中野区公契約条例
令和4年3月28日
条例第8号
(目的)
第1条 この条例は、公契約に関し、基本方針を定め、中野区(以下「区」という。)及び受注者の責務を明らかにするとともに、公契約の締結において必要な事項を定めることにより、公契約に係る入札、契約等の適正化、労働者等に係る適正な労働条件の確保並びに公契約の適正な履行及び品質の確保を図り、もって地域経済の活性化及び区民の福祉の向上に寄与することを目的とする。
(1) 公契約 区が締結する工事、製造その他の請負契約及び業務委託契約並びに地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項の規定により区の指定を受けた者と締結する公の施設の管理に関する協定(以下「指定管理協定」という。)をいう。
(2) 受注者 区と公契約を締結する者をいう。
(3) 受注関係者 次に掲げる者をいう。
ア 区以外の者から公契約に係る業務の一部を請け負い、又は受託する者(次号イに掲げる労働者等を除く。)
(4) 労働者等 次に掲げる者をいう。
ア 受注者又は受注関係者に雇用され、公契約に係る業務に従事する労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)
イ 受注者又は受注関係者との契約により、公契約に係る業務の一部を請け負い、又は受託する者で、当該業務を他の者を使用しないで行うもの
(5) 労働報酬 公契約に係る業務についての労働の報酬で次に掲げるものをいう。
ア 前号アに掲げる労働者等がその雇用する受注者又は受注関係者から得る賃金
(基本方針)
第3条 区が公契約を締結するに当たっては、次に掲げる事項を基本方針とする。
(1) 公契約に係る手続の透明性を確保し、公正な競争を促進すること。
(2) 談合その他の不正行為を排除すること。
(3) 受注者において労働者等について適正な労働条件を確保させること。
(4) 公契約の適正な履行及び品質を確保すること。
(5) 区内の事業者が公契約を受注する機会を確保するよう努めること。
(区の責務)
第4条 区は、前条に規定する基本方針にのっとり、公契約に関する施策を総合的に策定し、及び実施するものとする。
(受注者の責務)
第5条 受注者は、公契約に係る業務の公共性を認識し、法令を遵守するとともに、公契約に従事する労働者等に係る労働条件を適正なものとするよう努めるものとする。
2 受注者は、公契約に係る業務の一部を他の者に請け負わせ、又は委託しようとするときは、区内の事業者が当該公契約に係る業務の一部を請け負い、又は受託する機会を確保するよう努めるものとする。
(1) 工事又は製造の請負契約でその予定価格が180,000,000円以上のもの
(2) 工事又は製造以外の請負契約及び業務委託契約のうち、その予定価格が10,000,000円以上のもので規則で定めるもの
(3) 指定管理協定(規則で定めるものを除く。)
2 前項の規定は、公契約の受注者が国、地方公共団体その他区長が必要と認める者である場合については、適用しない。
2 労働報酬下限額は、時間によって定めるものとする。
3 労働報酬が時間以外の期間又は出来高払制その他の請負制によって定められている場合における当該労働報酬の額を時間についての金額に換算する方法は、規則で定める。
(1) 第6条第1項第1号に掲げる公契約に係る労働者等 農林水産省及び国土交通省が決定する公共工事の工事費の積算に用いるための労務の単価
(2) 第6条第1項第2号及び第3号に掲げる公契約に係る労働者等 区の区域に係る最低賃金法第9条第1項に規定する地域別最低賃金及び中野区会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例(令和元年中野区条例第16号)第4条第1項に規定する報酬の額
2 区長は、労働報酬下限額を定めようとするときは、あらかじめ、第13条第1項に規定する中野区公契約審議会の意見を聴かなければならない。
3 区長は、労働報酬下限額を定めたときは、速やかにこれを告示するものとする。
2 前項の規定により検査等をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(1) 当該受注者又は受注関係者の氏名及び住所(その者が法人その他の団体であるときは、名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
(2) 当該公表に係る違反の内容
(3) 前2号に掲げるもののほか、規則で定める事項
2 区長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該受注者又は受注関係者に対し、当該公表に係る理由を通知し、当該受注者又は受注関係者が意見を述べ、証拠を提示する機会を与えるものとする。
(中野区公契約審議会の設置)
