中野区人権及び多様性を尊重するまちづくり条例
令和4年3月28日
条例第3号
日本国憲法は、基本的人権を保障し、個人の尊重と生命、自由及び幸福追求に対する権利、そして法の下の平等と差別の禁止をその理念としています。
様々な個性や価値観を持つ人々が暮らす中野のまちにおいては、この崇高な理念の下に、互いの人権と多様性を尊重し、これを認め合いながら、共に新たな価値をつくっていくことが求められています。
また、全ての人が差別をすることや差別をされることのない環境、そして差別をされている状況を見過ごすことのない環境を整備することが必要です。
私たちは、この理念の下で、全ての人がその能力を発揮し、自分らしく、心豊かに、安心して暮らすことができる地域社会を実現するため、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、人権及び多様性を尊重するまちづくりを推進するための基本理念を定め、中野区(以下「区」という。)、区民及び事業者の責務を明らかにすることにより、人々が心豊かに安心して暮らし、共に新たな価値を生み出していくことのできる中野のまちを実現することを目的とする。
(基本理念)
第2条 人権及び多様性を尊重するまちづくりは、全ての人が、性別、性自認、性的指向、国籍、人種、民族、文化、年齢、世代、障害その他これらの複合的な要因による差別を受けることなく、それぞれの能力を発揮し、地域社会の一員として暮らすことができることを基本理念とする。
(区の責務)
第3条 区は、前条に規定する基本理念にのっとり、区民一人ひとりが人権及び多様性を尊重し、これを認め合うために必要な施策を総合的に推進するものとする。
2 区は、前項の規定による施策の推進に当たっては、区民、事業者及び関係機関との連携及び調整を図るものとする。
(区民の責務)
第4条 区民は、地域社会の一員として、交流、つながり等を通じて、第1条に規定する中野のまちの実現に寄与するよう努めるものとする。
2 区民は、前条第1項の規定により区が推進する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、施設、商品及びサービスの提供その他自らの事業を通じて、人権及び多様性の尊重に努めるものとする。
2 事業者は、第3条第1項の規定により区が推進する施策に協力するよう努めるものとする。
(施策の推進のための取組)
第6条 区は、第3条第1項に規定する施策を推進するに当たり、その普及及び広報活動等を行うものとする。
2 区は、区民及び事業者が実施する活動で第3条第1項に規定する施策の推進に寄与するものを促進するため、必要な情報の提供及び当該活動の支援を行うものとする。
3 区は、社会教育その他生涯にわたって行われるあらゆる教育の場において、人権及び多様性を尊重し、これを認め合う意識を醸成するために必要な取組を行うものとする。
(調査研究等)
第7条 区は、第3条第1項に規定する施策を効果的に推進するため、調査研究及び必要な情報の収集に努めるものとする。
(中野区人権施策推進審議会の設置)
第8条 人権及び多様性を尊重するまちづくりを推進するため、区長の附属機関として、中野区人権施策推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、次に掲げる事項をつかさどる。
(1) 人権及び多様性の尊重に関する事業の運営状況及び相談等の状況について区長から報告を受けること。
(2) 区長の諮問に応じ、人権及び多様性の尊重に関する重要な事項について調査審議し、答申すること。
3 審議会は、前項各号に掲げる事項に関し必要があると認めるときは、人権及び多様性の尊重に関する重要な事項について、区長に意見を述べることができる。
4 審議会は、次に掲げる者のうちから、区長が委嘱する委員10人以内をもって組織する。
(1) 公募による区民
(2) 関係団体が推薦する者
(3) 学識経験者
5 審議会の委員(以下単に「委員」という。)の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
6 委員が欠けたときは、補欠の委員を置くことができる。この場合において、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(相談等に対する体制の整備)
第9条 区は、国及び東京都との適切な役割分担を踏まえ、区民及び事業者からの人権及び多様性に関する相談等に的確に応じるために必要な体制を整備するものとする。
(相談等の処理)
第10条 区長は、前条に規定する区民及び事業者からの人権及び多様性に関する相談等を受けたときは、必要な調査を行い、助言又は指導を行う等解決のための支援を行うものとする。
(委任)
第11条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、令和4年4月1日から施行する。