令和7年(2025年)第2回中野区議会定例会区長行政報告(2025年6月2日)
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更新日:2025年6月2日
(行政報告を行う酒井区長)
- 1 はじめに
- 2 協定解除に至るこれまでの経緯
- 3 中野駅新北口駅前エリア再整備事業の見直しに向けた決意
- 4 中野サンプラザの土地・建物の管理
- 5 今後の中野駅新北口駅前エリアのまちづくり
- 6 むすびに
1 はじめに
本日は、令和7年第2回中野区議会定例会の冒頭に、行政報告の機会を頂きましたことに深く感謝申し上げます。中野駅新北口駅前エリアのまちづくりに関して、皆様にご心配をおかけしていることから、これまでの経緯や今後の取組について、私の考えをご報告申し上げたいと存じます。
中野サンプラザを含むこの一帯は、区民にとって特別な場所であり、100年先においても中野区の顔として愛され親しまれるようにすべき場所です。だからこそ、今一度立ち止まり、未来の中野にふさわしい姿を、区民の皆様との対話によりともに描き直す必要があると考えています。
私たちが目指すのは、基本構想に描く「つながる はじまる なかの」を実現することです。多様な人々が交わり、文化が息づき、誰もが自分らしく過ごせるまちです。私は、これまで対話による区政を掲げ、区政運営に務めてまいりました。今後も、中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについて、区民の皆様とのタウンミーティング、意見交換会など対話を十分に重ねて、より良いものに再構築してまいります。
私は、そのために、必要な議案を今定例会において提出することといたしました。具体的には、中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業の施行予定者及び各地権者と締結している基本協定書の解除に係る議案、株式会社まちづくり中野21の定款変更について株主総会で賛成の議決権行使を行う議案、そして、株式会社まちづくり中野21が借入金返済を行う原資とするための出資金や、区への移転後の中野サンプラザの管理費などを計上した補正予算を提出します。これらの議案は、中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業を見直すとともに、中野サンプラザの土地・建物の所有権を区へ移転することにより株式会社まちづくり中野21の負担の軽減を図るため極めて重要なものでありますので、議員並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
2 協定解除に至るこれまでの経緯
中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについては、平成27年6月から令和元年10月にかけて、区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議を13回開催するとともに、意見交換会やパブリック・コメント手続を経て、区民や学識経験者の皆様から頂いた多くのご意見を踏まえて、令和2年1月に「中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画」を策定いたしました。
この再整備事業計画に基づき、当計画を実現するパートナーとして、令和3年5月に野村不動産株式会社を代表企業とする施行予定者を選定し、これまで様々な検討をしてきたところでございます。その後、令和5年11月に市街地再開発事業等の都市計画を定め、昨年7月には施行予定者が施行認可申請を行ったところですが、昨今の社会情勢の変化、とりわけ急激な物価高騰や人件費の高騰などにより当初予定していた事業費が増大し、施行認可申請時の事業計画の成立が難しくなり、昨年10月に施行認可申請の取下げに至った次第でございます。その後、施行予定者から事業計画の見直し提案がなされましたが、区として検討を行った結果、(1)その時点で事業成立性の見通しが明らかでなかったこと、(2)施設の配置計画や用途割合、中野五丁目からのホールの視認性、最大級の耐震性等について、当初の提案内容が十分継承されておらず、公平性・中立性の観点から課題があること、(3)そして何より私が残念に感じたのが、子どもの遊び場や、屋上広場、展望施設の規模など区民が直接利用する施設の魅力が認可申請時に区が同意した事業計画と比較して低下していることでした。事業成立性の観点から、ある程度住宅が増えることは予想していたところですが、区民が直接利用する施設の魅力の低下は到底受け入れることができません。
以上のような理由から施行予定者の見直し提案について、内容の変更にかかる承諾及び承諾にかかる協議の継続は行わない決定をし、その旨通知を行ったところでございます。
これまでの一連の経緯については議会をはじめ、区民の皆様からも様々なご意見を頂きましたが、令和4年12月に施行予定者と各地権者との間で締結した「(仮称)中野駅新北口駅前地区第一種市街地再開発事業の事業化推進に関する基本協定」につきまして、施行予定者と区をはじめとする各地権者間で解除に関する内諾が得られたことから、区としましては新たなまちづくりのステップを踏み出すべく本協定を解除いたしたく存じます。本協定解除に当たりましては、「議会の議決すべき事件等に関する条例」の規定に基づきまして、本定例会に協定解除の議案を提出いたしますので、ご審議の程よろしくお願いいたします。
3 中野駅新北口駅前エリア再整備事業の見直しに向けた決意
令和2年1月に策定した「中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画」で掲げたコンセプトは、「中野サンプラザのDNAを継承した、新たなシンボル拠点をつくる」、「中野駅周辺の回遊性を高め、にぎわいと交流に満ちたまちをつくる」、「未来に続く中野の活力・文化・暮らしをつくる」の3点です。
