平成31年(2019年)第1回中野区議会定例会区長施政方針説明(2019年2月15日)

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更新日:2023年8月3日

施政方針説明を行う酒井区長
(施政方針説明を行う酒井区長)

1 はじめに

2 区の将来を展望した取組

3 平成31年度の区政の方向について

4 平成31年度予算案の概要について

5 むすびに

平成31年第1回中野区議会定例会にあたり、本年の区政運営に臨んで私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

本年4月30日、天皇陛下が御退位され、皇太子殿下が翌5月1日に御即位されます。平成の時代から次の時代に向け、中野区政も皆様とともに一歩一歩着実に歩みを進めてまいりたいと考えております。

中野区には、魅力ある地域資源や文化があり、中野区を愛し、地域のために活動したいという熱意を持った人々がたくさんいます。しかし、こうした区民の皆さんと区との協働は十分には進んでおらず、皆さんの力が十分に生かし切れていません。

これからの区は、このような区民の皆さんの力をコーディネートして、地域や区政の発展のために生かしていく必要があります。

私は昨年6月に区長に就任して以来、それまでの区政の評価すべきところは継承しつつ、改革すべきところは機を逸することなく見直しや改革に着手してまいりました。そして、「中野区を子育て先進区へ」「安心して地域で暮らし続けられるまち、中野」「区民とともに進めるまちづくり」「区民と向き合う区役所への転換」の4つを基本とし、区政運営を進めてまいりました。

私が就任する以前の区政運営では、財務規律の徹底や、民間活力の活用による人件費の削減などを進め、財務体質の改善を図りました。また、中野四季の都市(まち)をはじめとする中野駅周辺各地区の整備や、西武新宿線沿線まちづくりなど、にぎわいを創出する礎を築きました。このほか、町会・自治会を中心とした地域支えあいネットワークの構築や子育て支援の充実、災害危険度が高い木造住宅密集地域等の防災性向上などを進めました。こうした施策の多くは、時代の変化に合わせながら今後も推進し、充実を図ってまいります。

一方で、政策決定過程における区民参加の推進や、地域の子育て支援拠点のあり方などについては、検証や見直しが必要であると考えています。

中野駅新北口駅前エリアの再整備においては、大規模集客交流施設のあり方を見直すこととし、既設の区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議に新たな委員を加え、様々な立場の方々と意見交換を行ったほか、区報やホームページを通じて意見、提案を募集するなど、改めてより多くの区民の皆さんから幅広いご意見を聞いてまいりました。中野サンプラザのDNAを継承するための施設のあり方については、さらに区民、議会における議論が必要だと考えています。他方、中野駅新北口駅前広場や周辺道路などに関する都市計画については、中野駅西口改札の早期開設とも密接に関連することから、都市計画手続を進めてきたところであり、今後も着実に進捗を図ってまいります。

また、区立保育園の全園民営化や、児童館の全廃計画の見直し、平和の森公園再整備、哲学堂公園再生整備、旧中野刑務所正門の取扱いなど多岐にわたる喫緊の区政課題について、様々なご意見をいただき、「対話の区政」実現に向けた手応えを感じています。

また、区議会や区民の皆さんから分かりづらいとのご指摘のあった組織名称についても分かりやすい名称に見直してまいります。あわせて、防災危機管理対策や子ども・子育てにかかる事業、地域包括ケアシステムの推進にかかる施策など、関連性の高い事業や事務について統合等を図り、区政をより効果的かつ効率的に運営することのできる体制づくりを行ってまいります。

これまでの行政評価制度は、多くの時間を費やして評価しているものの、事業改善に結びつきづらく、外部評価結果を翌年度予算に反映できないなどの課題がありました。行政評価の結果を踏まえて、事業のスクラップ・アンド・ビルドに取り組めるよう、行政評価制度を抜本的に見直してまいります。

昨年の国内経済は、雇用情勢や企業収益が改善し、個人消費についても持ち直すなど、緩やかな景気回復が続きました。しかし、一方で米中貿易協議の動向が、世界経済や金融資本市場の変動に与える影響を注視する必要があるほか、地方消費税の清算基準の見直しや、法人住民税の一部国税化等の国の不合理な税制度の変更、本年10月の消費税率の引き上げなどの懸念事項もあり、区を取り巻く状況は予断を許しません。