第13条 公契約に関する施策の適正な実施を確保するため、区長の附属機関として、中野区公契約審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、区長の諮問に応じ、労働報酬下限額その他公契約に関し必要な事項について調査審議し、答申する。
3 審議会は、次に掲げる者のうちから、区長が委嘱する委員6人以内をもって組織する。
(1) 事業者団体関係者 2人以内
(2) 労働者団体関係者 2人以内
(3) 学識経験を有する者 2人以内
4 審議会の委員(以下単に「委員」という。)の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
5 委員が欠けたときは、補欠の委員を置くことができる。この場合において、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(委任)
第14条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、令和4年4月1日から施行し、令和5年4月1日以後に締結する公契約について適用する。
別表(第7条、第9条、第12条関係)
1 労働関係法令の遵守 | 受注者は、第2条第4号アに掲げる労働者等に係る労働条件に関して、関係法令の規定を遵守しなければならないこと。 |
2 労働者等との契約条件 | 受注者は、第2条第4号イに掲げる労働者等と請負契約又は委託契約を締結しようとするときは、その条件を1の項の関係法令の趣旨を尊重したものとしなければならないこと。 |
3 労働者等の継続雇用 | 受注者は、継続性のある業務に関する公契約を締結するときは、当該業務に従事する労働者等の雇用の安定並びに当該業務の質の維持及び継続性の確保に配慮し、当該公契約の締結前から当該業務に従事していた労働者等のうち希望する者を雇用するよう努めること。 |
4 労働報酬に係る受注者の連帯責任 | 受注者は、受注関係者が労働者等に対して支払うべき労働報酬を支払わないとき又は受注関係者が支払った労働報酬の額が労働報酬下限額を下回るときは、当該受注関係者と連帯して、当該労働者等に対し、当該労働報酬に相当する金額又は労働報酬下限額と当該支払った労働報酬の額との差額に相当する金額を支払わなければならないこと。 |
5 労働条件の区への報告 | 受注者は、規則で定めるところにより、労働者等に係る労働条件に関する事項を区に報告しなければならないこと。 |
6 労働者等に対する周知 | 受注者は、労働報酬下限額その他の規則で定める事項を作業所等の労働者等が見やすい場所に掲示し、又は労働者等に対し当該事項を記載した書面を交付しなければならないこと。 |
7 不利益な取扱いの禁止 | 受注者は、第10条に規定する申出を受けたときは、誠実に対応するとともに、当該申出をした労働者等について、当該申出をしたことを理由として、解雇、請負契約又は委託契約の解除その他の不利益な取扱いをしてはならないこと。 |
8 報告の求め及び検査等への対応 | 受注者は、第11条に規定する報告の求め及び検査等に応じ、協力しなければならないこと。 |
9 約定事項の違反の是正の求め | 区は、受注者が約定事項に違反していると認めるときは、当該受注者に対し速やかにその違反を是正するために必要な措置を講ずるよう求めることができること。 |
10 約定事項の違反の是正等及び報告 | 受注者は、9の項に規定する求めを受けたときは、速やかに当該違反を是正する措置その他必要な措置を講じ、その結果について区に報告をしなければならないこと。 |
11 公契約の解除等 | 区は、受注者又は受注関係者が次のいずれかの事由に該当するときは当該公契約の解除等をすることができ、当該解除等により受注者又は受注関係者に生じた損害を賠償する責任を負わないこと。 (1) 第11条に規定する報告の求めに応ぜず、若しくは虚偽の報告をし、又は同条に規定する検査等を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは当該検査等における質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。 (2) 9の項に規定する求めに応じないとき。 (3) 10の項に規定する報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。 |
12 損害賠償責任 | 受注者は、区が11の項に定める事由による公契約の解除等をした場合において、当該公契約の解除等により区に損害が生じたときは、その損害を賠償しなければならないこと。 |
13 公契約の解除等に係る違約金 | 区は、11の項に定める事由による公契約の解除等をしたときは、受注者に対し違約金の支払を求めることができること。 |
14 受注者と受注関係者との契約 | 受注者は、受注者が受注関係者と契約を締結するときは、当該受注者が遵守すべき約定事項について、受注関係者が当該受注者に準じて当該約定事項を遵守することとなるよう、当該契約を締結する受注関係者との間で約定しなければならないこと。 |