令和6年(2024年)第1回中野区議会定例会区長施政方針説明(2024年2月9日)

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更新日:2024年2月9日

所信表明写真

1 はじめに

 令和6年第1回中野区議会定例会の開会にあたり、本年の区政運営に臨む、私の所信と予算の概要を申し上げ、議員各位、並びに区民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 本年1月1日に発生した能登半島地震につきまして、改めて、犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。未だ避難生活を強いられている方も多く、一日も早く以前の日常が取り戻せるよう、お祈りいたします。
 区の対応としましては、東京都等との連携により、石川県輪島市への対口(たいこう)支援として、被災地の住家被害認定調査について、都庁を勤務場所としたリモートによる全壊判定に係る業務を行うため、建築職の職員1名を1月下旬に派遣しました。また、石川県金沢市内の大規模避難所への応援派遣として、保健師5名と事務職1名を2月下旬に派遣する予定です。更に、ふるさと納税の代理受付や義援金の受付も行っています。今後も、東京都をはじめ、他自治体と連携し、区としての支援を継続していきます。
 また、いつ起きてもおかしくない首都直下地震に備え、区としての対策に万全を期していく考えです。第43次修正作業中の地域防災計画に必要事項を盛り込むとともに、災害対策用物資の充実などに取り組みます。区役所新庁舎整備においては、災害情報を集約共有し円滑に意思決定できるよう、新たに電子作戦卓を導入するほか、計測震度計や防災無線設備、高所カメラシステムなどの防災設備を更新し、防災対策を充実するとともに、免震構造の採用による高い耐震性能の確保や、ライフライン途絶時に備えたバックアップ対策の拡充等を行っています。
 昨年5月に、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に変更となりました。感染症への対応は新たな局面に入り、名称を変えた「なかの東北絆まつり」や、町会・自治会をはじめとした地域の皆さんの企画による各地区まつりなどが開催され、中野に活気とにぎわいが戻ってきました。今年は、更に活力があふれ、新型コロナウイルス感染症が発生する以前にも増して活動が活発になるよう、取り組んでまいります。あわせて、引き続き、新型コロナウイルス感染症だけでなく、インフルエンザなどを含めた感染症の予防と拡大防止を図っていきます。

