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最終更新日 2009年12月24日
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個人情報保護審査会答申(第15号)

答申第15号
2003年9月19日

中野区長殿

中野区個人情報保護審査会
 会長 井出嘉憲

中野区個人情報の保護に関する条例第33条第2項の規定に基づく諮問について(答申)

2003年1月29日付け、14中総総第570号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。


 

自己情報不開示等決定処分に係る異議申立てについて(諮問)
 

1 審査会の結論

 本件決定により一部不開示とされた住民票交付申請書の請求法人を特定する情報および請求事由にかかわる情報は、担当者の個人名と印影部分を除き、当該住民票の本人である申立人に対し開示すべきである。

 

2 不服申立及び審査の経緯

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、2002年11月18日、中野区個人情報の保護に関する条例(以下「条例」という。)22条に基づき、実施機関である中野区長(以下「実施機関」という。)に対して、その自己情報に属すると考える「2001年6月25日から2002年11月18日までの間における申立人の住民票の交付を受けた者の交付者名、職業及び住所」の開示を請求したが、同年12月3日付で、申立人に係る住民票の交付申請書5通のうち申立人本人の申請に係るもの3通については開示し、第三者の申請に係るもの2通については部分開示とする自己情報不開示等決定通知を受けた。
 申立人は、この一部不開示決定を不服とし、不開示部分の第三者の住民票の写しを請求した者の住所、氏名、職業、使用の目的の開示を求め、2003年1月22日付で実施機関に対して異議申立てを行った。そして、同年1月29日付で実施機関から当審査会に対し、条例33条2項の規定に基づく諮問がなされたのが、本件である。
 当審査会の審査において、実施機関から2003年3月7日付で「不開示等理由説明書」が提出され、これに対して申立人は、同年4月30日付で「意見書」を提出するとともに同年7月25日に当審査会に対する口頭意見陳述を行った。
 なお、審査会は口頭意見陳述において、申立人の真意は開示請求の当初より「請求事由」を含めるものであることを確認し、一方実施機関も申立人の真意に対応した不開示理由説明書を提出している。

 

3 両当事者の主張

(1) 実施機関の主張
 ア 住民票の交付申請書の第三者にかかる情報部分は、開示請求対象たる申立人本人の自己情報(自己の生活に関する情報で自己が識別できるもの)ではない。
 イ 仮に自己情報であるとしても、条例より住民基本台帳法(以下「住基法」という。)上の規定が優先し、住基法12条2項により何人でも住民票の写しを請求できるのであるから、第三者情報を開示しないことに相当な理由がある。第三者が法人であろうと個人であろうと、法律上の対応に差はない。
(2) 申立人の主張
 ア 自己の住民票の写しを誰が請求したかは、個人情報の一部として自己情報コントロール権の対象となる。当然、知る権利があり、憲法上の権利である。
 イ 住基法上認められた法益があるとしても、第三者が本人の自己情報を見ているのに、見られた本人が誰が自己の情報を見たのかを知ることができないのは、対等ではない(口頭意見陳述)。
 ウ 第三者が他人の住民票を取る必要性の法益と、個人情報開示請求権とを比較衡量すれば、後者が優先する。

 

