中野区食品安全委員会 第2期答申 1998年(平成10年)10月

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更新日:2023年8月3日

- 中野区における食品安全確保のための消費者・事業所・行政の具体的役割 -

中野区食品安全委員会 第2期答申 1998年(平成10年)10月

1 これまでの経過
2 第1期中野区食品安全委員会答申の概要
3 第2期中野区食品安全委員会の課題

1 腸管出血性大腸菌O157による食中毒の大発生
2 遺伝子組換え食品の認可
3 内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)
4 ダイオキシンによる食品汚染

1 第2期食品安全委員会
2 食品シンポジウム
3 消費生活展
4 くらしの安全展
5 相談窓口の充実
6 情報誌「ひまわり」
7 地域活動

1 消費者の具体的役割
 (1) 自立した消費者になる
 ア バランスのよい食事をとる
 イ 自ら情報収集を行う
 ウ 積極的に参加し活動する
 エ 地域の一員としての視点をもつ
 (2) 食品の購入と消費に関して責任ある行動をする
 ア 食品選択を通して事業者(供給者)へ影響を与える
 イ 高い安全性を手に入れるために手間・コストを惜しまない
 ウ 家庭において、食品の保管・調理の衛生面に配慮する
 (3) 消費者個人個人の要望を行政・事業者に向けて発信する
 ア 消費者個人の意見を行政・事業者に発言する
 イ 消費者団体が消費者個人の意見を吸い上げ行政・事業者へ発言する
 ウ 地域住民の集まり等で食品の安全を話題にする
 エ 消費者団体が活動している実態を区民に見えるようにPR等を実施する
2 事業者の具体的役割
 (1) より安全な食品を供給する
 ア 事業者ごとの自主管理を充実する
 イ 事業者団体による自主管理を実施する
 (2) 消費者との情報交流を行う
 ア 消費者の要望を聞く仕組みをつくる
 イ 表示による情報提供を行う
 ウ 事業者の取組みを消費者に伝える
 エ 小売店の店頭を情報発信の窓口とする
 (3) 食品安全確保のための情報収集、情報交換を行う
 ア トレーサビリティ(追跡責任)を果たす
 イ アカウンタビリティ(説明責任)を果たす
 ウ 情報収集を行う
 エ 区全体のレベルアップのために行政に対し情報提供を行う
3 行政の具体的役割
 (1) 三者の連携の場づくりをする
 (2) 消費者及び事業者に対して的確な情報提供を行う
 ア 統計数字だけでなく、消費者が選択するための情報を流す
 イ 食品衛生の常識と誤りを区別して伝える
 ウ 安全確保のために行政がどんな取組みをしているかPRする
 エ 新たな課題に関して的確な情報提供をする
 (3) 行政内部の連携、総合調整を行う
 ア 行政情報を共有する
 イ 縦割りの弊害を排して、横の連携を取る
 ウ 他の部課の講座にも参加する
 (4) 行政による食品安全確保を充実する
 ア 監視の充実をはかる
 イ 試験検査の充実をはかる
 ウ 事業者の自主管理を推進する
 エ 自主管理のための指導者を養成する
 (5) 普及啓発事業を推進する

おわりに

附属資料

 

安心できる食生活の実現に向けて

更新日 2005年4月8日

- 中野区における食品安全確保のための消費者・事業所・行政の具体的役割 -

中野区食品安全委員会 第2期答申 1998年(平成10年)10月

 中野区では、1993(平成5)年4月、区民の請願をきっかけに、全国の地方自治体に先駆けて「中野区食品安全委員会条例」を制定し、同年7月「中野区食品安全委員会」を発足した。これが第1期中野区食品安全委員会であり、1995(平成7)年7月27日「中野区における食品安全確保対策の基本的なあり方について」を答申した。この答申の特色は、食品の安全性と食品への安心感とに分けて、従来の行政に対する責任体制の強化のみを図るのではなく、事業者(食品関係業者)と消費者(区民)の自主的参加(住民参加)を柱とする食品安全確保対策を提案したことである。勿論、区行政の役割も重要であるが、従来の行政主導型の役割はむしろ抑制し、住民参加・区民主導型の食品安全確保対策を意図したものであった。そのためには、事業者は食品衛生活動を行政に顔を向けるのではなく、顧客(消費者)に向いてすべきだとし、消費者も自主的かつ積極的に食品衛生活動に参加することによって食品の安全性を高めることに協力でき、かつ食品への安心感も持てるようになるとした。従って、消費者は従来の区行政に対する「おんぶにだっこ」の姿勢は改め、区行政に要求すると同時に区民としての積極的参画が必要であると述べた。
 また、区行政は区民へのサービスを第一義として、管理したり監督することは全てそのための行為であることを明らかにし、為政者ではなく公僕であることを要求した。
 当第2期中野区食品安全委員会は1996(平成8)年10月、区民(消費者)、事業者及び学識経験者14名からなる新構成員によって発足した。当委員会(第2期)は、発足に当たり、区長から「中野区における食品安全確保のための消費者・事業者・行政の具体的役割」について諮問されたが、第1期中野区食品安全委員会答申を受けての諮問であるので、その姿勢を尊重して検討してきたところである。
 第1期の答申後の2年間、事業者と消費者の自主的活動も熱心な働き手がいるにも拘らず活動は期待どおりには進展していないのが現状である。区担当部課は、第1期の答申に沿って区民主体の事業のあり方を模索しながら、区民サービスを強化している。しかし、区行政としては事業者と消費者の自主的活動が十分に活発化しないからといって、従来の行政主導型に戻ることも許されないので、当委員会による効果的方策を期待している。
 当委員会は、上述のような認識に立って、第2期2年間の任期の検討結果を取りまとめてここに答申するものである。消費者と事業者の自主的活動の一層の盛り上がりこそが食品の安全性を高め、かつ区民一人一人が食品への安心感を持つための必要条件であることを肝に銘じて、今後、消費者・事業者・行政がそれぞれの持ち場で努力を続けることを切に願わずにおれない。

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1 これまでの経過

 中野区では、1993(平成5)年4月、区民の請願をきっかけに、区議会での慎重な審議を経て、「中野区食品安全委員会条例」(資料1)が制定され、同年7月、区民(消費者)、事業者、学識経験者の15人で構成する「第1期中野区食品安全委員会」が発足した。
 この委員会は、発足にあたり、区長から「中野区における食品安全確保対策の基本的あり方」について諮問を受け、11回にわたる会議を開催し、その結果を1995(平成7)年7月に「安心できる食生活の実現に向けて-中野区における食品安全確保対策の基本的なあり方-」としてとりまとめ、中野区長に答申した。

2 第1期中野区食品安全委員会答申の概要

 答申の内容は4部から構成されている。以下にその要点を述べる。
 第1は、「中野区食品安全委員会条例のこころみ」の中で、条例制定の経過と意義、食品安全委員会の役割を記述した。食品安全行政は、ほとんどが国の通達等にもとづく機関委任事務として執行されており、区固有の権限で実施する例は少ないが、区民の健康づくりに大きな役割をもつことを指摘したうえで、中野区食品安全委員会が、消費者・事業者・行政の三者の相互理解と連携を深める場として期待されているとした。
 第2は、「区民の食生活をめぐる状況と不安の要因」の中で、区民の食生活をとりまく状況と食生活における不安の要因や食品安全確保への取組みの現状を記述した。区民の食生活が、生活様式の多様化や食品加工技術の進歩、食品流通の国際化などに伴って急速に変化していること、その中で食生活への関心が高まり、食中毒や食品添加物の使用、農薬など食品中に残留する化学物質の急性毒性や発がん性の問題、輸入食品の安全性などに不安や疑問が高まっていること、「安全」と「安心」の両面からの対策が必要であることを指摘した。また、食品安全確保への取組みとして、消費者・事業者・行政それぞれの現状を簡潔に述べた。
 第3は、「中野区における食品安全確保の考え方」の中で、消費者・事業者・行政の役割の明確化と相互の連携や食を通じた地域健康づくりの推進について取りまとめ、三者の各々が確実にその役割を果たしていくことが重要であること、食を通じて、健康との関わり、環境問題にも視野を広げていくこと、地域社会の日常的な活動やふれ合いの中で、健康づくりという共通の目標に向かって協働していくことが必要であることを強調した。
 第4は、「当面の取組みと課題」の中で、消費者・事業者・行政の各々に「期待すること」として具体的な課題を列挙した。(資料2)