2 区を取り巻く様々な情勢を捉える

 昨年10月、ハマスによるイスラエルへの攻撃によって勃発した、パレスチナ自治区ガザ地区におけるイスラエルとパレスチナの紛争は、多くの民間人が犠牲となり、人道危機が深刻化しています。
 また、一昨年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻も、多くの避難民や犠牲者が出ていますが、未だ終息の様子は見られません。
 パレスチナやウクライナ以外にも世界各地で紛争は起きており、北朝鮮による弾道ミサイルの発射実験も頻発しています。
 区は、「憲法擁護・非核都市の宣言」を行い、「中野区における平和行政の基本に関する条例」を制定し、平和に向けた取組を進めてきました。昨年は、平和の旅の実施など平和事業の推進を図るとともに、関連して、難民を支える自治体ネットワークへ参加しました。世界の情勢も踏まえ、今後も、様々な機会を捉えて平和への意思を発信していく考えです。
 世界経済の状況は、新型コロナウイルス感染症の拡大時にマイナス成長となったものの、2021年以降、回復基調となっています。しかし、欧米各国の金融政策の引締め等により、成長率は鈍化しつつあります。
 一方、我が国の経済は、世界経済の回復度合いと比較して、回復が遅れていました。それに加え、ロシアのウクライナ侵攻と円安の影響による資源等の輸入価格の上昇により、急激な物価高騰をもたらし、その影響はまもなく2年 となります。
 今年1月の東京都区部の生鮮食品を除く消費者物価指数は前年同月比で1.6%の上昇、昨年1年間の平均で見ると前年比3.0%の上昇となりました。最低賃金は、昨年10月に、過去最高の伸びとなる改定があったものの、それ以上に物価上昇が著しい状況です。このため、実質賃金の伸びは、昨年12月分の速報値において前年同月比マイナス1.9%で、21か月連続のマイナスとなりました。また、昨年1年間では前年比マイナス2.5%でした。区民生活や事業者への支援のため、これまでも様々な対策を行ってきましたが、今後も状況の把握に努め、必要な対策を講じていかなければならないと考えています。
 デジタル技術の発展は日進月歩であり、目覚ましい勢いで進化しています。昨年は、生成AIが世界的に普及し、国内においても、様々な場面で活用が進んでいます。東京都は、区市町村を含めた東京全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するため、「一般財団法人GovTech(ガブテック)東京」を昨年7月に設立しました。区も、このGovTech東京の共同事業に参加し、人材シェアリングや共同調達・共同開発に取り組んでいくことにしています。
 このような状況の中、今年5月にいよいよ新庁舎へ移転します。デジタル技術を駆使し、新庁舎移転を契機として、最先端の区民サービスを提供していきます。区民の皆さんが来庁して手続を行う際の利便性の向上のため、4つのない(迷わない、待たない、動かない、書かない)と2つのレス(キャッシュレス、タッチレス)により、スムーズに手続を済ますことができる窓口を実現していきます。また、区役所に来庁せずとも手続が完了するよう、オンライン手続の拡充にも取り組んでいきます。
 職員の業務遂行にあたっては、多機能ユニファイド・コミュニケーションツール「Microsoft365」や生成AIツール「Microsoft Copilot(コパイロット)」の活用、個人のスマートデバイスの業務利用、テレワークの拡充などにより、新たな働き方を進め、業務の効率化を図ってまいります。
 新庁舎への移転後も、DX推進による業務改善を進めていく必要があります。GovTech東京は「情報技術で行政の今を変える、首都の未来を変える」というビジョンを描いています。区においても、DX推進による業務改善から更に歩みを進め、区民サービスの質の向上、業務改革や職員の働き方改革につなげていきたいと考えています。
 このように、日々社会情勢が変化し、予測不能な「VUCA(ブーカ)」と言われる時代背景にあって、その変化を的確に捉え、区民ニーズを把握し、時機を逸することなく効果的な政策を打ち出していくためには、計画的・戦略的に人材を育成していく必要があります。多くの職員の退職と採用により、2100人の職員のうち約3割は入区5年目以内となる一方で、新規採用職員には他自治体や民間企業の勤務経験がある職員も増えています。そういった状況を踏まえながら、「中野区人材育成計画」を策定し、取組を進めてまいります。
 職員の知識やスキルとして、業務遂行にあたっての実務知識や特定分野における行政の役割を担う上での専門性とともに、デジタルスキルを向上させ、DXを推進できる職員を育成していきます。あわせて、あらためて対人関係能力の重要性に着目し、その向上に取り組みます。職員の意識や行動については、積極的に地域に飛び出していけるよう環境整備を進めるとともに、常に改善しながら変化に柔軟に対応しようとする意識・行動を浸透させていきます。職員が業務を進める際には、客観的データや合理的根拠をもって政策を立案し、効果を検証していくEBPMの思考や、データだけでは見えないニーズや課題に対し、個々の利用者の視点に立ってサービスのあり方を考える「サービスデザイン思考」を持って進めていくよう促していきます。
 これらの個人へのアプローチに加え、職場環境や組織文化を改善する組織へのアプローチも行い、中野の未来を担う人材の育成を進めていきます。

3 未来に向けて歩みを進める

 「つながる はじまる なかの」を10年後に目指すまちの将来像として描いた「中野区基本構想」の実現に向けて、区が取り組む基本的な方向性を示した「中野区基本計画」をより着実に進めていくため、後期の取組を具体化した「中野区実施計画」を策定します。令和6年度予算は、この実施計画の検討と歩調をあわせ、編成を進めてきました。実施計画で具体化した取組を推進し、中野の未来が輝かしいものとなるよう、歩みを進めていきます。

