令和7年(2025年)第1回中野区議会定例会区長施政方針説明(2025年2月10日)

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更新日:2025年2月13日

(施政方針説明を行う酒井区長)

1 はじめに

 令和7年第1回中野区議会定例会の開会にあたり、本年の区政運営に臨む、私の所信と予算の概要を申し上げ、議員各位、並びに区民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 今年は、現在の中野区基本構想と中野区基本計画を策定してから5年目になります。基本構想に描く、10年後に目指す中野のまちの姿「つながる はじまる なかの」の実現に向けて、基本計画に定める取組を着実に推進してまいります。
 昨年は、中野区役所が約50年ぶりに新庁舎へ移転するという、中野区政にとって、大きな節目を迎えた年でありました。区役所1階のイベントスペースは、土日・夜間を含めて、多くの区民の皆さんに利用されており、文化・芸術を通じた新たな交流の場、そして憩いの場として機能していると実感しています。今後も「つながる はじまる なかの」の理念を実現するための新たな拠点として充実させるとともに、窓口サービスの向上や、窓口に来なくても様々な手続ができるようにオンライン手続の更なる拡充に取り組んでまいります。また、こうしたDXを引き続き推進することによって職員の働き方を改革し、地域に飛び出す時間を生み出し、区民とつながりニーズを把握して、区政に還元できる現場志向の職員を増やしていきます。
 また、中野四丁目新北口駅前地区における市街地再開発事業につきましては、皆様にご心配をおかけしておりますが、施設計画変更の方向性や、事業の遅延により発生する中野区の負担への対処などについて、引き続き施行予定者と協議を進め、3月までに、事業計画の見直し方針や今後のスケジュールを明らかにしていきます。この市街地再開発事業による拠点施設については、中野サンプラザのDNAの継承と発展、親子が楽しめる機会と空間の創出、区民が文化・芸術に触れ、活動する機会の創出といった機能を着実に整備するとともに、100年先においても中野区の顔として区民に愛され親しまれるような施設の実現に向け、区として妥協することなく、強い信念をもって取り組んでまいります。