3 第2期中野区食品安全委員会の課題

 第1期の答申を受けて、中野区では1996(平成8)年10月、区民(消費者)、事業者及び学識経験者14人で構成する「第2期中野区食品安全委員会」を発足させた。この委員会は、発足にあたり、区長から「中野区における食品安全確保のための消費者・事業者・行政の具体的役割」について諮問を受けた。
 本委員会は、第1期答申の内容を確認しつつ、その後に生じた新たな課題も意識して、消費者・事業者・行政の具体的役割を検討することとした。

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 第1期の答申以降、食品の国際化はさらに進み、規制緩和の流れの中でビタミン類等の栄養強化食品や、健康の維持増進を目的とした特定保健用食品(※1)の種類が増加した。
 また、加工食品の栄養成分表示(※2)の実施や、製造年月日表示から賞味・消費期限への切り替えなど、消費者にとって購入に際しての表示の確認がますます重要になっている。 (※1) 特定保健用食品 ・・・・
清涼飲料水やヨーグルトなど普通に食べられる食品を対象に、人の健康増進に役立つと国が認め、それを表示することが許可されたもの。1998(平成10)年6月現在、185食品が流通している。
(※2) 栄養成分表示 ・・・・
栄養成分・熱量に関する表示をする場合に表示の基準、方法などが栄養改善法に定められている

 これに加えて、食品の安全に関わる大きな問題がいくつか生じている。腸管出血性大腸菌O157の大発生、遺伝子組換え食品の認可、そして体内に取り込まれると微量でも内分泌かく乱作用を引き起こす、いわゆる環境ホルモン特にダイオキシンの問題等である。
 これらの概要は次のとおりである。

1 腸管出血性大腸菌O157による食中毒の大発生

 1996(平成8)年の夏には、感染力が強く重い症状を引き起こす腸管出血性大腸菌O157の大規模な発生が問題となった。大阪府堺市をはじめとして患者が全国各地で発生し、9千人以上の患者と12名の死亡者が出て、近年例を見ない事態となった。
 1996(平成8)年8月には伝染病予防法による指定伝染病に指定された。
 これに対し厚生大臣の諮問機関、「食品衛生調査会食中毒部会」では、食中毒対策について緊急に検討を行い、と畜場における衛生管理や大量調理施設の衛生管理の強化を都道府県等に指示した。また、全国統計で見ると家庭で発生する食中毒が20%を占めていることから、宇宙食の衛生管理から生まれた手法、HACCP(危害分析重要管理
点)の考え方を取り入れ、厚生省は「家庭でできる食中毒予防6つのポイント」を作成した。中野区でも、小中学校、福祉関連等の給食施設に対する監視を強化するとともに、区報での呼びかけや、家庭での食中毒予防チラシを作成するなど、区民への啓発を行った。

2 遺伝子組換え食品の認可

 食料の安定供給やコストダウンを目的とした、農産物の遺伝子組換え技術が進歩している。
 現在食品に応用されている遺伝子組換え技術は、主に微生物由来の遺伝子を作物に組み入れることにより、有用な形質を備えた品種を得るものである。
 日本では、1996(平成8)年8月に遺伝子組換え食品4作物7品目が初めて輸入認可された。その後、1997(平成9)年12月までに6作物20品目が認可されている。
 安全性の確認は次のように行われる。
 遺伝子組換え食品を製造又は輸入しようとする営業者の申請に基づき、厚生大臣が食品衛生調査会に安全性を諮問し、申請資料等をもとに調査会で審議した結果安全性が確認されたものについて認可される。
 これに対して、組み込まれた遺伝子が他の微生物に移るなど「遺伝子拡散」や健康への関わりを危惧する声が出ている。中野区議会では区民からの請願に基づき、遺伝子組換え食品の安全性の確認の努力をするとともに、消費者の選択権を確保するため表示の義務づけをするよう、国に意見書を提出した。

3 内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)

 体内に取り込むと、微量で魚介類や動物の生殖機能等に影響を及ぼすといわれる化学物質の存在が近年注目を集めている。
 きっかけは、1996(平成8)年3月、アメリカで出版されたオズボーン博士らによる「奪われし未来」(長尾訳、翔泳社刊)の中で内分泌をかく乱させる作用のある化学物質による人の健康への影響の可能性が指摘されたことである。これを契機に、アメリカ国内で大きな反響を呼んだ。
 これら化学物質は、「内分泌かく乱化学物質」「ホルモン阻害化学物質」「環境ホルモン」などと呼ばれ、ラットや魚類を使った実験では、性器や性行動に影響を与えることが確認されている。
 現在、内分泌かく乱化学物質として疑われるものは、DDT、ダイオキシン、ポリ塩化ビフェニール(PCB)、ビスフェノールA、有機スズなど約70種類があり、これらの発生源となるのは農薬、合成洗剤(界面活性剤)、合成樹脂の材料や可塑剤、船底塗料など様々である。
 結論に達してはいないが、人の健康影響については、精子数の減少や乳がんの増加など諸説がある。自然界の生物における実際の例として、我が国では巻き貝(イボニシ)の雄性化が報告されており、海外ではワニの生殖器の奇形の報告などがある。
 これらの化学物質による食品の汚染なども心配されるが、現在、実態等について不明な部分も多く、各機関の調査結果に注目していく必要がある。

4 ダイオキシンによる食品汚染

 ダイオキシン類は、かつて除草剤、枯れ葉剤などに混入して奇形を引き起こすなどで注目されたが、最近はごみなどの焼却が主要な発生源となることが明らかになり問題になっている。これに対し、1997(平成9)年12月には「大気汚染防止法」と「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」が改正され、排出抑制対策がようやく開始された。
 ダイオキシン類は、種類によっては非常に強い毒性を示すものがあることから、母乳への混入や食品汚染による健康への影響に対する不安の声が上がっている。

 以上のように、食品に関する新しい課題は今後も次々と出現することが予想される。現実に、答申作成中の平成10年7月より食品中に毒物等が混入する事件が連続して発生している。今後検討すべき課題の一つである。
 問題が拡大するにつれて情報や知識が増えるが、同時に自己判断が必要な場合も増加し、不安要因が拡大する。また、情報が氾濫しているにもかかわらず、消費者が本当に知りたい情報がない、行政や事業者の情報開示が不十分ではないか、という不信感も根強く存在する。このような状況の中で、第1期答申を基盤として、健康づくりという共通の目標に向かって、消費者・事業者・行政の三者の連携により、第2期食品安全委員会が運営された。

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 第1期の食品安全委員会の場で、消費者・事業者・行政が同席し議論する過程で、相互理解と連携・協力の必要性が認識でき、中野区内の食品の安全性に関する各種の活動で、二者又は三者が一体となって取組む活動が増加しつつある。
 これまでは、消費者と事業者が一緒に活動を行うことが少なかったが、各種行事に同席し話し合う機会が増加している。さらに、行政においても区民参加の施策が増加し、また消費者活動に行政との共働の動きができてきている。
 しかし、各種事業や活動への区民の理解や参加はまだまだ低く、消費者や事業者からの新たな展開も十分であるとは言えない。
 今後、さらに食生活を通じた健康づくりを進めるためには、三者の取組み状況を把握し、区民への周知を図っていくことが必要である。
 健康づくりの取組みは、次のとおりである。

1 第2期食品安全委員会

 区民参加による施策の充実の一環として、三者が同席し議論する第2期食品安全委員会が開催され、それぞれの具体的な役割について検討してきた。特に、第2期委員会では、区の商店街連合会からの委員も加わり、より地域に根差した審議が進められた。

2 食品シンポジウム

 第1期食品安全委員会審議中の1994(平成6)年11月に、食品安全に関する議論を多くの区民に公開し、区民や関係者の広範な意見の把握に努めるため、第1回目のシンポジウムが開催された。その後も講演会などが毎年開催され、事業者も消費者も参加し、同じ土俵で情報を共有化する機会ができた。