中野区が、将来にわたって魅力ある自治体であり続けるよう、少子高齢化や人口の減少、外国人住民の増加などによる長期的な人口構造や区民ニーズの変化などを踏まえ、限られた経営資源を効果的かつ効率的に活用し、様々な課題に対応していくための区の将来を展望した中長期的な取組をご説明いたします。

(1)安心して子どもを産み、育てられる環境づくり

安心して子どもを産み、育てられる環境をつくるためには、子育てにかかる不安や経済的負担の軽減、労働環境の改善のほか、子どもたちが安心して遊び・学び、健やかに育っていけるよう、子育て関連施設や公園の整備など、様々な観点から子育て支援を充実させることが重要です。

これまでに実施してきた子育て支援策に加え、経済的負担が重い不妊治療費用の軽減、学童クラブの定員拡大や利用料負担の軽減、親子で楽しめる公園の整備、社会的な課題となっている子どもの貧困対策などに総合的に取り組んでまいります。また、区立保育園や区立幼稚園、児童館については、各施設が果たすべき役割を再整理し、今後の施設配置のあり方を再検討いたします。

子どもたちが社会性や自立性を身に付け、互いに尊重しあいながら、生き生きと育っていける環境を整えるとともに、子どもたちを地域全体で見守り、希望ある未来に向けて、どのような環境に置かれた子どもも健やかに成長できる地域社会を目指してまいります。

(2)地域包括ケアシステムの構築

誰もが住み慣れた地域で安心して安全に暮らし続けられる地域社会づくりが喫緊の課題となっています。このため、区では、すこやか福祉センターを中心として、支援を必要とする人へのアウトリーチの個別支援等を行ってまいりました。また、町会・自治会が中心となって民生・児童委員や関係機関と連携して進めていただいている地域支えあいネットワークや、医師会、歯科医師会、薬剤師会など、医療・介護・福祉の関係団体の方々の先進的な連携の取組などが大きな力となっています。

団塊の世代が後期高齢者に到達する2025年以降、ますます高齢化していく地域社会にあって、地域包括ケアシステムを更に推進する必要があります。高齢者の介護支援及び介護予防の取組を強化し、在宅療養支援、医療介護連携、認知症初期集中支援等のバックアップ機能を整備してまいります。

また、子どもや障害のある人など、支援を必要とする全ての人を対象とした地域包括ケアシステムを構築してまいります。すこやか福祉センターの配置のあり方や地域包括支援センター・障害者相談支援事業所の適正配置について再検討し、支援を必要とするあらゆる人のライフステージに応じた継続的、総合的なサービス支援や地域の見守りが一体的に行われる地域包括ケアの拠点として、機能拡充を図ってまいります。

犯罪被害者に対する支援についても、基本的な考え方や区の支援のあり方等の検討を進めてまいります。

(3)多文化共生の推進に向けた取組

少子高齢化やグローバル化が急速に進む時代にあって、持続的にまちの活力を生み出していくためには、年齢や性別、個人の属性、国籍などを超えて、多様な人々が、多様な生き方や価値観、生活文化を互いに尊重し、生かしあいながら共生していく社会が求められます。

ユニバーサルデザインの理念のもと、全ての人が、安全で快適に利用できる都市基盤を整備するとともに、自らの意思により自立して活動し、自己実現できる環境を創出するため、ユニバーサルデザインの考え方を広げるなど環境整備を進めてまいります。また、LGBTなど性的少数者の理解促進の取組を引き続き進めてまいります。

(4)中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくり

中野駅周辺は、個性豊かな文化発信や、業務、商業、住宅など多様な都市機能の集積による魅力あるまちづくりによって、多様な人々の交流と、にぎわいに満ちたシンボル空間の形成を目指してまいりたいと考えています。

中野駅新北口駅前エリアについては、引き続き事業の進捗に応じて多様な区民参加の機会を設け、適切な意見交換・情報共有を図りながら、区民の皆さんとともにまちづくりを進めてまいります。

また、交通・歩行者ネットワークの要となる中野駅西側南北通路・橋上駅舎等整備については、早期開設を目指し、引き続き鉄道事業者と協力して取り組んでまいります。

中野駅周辺各地区のまちづくりにおいては、地権者をはじめとする関係者の方々の協働に基づいて進められており、目指すべきまちの姿を共有しながら、区として適切な支援を行ってまいります。

