中野区監査委員監査基準

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更新日:2023年8月3日

 地方自治法(昭和22年法律第67号)第198条の4第1項及び第2項に基づき、中野区監査委員監査基準を以下のとおり策定しました。
 監査委員は、この中野区監査委員監査基準に従い、常に公正不偏の態度を保持し、監査等(法令の規定により監査委員が行うこととされている監査、検査、審査その他の行為)を行います。

中野区監査委員監査基準(令和2年3月11日監査委員決定)

 本基準は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)に基づく監査基準であり、法、地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号。以下「健全化法」という。)及び中野区監査委員条例(昭和39年中野区条例第5号)の規定により中野区監査委員(以下「監査委員」という。)が行うこととされている監査、検査、審査その他の行為の基本原則を定める。

第1章 総則

第1節 監査委員

 (監査委員の責務)
第1条 監査委員は、法の規定に基づき設置された独任制の執行機関として、公正で効率的な行財政運営を確保し、区民福祉の増進と地方自治の本旨の実現に寄与するため、その職務を遂行する。
 (倫理規範)
第2条 監査委員は、高潔な人格を維持し、誠実に、かつ、本基準にのっとってその職務を遂行する。
2 監査委員は、独立的かつ客観的な立場で公正不偏の態度を保持し、正当な注意を払ってその職務を遂行する。
 (専門性)
第3条 監査委員は、住民の視点に立ちつつ、地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有することが求められ、その職務を遂行するため、自らの専門能力の向上と知識の蓄積を図り、その専門性を維持及び確保するため研さんに努める。
2 監査委員は、監査委員の事務を補助する職員(以下「事務局職員」という。)に対し、監査委員の職務が本基準にのっとって遂行されるよう、地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関して、自らの専門能力の向上と知識の蓄積を図るよう研さんに努めさせる。
 (質の管理)
第4条 監査委員は、その職務を遂行するに当たり求められる質を確保する。そのために、事務局職員に対して、適切に指揮及び監督を行う。
 (指導的機能の発揮)
第5条 監査委員は、問題点の指摘のみならず、将来にわたる不正行為、不経済支出等の抑止の観点から指導的機能を発揮する。