3 消費生活展

 中野区において、消費者団体は自主的活動と学習結果の発表の場として毎年消費生活展を開催している。
 第1期の委員会を契機として、中野区消費生活展運営委員会が運営する消費生活展へ、保健所が1993(平成5)年度より参加している。
 今後は、消費者団体等のより自由で、自主的自立的活動への支援が課題となっている。

4 くらしの安全展

 くらしの安全展は、食生活やくらしの安全に関する知識の普及、啓発及び情報提供を図ることを目的に、毎年8月に街頭相談や展示を中心に実施している。当初は食中毒防止の呼びかけ等を主旨とする食品衛生週間の事業として始められたが、主題や参加者の範囲を拡げ、形を変えて続けられている。
 1996(平成8)年度まで、保健所が主催し、食品衛生協会が協力し開催していたが、1997(平成9)年度からは中野区消費者団体連絡会も協力している。
 開催期間中は、消費者と事業者が同席することで、以前より打ち解けて話し合える雰囲気ができつつある。

5 相談窓口の充実

 消費者のための食品総合相談窓口として1993(平成5)年度に中野北保健所に、また、翌年度に中野保健所に相談窓口が設置された。食品総合相談窓口での相談件数は1993(平成5)年度は45件だったが翌年度は93件、1995(平成7)年度以降は200件を超え急激に増えてきている。相談内容としては、食品の日持ち、変色、異物の混入、安全性への疑義など多岐にわたる。
 さらに、1998(平成10)年4月より、区内に2カ所あった保健所が中野区保健所に統合された。これにより、食品総合相談窓口の機能を拡大し、飲料水、医薬品、化粧品、衛生害虫の専門職員が一体となって総合的に区民の相談に対応する体制ができた。

6 情報誌「ひまわり」

 中野区商店街連合会が、消費者向けに発行している情報誌「ひまわり」は、区内10ブロックの商店街がそれぞれ編集発行にあたっている。地域の消費者と商業者・事業者の座談会や意見交換会が掲載されるなど、地域に身近な情報が交換されるよう工夫されつつある。

7 地域活動

 区内15の地域センターでは、地域への問題提起や地域活動の基盤づくりのため、地域の実態に応じた各種講座等、地域住民を対象とした地域事業を実施している。それぞれの健康講座の中で「食と健康」「見直してみよう!バランスのよい食事」など、「食」に関するものも開催されている。
 また、地域センターを拠点として、地域の住民による「高齢者の配食サービス」や「高齢者との食事会」などのボランティア活動が行われている。一部の地域では、消費者からの要望を受け、事業者が消費者向け講座を開催する例も見られる。
 今後は、各地域センターでの地域事業などの中で、消費者と事業者と区が定期的に一堂に会して話し合い、情報交換の場としての活用が望まれる。

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1 消費者の具体的役割

 毎日の食事は私達の健康を維持し心地よく生きるために必須のものであり、食品は安全・安心なものでなければならない。消費者には安全な食べ物を供給される権利があり、それを家庭で段取り良く合理的に調理し食べることで食文化が継承されていく。
 しかし日本の食料自給率は下がり、多様化し複雑化した食品の安全性は新たな視点で、世界的規模で考えなければならなくなってきている。このような状況の中で消費者自身がまず実行できることは「自分の健康は自分で守る」という意識をもって食品に接することである。
 消費者は商品選択を通じて供給者に影響を及ぼし、安全性を欠く食品を市場から淘汰する力を本来もっている。消費者は、食品の安全性に関する知識や情報を収集し、基準や規制、表示などへの理解を深め、さらに消費者が互いに協力し合って、区や事業者に働きかけることが望まれる。

(1) 自立した消費者になる

 ともすれば受け身であった消費者も、加工食品の表示の範囲が拡がるなど、自己判断と自己責任が必要になってきている。食品の選択時や使用時において、自主的な表示の確認と適正な取扱いが消費者に求められている。

ア バランスの良い食事をとる

 糖尿病や高血圧症などの生活習慣病の予防は、偏りの無い食材で構成された食事と栄養バランスが基本である。その意味で家庭料理は、自分自身や家族の日々の体調などに合わせて健康を維持するための大切な役割をもつ。
 日本各地、世界各地から様々な食材が中野区内に供給され、家庭料理でも外食等でも食事を楽しめるようになり、食材の加工技術が改善され、手軽で簡便に調理できる食品が増加するなど、食生活は便利で選択の幅が広くなっている。
 反面、核家族化や単身者の増加で、家庭料理や食事の基本が外部情報に頼ることが多くなってきている。
 このような中、バランスの良い食事で健康な生活を維持するための、献立や調理技術などについて、幼少期からの積極的な情報収集・学習が必要である。

イ 自ら情報収集を行う

 食生活を取り巻く環境の変化に伴い、消費者は安心して食べられる食品を選択するために、専門的な知識と情報収集が必要になってきた。

(ア) 疑問に対し積極的に行動を起こす
 表示付きの食品(期限表示、添加物表示等)や付加価値付きの食品(例えばビタミン類を強化した卵)が増えたり、生鮮食品の原産国が表示されたりと、消費者が食品を購入利用する上で表示の理解とチェックが必要になってきている。
 消費者は、 表示などをチェックし、積極的に問題を発見・発言していく、いわゆるモニターとして機能することが大切である。そのためには消費者は問題意識をもち、 知りたい事柄に対して具体的に、 繰り返し、行動を起こす必要がある。
 消費者からの問い合わせを契機に行政や事業者が情報提供へ動く例が多いため、疑問や要望は手間をおしまず積極的に投げかけることが大切である。

(イ) 情報収集の仕方を身につける
 従来の情報源は、 新聞・雑誌・テレビ等のマスコミ情報が主で、 情報の流れが一方的であった。今後は収集だけではなく提供も含めて、 行政・事業者・消費者間で情報が双方向になるような方法を身につける必要がある。
 区民の生活に密着した情報の収集には以下のような情報媒体を活用する。

a 事業者(小売店店頭、スーパーお客様相談窓口、製造者など)から
 対面販売をしている小売店の販売者は、 消費者にとって一番身近な食品の 専門家であるから、まずそこを窓口に情報収集する。 またスーパーマーケッ トや大型店舗ではお客様相談窓口を設置し、消費者の苦情・要望に対応する 専門家がいるので、疑問に感じたことは質問する。個別の包装商品に関しては、 原材料、 賞味期間表示、 保存方法のほか、 製 造者名、販売社名の記載もあるので、 不明な点、 疑問な点は製造者に質問す るなど、情報収集する。

b 消費者団体から
 消費者は、消費者同士の連携を視野に入れ、 消費者団体から情報収集を行う。
 消費者団体は行政や事業者からの情報を消費者に理解しやすく提供するため、講演会、 見学会などを開催している。
 消費者団体の活動は、消費者の立場から食品の安全性に関する最新の話題や問題点がテーマになるので、情報源として参加し活用する。

c 行政(保健所、消費者センターなど)から
 区民が区内で販売されている食品の実態や安全性に関して情報収集できる場として、消費者センターでは食品の試買テストを実施し、保健所では食品衛生監視員による検査を実施しているので利用する。
 これらは、 実施内容を独自に「お知らせ」「テスト結果報告書」「区報」 などで広報するとともに、質問を受け付ける窓口もあるので、情報収集媒体として活用することが望ましい。

d マスコミ等から
 マスメディアの情報収集媒体には、 活字では新聞・雑誌があり、電波では テレビ・ラジオなどがあるが、多くは一方向である。キャプテンシステムやインターネットなどの最近の電子メディアは、消費者が必要とする情報を自由に取り出せる双方向情報提供媒体として利用できる。
 なお中野区でもインターネットのホームページを持っており、 アドレスはwww.city.tokyo-nakano.lg.jp である。