西武新宿線沿線は、中井駅から野方駅間の連続立体交差事業が進んでいる新井薬師前駅や沼袋駅周辺について、都心や新宿等の副都心に近い立地を生かし、新たなにぎわいを創出する駅前地区の再整備と基盤整備など地域と協働したまちづくりを進め、沿線地域全体のブランド力を高めてまいります。また、野方駅以西についても、野方駅、都立家政駅及び鷺ノ宮駅の各駅周辺地区まちづくり検討会により取りまとめられた構想を踏まえて、まちづくりの整備方針を明らかにしていくとともに、野方駅から井荻駅間の連続立体交差事業の早期実現を関係機関に強く働きかけてまいります。

(5)文化芸術施策の推進

文化芸術は、老若男女を問わず、心豊かな生活を送るうえで欠かせないものであるとともに、多くの人を惹きつける魅力を持っています。また、文化芸術の振興は、地域経済の活性化や国際交流の活発化が期待できることから、活力ある地域社会を築いていくうえで重要な地域資源となります。

区内では、音楽演奏、絵画、アール・ブリュットなどの芸術活動や、江古田獅子舞、鷺宮囃子、伝統工芸などの伝統文化をはじめ、多くの区民・団体の皆さんが文化芸術活動に携わっています。

区は、街中のどこでも気軽に文化芸術に触れられる環境づくりを進めることにより、シビックプライドを醸成し、子どもたちの豊かな心を育み、伝統芸能の継承者を育成し、文化芸術活動を盛り上げるための環境を整備してまいります。

(6)急速に進歩するAIやICTの活用

AIやICTが急速に進化しており、AIの活用が民間企業に広がっています。地方自治体においても保育施設の照会やごみ分別案内、住民からの問い合わせ対応、戸籍業務に関する職員支援など、本格導入に向けた動きが活発になっており、今後、職員の行う定型業務が減少していくことはほぼ確実な状況です。また、電子決裁率のさらなる向上や、行政による情報発信の電子化、大型ディスプレイの活用や庁内無線LAN環境の整備などによって、ペーパーレス推進や業務の効率化を図っていく必要があります。こうした業務の効率化を推進することによって、職員が積極的に地域に飛び出していけるよう環境づくりを行っていきたいと考えています。

区においても、AIを積極的に活用するなど定型業務の自動化を行い、業務の効率化に取り組むことで、行政運営コストの低減を図ってまいります。

また、こうした技術は、将来的に定型業務のみならず、非定型業務においても活用が進むと見られており、区民サービスを飛躍的に向上させる大きな可能性を持っています。新しい区役所の整備にあたっては、これまでの区の職員の仕事の進め方を見直すとともに、最新のICTを有効に活用することで、多様化・複雑化・専門化する行政需要に、適切かつ効率的に対応していけるよう検討してまいります。

(7)大規模災害への備えと安全・安心なまちづくり

いつ起こるか分からない災害や危機的な事態など、非常時に対する備えも今後ますます重要になります。

木造住宅密集地域において、避難道路の整備や建物の不燃化・耐震化等を促進し、災害から区民の生命・財産を守る防災まちづくりを推進します。特に危険性が高い地区において東京都の不燃化特区制度の活用などによる集中的な取組を引き続き進めるとともに、重点的な取組を必要とする地区についても、住民合意形成を図りながら計画的に防災まちづくりを推進します。

また、地域における一人暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯が増加しています。いざという時に、避難に支援が必要な人が増えていく中、地域の防災力を高めていかなければなりません。防災会や福祉、保健、医療等との連携強化に努めてまいります。

(8)東京オリンピック・パラリンピックに向けた取組

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催まで500日余りとなりました。昨年は、区民の皆さんがオリンピアン・パラリンピアンなどのトップアスリートとともにスポーツを楽しむことができるイベントなどを行いました。区内各地域においても様々な関連事業を行っていただいたり、多くの区民の皆さんに都市ボランティアとして応募していただくなど、大会開催に向けた気運を盛り上げていただいています。

現在建設中の(仮称)中野区立総合体育館が、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の卓球の公式練習会場となり、大会に出場する世界各国の選手の練習が行われます。また、大会開催中に実施する競技観戦イベントの調整や検討も行っています。

本年も、3月17日にオリンピック・パラリンピック推進事業として、500日前カウントダウンイベントを実施するなど、大会開催に向けた数々の事業を実施いたします。こうしたイベントを通じて、区民の皆さんが身近にアスリートを見たり、オリンピアン・パラリンピアンや関係者と触れ合ったりすることで大会を実感し、この大会をきっかけとして、区民の皆さんの国際理解や障害者理解を促進し、誰もが暮らしやすい地域社会をつくってまいりたいと考えています。