4 審査会の判断

(1) 事案の概要
 本件は、自己の住民票の写しを申請した第三者の住民票交付申請書を開示するよう求めた申立人に対し、実施機関が、請求者の名称・住所、請求事由及びそれらに付随した記載部分を不開示とした事案である。
(2) 本件不開示情報は申立人の自己情報にあたるか
 実施機関は、本件不開示情報は第三者の情報であり、申立人本人の自己情報(自己の生活に関する情報で自己が識別できるもの)にあたらず、そもそも自己情報開示(条例22条)の対象にならないと主張する。
 しかし、条例の目的は、個人情報にかかる「区民の基本的人権の擁護を図る」ことであり(条例1条)、これは単に自己情報そのものを守るというだけにとどまらず、いわゆる「自己の情報の流れ」をコントロールする権利をも当然に含むものと解される。そのためには、自己の情報についての他者による収集・保管・利用の状況をも本人が知り得ることが前提となり、自己情報の開示請求権が認められているのである(条例22条)。
 したがって、単に第三者情報であるからといって、自己情報でないということはできない。
(3) 住民基本台帳法と条例との関係
 実施機関は、住基法により「何人でも」「請求事由」を明らかにして住民票の写し等の交付を請求することができる(同法12条2項、3項)ことになっており、申請した第三者の情報が仮に本人の自己情報であるとしても、それを本人に開示した場合、第三者が識別されそのために住民票の交付申請を断念するなど、第三者に不利益を及ぼすおそれがあり、住基法上の権利である以上、開示しないことに相当な理由があると主張する。
 しかし、そもそも住基法と条例はその目的を異にしており、申請人の第三者情報を開示してはならないと住基法が定めているわけではない。
 そして、住基法においても、1985年より、本人や同一世帯員以外の者が住民票の写し等の交付を請求する場合には原則として「請求事由」を記載しなければならず、「不当な目的」であることが明らかなときは市町村長が交付を拒むことができるように改正され(同法12条2項、3項、5項)、さらに最近では、特別な場合は、第三者に対する住民票の交付制限を採用する自治体も出始めており、住民票交付に対する個人情報の保護が考慮されつつある。
 したがって、第三者情報を開示するか否かは、第三者の住基法上の法的利益と申立人の個人情報保護の権利の、比較衡量の問題となるが、後者に重きをおくべきである。
(4) 本件不開示部分は開示すべきである。
 実施機関は、第三者情報を開示した場合、第三者が本人に開示されることを予測して住民票交付申請を断念する場合があり、第三者に不利益を及ぼすと主張する。
 しかし、本件2通の申請は、いずれも法人によってなされた場合であり、申立人本人に認識されても、申請を自己抑制するなどの不利益が生じることはないと解される。したがって、条例26条4号にいうような住民票交付に関する実施機関の公正または適正な職務執行が著しく妨げられるものとはならない。
 条例26条は自己情報開示の例外として2号で「開示することにより第三者である特定個人が識別され当該第三者に不利益を及ぼす恐れがある」場合を挙げている。本件2通の申請は、法人申請であるから、担当者の個人名・印影を除けば、使用目的、申請者の住所、氏名を開示しても、第三者である特定個人が識別されることにはならない。
 なお、法人情報の印影部分は、そもそも申立人の自己情報に当たらず、不開示のままでよいと解される。
(5) 条例の目的と個人情報保護の動向
 条例の目的は、1条にあるように「区民の基本的人権の擁護と信頼される区政の実現」である。本件における実施機関の対応は、単に法律の規定を条例に優先させる考えに基づいてこの目的を没却しているものであり、個人情報保護法の制定など国レベルでの個人情報保護の動向及び区の住基ネット接続に対する慎重な判断など個人情報保護に対する自治体独自の努力に、相反するものといえよう。

 

5 本件不服審査の処理経過

(1) 2003年1月22日、申立人は、2002年11月18日付の開示請求に対する不開示等決定処分に不服があるとして、条例33条1項の規定に基づき、区長に対して異議申立てを行った。
(2) 2003年1月29日、区長は、本件異議申立てについて条例33条2項の規定に基づき、当審査会に諮問を行った。
(3) 2003年2月3日、審査会は、区長に対して不開示等理由説明書の提出を求めた。
(4) 2003年3月7日、区長から審査会に対して不開示等理由説明書が提出された。
(5) 2003年4月1日、審査会は、区長から提出された不開示等理由説明書の写しを申立人に送付し、意見書の提出を求めた。
(6) 2003年4月30日、審査会は、申立人から意見書を受理した。
(7) 2003年6月27日、審査会は、実施機関からの事情を聴取した。
(8) 2003年7月25日、審査会は、申立人からの意見を聴取した。
(9) 審査会は、本件異議申立てについて、2003年3月28日、4月11日、5月30日、6月27日、7月25日、8月15日、9月19日と審議を重ね上記結論を得た。

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