(ウ) 集めた情報や知識を整理し生かす
 収集した情報の中から自分に必要な情報を選択整理するには、 ある程度の学習が必要である。情報整理の方法を効率的に学習するには、 食品の高い安全性を求めて活動を行っている消費者団体のアドバイスを受けるとよい。また区ではくらしの安全展や地域における講座など、 食品の安全に関する普及啓発を実施しているので、参加し、 整理の方法を学習する。 多方面から収集した情報を整理し、不足の情報はさらに収集する。たえず情報を見直し再収集することで、 一方的な情報の流れを双方向にすることが可能となる。また、注意警告情報(例えば食品やある物質の危害を警告するような情報)の取捨選択は、消費者自身の日ごろの生活の知恵を活用し、判断することが大切である。
 情報に基づいた商品の選択行動が、 情報の活用に繋がり、 消費者は自立する能力を身につける。また消費者の商品選択行動が供給者や行政に影響を与える。 食品の表示や宣伝広告を的確に判断し、得られた情報を活用し、自身や家族の生活に役立てることがくらしの基本となる。

ウ 積極的に参加し活動する

 消費者は最大多数の区民として、積極的に情報収集し、整理し、消費行動や利用行動に情報を活用することで、区内の食品安全に貢献できる。
 個人個人の情報収集活動や活用には限界もあるので、各種の活動や啓発事業に積極的に参加する。

(ア) 学習会、講演会、地域活動等に参加する
 消費者個人と消費者団体組織との協力が必要である。そのためには、消費者団体や事業者、行政が開催する学習会、講演会、地域活動等に、同じ関心を持つ消費者と知り合う機会としてとらえて参加する。
 消費者団体の会員は中野区民の1割程度だが、消費者団体は暮らしの全般にわたる問題に着眼し、運動し、提案行動をしている。消費者団体の問題提起を区民が支持し、区民の消費活動を定着させた一例としては、マイ・バッグ・キャンペーン(※3)がある。
 地域センターや児童館など、身近な場所で消費者団体が実施する講座に参加する。また、数人の気の合う人たちで勉強会を実施し、食品安全の問題やおいしい料理等自由に考えてみる機会に、自ら参加し消費者同士が連携するなど、消費者自身が問題意識をもち、共感できる活動の場を探して、選んで、行動を起こしてみることが必要である。 (※3) マイ・バッグ・キャンペーン ・・・・
都民・事業者・行政からなる「東京ごみ会議」において東京のごみ減量等を図るための行動計画として提案された。
買い物に行くときには、店で袋をもらうのではなく、自分の買い物袋をもって行こうと呼びかけるキャンペーン。

(イ) 企画段階から参加する
 シンポジウム、見学会などの開催や消費者向けリーフレットの発行等に際しては、区民も参加した共催型への移行を提案し、企画の段階から参加する。
 それによって、 行政や事業者側の考え方を直接聞いたり各種の資料が検討できるので、 食品の安全がどのように作られていくのか確認できる。
 企画段階は、違う立場の人々と各種の資料を検討できるので、立場の違いによる考え方や資料の解釈方法などの情報収集ができ、消費者の意見を発言できる場でもある。
 同時に、自らが各種企画の発信源として参加した消費者が増えれば、消費者の意見を発信する場が確保でき窓口が広がる。個人の行動から、行政などの活動支援を利用し、横に広げていくことが大切である。

エ 地域の一員としての視点をもつ

 同じ中野区内でも地域により暮らし方に特徴がある。住んでいる地域を活動の拠点としている種々の団体やサークルがある。これらの団体活動に参加し、協力することにより、地域の一員としての視点をもつことが大切である。

(2) 食品の購入と消費に関して責任ある行動をする

 消費者は一人ずつが食品を選ぶ権利を有している。その結果として消費者の購買行動は、事業者の活動に影響を与え、行政の仕組みをも変えうる可能性があるので、区民として食品の安全確保に貢献するとの意識と行動が必要である。

 情報化社会の中で、食事内容に関しても○○ダイエットの流行や○○食品の健康法などの流行があるが、宣伝だけの情報で食事を組み立てることのないよう注意が必要である。

ア 食品選択を通して事業者(供給者)へ影響を与える

 安全性が確保されていない食品や不良な販売形態に対して、消費者が的確に判断し、適正な選択を行うことによって、消費者にとってより好ましい食環境をつくりだすことが可能になる。

イ 高い安全性を手に入れるために手間・コストを惜しまない

 より高い安全を求めるには、時間面、労力面、価格面で消費者にも負担がかかる。生産者と直結した消費者の産直運動は、手間と労力がかかったが、量販店等での扱い量の増加につながってきた。
 とはいえ、まだまだ、無農薬、有機栽培などのより安心な食品は、生産性の問題から、やや価格が高めであることから消費者にも少々のコスト負担が強いられる。

ウ 家庭において、食品の保管・調理の衛生面に配慮する

 食品の安全面を脅かす食中毒は家庭でも起こり、1996(平成8)年度の食中毒統計では、一般飲食店に次ぎ、全国の発生件数の20%を占めている。
 安全性を高めるため、各家庭において、食品を計画的に購入し、保管や調理での衛生面に配慮して扱うことが大切である。

(3) 消費者個人個人の要望を行政・事業者へ向けて発信する

 消費者の苦情・問い合わせは、直接個別の販売者へ向けられることが多かった。
 しかし、最近は区や製造者の消費者関連の窓口が整備され、消費者は二次的な相談手段を確保できるようになった。

ア 消費者個人の意見を行政・事業者に発言する

 確かな情報が不足していたり、手に入らないからといって、消費者個人が具体的に行政・事業者に伝えないと、情報は自動的に流れてこない。まず、個人が必要な情報を要望し、意見を述べることで情報が双方向になる。情報の流れを作るには、ある程度の消費者の要望数がまとまる必要がある。区内に住んでいて不安に思うことは共通している可能性が高いので、日ごろから意見を発言することが大切である。

イ 消費者団体が消費者個人の意見を吸い上げ行政・事業者へ発言する

 消費者団体では、一人ひとりで意見をいうより、効率的な活動として、連絡会等を作って発言の場を確保している。会員は共通の問題意識をもち、情報交換を行い、団体として発言している。さらに、アンケート等で会員以外の区民の意見も吸い上げ、区民の意識を調整し代弁者として発言する。

ウ 地域住民の集まり等で食品の安全を話題にする

 個人が発言し続けることは大切だが、団体・グループに入り、発言の場を確保する方が効率的で有効な場合がある。身近な所にまず参加して、区民同士で共感連帯し発言の場を確保してみる。
 話だけの集会に参加しにくい人は、料理講習会など身近で取組みやすいところに参加して、食品の安全の話題に関心や問題意識をもつことも必要である。

エ 消費者団体の活動している実態を区民に見えるようにPR等を実施する

 地域に密着した活動は、地域の区民の共感を呼び、各種の行事や活動への参加者、発言の場、情報源の増加につながる。消費者団体での情報収集の方法、活動内容等を区民に周知し、区民と連携しながら啓発活動を実施する。消費者団体は、生活実態が似ている地域ごとに地域住民に共通した問題提起を行い、情報交換できるよう広報活動を行う。

2 事業者の具体的役割

 食品の安全確保の責任の多くは、食品を生産・製造し、販売し、供給する事業者側にある。したがって、事業者はその社会的役割を踏まえて、消費者の信頼を得るよう努力し、責任を果たす必要がある。
 中野区内において消費者が食品の購入先として接触するのはスーパーマーケット、小売店等の店頭である。事業者は消費者と情報交換し、食品を取り扱う専門家として消費者が望む安全な食品を選定し、安全に配慮して提供する必要がある。販売店は消費者と連携し、新しい食品に関しては家庭内でも安全に消費できるように情報提供す
る必要がある。
 食品の安全性をめぐる問題として、事業者は、消費者の志向を商業主義的に誘導することがないよう心掛ける必要がある。
 事業者は行政の指導の下に基準を守るとともに、食品の安全性に対する自主管理体制を推進してきたが、消費者の食品に対する安心感は必ずしも満たされていない。 
 事業者は安全性や品質のみならず環境問題にも配慮した自主管理を進めるとともに、消費者との間で適切な情報交換が必要である。
 また、消費者は、事業者側の苦情処理体制の整備を望んでいる。事業者が食品の供給者として責任を果たすためには、消費者対応窓口の設置と適切な対応が必要であり、さらに消費者からの要望を商品の改善や商店の経営に生かすことが望まれている。
 こうした対応は、消費者との相互理解を深めるため、区内事業者団体などにおいても取組まれることが望ましい。