また、大会開催を契機とした来街者数の増加に対応し、区民及び来街者が区内を円滑に移動できるよう環境整備を進めてまいります。

(9)新しい基本構想と基本計画の策定

現在、基本構想の改定にあたり、基本構想に盛り込むべき内容について、総合的、専門的な見地からの意見を聴くため、学識経験者と区民の皆さんによる中野区基本構想審議会の発足に向けて準備を進めております。

新しい基本構想は、加速度的に変化を遂げる社会経済情勢や多様化する区民ニーズに対応し、区民の皆さんが将来にわたって安心して暮らし続けられるまちを目指すとともに、区民の皆さんが親しみや共感を持つことができる基本構想として、10年後に目指すべき区の将来像を描いてまいりたいと考えております。

また、基本構想で描くまちの姿を実現するための総合計画として、基本計画を策定いたします。新しい基本計画は、計画期間を5年間とし、社会経済状況の変化が激しい近年において、より実現性を高める計画として策定してまいります。

新しい基本構想や基本計画の策定にあたっては、広範な区民参加、積極的な情報公開、区民や職員意見の集約・反映を基本として進めてまいります。検討の過程では、区議会における十分な審議・審査をお願いいたします。

次に、来年度、新たに取り組む施策や取組を強化する施策など、平成31年度の区政運営の方向について、ご説明いたします。

先ほど申し上げましたように、区は、今後の区政の方向を示すため、新しい基本構想や基本計画の策定に向けた検討を行ってまいります。このため、策定までの間は、これまで進めてきたまちづくりに引き続き取り組むとともに、その一方で現時点で対応していかなければならない様々な課題についても、機を逸することなく幅広く取り組んでいくこととしました。

(1)子育て先進区に向けた取組

まず、子育て先進区に向けた取組です。

子どもを産み育てたい皆さんに選ばれるまちを目指し、妊娠期から出産・子育て期までの切れ目ない支援を進めるため、産前産後家事支援事業を新設するとともに、不妊検査、特定不妊治療にかかる経済的負担の軽減などを進めます。

また、多様な保育需要に対応し、保育定員の拡充を図るために、認可保育施設の新規開設等を進め、区立幼稚園においても、幼稚園型一時預かり事業を開始するほか、保育士等や幼稚園教諭の人材確保のための事業など、幼児教育や保育の質と量を確保する取組を拡充・継続していきます。

子育て支援施設の拡充では、キッズ・プラザ、民間学童クラブ及び子育てひろばの新規開設、施設整備などの開設準備事業を行うとともに、児童相談所の開設に向けて、他の自治体の児童相談所への職員派遣、虐待対応専門員等の配置、ショートステイ事業の拡充など準備を進めます。

こうした子育て支援施策を、より効果的、総合的に推進していくため、子どもと子育て家庭を対象とした実態調査を実施します。

学校教育の充実に向けた取組にも注力していきます。

未来を拓く子どもたちの教育環境の充実を図るため、小中学校の再編整備を進めるとともに、学校施設の非構造部材の耐震改修や老朽化した普通教室の冷暖房機入れ替え、特別教室の冷暖房化、トイレの洋式化など、区立学校の環境改善に向け計画的な改修を進めるほか、体育館の冷暖房化にも早急に取り組みます。また、西中野・鷺宮小学校の統合にあたり、安全な通学路の確保方策の検討を進めます。

小中学校教育においては、ICT機器を活用した授業を展開するため、タブレット端末や電子黒板等の拡充、デジタル教科書の導入を進めるとともに、学校ごとに活用できるいわゆる校割予算の増額を行います。また、教員の負担軽減による教育の質の向上を図るため、部活動指導員の配置や事務作業の効率化を進めるほか、いじめや不登校などの課題への対応については、スクールソーシャルワーカーの増員や、SNS相談アプリの導入など相談・支援体制を充実します。さらに中学校への特別支援教室の整備や、通常学級の支援員の充実など、特別な配慮が必要な子どもたちの教育を充実します。