(1)子育て先進区の実現に向けて
 安心して子どもを産み、育てられる環境をつくり、子どもたちが安心して遊び、学び、健やかに育っていけるよう、「子育て先進区」の実現に向けて、取組を進めていきます。
 一昨年制定した「中野区子どもの権利に関する条例」に基づく子どもの権利に係る普及啓発として、子ども向けワークショップの実施のほか、子どもの権利の日フォーラムの開催や子ども相談室の愛称「ポカコロ」・キャラクター「だんごーず」を活用した普及啓発などを行います。
 育児不安の解消に向けては、ファーストバースデーサポート事業の拡充を図るとともに、父親向け講座や低出生体重児の親向け交流会を実施するなど、妊娠から出産、子育てまでの切れ目ない支援を充実させていきます。また、日本語のコミュニケーションが難しい方に対する支援として、乳幼児健診・個別訪問・発達相談等の実施にあたって、母子保健通訳を導入します。更に、児童福祉法の改正に伴い、すこやか福祉センターをこども家庭センターに位置付け、相談支援機能を強化してまいります。
 児童虐待については、児童相談所が初動から一貫した対応を行っており、そのケースワーク業務の充実のためモバイルシステムを導入するほか、児童相談所等が行う処遇等に対する子どもの声を尊重する仕組みを構築します。また、里親養育包括支援(フォスタリング)事業の実施準備や、児童養護施設退所者等(社会的養護経験者)に対する支援を行います。
 子どもと子育て家庭の生活実態を継続的に把握・分析するため、子育て家庭の保護者及び子どもに対してアンケート調査を実施し、必要な対策の検討につなげていきます。また、生活が困難な状況にある子どもの学びを支援するため、学習支援事業を拡充します。更に、経済的な困難を抱える子どもの保護者を対象として、高等学校等入学時にかかる費用にあてるための支援金を支給するとともに、低所得の離婚成立前の実質ひとり親家庭を含め、ひとり親家庭が区内で転居する場合の初期費用等を助成します。
 子どもたちのニーズにあわせた居場所づくりとして、児童館運営・整備推進計画に基づき、児童館・ふれあいの家の基幹型・乳幼児機能強化型・中高生機能強化型の3類型への移行に向け、類型ごとの機能強化を推進するための取組を行うほか、キッズ・プラザの新規開設、学童クラブの定員拡充、常設プレーパークの設置に向けた試行、地域子ども施設の改修などを進めてまいります。また、魅力ある公園に向けて、公園再整備計画に基づき、再整備を行う公園の基本設計、実施設計、整備工事を行うとともに、防犯カメラの設置やトイレの改修工事等を進めます。
 教育の充実に向けては、「地域学校運営協議会」と「地域学校協働本部」の拡充、特色ある学校づくりに向けた子どもの意見を反映させた教育活動の推進、不登校児童生徒支援の充実や区立学校のICT環境整備、中学校部活動の地域移行などに取り組みます。また、区立図書館の児童コーナーの環境改善などにより、子どもの読書活動を推進します。更に、教育相談機能の充実として、教育相談室の夜間及び土曜日開室、区立小中学校へのカウンセラーの増員などを行います。
 このほか、子育て支援策として、(仮称)こども誰でも通園制度の試行的実施、一時保育やベビーシッター利用支援事業の拡充、物価高騰の状況も踏まえた区立学校の学校給食の保護者負担軽減及び区立学校在籍以外の学齢期児童生徒保護者支援などにも取り組みます。