2 区を取り巻く様々な情勢を捉える

 一昨年10月から1年3か月続いたパレスチナのハマスとイスラエルの紛争により、多くの犠牲者が出ましたが、先月19日に6週間の停戦合意が発効され、人質の解放やイスラエル軍の撤退などが始まり、恒久的な停戦が望まれています。また、ロシアによるウクライナ侵攻も長期化しており、多くの犠牲者や避難民が出ています。
 中野区は「憲法擁護・非核都市の宣言」を行い、「中野区における平和行政の基本に関する条例」を制定し、平和に向けた取組を進めてきました。今後も、様々な機会を捉えて平和への強い意志を発信していく必要があると考えています。
 昨年8月には「南海トラフ地震臨時情報」が発表されましたが、南海トラフ全域を対象とする大規模地震が発生する可能性が高まっていることが危惧されます。この「南海トラフ地震臨時情報」は、先月13日にも、宮崎県日向灘で最大震度5弱を観測した地震を受けて、発表されました。政府の地震調査委員会によれば、南海トラフ巨大地震が30年以内に発生する確率は「80パーセント程度」まで引き上げられており、いつ発生してもおかしくない状況にあります。また、中野区における被害が最も大きく見込まれる多摩東部直下地震では震度6強から6弱と想定されていることからも、これまでに実施してきた災害対策を着実に推進することにより、巨大地震へ備えていく必要があると考えています。
 世界経済の状況は、インフレの沈静化や貿易の持ち直しなどを背景に、底堅い成長を維持しています。我が国の経済は、緩やかに持ち直しており、賃金上昇率の拡大傾向が鮮明になる中、その裾野も拡大しており、個人消費は底打ちとなっています。
 昨年10月の最低賃金改定により、全国加重平均1,055円となり、過去最高の5.1%の伸びとなりました。一方、東京都区部の消費者物価指数が継続的に上昇している影響により、実質賃金の前年同月比は、昨年5月まで26か月連続でマイナスが続いた後、6月から7月は一時的にプラスに転じたものの、8月から3か月連続でマイナスとなり、11月に再びプラスに転じました。賃上げにより名目賃金が上昇しても、実質賃金が上昇するかどうかは物価次第であるため、今後も社会経済状況を注視し、区民生活を守るために必要な対策を講じていく必要があると考えています。
 国は、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を昨年11月に閣議決定し、「国民一人一人が実際の賃金・所得の増加という形で、手取りが増え、豊かさが実感できるよう、更に政策を前進させ、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現、そして、『賃上げと投資が牽引する成長型経済』への移行を確実なものとすること」を目指しており、区としても、区民が豊かさを実感できるよう、区民生活に機軸を置いた政策を進め、区民サービスの向上に力を注いでまいります。
 また、アメリカ合衆国の大統領としてトランプ氏が就任したことに伴い、関税の引上げ等の政策によって、世界経済や日本経済へ与える影響についても、注視していく必要があると考えています。
 生成AI等、新たなデジタル技術の活用が進み、自治体におけるDXの取組も進みつつあります。中野区では、これまで、生成AIツール「Microsoft 365 Copilot」を活用した業務効率の向上に取り組んできたほか、多機能ユニファイド・コミュニケーションツール「Microsoft365」の活用や、職員のBYOD、テレワークの拡充などにより、働き方改革を進めてきたところです。こうした中、東京都は、AIの活用により、業務の効率化や住民サービスの変革をするための戦略を策定するために、昨年12月に第1回東京都AI戦略会議を開催しました。その中で、一般財団法人GovTech東京から、都と都内の区市町村全体で利用可能な生成AIプラットフォームの構築について発表がありました。中野区においても、これまでに生成AIの活用を進めてきたところでありますが、今後、構築される予定の生成AIプラットフォームも活用し、更なる業務の効率化や住民サービスの向上につなげてまいります。
 現在の社会経済情勢は、予測できない変化やイノベーションが次々と起こり、前例踏襲の考え方では十分な対応ができない課題が発生している状況にあります。そうした状況においても、区民ニーズや課題を的確に捉え、適時に効果的な政策を実行するためには、職員の育成が重要であります。昨年6月には、中野区人材育成計画を策定し、令和3年度に策定した人材育成基本方針の実効性を高めるとともに「目指すべき中野区職員の姿」を具現化し、人的資源の側面から、基本構想の実現に向け、着実に取組を進めています。職員の実務能力や専門能力のほか、デジタルスキルや、コミュニケーション能力、ファシリテーション能力といったヒューマンスキルを向上させるとともに、地域に飛び出すことの意義や、改善志向、EBPM、サービスデザイン思考を職員に浸透させることにより、多様な地域課題の解決に向けて積極的かつ主体的に先進的な政策形成ができる職員の育成を進めてまいります。
 今年度の特別区職員採用試験の倍率は、1類で2.1倍となっており、5年連続で低下しています。国家公務員や他の自治体の職員についても、採用試験の倍率は低下傾向にあります。こうした状況の中、優秀な人材を中野区の職員として着実に確保していくためには、中野区の職務の魅力を高め、伝えていく工夫が必要であると考えています。

3 未来に向けて歩みを進める

 昨年5月に新庁舎移転が完了し、「つながる はじまる なかの」の理念を実現するための新たな拠点として動きはじめています。この流れを確固なものとし、業務改善をさらに加速していく必要があります。区民ニーズを把握し、時機を逸することなく効果的な政策を推進するとともに、区民が安心して生活できる環境を充実させることが区の責務であります。令和7年度は、現在の中野区基本計画の最終年度となります。中野区基本構想で描くまちの姿の実現に向け、基本計画に定める取組を着実に進めていくとともに、次期基本計画の策定に向けて検討を進めてまいります。