(1) より安全な食品を供給する

ア 事業者ごとの自主管理を充実する

 食品営業店には食品衛生責任者の設置が義務づけられており、事業者は、消費者が安心して利用できるように、より清潔で安全な店舗を目指し、製品や施設等の衛生検査を計画的に実施するとともに、廃棄物の削減、廃油の再利用などの環境問題にも配慮する。

イ 事業者団体による自主管理を実施する

 食品衛生協会では、衛生管理の推進のために、各組合、業種毎に自治指導員を決めている。中野区では約145名の自治指導員が、小売店を中心に行政の指導を受け、定期的に年4回の検査を実施している。
 食品衛生協会参加の加盟店は、店頭に表示板が掲示され、定期的に講習に参加している店舗であることがわかる。

(2) 消費者との情報交流を行う

ア 消費者の要望を聞く仕組みをつくる

 中野区内に多数ある販売店は、業態や事業者の規模や事業者団体への加入の有無によって、自主管理体制や消費者向けの情報提供の取組みに大きな差がある。
 個別の販売店で消費者対応ができない場合でも、二次的に対応できるような仕組みの検討をする。

(ア) 中野区商店街連合会に情報窓口・お客様窓口を設置する
 苦情や要望は直接販売者には言いにくいので、苦情や要望の二次的な受け付け先として、中野区の区商連でお客様窓口の設置を検討する。小売店の店頭で「本来は店頭で伺いますが、言いにくい場合は区商連にお電話下さい」等の表示を行う。

(イ) 店頭を消費者情報の収集窓口とする
 個別の販売店には食品衛生責任者がおり、店頭では消費者と接する専門家として、消費者の購入動機や要望を収集する窓口とする。収集した情報は各店で、集積し分析するとともに、業態毎に収集解析し、店舗運営の改善に役立てる。収集した情報をもとに店舗がすみやかに対応することによって、消費者との情報交流につながり信頼を得ることになる。

イ 表示による情報提供を行う

 消費者に対するアカウンタビリティー(説明責任)をはたすためには、商品の表示とあわせて、消費者の要望に応じた店頭表示による情報提供が大切である。

(ア) 義務づけが無くても、消費者の知りたいことを店頭表示する

 包装食品はもとより、無包装の生鮮食品にも、生産者名、産直表示、有機栽培表示、その他流通経路などの食品の履歴や特徴をできるだけ店頭表示し、消費者に情報提供し、消費者の選択購入を援助する。また、デメリット情報
も公開し、消費者との間に信頼感をつくっていくことが大切である。 飲食店では栄養成分表示を行うとともに、消費者の要望の高い、低カロリーメニュー、高齢者向きメニューなどを提示する。

(イ) 表示とともに取扱店をリストやマップにして知らせる

 消費者のより高い安全性の要求に応じた産直食品、有機栽培野菜など付加価値のある食品の取り扱い店を消費者とともにリストアップし、事業者がマップにして消費者に情報提供を行う。資料作成にあたっては、行政の支援が必要である。

ウ 事業者の取組みを消費者に伝える

(ア) 多様な情報媒体を活用する
 販売店の店頭で消費者とのやり取りは、消費者の要望を聞き出す上で重要であり、適切な対応は消費者の信頼感を増加させる。
 紙面を使用した情報媒体としては、店頭における表示や情報誌がある。 
 中野区商店街連合会が発行している情報誌の「ひまわり」には、身近な地域の事業者と消費者の交流できる記事内容のスペースがあるので利用する。
 講演会やシンポジウムは、個別の消費者やグループと向き合える良い機会であるので、積極的に活用する。

(イ) 施設見学会を実施する
 事業者の日頃の安全管理や安全確保に対する努力を知ってもらい、理解してもらうには、販売や流通現場の見学会を実施し、消費者に確認してもらう方法がある。食中毒の防止の問題に関しては、消費者が作業現場のHACCP(危害分析重要管理点)を実施している現状を見学し、消費者の目で確認できれば、安心して購入する際の参考になる。
 しかし、実施に当っては、衛生面の確保の点で設備上の問題があり、検討が必要である。
 食品衛生協会では会員を対象に、食品の製造現場などの施設見学会を定期的に実施し、研修しているが、消費者が参加できる機会を設ける。

(ウ) 事業者への研修や消費者の学習会へ相互に参加し情報交換を行う
 事業者向けの衛生講習会に、積極的に消費者を受け入れ、研修の実態を理解してもらう。消費者が衛生講習会に参加することは、消費者の学習の機会になり、事業者の問題意識に関して情報交換ができる。消費者と相互に連携をとることは、事業活動の評価と理解に繋がるので大切である。
 また、消費者主催の研修会、学習会にも積極的に参加し、情報収集に努め、専門家としてアドバイスの機会を持つ。

(エ) 事業者自身が消費者へ向けた事業(講習会など)を実施する
 事業者自身が消費者を対象に講習会を実施するなどして、お互いに理解しあう努力をすることも求められる。個人店舗の衛生面に関する検査状況や従業員の研修状況を、消費者にも研修会に参加する機会を設け、安心してもらう情報交流が必要である。

(オ) 講習会の受講済みについて知らせる
 食品衛生責任者を対象に保健所では実務講習会を実施し、参加者には受講済みシールを発行しているので、各店舗に掲示されている。
 受講済みシールの消費者間での認知度が高まれば、安全な店舗の目安として利用でき、消費者の信頼を得ることができる。

エ 小売店の店頭を情報発信の窓口とする

 中野区内の消費者は、小売店やスーパーマーケットの店頭から食品を購入している。販売店には、食品の安全に関する研修を受けた販売員もおり、情報の発信の窓口となりうる。事業者からの情報だけでなく、行政や業界団体からの情報もあわせて発信することも重要である。

(ア) 食品の安全安心に関する情報を提供する
 販売店は、中野区民の消費者のほとんどが、食品の安全に関し情報収集できる一番身近な窓口である。販売者は研修等で得た最新の情報を消費者に伝えることで、消費者の安心感と信頼を得ることができる。
 小売店自身も積極的に情報収集を行い、安全な食品を販売していることを店頭で消費者にアピールし、安心して利用購入してもらう努力が必要である。
 中野区内の食品を扱う店舗は各地域に数多くあるので、食の安全に関する普及啓発の基地となりうる。

(イ) 食品に関する幅広い情報(料理、良い商品の選び方、虫の発生、高齢者向きの調理法等)を提供する
 日々改良され新製品が発売される食品では、製造法や調理法や保存法などが変化し、食品の購入後の取扱いに関し消費者が戸惑うことが多い。
 衛生上の問題以外でも、店頭で販売員が情報提供し、消費者に適切な取扱いのアドバイスを行うことが、食品の安全の確保のために必要である。
 食品を扱う専門家として、消費者にも食品の品質や鮮度の見分け方、高齢者向き食品の調理法などに関し、情報提供することが消費者の信頼を得るために重要である。
 生産者現場や行政から情報提供があった食品の品質のデメリット情報について、迅速に広く区民に周知するには、消費者に店頭で情報提供することが重要である。
 飲食店の店頭では栄養表示を行い、バランスの良い食事の献立などの情報提供を行うことが望まれる。

(3) 食品安全確保のための情報収集、情報交換を行うア トレーサビリテイ(追跡責任)を果たす

 スーパーマーケットでは生産者産地表示など、消費者が情報提供して欲しいという要望に応え表示を実施しているところがある。小売店では、販売する商品を事業者自身が選択して販売しているので、メーカーや製造者、産地等から情報収集することは可能である。小売店でも販売している食品の生産地、流通経路に関して、表示面での整備ができるのか検討が必要である。小売店頭の様々なポスターやパンフレットなどの表示があるが、消費者間での認知度が低い場合もあり、判断材料になっていないので、更に認知度を高めることが必要である。