(2)地域包括ケア体制の実現に向けて
 誰もが可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを続けていけるよう、区民の皆さんや関係団体の皆さんと連携しながら、一体的かつ重層的な支援を行うことができる体制づくり、基盤づくりを進めていきます。
 地域包括ケア体制の構築を進めていくにあたっては、区も首長研究会に加盟しているスマートウエルネスシティ(SWC)の理念を踏まえていきたいと考えています。SWCの理念は、「「ウエルネス(個々人が健康かつ生きがいを持ち、安心安全で豊かな生活を送れること)」をこれからの「まちづくり政策」の中核に捉え、健康に関心のある層だけが参加するこれまでの政策から脱却し、市民誰もが参加し、生活習慣病予防及び寝たきり予防を可能とするまちづくりを目指す」としています。こうした考え方を実現するには、日々の生活の中に健康づくりの仕組みや仕掛けを取り込んでいく必要があります。後ほど触れますデジタル地域通貨事業のプラットフォームを活用した健康ポイントの導入などの検討を進めていきます。
 相談支援体制の充実に向けては、後期高齢者人口の増加に伴う相談者の増加、複雑化に対応するため、地域包括支援センターの人員体制の強化及び運営改善を図ります。また、中野区社会福祉協議会の体制強化を図り、権利擁護事業の拡充を行うため、常勤職員の人件費補助を拡充します。
 ヤングケアラー・ケアラー支援として、発見が困難で問題が顕在化しにくいヤングケアラーの支援体制を強化するため、区立小学校・中学校の生徒への啓発事業等を行います。また、LINE等のSNSを活用したオンラインの相談窓口を開設し、様々なケアラーからの相談に応じる体制を構築します。
 医療的ケア児等への支援について、医療的ケア児等コーディネーターを配置している相談支援事業所に対し補助を行うほか、区立学校、学童クラブにおいて医療的ケア児を受け入れるための看護師の配置を行います。また、民間障害児通所支援事業所における重症心身障害児や医療的ケア児の受入れ促進の継続及び送迎サービスの充実のための看護師の人件費補助を拡充します。更に、特別支援学校に通学バスで通う医療的ケア児に対し、バスに同乗する看護師が確保されず、保護者の同乗を求められた場合に、保護者代理人制度を活用してガイドヘルパーを派遣し、登下校時の送迎を行います。
 障害者施設の基盤整備としては、旧やまと荘・旧大和福祉作業施設について、事業者が行う新施設の整備及び代替施設への送迎に関する費用を補助します。旧やよい荘・旧弥生福祉作業施設については、改修後の施設において、事業者が共同生活援助、短期入所、生活介護等の運営を行います。江古田三丁目重度障害者グループホーム等整備に向けては、今年度運営事業者の選定を行いました。来年度からは施設整備にかかる基本設計及び実施設計を進めていきます。
 障害者の社会参加の推進に向けて、失語症者向けの支援を拡充し、失語症者の外出時等において支援者を派遣する事業(個人派遣)を開始します。
 地域のコミュニティ形成推進の取組としては、町会・自治会活動推進事業として、町会・自治会の加入促進助成の拡充を図るとともに、町会・自治会掲示板の新設・修繕等にかかる費用の助成を行います。
 区民活動センターについては、鍋横区民活動センター等について、基本設計、実施設計及び分室の解体設計を行い、昭和区民活動センターについては、実施・解体設計及び解体工事を行います。また、昭和区民活動センター整備期間中も区民活動センターの機能を維持していくため、温暖化対策推進オフィス跡施設へ仮移転を行います。高齢者会館についても、施設の環境改善を進めます。
 区有施設を利用しやすくするため、施設予約システムの再構築の検討を進めていきます。オンラインによる施設利用手続ができる対象に区民活動センターや高齢者会館などを加えるとともに、キャッシュレスによる使用料支払機能の追加や、施設予約ルールの標準化等を検討のうえ、システムの基本設計を行います。
 このほか、生活支援として、がん患者へのアピアランスケア支援事業や高齢者補聴器購入費用助成などにも取り組みます。