(1)子育て先進区の実現に向けて
 安心して子どもを産み、育てられる環境をつくり、子どもたちが安心して遊び、学び、健やかに育っていくことができるように「子育て先進区」の実現に向けて、取組を進めてまいります。
 子どもの意見表明等の機会を広げるため、ハイティーン会議の対象年齢を拡大するとともに、子どもや若者による意見表明と政策提言の推進を図るため、ハイティーン会議や若者会議の活動等を拡充します。
 妊娠から出産、子育てまでの個々のニーズに応じた切れ目ない支援を行うため、産後ケア事業の更なる充実、相談支援事業における質の向上、母子保健DXの推進に向けた体制づくりを行います。
 経済的な理由により体験や経験の機会が少なくなりやすい家庭の子どもに対し、なかの里・まち連携自治体と連携した体験事業を実施します。
 子どものショートステイについて、子育て家庭が利用しやすいように実施場所を増やすとともに、利用要件を緩和し、レスパイトの利用を可能とするほか、ひとり親家庭等が継続して利用できるように利用料金の見直しを行います。
 里親支援について、里親養育包括支援(フォスタリング)事業へ拡充するほか、児童養護施設等を退所した後に大学等に進学する単身生活者が安定した住環境で就学できるように家賃等の助成を行います。
 児童館の基幹型・乳幼児機能強化型・中高生機能強化型の3類型への移行に向けた取組を進めるほか、(仮称)キッズ・プラザ上鷺宮の新規開設を進めるとともに、学童クラブの定員拡充や、江古田の森公園内に常設プレーパークを開設するなど、子どもたちの居場所の充実を進めます。
 教育の充実に向けては、令和7年度から各小中学校に「学校運営協議会」を設置するとともに、中学校区ごとの「地域学校運営協議会」を「学校運営連絡会」に転換し、各学校の状況に合わせた地域連携を進めてまいります。また、学校部活動の地域展開に向けて、部活動指導員の配置やモデル事業を行います。
 不登校対策につきましては、これまでの学習支援に加え、児童・生徒の興味や関心に応じた体験活動や校外学習を行うとともに、居場所機能を充実させ、自立に向けた支援を強化するほか、不登校巡回教員の配置等により体制強化を図ります。
 保護者の就労等の有無にかかわらず、未就園児を幼稚園等で預かることにより、子どもの健やかな成長と子育て支援の充実を図るため、幼稚園等で預かり保育を行います。また、病児保育事業につきまして、中部・南部地域で施設を開設する事業者を誘致することにより、地域偏在を解消し、子育てと就労の両立等を支援します。
 このほか、認証保育所等保護者補助金の上限額の引上げや、私立幼稚園等保護者補助入園料補助金の増額により、保護者の負担の公平化や負担の軽減を図るとともに、民間保育施設の大規模修繕工事費の補助を計画的に実施することにより安全・安心で持続可能な保育環境を整備します。

(2)地域包括ケア体制の実現に向けて
 誰もが、住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを続けていくことができるように、区民や関係団体、事業者等と連携し、一体的かつ重層的な支援を行うことができる体制づくりや取組を進めてまいります。具体的な取組を推進していくにあたっては、一人ひとりの区民が健康で生きがいを持ち、安全・安心で豊かな生活を送れるように、スマートウェルネスシティの理念を踏まえた取組も進めてまいります。
 健康に関心のある方だけでなく、区民の誰もが意識的に、若しくは無意識のうちに、健康づくりに取り組むような仕組みや仕掛けづくりに取り組んでいく必要があります。ナカペイをプラットフォームとして活用した健幸ポイントの導入や、高齢者会館で健康状態をセルフチェックできる環境の整備など、健康づくりを促進するための実証事業を開始します。
 このほか、もの忘れ検診の対象年齢の拡大や検診後のフォロー体制の充実、後期高齢者の低栄養予防のための個別支援や口腔フレイル対策等の講座の充実、聴力健診の実施、公共的な空間に気軽に腰かけられるスペースを確保して歩きたくなるまちづくりを推進するなど、区民の健康づくりを促進する取組を進めてまいります。
 鷺宮小学校跡地を活用して、すこやか福祉センターや区民活動センター等を整備する複合施設について、具体的な機能や規模の検討に向けて、土地の測量等を行います。また、すこやか福祉センターのケースワーク記録の電子化により、相談業務の質の向上を図るほか、男女共同参画センターのSNSを活用したオンライン相談窓口を開設し、気軽に相談できる環境を整備します。更に、相談支援体制の充実に向けて、新たにコミュニティソーシャルワーカーを配置し、複雑化・複合化した課題を抱える家庭への支援を強化します。
 介護サービスを支える人材の確保を図るため、介護の仕事の魅力を伝えるマンガとインタビューを掲載したパンフレットを作成することにより、介護の仕事のやりがいや魅力等を区民に広く理解してもらい、介護人材の裾野を広げてまいります。
 孤独・孤立対策については、具体的な支援の方策や関係機関との連携のあり方等を中野区地域包括ケア推進会議の孤独・孤立対策部会において検討するとともに、区民向けの啓発イベントを開催します。
 重度障害者の地域生活を支援するため、江古田三丁目重度障害者グループホーム等整備事業を進めるとともに、重症心身障害児を主な対象とする放課後等デイサービス事業所や保育所等訪問支援事業所の開設準備費用を補助することにより障害児支援体制の充実を図ります。
 障害に対する理解促進を図るため、障害のある人とない人との交流事業を実施するとともに、東京2025デフリンピックの機運を醸成するため、障害者スポーツの体験・普及啓発イベント等を実施し、障害者スポーツへの理解を促進します。
 地域コミュニティの形成に向けた取組としては、町会・自治会活動推進事業の拡充、高齢者会館の環境改善、鍋横・昭和区民活動センターの整備、区民活動センターへのフリーWi-Fiの導入、施設予約システムの再構築などを進めます。 