イ アカウンタビリテイ(説明責任)を果たす

 多くの消費者は、近所の小売店においても、安全に関する表示や食品に関する幅広い情報があれば利用したいと思っている。しかし、現状では判断する際に十分な情報が購入時に得られないとの意見もあり、早急に検討し改善する。
 小売店が商品を仕入れるときの判断基準や、販売するまでの自主管理の状況を情報公開すると、信頼感が高まり、消費者の商品選択の際の参考として有効である。消費者の目に見えるような形で、説明の仕方を工夫して消費者の信頼を得ることが大切である。

ウ 情報収集を行う

 種々の機会をとらえて、食品安全にかかわる情報を収集することも大切である。メーカや産地からの情報はもとより、保健所での食品衛生責任者を対象にした講習会に積極的に参加するなどして行政からの情報も収集する。
 また、業界や食品衛生協会の情報誌を情報源として活用する。さらに食品衛生協会や業界団体で独自に講座などを設定して情報を会員に周知する取組みも望まれる。

エ 区全体のレベルアップのために行政に対し情報提供を行う

 食品安全に関する最先端の情報や消費者の動向に関し情報収集できる事業者は、行政へ積極的に情報提供を行う。その情報を行政が講習会などで二次的に活用することで、系列化されていない区内の事業者のレベルアップにつながる。
 また、食品製造加工技術の知識を消費者へ直接情報提供するとともに、行政へも提供し、幅広い区民の普及啓発へ役立ててもらう。

3 行政の具体的役割

 区の食品安全確保対策は、食品の安全に対する消費者の疑問や不安を払拭するため、事業者の監視・指導を行うことを基本とし、より区民の立場に立って、その要望に積極的に応える努力をしていく使命がある。
 そのためには、監視・指導の充実に努めるとともに、消費者に食品の安全性に関する情報を十分かつ利用しやすい形で提供していくことが何よりも重要である。専門的な内容であってもわかりやすく伝える工夫を行って、適切なタイミングで情報が提供できる体制を整備していく必要がある。特に、O157、遺伝子組換え食品、内分泌かく乱化学物質などに見られるように、食生活の安全に影響を及ぼす新たな課題が次々生じており、これらにも適切な対応が必要である。
 また、事業者に対しても、専門知識を生かした相談や情報提供の機会をつくるほか、法に定められていない表示を求める消費者の要望を事業者に伝えることなどにも積極的に取組んでいく必要がある。
 消費者や事業者の自主的な取組みを促し、その意見を参考に活動を支援していくことも区の重要な役割である。区はこうした自主的活動に対する情報や資料、場の提供、指導者の養成などの援助を、これまでにも増して行う。消費者と事業者とが相互交流を通じて連携を深められるよう、積極的に両者の意見を取り入れ支援していくことが期待される。

(1) 三者の連携の場づくりをする

 消費者と事業者と行政が一緒になって議論できる場があることは、中野区民にとって食品の安全・安心に役立つ。三者が食品の安全性を話し合うこれまでの過程で、それぞれの活動内容や実態に関して、情報不足によりお互いが把握していないことが判明した。
 今後更に話し合う過程の中で交流が深まれば、相互理解がさらに深まる。三者の話し合いの場を設定する仲立ちは、行政に求められており、食品安全委員会が更に継続されることが必要である。
 また、行政と食品衛生協会、事業者が連携して実施している現状の各種事業の中に、今後は必ず消費者に参加してもらうことが相互理解のうえで大切である。
 行政が主催している各種事業に関しては企画の段階から相互に協議し、共催できる内容も増やしていく必要がある。また、地域に密着した小さい単位の三者の共催事業が、増加するように場所を提供し支援する。
 行政・消費者・事業者は、それぞれが食品の安全に関し講演会や研修会を実施しているので、開催日時や内容に関し誰でも参加できるものについては、行政でお知らせする情報の場を確保する。

(2) 消費者及び事業者に対して的確な情報提供を行う

 情報は沢山あるが、その中で消費者が安心して食品を選ぶための情報が少ない。
 消費者や事業者が食品に関して、日々使える情報の提供が必要とされている。
事業者を指導するための行政情報を、同時に消費者向けにも提供する。監視・検査活動を消費者に向けてPRし、積極的に普及啓発することが求められている。
その情報提供の仕方は、より具体的で中野区内で食品を選択購入する時に役立つ情報でなければならない。

ア 統計数字だけではなく、消費者が食品を選択するための情報を流す

 現在実施している保健所での検査は、年毎に業種を決めた収去検査で916検体(1996(平成8)年度)、店舗への立ち入り検査は毎年1500~2000件あり、主に業者の指導向けに役立てている。これらの検査情報は、特に問題のない情報であっても、その提供は消費者の安心感を増すために重要である。
 消費者が中野区内で販売されている食品を選ぶ時、安心して購入できるかどうか、具体的に選択を判断できるような内容での情報提供が必要である。
 行政が消費者や事業者の問い合わせや要望に対応できるのは、一般的に就業時の一定時間に限定される。消費者が知りたいと思う時に、知りたい内容をわかりやすく、利用できるように情報提供することが大切である。24時間区民に対応できる体制づくりとして、インターネットの利用で中野区のホームページで食品の安全に関するコーナーの確保が望まれる。また、区報などを検査結果の情報提供に活用することも必要である。
 保健所では区民からの食品に関する相談を受付けている。その内容を食品総合相談窓口事例集Q&Aなどにして公表し、中野区民の関心のある事例を区民全体で共有する。また、食品添加物、残留農薬の検査結果等を区民に知らせることが可能か、どのような方法で情報提供をするかについて検討する。

イ 食品衛生の常識と誤りを区別して伝える

 消費者は毎日の生活の中で、表示を確認したり、口コミ情報で食品を扱うことが多い。
 口コミ情報の中には、ある一面が誇張されたり、必ずしも正確でないものもあり、食品の安全を考える上で行政からの的確で即応性のある情報提供が必要である。行政は業者に対して情報提供し指導するのと同様に、消費者向けにも情報提供し、啓発することが大切である。

ウ 安全確保のために行政がどんな取組みをしているかPRする

 食品衛生行政は監視活動を実施し、違反したものに関して行政指導や行政処分を行ってきた。今後は監視・検査した内容に関して、中野区民に対して、検査結果を提供し、安心して利用できるための情報として、普及啓発することが大切である。行政の取組みに関しては区報に掲載しているが、認知度はあまり高くない。検査結果に関して、定期的な検査結果を具体的に掲載する等、一般の区民に理解してもらえるように掲載方法を工夫する。
 食品衛生監視員の業務の中で、食品の安全確保のために実施した業態毎の検査件数などの情報を、安心感を得てもらうためおおいにPRし、理解して貰うことが大切である。行政検査のその年の重点監視業種や検査の視点に関しても、分かりやすく情報提供を行う。
 中野区内の収去検査の結果など全体的には良好であるが、問題があった場合の情報提供に関しては、その手法について検討を行う。

エ 新たな課題に関して的確な情報提供をする

 食生活にかかわる新たな課題には、腸管出血性大腸菌O157のように重大な健康被害をもたらす場合がある一方、健康影響の実態について不明確なまま、いろいろな情報が先行する例も多くある。
 健康被害の拡大を防ぐためには、東京都、国等との連携のもと適切、迅速、十分に区民や事業者に情報提供することが重要である。
 また、区民がどのような情報を求めているのかを把握するとともに、関連機関からの情報収集に努め、専門的な情報も分かりやすく的確に提供することが
必要である。

(3) 行政内部の連携、総合調整を行う

ア 行政情報を共有する

 消費者や事業者が食品の安全に関する情報を得たいと思っても、内容によっては行政内部の担当部所が異なることが多く、タライ回しになってしまうことがある。消費者がどこに問い合わせをしても、必ず知りたいことに対応できるような体制づくりが必要である。食品安全に関する情報を十分かつ利用しやすい形で提供する際の仕組みづくりに関しては、消費者・事業者の意見を参考にする。