(3)活力ある持続可能なまちの実現に向けて
 各地区のまちづくりによる都市基盤の創出・再生とあわせ、環境・経済・社会を総合的に発展させ、相乗効果を生み出し、活力ある持続可能なまちを創っていきます。
 区内事業者の支援としては、中小事業者の販路拡大、新規顧客の開拓、IT・DX化を支援するとともに、創業期の顧客獲得を支援するため、広報に係る費用の補助を行います。加えて、人材不足解消のため、人材の採用・定着・育成に資する補助事業を実施します。更に、産業経済融資について、金融機関、信用保証協会と連携した区独自の制度融資のメニューを再構築し、区内事業者のニーズに沿った、使いやすい資金調達方法を確保します。
 今後の産業振興施策や、中野駅周辺の再開発をはじめとしたにぎわい創出等の検討に活かすため、産学官連携により、来街者・区民の位置情報データをもとに区の経済施策等の分析や産業振興やシティプロモーション等の研究を行います。
 区内の消費活動・経済循環の活性化に向けては、デジタル地域通貨事業として、区内限定で利用できるキャッシュレス決済アプリを導入し、コミュニティポイントや給付事業等の区施策との連動も図っていきます。
 文化・芸術に親しめる環境づくりとしては、子どもの豊かな心の形成に資する文化・芸術の鑑賞・体験機会となる事業の認定制度の導入及び(仮称)子ども・若者文化芸術振興基金を創設します。また、子どもの文化・芸術活動を活性化するため、子どもが利用する場合の施設利用料を減額します。このほか、旧中野刑務所正門の移築・修復等に取り組みます。
 ナカノミライプロジェクトによるシティプロモーションでは、区内事業者と区が協働して実施しているワークショップにおいて、中野区をプロモーションするショートフィルムを制作します。また、公募により、フィルムコンテストを実施します。更に、中野のまちへの期待を向上させるため「ご当地本」を発行します。
 中野駅周辺まちづくりでは、いよいよ中野二丁目地区の市街地再開発事業による建物が竣工するとともに、中野四丁目新北口駅前エリアにおいて区役所と中野サンプラザの解体が始まります。中野駅西側南北通路・橋上駅舎整備や新北口駅前広場整備、中野二丁目、三丁目、四丁目新北口、囲町東、囲町西の各地区のまちづくりを計画的に推進するとともに、区民の皆さん、地域団体の皆さん、企業の皆さんと一緒になって、中野サンプラザ閉館後のまちのにぎわいを生み出し、次の時代の中野のまちの活力につながるよう、取り組んでいきます。
 西武新宿線沿線まちづくりでは、中井駅~野方駅間の連続立体交差事業に伴う鉄道上部空間活用に向けて基本方針骨子案の検討を進めるとともに、新井薬師前・沼袋駅前拠点整備の推進、上高田一・二丁目及び三丁目周辺地区防災まちづくりの推進、補助第220号線、区画街路第3号線、区画街路第4号線の整備に向けた用地取得と沿道地区のにぎわい創出の検討を進めます。また、野方駅・都立家政駅・鷺ノ宮駅周辺については、野方駅以西の連続立体交差化の早期実現を目指し、地域の皆さんとの意見交換を行いながら、まちづくり及び基盤施設計画の検討を進めます。
 防災まちづくりとして、新たな防火規制による不燃化促進、若宮地区防災まちづくり、南台地区・平和の森公園周辺地区における木造住宅密集地域整備、弥生町防災まちづくり、大和町まちづくりに取り組みます。また、耐震化促進として、非木造住宅の耐震改修等助成を開始します。
 脱炭素社会の実現に向けては、「中野区ゼロカーボンシティ宣言」に基づき、今年度実施した脱炭素社会の実現に向けた分析調査をもとに、2050年までの二酸化炭素排出量実質ゼロに向けた脱炭素ロードマップを作成し、全庁をあげて取り組んでいきます。また、再生可能エネルギー及び省エネルギー機器等の導入に対する補助金を拡充し、新たに家庭用燃料電池コージェネレーションシステム(エネファーム)及び自然冷媒ヒートポンプ給湯機(エコキュート)の補助を追加します。

(4)持続可能な区政運営に向けて
 基本計画で掲げた取組を推進していくためには、持続可能な区政運営の確立が不可欠です。区政運営の基本方針で定めた「対話・参加・協働に基づく区政運営」、「危機の発生に備えた体制の強化」、「社会の変化に対応した質の高い行政サービスの提供」の3つの方針に基づき、持続可能な区政運営の確立に向けて、取り組んでいきます。
 新庁舎移転に向けた具体的な取組としては、全庁共通発券機、窓口支援システム、セルフレジ、セルフサービス端末、AIチャットボット等の導入や、おくやみ窓口、外国人相談窓口の開設、フロアマネージャーの導入などにより、区民の皆さんにとって、利便性の高い区役所を実現します。また、多機能ユニファイドコミュニケーションや統合ネットワーク環境等の構築を進め、職員にとって働きやすい環境も整備し、業務の効率化を進めていきます。
 新庁舎1階は、明るく開放的な庁舎の象徴的な空間として、地域活動をはじめ文化・芸術などの情報発信機能を備え、区民の皆さんに、親しみを持って、活用、交流してもらえるよう、工夫していきます。
 デジタルシフト関係では、先ほど述べた施設予約システムの再構築のほか、区が開催する会議でのペーパーレス環境の整備、電子契約の導入、マイナンバーカードの普及にかかる取組の強化、自治体情報システムの標準化・共通化、介護認定審査会のオンライン化及び介護認定進捗照会システムの導入などに取り組みます。
 このほか、次期基本計画の策定に向けた検討に着手するとともに、次期区有施設整備計画の策定に向けて区有施設の現状の整理を行います。次期基本計画と次期区有施設整備計画は、令和8年度を初年度とした計画とすることを考えており、歩調をあわせて検討を進めていきます。