第2節 監査等の基本事項

 (監査等の目的)
第6条 監査等(監査、検査、審査その他の行為のうち、財務監査、工事監査、行政監査、財政援助団体等監査、決算審査、基金運用状況審査、例月出納検査及び健全化判断比率等審査をいう。以下同じ。)は、区の行財政運営の適正性及び透明性の向上に寄与し、区政への信頼確保に資することを目的とする。
 (監査等の種類)
第7条 監査等は、次の各号に定めるところによる。
 一 財務監査は、毎年1回以上、法第199条第1項及び第4項の規定に基づき実施する。
 二 工事監査は、毎年1回以上、法第199条第1項及び第4項の規定に基づき実施する。
 三 行政監査は、原則として毎年、法第199条第2項の規定に基づき実施する。
 四 財政援助団体等監査は、原則として毎年、法第199条第7項に基づき実施する。
 五 決算審査は、法第233条第2項の規定に基づき実施する。
 六 基金運用状況審査は、法第241条第5項の規定に基づき実施する。
 七 例月出納検査は、毎月1回、法第235条の2第1項の規定に基づき実施する。
 八 健全化判断比率等審査は、健全化法第3条第1項の規定に基づき実施する。
2 法令の規定により監査委員が行うこととされている監査、検査、審査その他の行為(監査等を除く。)については、当該法令の規定に基づき、かつ、本基準の趣旨に鑑み、実施する。
 (合議)
第8条 次に掲げる事項は、監査委員の合議によるものとする。
 一 監査等の計画及び方針の決定に関すること。
 二 監査の結果に関する報告の決定に関すること。
 三 監査の結果に関する報告に添える意見の決定に関すること。
 四 監査の結果に関する報告に係る勧告の決定に関すること。
 五 決算審査に係る意見の決定に関すること。
 六 基金運用状況審査に係る意見の決定に関すること。
 七 健全化判断比率等審査に係る意見の決定に関すること。
 八 監査結果の措置に関すること。
 九 前各号のほか監査委員が必要と認める事項
 (監査等の観点)
第9条 監査等は、合規性はもとより、経済性、効率性及び有効性の観点から実施する。
 (監査等の手法)
第10条 監査等(決算審査、基金運用状況審査及び健全化判断比率等審査を除く。この項、次条第2項及び第23条第2項において同じ。)は、監査等の対象のリスク(組織目的の達成を阻害する要因をいう。以下同じ。)を識別し、リスクの内容及びリスクが生じる可能性とその影響を検討した上で、重点化を図り、効率的かつ効果的に実施する。
2 監査等の手法は、毎年の監査等の結果及び措置状況を踏まえ、改善に努める。
3 監査等の実施に当たっては、情報通信技術を積極的に活用する。
 (内部統制に依拠した監査等)
第11条 前条第1項のリスクの内容及びリスクが生じる可能性とその影響の検討に当たっては、内部統制の整備状況及び運用状況について情報を集め判断する。
2 監査委員は、監査等の種類に応じ、内部統制に依拠する程度を勘案し、適切に監査等を行う。
 (監査資料等の保存)
第12条 監査委員は、監査計画、監査等の内容、判断の過程、証拠及び結果その他の監査委員が必要と認める事項を保存する。
 (各種の監査等の調整)
第13条 監査委員は、区の事務及び事業を横断的・多角的に検証するため、各種の監査等が相互に有機的に連携して行われるよう調整し、監査等を行う。
 (監査専門委員、外部監査人等との連携)
第14条 監査委員は、必要に応じて監査専門委員を選任し、必要な事項を調査させることができる。
2 監査委員は、監査等の実施に当たり、効率的かつ効果的に実施することができるよう、監査専門委員、外部監査人等との連携を図る。

第2章 監査等の実施

第1節 計画

 (監査計画)
第15条 監査等は、毎年定める監査基本計画及び監査等の種類ごとに定める実施計画に基づいて実施する。
2 監査基本計画は、社会経済状況及び区政の動向を踏まえ、リスクの内容及びリスクが生じる可能性とその影響、過去の監査等の結果及び措置状況、監査資源等を総合的に勘案し、監査等の基本方針等を定める。
3 実施計画は、監査基本計画に基づき、各種の監査等の対象、実施期間等を定める。
 (監査等の実施方針等)
第16条 財務監査は、区の財務に関する事務が、法令等に従い適正かつ効率的に執行され、また、事務処理が最少の経費で最大の効果があがっているかという経済性を主眼として実施する。
2 工事監査は、区の工事に関する事項が、法令等に従い適正かつ効率的に執行され、また、合理的かつ経済的に執行されているかを主眼として実施する。
3 行政監査は、必要があると認められるとき、特定の事務又は事業を選定し、その事務又は事業が、法令等に従い適正かつ効率的に執行され、また、合理的かつ経済的に執行されているかを主眼として実施する。
4 財政援助団体等監査は、次の各号に定めるところにより、必要があると認めるとき、又は区長の要求に基づき実施する。
 一 区が補助金等を交付している団体については、対象事業が補助等の目的に沿って適切に行われているか。
 二 区が出資又は出えんを行っている団体については、会計経理等の適正性や費用対効果など経営面に留意しつつ、当該団体の事業が出資又は出えんの目的に沿って適切に行われているか。
 三 公の施設の指定管理者については、施設の管理が、施設の設置目的及び指定管理者制度の趣旨に沿って適切に行われているか。
 四 財政援助団体等を所管する部署については、当該部署が当該団体に対し適切に指導及び監督をしているか。
5 決算審査は、決算その他関係書類が法令に適合し、かつ正確であるかを審査するとともに、予算の執行が適正かつ効率的に行われているかを主眼として実施する。
6 基金運用状況審査は、基金の運用状況を示す書類の計数が正確であり、基金の運用が確実かつ効率的に行われているかを審査する。
7 例月出納検査は、次の各号に定めるところによる。
 一 毎月末現在の会計管理者の保管する現金の現在高及び出納関係諸表等の計数の確認をするとともに、現金の出納事務が適正に執行されているかを主眼として実施する。
 二 区の財政収支の動態を主として計数面から把握し、決算審査等と有機的な連携を図る。
8 健全化判断比率等審査は、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及び将来負担比率並びにそれらの算定の基礎となる事項を記載した書類が法令に適合し、かつ正確であるか、また、財政の健全化が保たれているかを審査する。

