令和5年度全国人権作文コンテスト

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更新日:2023年12月6日

令和5年度全国中学生人権作文コンテスト

中野区では区立中学校9校および東京都立富士高等学校附属中学校の全10校、1,292名が人権作文コンテストに参加しました。
東京都大会参加の都内291校の中学校、36,531編の中から、中野区参加の4編が「作文委員会賞」に選ばれました。
また、中野地区人権擁護委員から「中野区人権擁護委員賞」を10編選出しています。

令和5年度 全国中学生人権作文コンテスト東京都大会 「作文委員会賞」受賞作品

「作文委員会賞」受賞の中から【中野区立北中野中学校2年A組 野邊 咲耶子】さんの作品をご紹介します。

「ADHDって知っていますか?」
中野区立北中野中学校2年A組 野邊 咲耶子

私が今、人権問題のテーマで一番伝えたいことはADHDについてです。
ADHDとは別名「注意欠如・多動性障害」といい、発達障害の一つです。

特徴的な症状として不注意、多動性、衝動性があり、年齢あるいは発達に比べて注意力が足りない、衝動的で落ち着きがないといった特性があるために日常生活に支障をきたしている状態のことを指します。
ADHDという言葉を聞いたことがある人やADHDの特性について知っている人はいるかもしれませんが、きちんと理解している人は少ないと思います。

まず、ADHDの人には普通の人が簡単にできることでも、その普通のハードルがとても高いです。
例えば、先生に「教科書とノートを出して、教科書の100ページを開いてください」と言われた時、多くの人は当たり前にできると思います。
でもADHDの人にとっては一個一個の行動に意識が行ってしまって教科書のページを忘れてしまうのです。
だから「そんなこともできないの?やる気がないだけじゃん」とただのやる気がない人、なまけている人に見られてしまうことがあるのです。

なぜ私がADHDについてこんなにも伝えたいのかというと、私がADHDと診断され、たくさんの辛いことがあったからです。
提出物が出せない、落ち着きがない、言われたことを覚えていられない、そういう事が続いて小学六年生のとき母と病院でADHDの検査をしたのが始まりでした。
そして私はワーキングメモリーという記憶力の数値が低いと診断され、グレーではあるもののお医者さんにADHDだと言われました。

そのワーキングメモリーが低いというのは私のテスト勉強にも影響が及びました。
あるとき定期試験の勉強をしていたのですが、その日はテスト二週間前ということもあり家族全員焦っていました。
私は母と一緒に勉強をしていたのですが、どうしてもある言葉が覚えられません。
やる気はあるのに何度書いて練習しても覚える事ができないのです。

何度練習してもテスト範囲の単語を覚えられない私の姿を見て、段々母のイライラと焦りが募り、「お願いだから覚えて!」と怒鳴られてしまいました。
母は普段は優しいのですが、私が学校で提出物を出せていないと保護者面談で聞かされた時や、家で無くしものをした時に、「普通の子ができることができないなんてかわいそう」「ママは絶望してるよ」と言われる事があります。
私だって頑張っているのに、どうして分かってもらえないんだろう、とひたすらに思いました。
どうしても覚えられない特性がある、ということを母も知っているはずなのに。

一方で、「理解しているつもり」でいても本人にしか辛さは分からないし無理もないのかなとも思いました。
もちろん、無理に「理解しろ」とか「ADHDだからそのぶん他の人より優遇しろ」と言うつもりはありません。

けれど、本人の改善次第と思うのではなくて理解できないなりにちょっとADHDについて調べてみたり、ADHDの人が家族にいたり友達にいたりしたら、少しでもよいから手を貸してあげたりしてほしいなと思います。
ADHDで辛いなと思う人も、軽いADHDだと外から見ても全くADHDかどうか見分けることができません。
そのため、ただの怠けに思われると余計に辛くなってしまいます。

自分でも頑張って改善を重ねることは大切ですが、自分の改善だけでADHDは完全に治るものでもないし、周りの人に「自分はADHDを持っている」と伝え、協力や助けを求めることも大事だと思っています。

そして、こうした体験を経て、私は見た目からはわからなくても辛い思いをしている人はたくさんいると感じました。
もしかしたら私自身も誰かの救いの声に気づけていないことがあるかもしれません。
心の病気や心の苦しみは目で見えないからなかなか気づけないと思います。
相手を本当に理解することは家族でも難しいものです。

けれど、自分のADHDについて知ってほしいと思うのと同じように、誰かの辛さや苦しみを思いやれる人でありたいと思います。
目に見えていないところにも思いをめぐらせ、お互いに優しさや思いやりの気持ちをもつこと。
それが、誰もが明るく楽しく暮らせる社会への第1歩であると考えます。
相手に歩み寄る気持ちが人権侵害を少しずつ解決していくのです。

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