的に推進する取組を重点プロジェクトに位置付け、この3つの重点プロジェクトについて、次のとおりの方向性で、全庁的な推進体制により、着実に推進してまいります。
(1)子育て先進区の実現
子どもを育て、成長する過程が安全・安心で、将来に向けて充実したものとなるよう、地域の多様なつながりをつくり、子どもと子育て家庭が中野区に住み続けたいと思える環境づくりを進めてまいります。
子どもの権利の視点をすべての施策に取り入れるとともに、子どもの意見を政策に反映する取組を推進してまいります。
産前産後ケアについては、1歳以降の子育て支援の充実を図るなど、さらなる拡充に取り組むとともに、周知を強化し、妊娠期から乳幼児期、さらには成長段階に応じた切れ目のない支援体制を構築してまいります。また、学校の長期休業中における食品配付事業や常設型フードパントリーの設置に向けた検討を進めるなど、子どもの貧困対策やひとり親家庭への支援の充実を図るとともに、子どもや保護者が安心して過ごすことができる環境整備を進めてまいります。
さらに、子どもの居場所づくりにつきましては、児童館の機能強化や施設整備を進めるとともに、常設プレーパークの設置箇所の拡充に向けた検討を進めるなど、多様なニーズに対応した魅力ある環境づくりを推進してまいります。
加えて、中高生年代や若者のチャレンジ・社会参画の支援については、ティーンズ会議や若者会議の推進を通じて、子ども・若者の声を区政に反映させる仕組みを充実させるとともに、給付型奨学金事業の実施など支援を拡充してまいります。また、中高生年代向け拠点施設や中高生機能強化型児童館の整備などにより、中高生年代の居場所の充実を図ってまいります。
教育分野においては、区立学校における英語教育の充実を図るため、ALT(外国語指導助手)の配置拡充などにより教育環境を整備し、児童・生徒の英語力向上を着実に進めてまいります。また、不登校支援については、一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援を強化し、教育支援室「フリーステップルーム」やチャレンジクラス「N組」の運営、北部地域へのフリーステップルームの設置、学びの多様化学校の設置に向けた検討などにより、多様な学びの環境を整備してまいります。いじめ防止対策については、SNS相談体制の強化や専門職の配置に加え、アニメを活用した啓発動画による取組などにより、未然防止と早期発見・早期対応を図ってまいります。
さらに、子ども自身が学校予算の使い道や修学旅行等の行き先や内容を検討・決定する取組などを通じ、主体的な学びや参画を促進するとともに、タブレット端末を活用した個別最適な学びの充実など教育DXを推進してまいります。
加えて、地域や区内事業者と連携した創業教育やキャリア教育の充実を図るとともに、多文化共生の視点を踏まえた国際理解教育や日本語支援、包括的性教育の実施により、子どもたちが多様な価値観の中で成長できる教育環境を整備してまいります。
あわせて、教員の働き方改革と学校支援人材の確保・活用を進めるとともに、部活動についても地域連携や外部人材の活用等により多様な体験機会を確保し、持続可能で質の高い教育環境の整備を進めてまいります。
これらの取組を通じて、地域の多様なつながりを育み、子どもと子育て家庭が中野区に住み続けたいと思える環境の充実を図ってまいります。
(2)地域包括ケア体制の実現
誰もが健康で生きがいを持ち、安全・安心で豊かな生活を送ることができる地域社会をつくるという、「スマートウェルネスシティ」の理念を踏まえて、それぞれの人が必要とするつながりをつくり、健康度と幸福度を高めるための取組を進めてまいります。
健康づくりの推進にあたっては、区民の健康意識の向上と行動変容を促す取組を進めるとともに、健幸プラザにおける活動プログラムの充実を図り、日常的に健康づくりに取り組める環境を整えてまいります。さらに、女性の健康づくりやプレコンセプションケアの推進をはじめ、「性と生殖に関する健康と権利(SRHR)」の理念の浸透を図り、ライフステージに応じた健康施策を体系的に展開してまいります。また、不妊治療に対する支援の充実を図るなど、誰もが安心して子どもを産み育てられる環境整備を進めてまいります。
加えて、物価高騰への対応については、区民生活や事業活動の実態を踏まえた対策を推進し、区民生活の負担軽減を図ってまいります。
多様で複合的な課題を抱える人への支援の充実に向けては、重層的支援体制の充実を図り、コミュニティソーシャルワーカーの配置拡充やアウトリーチ体制の強化、孤独・孤立対策の推進などにより、生活困窮、子育て、介護などの課題に包括的に対応できる体制を強化してまいります。また、介護する人もされる人も共に支える仕組みづくりを進め、ケアラー支援条例の制定などにより、家族の介護や看病を担う人々への支援の充実を図ってまいります。
さらに、障害児・障害者支援については、児童発達支援の強化や放課後等デイサービスの充実を図るとともに、18歳以降も切れ目のない支援の充実に取り組み、ライフステージを通じた支援体制を構築してまいります。
あわせて、大学や研究機関等との共同研究などにより、地域包括ケアシステムのさらなる深化を図ってまいります。