4 令和6年度予算案の概要

 本定例会でご審議いただく令和6年度予算案は、「「暮らしの安心」と「まちの活力」 動きはじめた中野の未来のための予算」とするため、基本計画で掲げた重点プロジェクト、区有施設整備計画に基づく施設整備、社会の情勢を踏まえた区民生活を基軸とした取組について、限られた財源を優先的に配分し、編成を進めてきました。
 一般会計は、2、004億3、700万円で、前年度比2.5%の増となりました。
 4つの特別会計(用地特別会計、国民健康保険事業特別会計、後期高齢者医療特別会計、介護保険特別会計)の合計は、699億8、000万円で、前年度比9.4%の減となりました。
 全会計合わせて2、704億1、700万円で、前年度比0.9%の減となりました。一般会計は過去最大、全会計合計では過去2番目の規模となっています。
 一般会計の歳入予算の一般財源は、定額減税などの影響により特別区税が減となったものの、調整税等の増収が見込まれることから特別区交付金の増を見込んでいます。
 特定財源では、新庁舎整備に係る都負担金の減等に伴い分担金・負担金が減、新庁舎整備や平和の森小学校用地購入の皆減等により特別区債が減となったものの、中野駅周辺まちづくりの進展等に伴い国庫支出金、都支出金が増となったほか、学校施設整備や公園整備などにより基金繰入金が増となっています。
 一般会計の歳出予算では、新庁舎整備や平和の森小学校用地購入などの投資的経費が減となったほか、新型コロナウイルスワクチン接種関係経費、基金への積立金等が減となりました。
 一方で、中野四丁目新北口駅前地区における市街地再開発事業関連経費や都市再生土地区画整理事業関連経費、囲町東地区市街地再開発事業関連経費、中野駅西側南北通路・橋上駅舎整備、区立小中学校施設整備などの投資的経費が増となったほか、新庁舎移転関係経費、公債費、退職手当、デジタル地域通貨事業、区立学校の学校給食の保護者負担軽減及び区立学校在籍以外の学齢期児童生徒保護者支援などが増となり、前年度を上回る予算となっています。
 予算案の詳しい内容については、提案の際に説明いたします。

5 むすびに

 今年は、フランスのパリにおいて、第39回夏季オリンピックと第17回夏季パラリンピックが開かれます。前回の東京大会は、新型コロナウイルス感染症の影響により、原則無観客で実施されました。今回は、2大会ぶりに、以前の開催形態に戻ることになります。世界各地で紛争が続いている中、国籍や文化を超え、スポーツを通して、お互いの理解を深める機会になることを願っています。
 また、来年には、第25回夏季デフリンピックが東京で開かれます。区においては、中野区立総合体育館がテコンドー競技の会場になる予定です。競技のテスト大会を実施するなど、東京都や関係団体と連携し、機運醸成に努めてまいります。
 中野には120を超える国と地域の方が生活しています。また、国内からも、中野に移り住み、新たな生活をスタートさせる方が数多くいます。「人」と「人」がつながり、「人」と「まち」がつながり、新たな生活やチャレンジがはじまるまち・中野。多様性を尊重し、一人ひとりの相互理解が一層進み、区民の皆さんが安心して暮らし続けられる中野の実現に向けて、区政運営に全力を尽くしてまいります。
 以上、区議会並びに区民の皆さんのご理解とご協力をお願い申し上げ、施政方針説明といたします。

お問い合わせ

このページは企画部 企画課が担当しています。

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