(2)安心して地域で暮らし続けられるための取組

災害に強いまちづくりを目指して、区内全域の危険なブロック塀等の状況調査を行うとともに、新たに除却費用の助成を行うほか、公園樹木や街路樹の樹木診断を計画的に行い、倒木などの危険性を早期に発見し適切な処置を行います。また、面的な不燃化の推進を図るため、平和の森公園周辺地区や南台地区など防災性を高める取組を継続的に進めるほか、木造住宅の建替え助成を拡充するとともに、非木造住宅の建替え助成も新たに行い、災害危険度の低減を進めます。弥生町三丁目周辺地区、大和町地区においては、不燃化の促進に合わせ、無電柱化の推進などのまちづくりを進めます。

区民の安全・安心につながる取組としては、特殊詐欺被害を未然に防止するため、自動通話録音機の貸与事業を拡充するほか、自転車利用の安全意識を高めるための点検整備費用の助成や、認知症高齢者等が日常生活で偶発的な事故を起こし、損害賠償を求められた場合に備えた賠償責任保険事業を開始します。

区民の地域活動の活性化に向けては、町会・自治会活動や区民活動センター運営委員会など、地域で公益的な活動をする団体への支援を強化するとともに、昭和区民活動センター及び鍋横区民活動センターの建替え整備に向けた取組や集会室の内装改修などを進め、地域施設の設備や機能を向上させていきます。

区民の健康づくりや福祉の推進に向けて、胃がん・乳がん検診の体制強化や、受動喫煙防止の取組、禁煙治療促進のための助成の実施、重度の精神障害者への障害者福祉手当の支給、介護サービス事業者育成・支援の強化に取り組むほか、(仮称)中野区立総合体育館の整備や哲学堂公園野球場の改修などを行い、区民の皆さんが健康づくりに親しむ機会と場の充実を図ります。

また、誰もが生き生きと暮らせるユニバーサルデザインのまちづくりを目指し、啓発事業の推進や、区有施設、公園のトイレの洋式化、道路や公園のバリアフリー化などに取り組み、中野を訪れ、暮らす全ての人にとって利用しやすい環境づくりを引き続き進めてまいります。

(3)区民とともに進めるまちづくりのための取組

中野駅周辺では、各地区のまちづくりの検討、設計、整備を継続的に推進するとともに、中野駅西側南北通路・橋上駅舎等整備に係る支障移転工事等を進め、本体工事に着手します。

区民の皆さんのシビックプライドの醸成や中野区のイメージアップを目指したシティプロモーション事業を進めるほか、中野区の豊かな歴史文化を分かりやすく伝えるため、歴史民俗資料館の再整備等を行います。このほか、商店街や商店街を中心とする地域団体に対し、従来のイベント事業や活性化事業に加え、新たに地域一帯のにぎわい創出に向けて、商店街と地域団体が連携して行う取組に支援を行います。

また、西武新宿線連続立体交差事業に合わせ、新井薬師前駅、沼袋駅周辺地区の交通環境の改善、にぎわいの創出、防災性の向上に向けた取組を着実に進めるとともに、野方駅以西についても、各駅周辺まちづくりの検討を行います。東中野駅東口周辺については、交流拠点にふさわしい回遊性の向上を目指しバリアフリー動線の検討などを進めます。

憩いの場であり防災機能も有する公園として、平和の森公園の再整備や弥生町六丁目の広町みらい公園の整備を進めるとともに、魅力的な公園環境づくりを目指して、公園再整備計画を策定し、公園の配置や利用ルールを検討する仕組みづくりなどを行います。

(4)区民と向き合う区役所への転換など

区民の皆さんとともに将来の中野のまちを展望し、目指す姿を明らかにするため、基本構想の改定に向けて、区議会や区民の皆さんと協働しながら具体的な検討に着手します。あわせて、区民の皆さんが主体的に区政運営に関与できる環境づくりをさらに進めるために、なかの区報のリニューアルやオープンデータ活用促進など区政情報の積極的な提供を図り、区民参加による開かれた区政の実現を目指してまいります。

区民サービス向上の取組として、住民税・軽自動車税・国民健康保険料の支払いについて、モバイルクレジット収納及びペイジー収納を導入するほか、区役所本庁舎の戸籍住民窓口における支払いに電子マネーを活用できるようにします。このほか、新区役所の整備に向けて実施設計や総合窓口等の検討を進め、区民の皆さんの活動や交流の新たな拠点となる区役所づくりを着実に進めます。

地球温暖化対策として、新たに創設される森林環境譲与税を活用し、木材利用の促進や環境教育を行うほか、ごみの埋め立て量削減に向け、燃やすごみの削減、不燃ごみの資源化に取り組んでまいります。

