「中野のひと」インタビューVol.10~時刻表ミュージアム館長 鈴木哲也

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更新日:2023年8月3日

時刻表ミュージアムにて 鈴木さんとナカノさん

時刻表ミュージアム発、『時間旅行』

中野で生まれ育ち、小さい頃から中央線を走る列車を眺めるのが好きだったという鈴木哲也さん。2022年4月、自宅を改装し、時刻表を展示する私設博物館「時刻表ミュージアム」をオープンした。中学校1年生の時から毎月買い集めてきたという時刻表の蔵書数は、なんと799冊!(2022年8月3日時点)
そんな鈴木さんに、時刻表愛を聞いた。

時刻表ミュージアム管内。時刻表と鉄道グッズが所狭しと並ぶ。
時刻表ミュージアム館内。時刻表と鉄道グッズが所狭しと並ぶ


「小学校1年生の時、父に読み方を教えてもらったのが時刻表との出会いでした。その後、中学校に上がってからはお小遣いがもらえるようになったので、日本交通公社(現JTB)の時刻表を毎月買い始めました。」

当初、コレクションするつもりはなかったという鈴木さん。だが、愛着が湧いて捨てられなかった時刻表がたまっていった。買い始めてから30年の節目となる2010年には、中野サンプラザで360冊もの時刻表を並べる展示会を開催した。

「色んな人に展示を見てもらったのがきっかけで、手元に留めておくのはもったいないと思い、時刻表をアーカイブするホームページを立ち上げました。そうするとすぐに、時刻表に関しての問い合わせが来るようになりました。」

-印象的なエピソードは?


ナカノさんに時刻表の読み方を教える鈴木さん

「『義理の両親が新婚旅行で乗った列車が知りたい』という依頼ですね。ある女性が、義理の両親の金婚式に、思い出の列車を教えて上げようとして辿り着いたのが、私のホームページでした。時刻表で調べると、新大阪発宮崎行きの夜行特急『彗星』だと分かりました。当時の時刻表の表紙と『彗星』のダイヤが載ったページを、時刻表風にまとめて送って上げたらとても喜んでもらえました」


時刻表ミュージアムをオープン

2020年、新型コロナウイルス感染症の流行で、大好きな旅に出かけられずモヤモヤしていた鈴木さんに、あるきっかけが舞い込んだ。

「時刻表コレクターとして雑誌のインタビューを受けていた時に、ぽろっと『ミュージアムをオープンしたい』という言葉が口をついたんです。時刻表に書かれている数字を追っていけば、空想上の旅行に出かけられます。旅行がしづらい中でも、旅行の気分を味わってもらえる場所が作れれば、と」

2022年4月、念願叶って時刻表ミュージアムをオープンした。鈴木さんの本業が休みの日に、来館者を受け入れている。

「途切れることなく予約をいただき、たくさんの方にお越しいただいています。ブロードウェイに代表されるように、中野は『なんかよく分かんないけど面白そう』というものを受け入れてくれる土壌がありますよね。このミュージアムもちょっと変な場所かもしれないですけど、中野だからこそ面白がってもらえているのかなって」

時刻表と旅をする

-鈴木さんにとって時刻表とは?

「スマホで調べれば、最短・最安の経路を教えてくれますが、鉄道の旅をめいっぱい楽しもうと思うなら、遠回りも途中下車もしてみたい。非効率かもしれないけど、自分が行く道は自分で決めたい。そんな鉄道好きにとって、無くてはならないものですね。自分で選んで決めた旅程だからこそ、何があっても納得して進んでいける。人生も同じかもしれないですね。・・・話が大きくなり過ぎたかもしれないですけど(笑)」

時刻表ミュージアム入館券にハサミを入れる
昔懐かしい硬券が入館きっぷ。行き先は「時間旅行」

-最後に一言お願いします

「鉄道や駅って、たくさんの方の人生の節目の記憶と紐づいていると思うんです。先の新婚旅行の話もそうですし、就職や引っ越しなんかもそう。時刻表をひもとけば、いつか乗った思い出の列車に戻れます。ぜひ、時刻表ミュージアム発の『時間旅行』にお越しください」


インタビューを終え、館内が静かになると、カタン、カタンというリズミカルな音が流れているのに気がついた。鈴木さんに聞くと、信越本線を走る客車列車の走行音を、BGMとして流していると教えてくれた。昔の客車を再現したボックスシートに座って、車輪がレールを刻む音に耳を傾けているうちに、どこか中野から遠く離れた線路の上を、鈴木さんと一緒に列車に揺られているような気持ちになった。

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