(3)活力ある持続可能なまちの実現に向けて
 各地区のまちづくりによる都市基盤の創出や再生とあわせて、環境・経済・社会を総合的に発展させ、相乗効果を生み出すことにより、活力ある持続可能なまちを創ってまいります。
 区内事業者に対する経営相談機能を拡充するため、コーディネーターを中心とした伴走型中小企業経営支援体制を構築するほか、産業振興センターを中小企業支援の拠点とするためハード面の改修に着手するとともに、経営者グループや学術機関と連携した創業教育を行うことで、区内産業の活性化を図ります。また、商店街街路灯電灯料助成につきまして、定額制から定率制に変更することなどにより、商店街のコミュニティの形成や維持への意欲を高めます。
 区内の経済・産業を活性化するとともに、ナカペイを活用して、区の政策・施策を側面的に推進するため、コミュニティポイントを導入するなど、デジタル地域通貨事業を拡充します。
 文化・芸術に親しめる環境づくりとして、子どもの豊かな心の形成に資する文化・芸術の鑑賞や体験の機会となる事業を認定し、子どもたちがより身近に文化・芸術に触れることができる環境を拡充するとともに、「子ども・若者文化芸術振興基金」を活用した事業を拡充します。また、歴史民俗資料館の庭園内にある山崎家(注1)の書院・茶室につきまして、文化財的価値と現況・劣化状況等の把握のため学術調査を実施します。
 区内で観光に携わる団体や企業との連携により、アニメコンテンツを用いたシティプロモーションを目的とする実行委員会を立ち上げ、区内の有力なアニメコンテンツホルダー等をオブザーバーとし、魅力的なシティプロモーション事業を展開してまいります。
 中野駅周辺まちづくりでは、中野駅西側南北通路・橋上駅舎や、中野駅新北口駅前広場における歩行者通路の整備工事を着実に進めるほか、中野二丁目、三丁目及び中野四丁目新北口駅前地区において実施する土地区画整理事業、囲町西地区及び囲町東地区において実施する市街地再開発事業を着実に進めるために事業費の一部を補助します。このほか、中野四丁目新北口駅前地区の市街地再開発事業計画の見直しにより、中野サンプラザの解体が遅れていることから、中野サンプラザの南側広場をオープンスペースとして有効活用するため暫定的に開放します。
 西武新宿線沿線まちづくりでは、鉄道上部空間活用基本方針策定に向けた検討を進めるほか、新井薬師前・沼袋駅前拠点整備の推進、上高田一・二丁目及び三丁目周辺地区防災まちづくりの推進、補助第220号線、区画街路第3号線、区画街路第4号線の整備に向けた用地取得と沿道地区のにぎわい創出の検討、公共的空間整備に係る基本計画の検討、野方駅・都立家政駅・鷺ノ宮駅周辺のまちづくり及び基盤施設の具体化に向けた検討などを進めます。
 防災まちづくりとしては、熊本地震や能登半島地震を受けて、新耐震基準の木造住宅を対象に新たに耐震補強等助成を実施するほか、地震時の危険度が高い地域や木造住宅密集地域等において、地域の市街地状況に即した防災まちづくりを推進します。
 脱炭素社会の実現に向けて、昨年6月に中野区脱炭素ロードマップを作成し、「2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロ」を目指して、区が行う取組の内容や削減効果、取組の方向性を示したところです。令和7年度には、再生可能エネルギーや省エネルギー機器の導入に対する補助を拡充するほか、脱炭素に関する区民の意識や行動の変容を促すための学習会を実施するとともに、第5次中野区環境基本計画の策定に向けて、検討を進めてまいります。

(4)持続可能な区政運営に向けて
 基本計画に定めた取組を着実に推進していくためには、持続可能な区政運営の実現が不可欠です。基本計画において、区政運営の基本方針として定めた「対話・参加・協働に基づく区政運営」、「危機の発生に備えた体制の強化」、「社会の変化に対応した質の高い行政サービスの提供」に基づいて、持続可能な区政運営の確立に向けた取組を進めてまいります。
 区有施設の整備に当たっては、最新のユニバーサルデザインを取り入れるとともに、施設の改善・向上を図るため、有識者で構成する評価会議を開催するほか、区立公園におけるトイレのバリアフリー化や洋式化等、ユニバーサルデザインの理念に基づく改修を行います。
 窓口サービスの利便性の向上を図るため、地域事務所にキャッシュレス対応レジを導入します。
 実践的な危機への備えとして、災害時の避難生活の改善を図るため、避難者のプライバシ-確保が容易にできるワンタッチ式の間仕切りや、口腔ケア用品、医療救護用エアーテント、小児用医療資材等の災害対策用備蓄物資を拡充します。
 このほか、令和8年度以降を計画期間とする次期中野区基本計画及び次期中野区区有施設整備計画を策定します。

