旧中野刑務所正門の移築・修復工事について
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更新日:2025年4月28日
令和3年6月4日に区の有形文化財に指定された旧中野刑務所正門(文化財名:旧豊多摩監獄表門、新井三丁目37番所在。以下「正門」)は、令和6年4月より移築・修復工事を行っております。
このページでは、工事の内容や進捗状況を随時公開していきます。
新着情報
・「令和7年2月末時点」の工事の進捗を追加しました。
・「令和6年11月末時点」の「解体調査の実施」の下に、「解体調査の動画(令和6年4月から5月)」を追加し、解体調査中の様子を撮影した動画へのリンクを挿入しました。
・「今後の予定」を更新しました。
移築・修復工事の概要
正門は、旧法務省矯正管区敷地内で西に約110mの位置に 曳家(建物を解体して建て直すのではなく、そのまま移動させること)により移築します。
まず、曳家に耐えられるよう現在地で正門の基礎や内部の補強を行い、移築後の高さまで揚屋(建物をジャッキを用いて持ち上げること)します。その後、曳家経路に設けたレールの上に載せ、ゆっくりと機械で押して移動させます。移築先に設置した後、基礎の下に免震装置を取り付け、全体の修復を行い、工事は完了します。
曳家概要図
移築・修復工事の進捗
令和7年2月末時点
正門内部
令和6年12月以降、正門の左右の部屋にも鉄筋コンクリートによる補強基礎梁が設けられました。左右の部屋と中央の通路の補強基礎梁には、基礎の変形を防ぐため、仮設の水平拘束部材(突っ張り棒の役割を果たす鋼材)が設置され、その上に新たな床面が造られました。今後、内部には足場が組まれ、建物の一体性の確保や補強のための鉄骨水平ブレースが、壁体上部に設置される予定です。
正門周囲
曳家経路と曳家先は、令和6年11月末時点で、掘削や耐圧盤(荷重を支えるための鉄筋コンクリート製の床)の設置まで完了しています。令和7年1月、正門周囲についても掘削が行われました。周囲の掘削された箇所には耐圧盤が設けられ、正門の東面・南面・西面には、耐圧盤の上に水平拘束鉛直ブレース(鉄骨による赤い三角形の支え)が設置されました。この鉛直ブレースや北面の山留の部材と補強基礎の間には、床下同様水平拘束部材が設置され、正門の四周から押さえるように固定することで、基礎の変形や水平方向の移動を防いでいます。この後、正門直下(ブルーシートで覆われている箇所)も徐々に掘削が進められると同時に仮受鋼材杭が設置され、正門を支持することになります。
床面の設置状況
正門周囲の状況
令和6年11月末時点
正門本体
解体調査の実施
これまでにも正門では様々な調査が行われていますが、あくまでも設計等に必要な最低限のものでした。そのため、正門の大扉や煉瓦壁面の劣化状況、基礎全体の形状の把握など、詳細を明らかにするためには広範囲にわたる解体(建物を取り壊すことではなく、修復等を行うために、記録を取りながら部位ごとに順番に取り外していくこと)や掘削が必要となる調査は、移築・修復工事の中で実施されました。
令和6年4月から5月を中心に、この調査のために、正門南面木製大扉及び北面鋼製大扉、敷石や敷居石の解体、壁面の漆喰の除去、天井材や土間床コンクリートの解体が実施されました。取り外された部材は、調査が進められており、再利用する部材や補修箇所の選定が行われています。
正門南面木製大扉解体の様子
正門北面鋼製大扉解体の様子
元守衛室漆喰・木摺り下地解体の様子
解体調査の動画(令和6年4月から5月)
令和6年4月から5月に実施した解体調査中に撮影した動画を区公式YouTubeに掲載しました。
画像をクリックして、動画をご覧ください。
基礎の補強工事
「移築・修復工事の概要」にも記載のとおり、揚屋・曳家を行うためには、基礎の補強が必要です。
正門の基礎は、左右の部屋の下にしか造られておらず、通路部分でつながっていないことがこれまでの調査で判明しています。揚屋・曳家が行えるよう基礎の一体性と強度を確保するため、元の基礎を覆うように鉄筋コンクリートによる補強工事を行います。
この基礎の補強を行うため、土間床を解体した後、室内の掘削を行い、基礎部分の調査を行ったところ、基礎幅が当初の想定より大きい箇所があることが判明しました。そのため、工事を一時中断して補強方法の再検討を行った結果、当初想定していた大きさを超える部分を撤去したうえで補強することとなりました(このことについては「旧中野刑務所正門移築・修復工事の工事期間の延伸について」をご覧ください)。
工事再開後、上記の基礎の撤去工事や、補強のための鉄筋やPC鋼棒(新たに設けたコンクリートの梁と元々の煉瓦基礎を一体化させるための鋼棒)を通すための貫通孔の削孔が行われました。令和6年11月末現在、中央の通路部分に鉄筋コンクリートによる補強基礎が設けられています。
元守衛室掘削の様子
通路部分の基礎補強の様子
曳家経路
曳家工事 仮設構成図
上の図のように、曳家経路にはサンドル(井桁状に鋼材を組んだ支え)で高さを合わせたレールを敷設し、その上に移動装置と正門が載せられます。これらの荷重を支えるためには、しっかりとした地盤が必要となりますが、令和3年度に実施された地盤調査の結果、地表面から約2mの深さまでは埋土が堆積しており、さらに、旧法務省矯正研修所の建物を解体した際に掘り起こされていたため、曳家を行うには地耐力(地盤が建物の荷重にどれだけ耐えられるかという力)が弱いということが判明しています。そのため、地耐力の弱い地表面から約2.5mの深さまでの部分を掘削し、耐圧盤(荷重を支えるための厚さ30cmの鉄筋コンクリート製の床)を設けたうえで、曳家を行うためのレール等を設置します。
着工後、まずは山留(掘削を行う際、地盤が崩れないように壁などの構造物を設けること)が行われ、徐々に掘削が進められました(その際に確認された遺構は「旧中野刑務所正門の移築・修復工事中に発見された遺構の紹介」をご覧ください)。令和6年11月末現在、経路の掘削は完了し、耐圧盤の打設が進められています。
曳家経路耐圧盤打設中の様子
曳家経路耐圧盤の様子
曳家先
正門の基礎は免震構造となるため、曳家先には、免震ピットという免震基礎を入れるための空間が設けられます。山留と掘削の後、免震ピットや正門をしっかりと支えるため、地盤改良と耐圧盤の設置が行われました。令和6年11月末現在、免震ピットの西・南・北面の擁壁を設けるための鉄筋及び型枠の設置が進められています。
曳家先掘削中の様子
曳家先耐圧盤設置後養生の様子
今後の予定(令和7年2月末時点)
正門本体は今後、壁体上部への水平ブレース(補強材)の設置等の工事が行われます。また、基礎の下でも掘削が進められると同時に正門を支える仮受材が設置され、移築後の高さまで徐々にジャッキアップされます。また、曳家経路には、レールが敷設され、令和7年夏頃実施予定の曳家に向けた準備が進められます。
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このページは区民部 文化振興・多文化共生推進課が担当しています。