令和5年度 中野区特別職報酬等審議会答申

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更新日:2024年10月18日

令和5年度開催状況

  • 令和5年11月6日、中野区議会議員の議員報酬及び期末手当の額並びに区長、副区長、教育長及び常勤の監査委員の給料及び期末手当の額について、区長から中野区特別職報酬等審議会へ諮問。

第1回 令和5年11月6日

  • 23区特別職給料月額等の比較、区議会、教育委員会及び監査委員の活動状況について情報共有を行った後、議員報酬及び期末手当の額並びに区長、副区長、教育長及び常勤の監査委員の給料及び期末手当の額の適否について審議。

第2回 令和5年11月20日

  • 区議会議長及び副議長、教育長、代表監査委員を招いて、区議会、教育委員会及び監査委員の活動内容等について、説明を受け意見交換。

第3回 令和5年12月11日

・議員報酬及び期末手当の額並びに区長、副区長、教育長及び常勤の監査委員の給料及び期末手当の額の適否について審議を行い、答申に向けての意見集約。

第4回 令和5年12月18日

・答申案の審議を行い答申を決定。

答申文

はじめに

 中野区特別職報酬等審議会は、令和5年11月6日に中野区長から「中野区議会議員の議員報酬及び期末手当の額並びに区長、副区長、教育長及び常勤の監査委員の給料及び期末手当の額について」の諮問を受けた。
 審議にあたっては、議員報酬・特別職給料及び各職の期末手当の特別区比較、中野区の財政白書、主要施策の成果、特別区人事委員会勧告の概要などを基礎資料とした上で、今年度は区議会正副議長、教育長、常勤の監査委員から各職の活動状況を直接聴取するとともに、区長・副区長については区政運営や執務に関する資料の提出を求めるなど、広範な角度から検討を重ね、12月18日までの間に4回にわたり審議を行った。

検討の背景

社会経済状況について

 政府発表の11月の月例経済報告は、現状の日本経済の情勢について「景気は、このところ一部に足踏みも見られるが、緩やかに回復している。」とする一方で、「ただし、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。」とも指摘している。

中野区の財政状況について

 中野区の財政白書による令和4年度の決算では、翌年度に繰り越す財源を差し引いた実質収支は64億円の黒字(前年度比3億円増)となった。
 また、財政の弾力性を示す指標である経常収支比率は前年度より改善(2.3ポイント減)しており、昨年度に引き続き財政構造の弾力化は進んでいる。
 こうした中、経常経費の増が財政を圧迫することが無いように、今後も不断の見直しを進め、安定した財政運営を行う必要がある。

特別区人事委員会勧告について

 本年の特別区人事委員会勧告は、月例給については、職員給与が民間給与を下回ったため給料表の引上げ改定を行うこととし、改定にあたっては、人材確保の観点等を踏まえ初任給及び若年層に重点を置きつつ、全ての級及び号給の給料月額の引き上げを行うことが適当としている。
 また、特別給(期末手当、勤勉手当)については、民間との均衡を踏まえ、年間の支給月額を0.1月引き上げることが適当としている。

中野区と他の特別区の報酬、給料等の比較について

 議員報酬の額及び特別職の給料の額は、他の特別区と比較して下位に位置するものの、最近の改定の動向から、期末手当を含めた年間収入の比較においては、ほぼ中位に位置する状況となってきている。
 なお、常勤の監査委員の給与水準は、平成23年度以降、幾度かの減額や、他の特別職の給料が増額する中でも据え置きとしたことにより、他の特別区と比較して差は少なくなりつつあるものの、依然上位にある。

審議

議員報酬・特別職給料及び各職の期末手当に対する基本認識について

 区議会議員の議員報酬の額及び特別職の給料の額並びに各職の期末手当の額は、職務の内容、職責の重さに応じて定められ、民間企業の従業員の給与などを考慮して決定される一般職員の給与体系とは自ずと性格が異なる。
 しかしながら、区議会議員及び特別職といえども、社会の経済情勢や民間の給与動向等と全く無関係・独立にその報酬や期末手当が決定されるべきものでもない。
 特別職は一般職員の管理者として執行機関における区政の成果を共有するものであり、また、区議会議員はその特別職と車の両輪として区政運営の舵取りを共に担うものであることから、議員報酬・特別職給料及び各職の期末手当については、議員と特別職とを同様に扱い、その額の適否を検討するにあたっては、公民較差を考慮した一般職員の給与勧告が参考となる。