4 令和7年度予算案の概要

 本定例会でご審議いただく令和7年度予算案は、「にぎわうまち 広がる安心 「発展」と「充実」の未来につなげる予算」とするため、計画に基づく政策及び施設整備、社会の情勢を踏まえた区民生活を基軸とした取組について、限られた財源を優先的に配分し、編成を進めてきました。
 今年度は、昨年9月に予算編成方針を策定した翌月に、中野四丁目新北口駅前地区の市街地再開発事業に関して、施行予定者から施行認可申請の取り下げについて通知がありました。この市街地再開発事業の遅れに伴い、新庁舎整備の財源として予定していた約400億円の転出補償について令和6年度及び7年度中の収入が見込めなくなったことや、スケジュールの遅延に伴い新たな負担が生じることから、区の財政への影響について、皆様にご心配をおかけしているところですが、新庁舎整備費の財源につきましては、これまでに一般財源などで対応してきたほか、残る起債分についても令和6年度の償還分約45億円を一般財源へ振り替え、令和7年度の償還分約71億円については、償還期間の延長で対応するほか、中野駅周辺まちづくりにおいて、今後新たな支出が生じる場合に備えて、財政調整基金への積立てを行う等、令和7年度予算の編成に当たり、財政的に必要な措置を行っているところであります。
 そうしたことも含めて、令和7年度予算の編成を進めた結果、一般会計は、1,949億9,600万円で、前年度比2.7%の減となりました。
 4つの特別会計(用地特別会計、国民健康保険事業特別会計、後期高齢者医療特別会計、介護保険特別会計)の合計は、709億5,800万円で、前年度比1.4%の増となりました。
 全会計合わせて2,659億5,400万円で、前年度比1.7%の減となりました。
 一般会計の歳入予算は、所得や納税義務者数の増により特別区税の増を見込んでいるほか、市町村民税法人分や固定資産税といった調整税等の増が見込まれることから特別区交付金の増を見込んでいます。
 特定財源では、財政調整基金からの繰入の減等により基金繰入金が減となったほか、学校施設整備に係る起債の減により特別区債が減、中野駅周辺地区の市街地再開発事業関連経費の減により国庫支出金が減となっています。
 一般会計の歳出予算では、基金への積立金が増となったほか、中野駅新北口駅前広場整備事業や中野駅西側南北通路・橋上駅舎整備、もみじ山文化センター本館改修工事、(仮称)上高田五丁目公園の用地取得費、自治体情報システム標準化・共通化経費、物価高騰関連経費などが増となりました。
 一方で、市街地再開発事業補助や学校改築等に伴う施設整備費などの投資的経費が減となったほか、新庁舎移転関連経費や公債費等が減となり、前年度を下回る予算となっています。
 予算案の詳しい内容については、提案の際に説明いたします。

5 むすびに

 今年は、大阪・関西万博や東京2025世界陸上が開かれますが、11月には東京2025デフリンピックが、日本で初めて開かれます。中野区においては、中野区立総合体育館がテコンドー競技の会場となり、11月22日から24日まで競技が行われる予定です。デフスポーツや障害者スポーツの体験、普及啓発イベントを開催するなど、東京都や関係団体と連携し、機運の醸成に努めてまいります。
 進学や就職の機会に中野区に転入し、新たな生活をスタートさせる若者が数多くいらっしゃいます。また、世界各国から中野区に移り住む外国人の方も非常に増えており、中野には、実に120を超える国の方が生活しています。多くの人々がつながり、人とまちがつながることで、新たな生活やチャレンジが始まり、活力が生まれます。多様性を尊重し、中野区に住むすべての人々や、このまちで働き、学び、活動する人々の相互理解が一層進み、区民の皆様が安全・安心で豊かな暮らしを実現できるように、区政運営に全力を尽くしてまいります。
 以上、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げ、施政方針説明といたします。

(注1)「山崎家」の「崎」の字は、正しい字が常用漢字表にないため、常用漢字に置き換えて表示しています。
(注2)本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。

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このページは企画部 企画課が担当しています。

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