イ 縦割りの弊害を排して、横の連携を取る

 消費者や事業者の問い合わせや要望に関して、自分の課だけの業務範囲での回答内容で不十分な際は、行政内部で横の連携を取り回答することが大切である。中野区内の食品の安全性に関し、監視指導を実施しているのは保健所であるが、消費者センター、学校給食関係者等と相互に充分連携し、消費者(大人向け・子供向け)、事業者向けに情報提供する必要がある。食品安全に関する幼児期からの教育も重要であり、すでに、学校、保育園、児童館で取組んでいるものについて、横の連携を取る工夫が必要である。

ウ 他の部課の講座にも参加する

 食品の安全に関する問題は、多岐にわたり複雑化し、課内の業務内容だけでは対応が困難になってきている。消費者の意識レベルに格差が広がり、要望する観点も多岐にわたり変化してきている。
 他の部課や消費者団体の主催する食や健康に関する講座・シンポジウムなどに関し、食品衛生にかかわる職員が参加し、交流できるシステムを設ける。

(4) 行政による食品安全確保を充実する

ア 監視の充実をはかる

 食品流通の国際化、食品の生産加工技術の革新に伴い、安全性確保の監視に、より専門的な知識が求められている。区内で食品を製造・販売している事業者に対し、食品の安全性が確保できるよう収去検査を行い、安全レベルが向上するような監視内容の充実が求められている。
 監視内容、監視項目については、消費者や事業者の意見を取り入れ、監視の充実を図る。

イ 試験検査の充実をはかる

 これまで保健所では、消費者からの依頼検査の対応は有症苦情が原則であった。今後は、この食品が不安ということに関しても持ち込み検査を更に充実する。
 開かれた保健所として、区民からの持ち込み検査を実施し、安全性の確認の要望に応えるため、試験検査の実施体制の確立と試験内容の充実が大切である。

ウ 事業者の自主管理を推進する
 食品の安全確保のため、スーパーマーケットでは企業努力で自主管理を行い、食品衛生協会加入の店舗は協会で情報提供を行い自主管理の指導を実施している。それ以外の事業者に対しても、自主管理を推進するために行政から情報提供を行い、中野区内の全域にわたるレベルアップをはかることが重要である。

エ 自主管理のための指導者を養成する

 平成7年の食品衛生法の改正により、都道府県、保健所設置市、特別区は食品衛生推進員を委嘱することができることとなった。中野区でも1998(平成10)年4月にこの制度が発足した。中野区らしさを出すため、食品衛生協会からの推薦者の他に、集団給食関係者、消費者等で構成されている。活動内容は、飲食店営業者への自主的活動の支援等が中心であるが、消費者と連携して積極的に普及啓発活動を実施することが望まれる。

(5) 普及啓発事業を推進する

 消費者は区内の身近なところで安全な食品を選択し購入したいと望んでいる。
 有機栽培や食品の安全性、表示、容器のリサイクルに関し積極的に取組んでいる事業者に関して、消費者、事業者と調査し、マップにして情報提供する。
 情報提供を普及啓発の一環として考えた場合、その普及度、参加度を確認するため、子どもも含めた全区民を対象に、参加者にたとえばスタンプラリーを取り入れた参加頻度の認定制度などを検討する。
 行政は、体系的に情報を国・都から収集し、区民への普及啓発を行うとともに、消費者・事業者とも情報交流を行い、相互の活動内容が把握できるよう情報提供を行う。講演会、研修会に関して、常に消費者の意識を視野に入れ、区民が参加を楽しめる事業を工夫する。
 普及啓発活動は、消費者、事業者の意見を取り入れ、共に実施するのが効果的である。食品衛生監視活動の内容も変化してきているので、消費者、事業者と一緒に要望や実態を確認しながら実施していくことが大切である。また、個別指導・啓発より、団体啓発が効率的なので、消費者、事業者のグループ化を促進することも必要である。

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 2年間にわたる第2期食品安全委員会の検討結果をこの答申にまとめることができて、ほっとしている。「安心できる食生活の実現」は区民の切なる願いであり、決して「絵に描いた餅」であってはならない。しかし現実には、次々に出現する「食生活をおびやかすもの」に対して、消費者・事業者・行政の取組みがきわめて有効に機能しているとは言い難い。委員会の席上、それぞれの立場からいろいろな課題が討議されたが、区長から諮問された「具体的役割」を、この答申がどれだけ明確にできたか、多少の不安は残る。ただ、このような試みは、日本の他の自治体ではほとんど行われておらず、消費者・事業者・行政が同じ土俵の上で話し合うことの意義は大きいと考える。
 ただし、この話し合いに終わるのではなく、消費者(区民)と事業者(食品関係業者)とによる自主的活動を通して、「食品の安全性」と「食品への安心感」の確保に向けて一歩一歩実績を積み上げることが望まれる。行政もこの活動に加わって、協力と機会と場の提供等の支援を惜しまぬよう期待するものであるが、決して行政主導型にならないよう本
委員会の姿勢をわきまえていただくことを希望する。

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(附属資料)

  1. 中野区食品安全委員会条例
  2. 安心できる食生活の実現に向けて(概要) -第1期食品安全委員会-
  3. 中野区食品安全委員会委員名簿
  4. 中野区食品安全委員会審議経過
  5. 起草委員会名簿・起草委員会検討経過
  6. 中野区食品安全委員会幹事名簿

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(設置) 
第1条中野区における食品の安全にかかる施策の充実を図り、区民の健康を増進するため、区長の附属機関として中野区食品安全委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
(所掌事項) 
第2条委員会は、区長の諮問に応じ、食品の安全確保に関する重要な事項について調査審議する。
2委員会は、食品の安全確保を推進するために必要な事項について、区長に意見を述べることができる。
(組織) 
第3条委員会は、次に揚げる者のうちから区長が委嘱する委員15人以内をもって組織する。
 (1)学識経験者
 (2)営業者団体が推薦する者
 (3)消費者団体が推薦する者
 (4)公募による区民
2特別の事項を調査審議するため必要があるときは、委員会に臨時委員を置くことができる。
(委員の任期) 
第4条委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
2委員が欠けたときは、補欠委員を置くことができる。補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長) 
第5条委員会に会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
2会長は、会務を総理し、委員会を代表する。
3会長に事故あるときは、あらかじめ会長の指名する委員がその職務を代理する。
(会議) 
第6条委員会は、会長が招集する。
2委員の半数以上の出席がなければ、会議を開くことができない。
3委員会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
4委員会の会議は、公開とする。ただし、個人情報の保護等の必要があると認めるときは、非公開とすることができる。
(委任) 
第7条この条例の施行について必要な事項は、区長が定める。
  
附則 
 この条例は、平成5年4月1日から施行する。

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食品安全確保の考え方
  • 当面の取り組みと課題
消費者の取り組み事業者の取り組み行政の取り組み
三者の役割の明確化(1)消費者は、商品選択を通じて安全性を欠く食品を市場
 から淘汰する力をもつ。
  • 食品に関する知識と情報を得る。
  • 自立した消費者として力をつけ行動する。
(2)事業者は、食品の安全に関する公的規制を守り、消費者
 に安心感を与え信頼を得る。
  • 自主的安全管理の徹底強化を図る。
  • 消費者に充分な情報を提供する。
(3)行政は食品安全確保の徹底を図り、消費者の疑問や
 不安を解消する。
  • 食品監視指導体制を充実する。
  • 消費者の要望を施策に反映させる。
(1)学習活動、地域活動への積極的参加
  • 食品安全に関する講座に参加する。
  • 身近な地域でのボランティア等の活
    動に参加する。
(2)家庭・地域・団体での情報交換と連携
  • 身近な地域で仲間をつくる。
  • 消費者団体は、多くの消費者と連携
    し情報交換を行う。
(3)情報の収集と有効活用
  • 行政や事業者から積極的に情報収
    集し共有する。

(1)自主管理の強化

  • 自主管理を徹底する。
  • 団体の組織づくりを強化する。

(2)消費者、行政への情報提供

  • 表示を充実し、商品情報を提供する。
  • 対面販売の利点を生かし、商品情報を
    提供する。
  • 自主管理体制の取り組みを知ってもらう。
  • 行政、消費者団体の学習会に参加し、
    情報を提供する。
  • 行政へ、食品の製造加工技術の知識を
    提供する。