区議会議員及び特別職の職責と実績について

 区議会議員は区民の代表者として、法が定める事件について議会の議決を行うだけでなく、区の行財政運営や事業の実施が適正かつ効率的に行われているかどうかを監視する役割を担っている。加えて、地方分権の進展等に伴い、複雑多様化する区民要望の実現に向けた政策形成の過程に参画するなど、活動は広範囲にわたり、その職責は重大である。
 区長及び副区長については、財務規律を順守し、事務の効率的執行の確保に向けて事務改善を図りながら、着実に区政経営を推進すべき立場にある。また、区の行政のトップとして、複雑多様化する区民ニーズに対し的確に対応するため、より高度な判断力、実行力が求められ、その職責が益々重くなっていると理解することができる。
 教育長については、区の教育行政の責任者として、教育委員会を代表する立場にあり、社会が複雑化する中で、少子化の進行とIT化の進展に対応して地域に開かれた学校運営を実現するため、その職務、職責は重大さを増している。
 常勤の監査委員については、自治体の財務に関する事務や経営に係る事業について、経済性、効率性、有効性及び合規性の観点から、書面審査、現地調査、職員の事情聴取などを通じて、適正な執行を確認し、区政に対する区民の信頼を確保していく大変重い職責を担っている。
 当審議会では審議の過程において各職の活動状況について注目をし、議会改革が積極的に進められていること、その一環として費用弁償の廃止や議員定数の削減に向けた議論に着手する予定であること、新区役所移転に合わせた議会中継の拡大による積極的な情報公開を進めていくことなどを確認した。また、中野駅周辺のまちづくりや、新区役所整備といった区の発展に向けた取組が進められていること、教育大綱の改定や教育ビジョン(第4次)を策定したことなども確認した。さらに、適切な監査が実施されていることに加え、区政のPDCAサイクルの中で評価・改善の一環を担っていることなど、様々な実績を捉えることができた。

議員報酬・特別職給料及び各職の期末手当の額について

 当審議会は、審議にあたって、緩やかに景気が回復している社会経済活動の状況を考慮し、中野区の財政状況、他の特別区の議員及び特別職の報酬等の状況とともに、一般職の特別区人事委員会勧告の内容を判断の材料とした。
 審議の過程では、議会改革についての積極的な姿勢や、教育長が教育行政に限らず、子ども教育部との連携について様々な面で努力していることについて評価する意見が出された。
 また、常勤の監査委員について、その職責の重要性を改めて認識し評価すべきとの意見があった。さらに、この間、社会状況を考慮し報酬等に反映できなかったものの、議会及び行政の迅速な調整を踏まえた新型コロナウイルスワクチン接種への対応や、中野駅周辺のまちづくりや新区役所整備が進展していることなどについて、改めて評価する意見が出された。
 こうした議論を重ねる中、議員の報酬並びに区長、副区長及び教育長の給料の額については、特別区人事委員会勧告に準じて増額するべきとの意見がある一方、区民感情等を十分考慮したうえで、引き上げの改定率を一定程度抑制するべきとの意見も出された。
 以上の意見を踏まえ、社会経済情勢や中野区の財政状況並びに、他の特別区と比較して依然として下位に位置している現状及び過去の報酬等の改定経緯を総合的に判断したうえで、一般職と同様に増額すべきとの結論に達した。具体的な増額の率については、特別区人事委員会勧告における公民較差(0.98%)とするか、一般職の最上位号給の改定率(0.3%)とするか、または、その他の改定率を適用すべきかについて議論した結果、それぞれの職が担う職務、職責の重大さや他の特別区との均衡を考慮し、議員の報酬並びに区長、副区長及び教育長の給料の額については、特別区人事委員会勧告で示された公民較差(0.98%)と同率の増額をすることが適当であると判断した。
 一方、常勤の監査委員については、量的にも質的にも非常に重要な職務、職責を担っていること、近年地方自治体におけるガバナンスの強化がより一層求められていることなど、区政に対する区民の信頼を確保していくことの重要性はこれまでも述べてきたところである。しかしながら給料の額については、これまでの改定経緯によりその差は小さくなっているとはいえ、依然として他の特別区との比較で上位に位置している。以上のことを総合的に判断し、他の特別職に比べ一定程度の抑制を行い、一般職の最上位号給の改定率(0.3%)とすることが適切であるとの意見で一致した。
 なお、各職の期末手当については、これまでの議論の経過を踏まえ、一般職と同様に0.1月引き上げることが望ましいとの意見でまとまった。