また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向け、地域での気運醸成の取組を支援するほか、区民の長期的なスポーツ活動・健康づくりの推進、子どもたちのスポーツ・運動意欲の向上や、国際理解教育等を推進し、大会開催を区の長期的な施策展開や地域社会のさらなる発展につなげていきます。

次に、本定例会においてご審議いただく、平成31年度予算案の概要を述べさせていただきます。

まず、予算の規模ですが、

一般会計は、1,521億7,200万円、前年度に比べ6.6%増。

特別会計は、747億8,300万円、前年度に比べ15.4%増。

全会計総計では、2,269億5,500万円、前年度に比べ193億6,100万円、9.3%の増となりました。

一般会計予算では、歳入の中心を占める特別区税及び特別区交付金について、雇用情勢や調整3税の動向を反映し増収を見込んだほか、国庫支出金や都支出金についても、増加を見込みました。また、投資的経費の財源として特別区債を活用しています。

歳出のうち義務的経費は、人件費がほぼ横ばい、公債費は計画的な起債管理により元金償還分が減となりましたが、扶助費は、教育・保育にかかる給付費等が大幅に伸びたため増加しています。また、区立小中学校再編整備や学校体育館の冷暖房化など教育環境の向上を図るための経費や、(仮称)中野区立総合体育館や広町みらい公園などの社会資本整備にかかる経費を計上したことから、投資的経費が大きく伸びています。

平成31年度予算は、新しい基本構想や基本計画の策定を視野に入れながら、教育や子育て支援の充実、支えあい活動の推進、地域の防災・安全の推進など、区民の皆さんが将来にわたり、安心して暮らし続けられるように、新たな政策を盛り込み、中野のまちや区民の暮らしを守り発展させるための予算としました。一方、区の歳入については、国が推し進めている不合理な税制改正等が、今後の歳入減の要因となっています。これまでと同様、一般財源充当事業費について一定の基準を設け、これを財務規律の基本とし、財政運営に臨んでいく所存です。

これにより、将来の景気変動にも十分に対応できる財政基盤を堅持してまいりたいと考えています。

なお、予算案の詳しい内容につきましては、提案の際にご説明をさせていただきます。

今後の日本社会は、少子高齢化、生産年齢人口の減少がさらに進み、社会環境が大きく変化します。その影響が自治体財政にも及んでいくことは明らかであり、多様化する区民ニーズに行政だけで十分に対応することは困難になっていくことが想定されます。

こうした中、これからの自治体のあるべき姿を「自治体3.0」と呼ぶ考え方が提唱されています。前例踏襲で現状維持、お役所仕事の域を出ない自治体を「自治体1.0」、住民をお客様と捉え、そのニーズに応え続けようとする自治体を「自治体2.0」とし、「自治体3.0」は、住民と協働・協創する自治体と定義する考え方です。

今後の自治体運営は、行政でしかできないことや、行政がやるべきことは、スピード感を持って全力で取り組み、そうでないものについては、区民の皆さんや事業者の方にも積極的に関わっていただき、ともに汗をかいてまちづくりに取り組むことが必要になってきます。地域社会の課題を解決するために、区民等の力を最大限に生かした取組を行う自治体が「自治体3.0」であり、今後、中野区が目指す方向であると考えています。

刻々と変化する時代に合わせて、そのときどきに最大の効果をあげていくためには、いかに敏感に時代や区民ニーズの変化を感じ取り、将来への展望を描けるかが重要となってきます。

そのためには、職員自らも地域の一員としての認識を持ち、地域に飛び出して、区民やNPO法人などの多様な主体と協働し、それらをコーディネートして地域全体の振興を図るというスタイルに大きく転換する必要があります。その上でこうした多様な主体との協働などの積み重ねにより、職員が区民の発想や価値観に触れ、民間の経営感覚を涵養し、区民や関係団体の皆さんと職員との間にゆるぎない信頼関係が築かれていくものと考えています。

このまちで暮らす人々が、中野で暮らしてきて良かったと思っていただけるまちを実現することが、私たち行政に携わる者の使命であると考えています。

自立した自治体として将来に向けて着実な歩みを進められるよう、区民の皆様の多様なご意見を受け止めながら、自らが先頭に立って、全力を尽くしてまいります。

区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げて、平成31年第1回中野区議会定例会における施政方針説明とさせていただきます。

(注)本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。

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このページは企画部 企画課が担当しています。

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