これらの取組を通じて、それぞれの人が必要とするつながりのもと、誰もが健康で安心して暮らし続けることができる環境づくりを進めてまいります。
(3)活力ある持続可能なまちの実現
まちの大きな変化が生まれていく中で、環境に配慮したみどり豊かなまちづくりを進めるとともに、文化やアニメコンテンツを生かしたまちの魅力向上や、産業や地域の活力となるチャレンジの支援を進めることにより、にぎわいと活力が持続する環境づくりを進めてまいります。
中野駅西側南北通路及び橋上駅舎については、整備を着実に進め、駅ビルや西改札とあわせて、本年12月の開業を予定しております。
中野駅新北口駅前エリアの再整備については、中野サンプラザのDNAを継承しつつ、100年先にも区民に長く愛され誇りを持てる都市拠点の形成に向け、区民との対話や事業者へのヒアリング調査、有識者会議の議論などを踏まえ、再整備事業計画の見直しに向けた検討を進めてまいります。こうした区民との対話を基本として、ホール機能やバンケット機能、広場やみどり、子どもが遊べる空間などを整備するとともに、ユニバーサルデザインや防災機能の充実を図り、新たな中野の顔となる拠点整備を実現してまいります。
また、中野二丁目・三丁目地区については、千光前通りにおけるアニメを生かしたまちづくりや中野駅桃園広場の整備を進めてまいります。一方で、西武新宿線沿線におけるまちづくりについては、鉄道上部空間の活用に向けて検討を進めるとともに、新井薬師前駅・沼袋駅周辺のまちづくりや、野方以西における連続立体交差化の早期実現に向けた取組を進めてまいります。
あわせて、旧鷺宮小学校跡地については、鷺ノ宮駅周辺のまちづくりを見据えた活用を進めるとともに、平和の森小学校移転後の跡地については、多世代交流や地域コミュニティの醸成を促進する複合交流拠点等としての整備に向けた検討を進めてまいります。
公共空間の活用については、「歩きたくなるまちづくり」の推進として、公園再整備や質の高いみどりの創出、ベンチの設置などにより、居心地の良い空間づくりを進め、日常生活の中で自然に健康づくりにつながる環境を整備してまいります。公園再整備にあたっては、子どもの意見を反映し、子どもが楽しく遊べる公園の整備を進めるとともに、障害の有無に関わらず誰もが遊べるインクルーシブな公園整備を進めてまいります。さらに、桃園川緑道の魅力向上にも取り組んでまいります。あわせて、バリアフリー・ユニバーサルデザインの観点から環境整備を図るとともに、受動喫煙防止対策を推進することで、すべての人にやさしく、安心して快適に過ごすことができる環境づくりを進めてまいります。また、ペットと共生できるまちづくりとして、ペット防災の取組を推進するとともに、ドッグランの設置箇所の拡充に向けて検討を進めてまいります。
加えて、防災分野では、防災・減災及び防災DXを推進し、避難所開設支援アプリの活用や避難所環境の改善を進め、地域の防災機能及び災害対応力の強化を図るとともに、自助・共助・公助の連携を強化し、地域全体の防災力の向上を図ってまいります。
産業振興においては、デジタル地域通貨「ナカペイ」を活用した地域内経済循環の促進や伴走型中小企業経営支援の拡充を図り、創業支援や事業者連携の強化、スタートアップの創出・成長に向けた支援を推進することにより、地域経済の持続的な発展を支えてまいります。
さらに、環境分野においては、「なかの気候区民会議」を契機とした行動変容施策の構築を進めるとともに、区有施設の脱炭素化を推進し、区民・事業者との連携のもと、「ゼロカーボンシティなかの」の実現に向けた取組を推進してまいります。
これらの取組を通じて、環境に配慮したまちづくりと中野の魅力向上を図り、にぎわいと活力が持続する環境づくりを進めてまいります。
5 むすびに
中野の最大の財産は「人」であります。区民の皆様、地域で活動する団体や事業者の方々、そして区職員一人ひとりの力を結集し、「オール中野」で区政を前へ進めていくことが重要であると考えております。あわせて、経営システムの再構築及び機能強化を進めるとともに、組織づくりと人づくりを一体的に推進し、社会情勢の変化に的確かつ機動的に対応する区政経営を確立してまいります。こうした基盤のもと、区民の視点に立った成果志向の区政経営を徹底してまいります。
その原点は、区民との対話であります。多様な区民の意見や価値観を丁寧に受け止め、課題を共有し、解決へつなげる対話の区政を、これまで以上に徹底してまいります。区民の声を確実に政策に反映し、区民にとっての価値の最大化を図るため、自ら先頭に立ち、全身全霊をもって取り組んでまいります。議員各位におかれましては、区民の代表として区民の声や地域の課題についてお聞かせいただくとともに、区政を適切にチェックする立場から議論を重ねていただき、区としても議会との対話をこれまで以上に深めながら、より良い区政の実現に向け取り組んでまいります。
引き続き、議員各位、並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げ、施政方針説明といたします。
(注)本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。
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