議員報酬・特別職給料及び各職の期末手当の額の適否

区議会議員の議員報酬及び期末手当の額について

 区議会議員の議員報酬の額については、0.98%引き上げることが適当である。また、期末手当については、0.1月引き上げることが適当である。

区長、副区長及び教育長の給料及び期末手当の額について

 区長、副区長及び教育長の給料の額については、0.98%引き上げることが適当である。また、期末手当については、0.1月引き上げることが適当である。

常勤の監査委員の給料及び期末手当の額について

 常勤の監査委員の給料の額については、0.3%引き上げることが適当である。また、期末手当については、0.1月引き上げることが適当である。

報酬・給料及び期末手当の具体的な額について

 本答申における区議会議員の議員報酬及び期末手当の具体的な額並びに区長、副区長、教育長及び常勤の監査委員の給料及び期末手当の具体的な額は、別表のとおりである。

おわりに

 長引く新型コロナウイルス感染症の影響がようやく落ち着きを見せ、中野のまちには活気と賑わいが戻りつつある。こうした中、100年に一度といわれる中野駅周辺の再整備が進み、令和6年5月の区役所新庁舎移転に向けた準備も目前に迫り、西武新宿線沿線の整備も進み、中野のまちが大きく様変わりしようとしている。
 景気も緩やかながら回復基調を見せる中、今回の答申は、議員報酬及び区長等特別職給料である月例給については6年ぶりの引き上げの内容となった。
 区議会議員及び区長等の特別職に対しては、中野区発展への尽力について敬意を表するとともに、新庁舎移転を契機に更なる区民サービスの充実に努めるなど、区民の信頼と負託に応える区政運営に努められ、以って、区民生活が一層向上することを切望し、答申の結びとする。
 

区議会議員の議員報酬及び期末手当の額並びに区長、副区長、教育長及び常勤の監査委員の給料及び期末手当の額

1.議員報酬及び給料の額
職名月額増減
区長1,254,600円+12,200円
副区長1,007,100円+9,800円
教育長882,800円+8,600円
常勤の監査委員802,100円+2,400円
議長901,100円+8,700円
副議長763,500円+7,400円
委員長654,200円+6,300円
副委員長624,700円+6,100円
議員594,800円+5,800円
2.期末手当の額
職名支給月数増減年額増減
区長3.78月

+0.1月

6,876,462円+247,016円
副区長3.78月5,519,914円+198,322円
教育長3.78月4,838,626円+173,896円
常勤の監査委員3.33月3,872,938円+127,544円
議長4.05月5,291,708円+180,488円
副議長4.05月4,483,652円+153,090円
委員長4.05月3,841,788円+130,942円
副委員長4.05月3,668,550円+125,520円
議員4.05月3,492,962円+119,466円

※議員報酬又は給料の月額及びこれらに100分の45を乗じて得た額の合計額に支給月数を乗じて得た額

中野区特別職報酬等審議会委員

会長 福原 紀彦
会長職務代理者 吉川 信將
委員 稲尾 公貴
委員 小宮 領
委員 鈴木 真理
委員 谷 進二
委員 星野 新一
委員 増田 宏明
委員 宮田 百枝
委員 山越 亘恵

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