(1)区民参加による施策の展開

  • 食品安全委員会を開催する。
  • 区民ニーズを把握・整理する。
  • 自主的団体や組織の活性化を図る。

(2)情報の収集提供の充実

  • 消費者の視点に立ち食品の安全に関
    する情報を体系的に収集する。
  • 各種の情報を総合的に提供できる体
    制を整備する。
  • 食品総合相談窓口の充実を図る。

(3)普及啓発事業の推進

  • 企画段階から消費者の参加を図る。

(4)監視指導の強化と試験検査体制の充実

  • 事業者の自主管理対策を援助する。
  • 食品監視活動等を公開する。
  • 区民の検査依頼に応じる。
三者の相互理解と連携(1)消費者、事業者、行政はお互いに交流し相互理解を進
 める。
  • 消費者は、協力し合って、行政や事業者に働きかける努力をする。
  • 事業者は消費者の要望に対して適切に対応する。
  • 行政は、消費者、事業者と一堂に会して食品安全に
    ついての話し合いの場を設ける。
(1)家庭・地域・団体での情報交換と連携
  • 身近な地域で仲間を作る。
  • 消費者団体は多くの消費者と連携し情報交換を行う。
(2)行政と事業者の相互理解と連携
  • 食品安全についての話し合いの場をもつ。
  • 事業者の取り組みや身近な食品の
    情報を得る機会に参加する。
(1)消費者との連携の推進
  • 各種地元事業者は事業者と消費者との意見交流会の場を設定する。
  • 消費者との交流の機会を積極的に設ける。
  • 消費者の学習会、交流活動に協力する。

(1)消費者、事業者の自主活動の交流拠点 づくり

  • 消費者、事業者の活動を支援するため保健所を整備する。
  • 消費者センターは消費者活動の支援を充実させる。
  • 自主団体の組織活性化を図る。
(2)施策の体系的、総合的推進
  • 各分野の区政担当者の役割を明確
    にする

(3)関係機関との連携

  • 各職種が組織する団体を通じて連携る。
食を通じた健康づくり

(1)消費者と事業者は、身近な地域社会の日常的な活動やふれあいの中で、食品の供給・消費を通じた健康づくりに向けて、一体となって取り組み、これを行政は支援する。

  • 消費者は豊かで健全な食生活を主体的につくりあげる。 
  • 事業者は、地域社会の一員として地域の人々の要求に応えた営業活動を行う。
  • 行政は、消費者や事業者の自主活動を支援し、情報提供や活動の場を提供する。
(1)学習活動・地域活動への積極的参加
  • 健康づくり講座に参加する。
(2)家庭、地域、団体での情報交換と連携 
  • 家庭の中からバランスのとれた食
    習慣をつくる。

(1)自主管理の強化

  • 安全性や品質と共に環境問題にも取り
    組む。

(2)消費者、行政への情報提供

  • 飲食店における栄養表示を普及する。

(3)消費者との連携

  • 高齢者等の利用しやすいメニューや店
    づくりなどの食環境をつくる。

(1)情報の収集提供に充実

  • 消費者の視点に立ち体系的に収集
    提供する。

(2)普及啓発事業の推進

  • 企画段階から消費者の参加を図る。

(3)施策の体系的、総合的推進

  • 食に関わる各分野から連携し、総合的な事業展開をする。

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 氏名推薦団体 ・ 役職等
会長 豊川 裕之東邦大学医学部教授
会長職務代理稲葉 裕順天堂大学医学部教授
渡辺 多加子国民生活センター商品テスト部調査役補佐
営業者代表佐藤 謹吾
五味 利量
関口 延雄
佐藤 美輝

関澄 龍二

浅岡 健一
中野食品衛生協会 会長
中野北食品衛生協会 会長
中野区商店街連合会 副会長
(社)東京都食品衛生協会新宿総合事務所長
 (平成9年4月から)
(社)東京都食品衛生協会新宿総合事務所長
 (平成8年10月~平成9年3月)
日本チェーンストア協会消費者委員会委員
消費者代表千葉 晴子
羽賀 育子
逆瀬川 美智
中野区消費者団体連絡会
中野区消費者団体連絡会
中野区消費者団体連絡会
公募区民種村 興
平野 恵子
村田 清子
片山 弘美

(平成9年3月から)
(平成8年10月~平成9年2月)
(平成10年3月転出により解嘱)

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回数開催年月日審議内容及び主な提供資料
1平成8年10月7日・委員の委嘱・会長の互選・諮問・委員会の運営について
【提供資料】
 食品安全委員会第1期答申
2平成8年12月18日・第1期食品安全委員会答申内容に関する意見交換
3平成9年3月13日・第1期食品安全委員会答申内容に関する意見交換
【提供資料】
 遺伝子組換え食品に関する資料
 (学識経験者委員により資料提供と説明)
4平成9年5月15日・中野区の食品安全確保に関する消費者の具体的役割についての検討
【提供資料】
 第2次中野区長期計画
5平成9年7月9日・中野区の食品安全確保に関する事業者の具体的役割についての検討
【提供資料】
 a中野区議会による「遺伝子組換え食品に関する意見書」
 b中野区腸管出血性大腸菌O157対策について
 c中野区保健推進計画(第1次改訂版)
6平成9年9月29日・中野区の食品安全確保に関する行政の具体的役割についての検討
【提供資料】
 区民リサイクルプラザ・消費者センターの概要について
7平成9年10月30日・中野区の食品安全確保に関する消費者・事業者・行政の具体的役割について総括的検討
・起草委員の選出
8平成10年3月30日・第2期食品安全委員会答申に盛り込むべき事項
【資料提供】
 a内分泌かく乱物質(環境ホルモン)について
 b食品衛生責任者について
9平成10年6月16日・第2期食品安全委員会答申(素案)について検討
【提供資料】中野区食品衛生推進員の設置について
10平成10年9月9日・第2期食品安全委員会答申(案)について検討
11平成10年10月2日・答申

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氏名分野
座 長 稲葉 裕
 渡辺 多加子
 佐藤 謹吾
 浅岡 健一
 羽賀 育子
 種村 興
学識経験者
学識経験者
営業者代表
営業者代表
消費者団体代表
公募区民代表

起草委員会検討経過

回数開催年月日内容
1平成9年12月7日・座長の選出
・起草委員会の進め方について
・第2期答申に盛り込む内容について
2平成10年2月12日・第2期答申に盛り込む事項について
・執筆担当者の決定について
3平成10年4月20日・第2期答申骨子の検討
4平成10年5月21日・第2期答申(素案)の検討
5平成10年7月9日・第2期答申(素案)の検討
6平成10年8月6日・第2期答申(素案)の検討

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所属氏名備考
保健衛生部長
 (中野区保健所長)
浦野 純子※平成10年4月組織改正
平成10年3月まで中野保健所長
保健衛生部長
 (中野北保健所長)
山口 剛平成8年10月~平成10年3月 (退職)
保健衛生部次長長尾 孝恒平成8年10月~平成10年7月5日
※平成10年7月組織改正により廃止
保健計画課長服部 敏信平成10年4月1日から
生活衛生課長杉田 茂雄
荒畑 正子
平成10年7月6日から
平成10年4月~平成10年7月5日
中野北保健所総務衛生課長橋本 美文平成8年10月~平成10年3月
※平成10年3月組織改正により廃止
衛生試験所長
 (平成9年4月から平成10年3月まで
 保健所長が兼務)
有竹 澄江平成8年10月~平成9年3月
※平成10年3月組織改正により廃止
区民部経済勤労課長加藤 芳三
市川 亨
平成9年4月から
平成8年10月~平成9年3月
教育委員会事務局学務課長寺部 守芳※平成10年7月6日組織改正
平成10年7月5日まで学校教育部
※ 組織改正等による変更

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お問い合わせ

このページは健康福祉部 生活衛生課(中野区保健所)が担当しています。

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