令和7年度全国人権作文コンテスト

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更新日:2025年12月17日

令和7年度全国中学生人権作文コンテスト

 中野区では区立中学校9校および東京都立富士高等学校附属中学校の全10校が人権作文コンテストに参加しました。東京都大会参加の都内284校の中学校、33,720編の中から、中野区参加の4編が「作文委員会賞」に選ばれました。また、中野地区人権擁護委員から「中野区人権擁護委員賞」を10編選出しています。今回は「作文委員会賞」に選ばれた生徒一名の作文を掲載します。

令和7年度 全国中学生人権作文コンテスト東京都大会 「作文委員会賞」受賞作品

中野区立北中野中学校2年 松平 茉央子】さんの作品をご紹介します。

「みんなでできる小さな一歩」

 私が人権について深く考えるきっかけになったのは、中学一年生のときに行われた「障害を知る」という授業でした。その授業では、生まれつき目が見えない人と耳が聞こえなくて手話で話す人のお話を聞くことができました。普段の生活ではなかなか会うことがない方々のお話を直接聞けて、とても心に残る経験となりました。
 まず目が見えない方のお話です。その方は、生まれたときから光や色を見たことがないと言っていました。私は「もし自分が一度も景色を見たことがなかったら」と考えると、想像するだけでとても不安な気持ちになりました。そして、授業の中で質問をする場面がありました。私は、「目が見えるようになったら、一番見たいものはなんですか?」と聞きました。その方は、「人の顔や表情、笑顔も見たいですが、一番は、とてもきれいな景色が見てみたいです。」と笑顔で答えてくれました。その言葉を聞いて、私は胸がいっぱいになりました。私にとって当たり前に見えているものが、その方にとってはずっと見てみたい大切なものなんだとわかったからです。毎日見ている親や友達の笑顔、見上げたときに見えるきれいな青空など、普段あまり気にかけていないものでも、見えるってことはとても幸せなことなのだと改めて思うことができました。
 次に耳が聞こえない方のお話です。その方は手話を使って、通訳の人を通して話してくれました。耳が聞こえないと、学校や職場で会話に入りにくいと言います。私たちは当たり前のように話しているけれど、その中に入れないのはとてもさびしいことだと感じました。さらに、その方は「耳が聞こえないことは、周りから気づかれにくい」ということも話してくれました。目が見えない人のように白い杖を持っていれば見えないことは分かりますが、耳が聞こえないことは見ただけでは分からないので誤解されたり、無視されたように感させてしまうことがあるそうです。こんなことが続いてしまうと、人と関わるのがめんどくさくなったり、いやになってしまうこともあると思います。ですがその方は、手話や筆談、口の動きなどで人とつながろうとすることをあきらめなかったそうです。そういったがんばりがみんなに伝わり、理解を広める大切なきっかけになったのではないかなと思います。
 この授業を受ける前に、私は障害のある人の人生についてあまり深く考えたことはありませんでした。困っているであろう、苦労しているだろうというイメージはあっても実際にどうしているのかどうしたら助けられるのかは知りませんでした。でも今回のお話を聞いて、「障害があるから不幸」というわけではく、周りの理解や環境、意思があれば自分らしく生きられるのだと学びました。
 また、私は日常生活の中で「声かけた方がいいのかな、どうしよう。」と迷って、結局何もできなかったことを思い出しました。もしかしたら一言「お手伝いしましょうか?」と言うだけで安心してもらえたかもしれません。そう考えると、知らないうちに距離をとってしまうことが一番相手を傷つけるのかもしれないと思いました。実際に、お話をしてくださった方々も「ただ声をかけてもらえるだけでうれしい。」と言っていたのが心に残っています。だからこれからは、困っている人を見たら迷わず声をかけたいと思います。
 この授業で学んだことは、「知ることから理解が始まる」ということです。相手のことを知らなければ、どう接したらいいか分かりません。でも知ることで、自然に思いやりのある行動ができるようになると思います。たとえば、目が見えない人と出会ったら声をかけてみる、耳が聞こえない人に出会ったら筆談で話してみるなど、小さなことから始め、これが当たり前になったら良いなと思います。
 そして私はできないことよりできることに目を向けることが大切だと感じました。目が見えなくても、耳が聞こえなくても、自分なりに工夫して生活している人がいることを知りました。その姿は障害のある人だけではなく、私自身の生き方にもつながる学びだと思います。
 これから私は、大人になるまでに手話や点字などを少しずつ学んでいきたいと思います。一人でも多くの人が覚えることで、障害を持った人がもっと楽しく、生きやすい世界になると思うからです。だから、私はがんばります。
 この授業で出会った方々のお話は、これからも忘れないと思います。人権を守るということは、難しいことではなく、相手の立場に立って思いやりを持ち、やさしい行動をすることなのだと学びました。私はこれからも、自分にできることを大切にしながら、誰もが安心して楽しく暮らせる社会をつくるために努力していきたいです。

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