再整備事業計画は、区民の皆様との対話を重ねて策定したものであり、この3点のコンセプトに則り、中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業の見直しを進めていきたいと考えています。見直しにあたっては、改めて区民目線に立ち返り、「中野駅前のシンボル拠点とはどのような施設なのか」、「にぎわいと交流を創り出すためには、どのような施設が必要なのか」、「未来を担う子どもたちのために必要とされるのは、どのような施設なのか」といった視点で検討していきます。
去る5月28日と6月1日に区民説明会を実施したところですが、7月以降も意見交換会などにより、区民の皆様のご意見を伺いながら事業の見直しを進めていきます。また、中野駅新北口駅前エリアの現状などについて分かりやすく説明するため、5月下旬には区ホームページを改善いたしました。今後はSNSなども活用しながら、区民の皆様への情報発信に努めてまいります。
4 中野サンプラザの土地・建物の管理
また、今回の一連の経緯の中で、区民の皆様から多数のご意見を頂きました。中野サンプラザが区民の皆様にとって特別な場所であることを改めて痛感した次第です。一方で、中野サンプラザは令和5年7月2日、開業50年の節目に、区民や来街者の皆様に惜しまれながら閉館しました。閉館後、施行予定者への建物引渡しのために、館内設備や、什器、消防設備等は可能な限り撤去しています。令和6年3月末には通電を停止し、現在まで閉鎖管理が続けられています。
閉館している中野サンプラザにつきましても、これまで様々なご意見を頂き、その中には中野サンプラザを修繕のうえ、今後も利活用してもらいたいといった要望もございました。しかし、中野サンプラザは建設から50年以上が経過しており、エレベーターの位置などバリアフリーの観点からも不十分な設備であると認識しています。たとえ修繕して一時的に利活用したとしても早晩全面的なリニューアルが必要となります。私は、中野のシンボルであり続けた中野サンプラザに対する、多くの区民の皆様の想いを胸に刻み、今回のまちづくりに合わせて、再整備することで、新たな中野のシンボルとして次世代に引き継いでいきたいと考えています。
中野サンプラザの土地・建物を所有する株式会社まちづくり中野21は、市街地再開発事業による転出補償金の受領を予定していましたが、事業計画の見直しにより、それが見込めなくなりました。
株式会社まちづくり中野21は中野サンプラザの土地・建物を所有することに伴い、固定資産税、借入金利息負担、サンプラザ維持管理費等により年間約3億円の支出が見込まれる一方、保有している現預金は約10億円であり、早期の対応が必要です。
株式会社まちづくり中野21の負担を軽減するとともに、中野の顔である中野サンプラザの土地を、責任をもって次の世代のために活用していくため、今後は区が所有する必要があると考えています。
今回、株式会社まちづくり中野21の定款変更について株主総会で議決権行使を行う議案、そしてまちづくり中野21の借入金返済のための追加出資43億円の補正予算を提出いたします。これらの議決を頂きましたら、今年の9月頃に中野サンプラザの土地・建物について、株式会社まちづくり中野21からの寄附受領という形で区への資産移転を行う予定です。これにより、年間約2億8千万円に及ぶ、株式会社まちづくり中野21の固定資産税及び借入金利息の負担が軽減される見込です。
中野サンプラザ南側広場は、皆様が憩えるオープンスペースとして開放するとともに、まちの賑わいに資するよう、株式会社まちづくり中野21から南側広場を借り受けている期間、暫定的な貸出しを開始しました。中野サンプラザの土地・建物の資産移転が行われた後は、区民の新たなまちづくりに対する期待感と理解を高めるとともに、アニメを核としたプロモーションや駅前の賑わいに資する活用方法を検討してまいります。
5 今後の中野駅新北口駅前エリアのまちづくり
これからの中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについては、令和8年12月に中野駅西側南北自由通路の整備にあわせ、中野駅西口改札が開業されることになります。区としましては、南北通路北側の新北口駅前交通広場や四季の都市(まち)方面デッキ、囲町方面デッキ、南北通路南側の桃園広場など必要な都市基盤施設の整備を土地区画整理事業者や鉄道事業者と連携しながら進め、中野駅西口の開業と同時期に供用開始を目指してまいります。
また、中野四丁目新北口駅前地区については、協定解除の議決が頂けましたら、協定を解除し、その後、サウンディング型市場調査等を実施し、民間事業者から現在の市場動向や本地区の再整備事業計画への新たな知見などを聴取するとともに、今後の本地区のまちづくり、拠点施設に必要な機能等について、改めて区民や各団体の皆様のご意見を伺う機会を設け、区民意見の更なる反映をしてまいります。区民意見や民間事業者の知見と合わせ、必要に応じて再整備事業計画を時代に合わせたものへと一部見直しを図りながら、中野サンプラザのDNAを継承した、中野らしい新たなシンボル拠点の整備や、にぎわいと交流に満ちたまちの実現に向けて取り組んでいく所存です。
6 むすびに
昨今の社会情勢の急激な変化により、まちづくりを取り巻く環境は以前よりも厳しいものとなっています。しかしながら、この厳しい情勢の中においても、中野駅新北口駅前エリアをはじめとする中野駅周辺のまちづくりを着実に進めることで、基本構想に掲げる「つながる はじまる なかの」、「人と人とがつながり、新たな活力が生み出されるまち」の実現とともに、区民のシビックプライドの醸成、これからの世代の子どもたちが将来にわたって誇りに思えるまちの実現を目指してまいります。今後も、区議会及び区民の皆様には適時適切な情報提供と十分な説明、そして対話に努め、この難局を乗り越えてまいりたいと考えております。
以上、区議会議員各位におかれましては、区政運営にご理解とご協力を賜り、それぞれのお立場から区政の前進にご協力賜わりますようお願い申し上げ、結びとさせて頂きます。
(注)本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。
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