第2節 監査等の実施

 (事前準備)
第17条 監査委員は、必要な監査等の証拠を効率的かつ効果的に入手するため、監査計画に基づき、実施すべき監査等の手続を選択し、実施する。
2 監査等の実施に当たっては、事前に監査等の対象に係る過去の監査等の結果及び措置状況を整理するとともに、監査等の対象となる事務又は事業の問題点の把握に努める。
 (監査等の証拠入手)
第18条 監査委員は、監査等の結果を形成するため、必要な監査等の証拠を入手する。
2 監査委員は、監査等の証拠を評価した結果、想定していなかった事象若しくは状況が生じた場合又は新たな事実を発見した場合には、適宜監査等の手続を追加して必要な監査等の証拠を入手する。
 (監査結果に係る講評)
第19条 監査委員は、監査等に係る関係者に原則として監査結果の報告の決定前に講評を行い、これに対する弁明又は意見等を聴取する。
 (監査等の結果に関する報告の決定)
第20条 監査委員は、監査等の結果に関する報告を合議により決定する。

第3節 監査結果の措置

 (措置状況の確認及び公表)
第21条 監査の結果に関する報告を提出した者及び監査の結果に関する報告に係る勧告をした者から、適時、監査結果の措置状況を徴する。
2 前項の措置状況の報告を受けたときは、是正改善はもとより、再発防止の観点から措置状況を確認する。
3 監査委員は、監査の結果に関する報告を提出した者及び監査の結果に関する報告に係る勧告をした者から措置の内容の通知を受けた場合は、当該措置の内容を公表する。

第3章 報告等

 (監査等の結果に関する報告等の提出及び公表)
第22条 監査委員は、財務監査、工事監査、行政監査及び財政援助団体等監査の結果に関する報告を作成し、議会、区長及び関係のある委員会又は委員に提出するとともに、公表する。
2 監査委員は、前項の監査の結果に関する報告については、当該報告に添えてその意見を提出することができるとともに、当該報告のうち特に措置を講ずる必要があると認める事項については勧告することができる。この場合において、監査委員は、当該意見及び勧告の内容を公表する。
3 監査委員は、例月出納検査の結果に関する報告を作成し、議会及び区長に提出する。
4 監査委員は、決算審査、基金運用状況審査及び健全化判断比率等審査を終了したときは、意見を区長に提出する。
5 前各項の提出及び公表は、監査委員全員の連名で行う。
 (監査等の結果に関する報告等への記載事項)
第23条 監査等の結果に関する報告等には、原則として次に掲げる事項その他監査委員が必要と認める事項を記載する。
 一 本基準に準拠している旨
 二 監査等の種類
 三 監査等の対象
 四 監査等の着眼点
 五 監査等の実施内容
 六 監査等の結果
2 監査委員は、指摘事項又は意見・要望事項が認められる場合は、その内容を監査等の結果に記載するとともに、必要に応じて、監査等の実施過程で明らかとなった当該事項の原因等を記載するよう努める。
 (情報発信)
第24条 監査委員は、その活動及び監査等の結果の内容について、庁内外に広く理解を得られるよう、情報発信に努める。
 (補則)
第25条 本基準の実施に関し必要な事項は、監査委員が別に定める。

 附 則
この基準は、2020年4月1日から施行する。

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